入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        「夏」 (19)

2015年07月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by NKZ氏

 昨日は恒例のテイ沢の草刈をTDS君の協力を得て行った。毎年そうやって登山道脇のクマ笹を刈ることで、少しづつ植生が変わり、新しい草花が生えてくる楽しみがある。
 途中女性の3人組が下っていったかと思ったら、また引き返してきたので、「もったいないことをするな」などと言って引き止めているうちに、案内役をすることになってしまった。途中で里の暑さを逃れてきたというDNDさんとも出会い、お蔭で道々いろいろな野草の名前を教えてもらいながら下ることができた。見る人が見れば、色々な種類の草花がたくさんあって、この沢の魅力に一役も二役も買っていることが分かる。みんなテイ沢や牧場を気に入ってくれて、喜んで帰っていった。暑い都会に疲れたら、またおいで。TDS君、DNDさん、ありがとうございました。
 いけない、うっかり忘れるところだった。昨日の朝TDS君と小屋の近くまで来ると、本日のテイ沢の写真の撮影者であるNKZさんと出会った。すると差し入れだと言って、ビールと氏の家で育てたという立派なキュウリを頂戴した。一息入れ、TDS君とテイ沢の清流を渡る冷風を感じながら、冷えたビールと味噌だけで食べる新鮮なキュウリの美味さと言ったら、感動、その一言。


                                           Photo by NKZ氏

 「テイ沢」などと言うから、沢を歩くと誤解するムキもあるが、沢ではなく渓流と見るが正しい。
 今夜は里へ下るつもりでいたが、さて。

 宿泊施設及びキャンプ場の営業につきましては、カテゴリー別の「H27年の営業案内」を、また星空に興味のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。

 

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         Ume氏の入笠 「夏」 (19)

2015年07月11日 | 牧場その日その時

Photo by Ume氏

 午前4時、気温13度C.晴れ。外に出てみると、明け始めた空に上弦の月が、まだ輝きを残して見えていた。今朝はチュウチュウチチの鳴く声が、いつもの朝よりもよく聞こえるが、先ほどまで鳴いていたカッコウはどこかへ行ってしまったようだ。Ume氏が昨夜来撮影に奮闘しているはずだが、まだここには来ていない。
 やはり朝は今朝のように、一日の好天を約束しながらゆっくりと明けていくのがいい。まだ森は暗いマスでしかなかったが、今そこに薄い霧が生まれ、、あっという間に辺りを白く覆ってしまった。ほどなく陽が昇れば緑の森が復活するだろうが、それにしても、この霧の立ち込めたいかにも山の朝らしい朝は、どこからともなく力が湧いてくる。 
 霧が薄れ再び権兵衛山が姿を現すと、その中腹にひと塊の霧を抱いたまま、山は朝日を浴びて染まり始めた。


 コバギボウシ        Photo by Ume氏

 昼を過ぎると気温も上がり、寒暖計は23度Cを指している。真っ青な空の色も、太陽の光がつくる森の陰影も、正しくここのなんとなく間延びした、夏の午後だ。さっきから聞こえてくる虫の羽音も、その弛緩した雰囲気に一役買っている。
 朝型Ume氏が来てコーヒーを飲んでいたら、北原のお師匠もやってきた。師匠はハナビラタケにすっかりはまってしまい、クマ笹の深い落葉松の森の中に吸い込まれるように消えていった。元気だ。

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        「夏」 (18)

2015年07月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 幾日ぶりの青い空と太陽だろうか。緑の草原(くさはら)や森や林も、昨夜の狂ったような土砂降りの雨に洗われて鮮やかさを増し、清々しい。どこに避難していたのか鳥たちも一安心して、今朝はいつもよりよく歌う。これから牛の様子を見にいくが、昨夜はさすがに牛たちも、あのぶ厚い雨雲と濃密な霧のすべてが雨に変わって、滝と化して襲いかかってきたのには、さぞかしまいったことだろう。



 昨日の雨が第4牧区の牛たちにはシャワーの役割もしたようだ。これまでの汚れがすっかり落ちて、特に種牛見習や和牛は、ほれぼれとするような光沢の毛並を見せながら、だがいつもと違った様子もなく、小入笠の下の草地に他のホルスタイン牛と群れていた。相変わらず尾っぽを振りふり、食べるだけ食べれば横になり反芻を始め、まるで昨夜の雨なぞ忘れてしまっているようだ。
 上の写真の遠く背後に見えている草地が第1牧区で、御所平はさらにその向こう側にある。第1牧区の牛たちは今朝はそこにいた。やはりここの牛たちも、一風呂浴びたようなさっぱりした姿で横臥して、久し振りに太陽の光を浴びながら憩っていた。ホルスタイン牛は白と黒の斑の対比が一段とはっきりとして、いつもと同じように、いい音を立てて草を食んでいた。この牧区ではたった1頭の和牛も、黒毛和牛らしく、昨夜の雨にヘコタレた様子などはなかった。

 一日が暮れてゆく。今日は上伊那猟友会の人たちが来て、小黒川林道沿いの有害駆除について県の側から話を一緒に聞いたり、現地の状況を見て回るというので同行した。午後第4へ上がっていったら、朝のうちはあんなにきれいだった種牛見習が、どこで付けたのか顔や頭を泥だらけにして目の前に現れたのには、思わず笑った。また、テイ沢を褒めてくれた高山から来たというご夫婦を、牧場内を少し案内をして喜んでもらった。
 いかにもと言いたくなるような山の夕暮れが始まった。ここから見える夕空に雲はない。久しぶりに今夜は星空を期待できるだろうか。今夜で4泊、山の人も明日は里に下りる。NZWさん、多謝。

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        「夏」 (17)

2015年07月09日 | 牧場その日その時

Photo by NKZ氏

 こんな山の中でも時には、思いがけない人との関わり合いもある。先日、幾日ぶりかで山を下りっていったら、廃村の芝平で女の人に呼び停められた。50代前後だろうか、上手く説明できないもどかしさを見せながらも、車のエンジンが始動しないということを言い、その原因はバッテリーだと思われるから、できたらジャンプ(充電)してみてほしいという意味のことを頼んできた。電話も通じない山の中で車が動かなくなってしまったら、否も応もない。
 今来たばかりの道を引き返しながら聞けば、どうやらその人の車は山奥氏も住む「ハイランド」とか呼ばれる別荘地にあるようだった。かなりの距離を走って本道を外れると、たちまち雨でぬかるんだひどい山道になった。このハイカラな名前だけが残った一帯は、大方の建物がわずかの間に廃屋と化し、それらの残骸が放置されたままあちこちに点在していた。なおも悪路を難渋しながら言われるままに進み、一番奥にあるその人の家にようやくたどり着いた。建物は「癌で亡くなった主人と友達が建てた」ということだったが、山小屋を建てようとした故人の情熱、努力、工夫は今でも立派に窺がえ、残っていた。ただこんな山の中に一人、心細い夜を送らざるを得なくさせ早逝した夫、その人を偲ぶ彼女が不憫に思えた。
 車は幸い始動させることができた。だが万が一のことを考えて、少し離れた坂道に移動させ、バッテリーが不調でも、エンジンを掛けることができる方法を教えた。そして帰ろうとしたら、お礼をしなければと言って走り寄ってきた。もとよりそんな気などないから断ると、その人は強引にダッシュボードに千円札を押し込み、これで済んだというような安堵した態度を見せた。そこで対応を誤った。その千円札を持っていき「こんなことを千円ぐらいの金でやる人はいないよ」と言って、その人の胸のポケットに押し込んだのだ。彼女はポカンとして動きが止まった。
 帰る道すがら、悔いた。自分のしたことを千円ばかりの金に換算してほしくなかったが、しかしその人にとってみれば、そうするしかなかっただろう。気の毒をした。もう幾日も前のことだが、その思いはまだ胸にある。

 霧はますます深くなるばかり。撮影の下見に、東京から監督や関係者が来るというのに、これではどうにもならないだろう。

 牧場内の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しては、カテゴリーの欄にある「H27年の営業案内」を、また星空に興味のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
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        「夏」 (16)

2015年07月08日 | 牧場その日その時

Photo by NKZ氏
 
 朝4時15分、気温13度C。カッコーは今朝一番の早起きだった。こちらもいささか早起きをし過ぎた気もするが、これからしばらく典型的な梅雨空には違いなくとも、新しい一日が明けてゆく様子を目と耳でしっかりと見て、聞いて、今日しかない今日の始まりを記憶のどこかに沁み込ませたい。

 そして一日の仕事が済んで、管理棟の部屋からまた雨に濡れる相変わらずの景色を、眺めるともなく眺めている。もう何度このブログで、(名無しの)権兵衛山に絡む霧のことに触れただろうか。また今日もその霧が、忍び寄る夕暮れに合わせるかのようにして入笠山と権兵衛山の鞍部から降りてきて、瞬く間に一切を白く塗りつぶしてしまった。鳥もねぐらに帰り損ねたのか、すぐ近くからまだ声がする。
 昨日はここで暮らす長い夜のことを書いてるつもりが、思いがけない方へと脱線してしまった。酔うと理屈っぽい本は読まないと決めていたにもかかわらず、実はその典型のような本を昨夜、かなり身を入れて読んでいたのだ。で、その本が扱っている夫婦とか家族とか、或は生とか死とか・・・、そんな事柄から刺激を受けてつい、こんな山の中で一人安気にしている自身の姿を、山の中からではなく、里の側から見たらどうなんだろうということを、チラッと考えてしまったのだ。もしかすれば、いや屹度、いたずらに野生化ばかりを進行させてしまった得体の知れない、変人・奇人の姿が見えるだろう。だからつい、必要もない「洞穴(ほらあな)の住人」まで、引き合いに出してしまったようなのだ。それに、今夜はまだ素面だが、昨夜は酔いも悪さをしたかもしれない。
 牛一郎君覚えているか、まだあんなに若かったころでさえ、酒を飲んでは「遠い時間に来てしまった」と互いにこぼし合っていたことを。けれど今なら、その台詞をこぼすことも、嘆くこともなく、言いたい。本当に、遠い時間に来てしまった(!)のだから。

 Umeさんから「ドピンカー」でなく「ドピーカン」だと指摘された。赤面。Umeさんの友人のNKZさんからは今日のPHの他にテイ沢の写真も送っていただいた。お楽しみに。

 撮影の話が幾つか来ているが、この天気ではウーン。山小屋「農協ハウス」やキャンプ場の利用、そして星空観察も、しばらくはお預け、ですかね。カテゴリー別の「H27年の営業案内」と「入笠牧場からの星空」をご参考に。
 
 
 
 

 
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