Photo by Ume氏
もう少し、クマのことを。ツキノワグマはヒグマと違い、やたら人間を襲うようなことはしない、それがわれわれのおよその共通認識になっている。そのため、クマによる事故があると、被害に遭った人の不注意や無知が指摘され、原因にされてしまう。
確かに他の野生動物と同じように、クマが人間を怖れていることは間違いないだろう。だから、人間がクマの生活圏に踏み込んでも、大概の場合はクマの方から接触を避けるため逃げ、身を隠す。これが、これまでツキノワグマの習性(ならい)だと考えられてきた。
ところが時に、クマの側にとって、こういう判断ができないような切迫した状況で、人間と遭遇してしまうことがあり、こんな時に事故が起こる。クマは最後の手段、必死を覚悟で人間に攻撃を仕掛けてくるからだ。こういう絶体絶命の場合はひとりクマだけでなく、野生動物は鹿でもタヌキでも同じ行動に出る。
しかし、この生死を賭けたクマの闘いは、意外な結果に終わることが多い。猟や銃の規制が緩やかだったころと違い、丸腰では人間の方が弱く、ろくに抵抗できず、負けてしまうのだ。老人だったり、女性の場合には特にそうだ。
クマも学習する。こうした経験を重ねれば、クマは次第に人を怖れなくなることが危惧される。万一出くわしても脅せば、人間の方が逃げていくと思い込む可能性があり、これはクマにとっても、人間にとっても望ましいことではない。なぜなら次第に人とクマの棲み分けが曖昧になってしまい、結果、里山などへ頻繁にクマが出没するようになるからだ。人間との接触で事故が発生するようになれば当然、人としては安全のため、クマを犠牲にしなければならなくなる。
将来、人間を怖れる旧来のクマだけが山奥で生き残ることができるのか、それとも人間を見くびるようなクマが増えるのか、どちらにしろ、人とクマの共存はあまり楽観はできないと思う。
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