入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「夏」(36)

2020年07月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 時折薄日が射すも気温は14度と、いつもより肌寒い。権兵衛山にかかった雲の一部がちぎれて、目の前に見える落葉松と絡むように、あるいは撫でるように流れていく。きょうも、まだ鳥の声がしない。少なくとも午前中ぐらいは何とか天気はもちそうだと予想して来たのだが、われわれには分からなくても鳥たちにはまた激しい雨が降ってくることが察知でき、それで沈黙しているのだろうか。午前中に、また10頭の牛が上がってくることになっているが、いつになるのかと気になる。
 
 3,4台と工事関係者の車が小黒川林道を下っていった。テイ沢と南沢の間にある崩落場所の修復工事だと聞いたが、下っていった左側の、常に落石や崩落の絶えないガレ場をようやく何とかする気になったのかと思えばそうではなくて、反対側の小黒川に落ちていく右下の急な斜面の補強工事だという。
 あの林道はしょっちゅう通行止めになるが、そんなことは織り込み済みのオフロードバイカーは、いつしかそれを無視するのが当たり前のようになっている。それでも、今回ばかりは戸台への通り抜けができないらしく、今朝もそういうバイクが1台、途中から引き返してきた。

 やはり午後になって雨が降り出し、霧も深く、昼前に入牧して囲い罠へ入れた11頭の牛の姿も今は見ることができない。予定より1頭増えて、これで頭数は合わせると39頭になった。環境が変わったばかりの牛たちは落ち着きがなく、何を訴えたいのかしきりに大きな声を上げている。1ヶ月前から入牧していた先輩格の和牛が4,5頭、その声を聞き付けて囲いの近くまで下りてきたが、さっさと用事を済ませてまた森の中へ戻ってしまったようだ。
 牛にも整った顔をしたのもいれば、そうでないのもいる。人間の世界なら、見てくれはそれなりの評価の対象になっても、牛の評価は牛でなくて人間が決める。和牛は20ヶ月という短い間に成牛になって、それから10カ月くらい余計なまでに脂肪を付けられ、その結果が最終的な評価となる。もちろん牛はそんな運命は全く知らず、雨に濡れながらひたすら草を食べている。霧は薄れても、雨は止まない。

 本日はこの辺で、明日また。

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする