改めて書くまでもないがこのブログは、主に山がどうした、森がどうした、晴れた曇った、風が吹いたと、昨今の世の中のことなど知らぬ存ぜぬを通して、能天気なことを書いてきた。テロの拡散に荒れる世界、内外の政治、選良らの言動や振る舞いはもちろん、防大生の任官拒否などということはさらに場違いな話だから、この場ではしない。
入笠に話を戻そう。これまで牧場及び周辺の自然を守っていくためには、これまでのように牧場経営一本槍では無理で、もう少し観光的な要素を取り入れるべきだと言い、そのためには是非とも、最低限のインフラ整備が必要だと訴えてきた。
しかし、このごろそんな考えも変わってきた。入笠牧場の宿泊施設は当面このままこれでよいのかも知れないと、そう思うようになってきた。中級山岳としての魅力はいくらでもあるし、各地で流行りの天体観測も、これだけの自然の好条件を備えているところはそうはない。
確かにもっと快適でハイカラな山小屋やキャンプ場が各地にたくさんあることは分かっている。だが、ならばなぜ、20年以上も毎年同じ顔触れがしかも幾組も、この時代遅れの山小屋やキャンプ場に来てくれるのかを、もう少し真剣に考えてみる必要がある。
ここにはここの魅力がある。なによりもあまり俗化してない。彼ら彼女らは、そういうところが気に入って来てくれるのだろうから、いくら設備が改善されても現在の静穏や、素朴な雰囲気が犠牲になるようなら、余計なお世話だと思うだろう。入笠の山頂に登ってしまえば、またさっさと帰る観光客たちとは違うのだ。
山が好きだったり、自然の中で気ままに過ごしたいと思う人たちは、もとから多少の不便は覚悟のうえで、自分たちの楽しみ方を知っていると思うし、そういう人たちにこそ来てほしい。そしてたまには、赤布も道標もない山道や、沢や渓を、泥に汚れ、水に濡れて冒険を楽しんでもらいたい。
もちろん若い人ばかりではなく、夕映えの中で影絵のように黙って座ったたまま、いつまでも穂高や槍を眺めていたあの初老のご夫婦のような人たちにも、是非・・・。
それは残念でした。ペットロス症候群に気を付けてください。明日の写真を見ていただければ分かりますが、雪はもう大したことありません。牧場の仕事は4月20日から始めます。お待ちしてます。