昨日、呟きを終えるに当たり、つい「また明日」などとやってしまった。きょうが日曜日であること、独り言を控える日であることを、うっかりして忘れていた。考えてみたら明日、月曜日は例の収録というややこしい仕事が入り忙しいことにりそうなので、そこできょうと明日を振り返えとすることにした。単に牛守の独り言に過ぎないのだから、そこまでしても詮無いと思いつつも。
昨日は午後になってもう一度、未確認だった牛5頭を確認することにした。雨は止まなかったが、熱いウイスキーコーヒーの効果と、別の雨具のお蔭でそんな気になった。一応牛に大事はないと思ってはいても、これは牛守の沽券にかかわることでもあり、意地のようなものだろう。もっとも意地ということであれば、14年の経歴を持つ牛守よりか、歳を取ってしまってもやはり山に対する、「こんな程度で」といった気負いが、古着の汚れのように残っているのかも知れない。
三角形の底辺の真ん中から小入笠の頭を目指して登り、その日は頭には3度行ったことになった。そして中心からあまり大きく逸れない範囲を降りてきてまず和牛2頭を、さらに下って、放牧地の散らばった牛たちの群れの中に当のホルス3頭を見付け、耳に付けた牧場の管理番号で確認した。
「終わった!」という快い満足感が、雨の中の1万数千歩の対価だった。
その日の帰り、枯れ木橋を過ぎた所で、1匹の犬に出会った。一見して、4年前の冬の夜、入笠へ来る途中で姿を消したHALの妹キクかと驚いた。それほど似ていた。しかし、川上犬の特徴である背中の茶色の毛に混じって、黒い毛のTの字の模様が無かった。それに、首に発信機を付けていた。明らかに猟犬である。
それでも窓から顔を出し、大きな声で「キク」と呼ぶと、その声に怯えたのか踵を返し、元来た方へ歩き出した。キクと違い、結構神経質そうだった。速度を落としゆっくりと後を追っていくと、その犬もこちらを振り返りながらしばらく走った。そして立ち止まったので、車から降りて近付こうとしたら、山室川の土手を下り、さらに今度は上流向かって走り、間もなく姿をくらました。
HALが死んで、もう犬は飼わないことにしたが、それでも身元が判明するまで家に置いてやってもいいと思った。それにしても猟犬がこんな時期にどうしたというのだろう。猟期からずっと野生化して生きてき可能性も考えたが、それにしては黄色の首輪が新しかった。今朝も注意しながら来たが、もう会うことはなかった。
本日はこの辺で。そういうわけで明日は沈黙します。