
県下に大雨特別警報(レベル5相当)が出ては、さすがに予定していたきょうの入牧も延期せざるを得なかったようだ。ここへ来る途中、畜産課長から連絡が入った。電話の切り際、「気を付けてください」と言われ、そんな言葉をかけられたのは初めてだとからかうと、「いつも心の中では思っています」だと。昨日の呟きが聞こえたのかも知れない。
雨脚は強く、激しく、山室川の清流も赤茶色の濁流に変わり、こんな悪天では行き交う車などない、と思っていたら、諏訪神社を右に見て上っていった所で1台の軽トラが止まっていた。しかもドアが半開きで、何とその近くに2頭の大型の鹿が横たわっていた。運転席を見ると、顔見知りのYさんがびしょ濡れの合羽を着て、凄い形相で何かしていた。
こんな天気の日でも遠くから仕掛けた罠の見回りに足を運び、幸と言うのか不幸と言うのか2頭も捕まえ、孤独な猟師の懸命な姿には同情を覚えつつも、そういうこの人の生真面目さにいつも妙な滑稽さを感じてしまう。実利もあるだろうが、それだけではない狩猟者の血が、あの禿頭短躯(失礼!)に潜んでいるのだろうか。
さらに上に来ると、未舗装の山道は流れ下る雨水によって無残に削られる一方で、しかし、手の施しようがない。大雨の時のいつもの光景である。舗装にしようという声もあるようだが、そうなれば当然交通量も増え、もっと下った先の芝平の集落を通る細い道路では早晩対応できなくなるだろう。また、あの古くからの集落の雰囲気も変わってしまうが、これは部外者の無責任な思いでしかない、と言われるかも知れない。
この雨も、恐らく昼ごろには小降りになると予想しているが、元野生だった牛と、野生化が進む牛守は、いかなる気象状況下であっても耐えられると過大評価されてしまっている。牛はそうかも知れないが、人間も同じにされては有難くない。こっちはまだ野生化途上であるのだから。
やはり、外は穏やかになってきた。カラスの鳴き声がする。カッコーの声もし始めた。コーヒーを飲みながらかりんとうを齧っていた間に、大雨の峠は超えたみたいだ。雲の動きが活発になってきた。
本日はこの辺で、また明日。