入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       ’16年「春」 (7)

2016年03月07日 | 牧場その日その時


 「春眠暁を覚えず」と言う。昨夜は11時から今朝は9時半近くまで眠った。10時間を超えて明け方、ふたつの夢を見た。ひとつは昔の仕事の夢、もうひとつはよく見る鉄道の夢だった。ただ、今思い返すと、ふたつは微妙に錯綜していた。
 この鉄道の夢というのは決まって東京ないし近郊が舞台になって、たいがいは行き先に迷うのだ。今朝の夢は地下鉄で郊外へ行くはずが、都心へ行ってしまうという夢だった。いつものことながら、実際の風景は出てこない。どれもみな、初めて目にするような景色ばかりだが、にもかかわらず何となく見慣れた懐かしさもある。
 今日の夢の登場人物と来たら、なぜか会社に来ていた不愛想な担当医が、準主役級で出て来ていた。顔から着ているものまでまるで昨日会ったかのように鮮明で、実際はウン十年前のほんの短い縁でしかなかった人だ。年齢から考えても、もう亡くなっている。
 
 田舎にはかれこれ10年以上も暮らしているのだから、ここ、とりわけ牧場の夢を、もっと見てもよさそうなものだが、そういうことはない。夢に出てくる人物も先述の担当医のように、記憶からこぼれかけたような人ばかりだ。
 ということはもしかしたら愚生も、時には誰かの夢の中に無遠慮に登場して、顰蹙不興を買っているかも知れない。ウムー、だ。
 せめて夢ぐらいはいい夢を見たいのだが、今日の写真はその代わりになるだろうか・・・。

イヤー、「種平小屋」さん、海老名出丸さん、大変失礼しました。昨日でURLは訂正が済んだと思っていたのに、プロトコールとやらをそこだけ流用したため、ミスをまたしてしまいました。お節介が徒になってしまい、大変に申し訳ありませんでした。
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       ’16年「春」 (6)

2016年03月06日 | 牧場その日その時


  雨が降ってきた。これからは一雨ごとに春は本格化して、暖かくなる。3月は忙しい月で、出掛ける用事も増えるから、それらの予定を消化していけばこの月もすぐに終わってしまうかも知れない。気温も早春並に上がって、今日はストーブなしでも平気でいられる。
 5か月の休業の間に、隠岐と対馬には行っておきたかったが、また行きそびれてしまった。そういう土地がまだ他にもある。行かれずに、いずれの日にかそのことを悔いるのか、少しづつ年齢とともに諦めてしまうのか、まだ分からない。
 この2年ほど、旅らしい旅に出ていない。冬の間は炬燵の奴隷になって、ろくに運動らしいこともしなかった。一日いちにちが過ぎていくのをしっかりとブレーキを踏みながら暮らしている。読書とこのブログ、そして酒はいいブレーキ役になってくれてる。
 酒があまり効き過ぎるのは問題だが、そういうことは滅多にしかない。昨夜は、その滅多にしかないことが起きた。高校卒業以来初めて、7クラス合同の同級会が開かれ、懐かしい顔に出会うことができた。それでつい、3次会まで付き合ってしまったのだ。
 毎日のように顔を合わせていた者たちが卒業とともに離れ離れになり、それから長い年月が過ぎた。それぞれの人生を波乱に生きた顔もあれば、平凡に送った落ち着いた顔もあった。みんなすっかり年を取った。
 とくに女性は卒業以来初めて目にした顔が大半だったが、すぐ分かった顔もあれば、そうでない顔もあった。一度も話したことのない女性とも話した。別れ際、また10年後の再会を約したが、それまでは、交差することのない別個の人生をそれぞれがまた、平凡に歩んで行くだけだ。あの懐かしい時代を何度となく思い返してみても、もういろいろな可能性などこれからの先にはない。



 海老名出丸さん、ありがとうございました。早速、種平小屋のURL訂正しました。.http://taneheigoya.ec-net.jp
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       ’16年「春」 (5)

2016年03月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

    赤坂狭

  以前なら、これだけ暖かくなると田圃に出て働く人の姿が見え、人の声も聞こえてきたものだ。しかし、今や農業の機械化が進む中、長年続いてきた人力に頼る農業は、この何十年かで一変した。もう、人々が横一斉に並んで田植をしたり、腰をかがめて一株ひとかぶ稲を刈る姿は目にしない。田圃の畔(あぜ)で休憩時に茶を飲みながら大声で話す声や、賑やかな笑い声が聞こえてくるような、かつての典型的な日本の農業風景は消えてしまったと言ってもいい。
 これまでの農業は、過酷なな肉体労働だった。だから、過ぎた時代の農村の暮らしや風景を「長閑」などと言っては、当時を体験した人たちからは文句を言われるられるかも分からない。それに、われわれの文明を発展させてきた原動力は、突き詰めれば結局、人の暮らしからあらゆる分野にまで効率性と、利便性を追求した結果で、農業の機械化もそういう流れから例外ではなかった。
 その文明がどこまで進んでいったらよいかは、誰にも分からない。しかしそれを見切って、そういう覚悟をした上で、ひと昔前の農業で苦労しようとしている若者たちがまだいる。煙で目を赤くして、薪で風呂を焚こうとする子供たちが今もいる。
 そういう人たちをどう評価するかは、まだ分からない。成功するかどうかも分からない。余分な苦労だと嗤う人もいよう。しかしそういう迂遠な生き方を敢えてしようとする人が、アーミッシュを持ち出すまでもなく、どこかにかならずいる。もしかしたらわれわれの裡には、ご先祖さまである洞穴の住人の忘れかけた本能が、眠らずに残っているせいかも分からない。


 
 山室川へ流れこむ栗立川との合流点で、この辺りを土地の人は「赤坂狭」と呼ぶらしい。このすぐ下流に山室川を渡る橋があり、そこらから法華道の赤坂口が始まる。集落の一番奥に、最近高橋夫妻が始めた種平小屋(http://taneheigoya.ec-net.jp)がある。

 TDS君、恥ずかしながら、そういうことです。ありがとう。
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       ’16年「春」 (4)

2016年03月04日 | 牧場その日その時


 今日の写真は季節が昨日のものより少し戻る。四季折々に紹介している「三本のミズナラ」と残雪、そしてその右手にうっすらと見える白い山並みは北アルプスの穂高、槍周辺である。こういう日は、北は白馬の三国堺、南は中央アルプスの大平峠付近までと、直線でも優に100キロを超えるふたつのアルプスの長大な連なりを一望することができる。


    HAL
 HALの餌の値段は、ご主人さまが食べてる米の2倍ぐらいする。ところが、食べ飽きたのか、それだけではすぐ食べようとしない。困った犬である。仕方なく、あれこれと味の違う物を足してやる。今日はスープをお湯で薄めてかけてやった。何かに誘われて食べ出すと、弾みが付く。いつも何か食べる物を欲しているようでいて、それなりに好みや主張もあるらしい。
 寒い朝、あるいは雪の入笠に連れていくと、寒さでふるえていることがある。この犬種、川上犬は寒さに強いと言われているが、強いというだけで、寒いよりも暖かい方が快適であることは間違いない。そう分かっているが、室内に入れるということはしない。今もHALは日当たりのよい場所を選んで、春の日にまどろんでいる。


    キク 
 キクが消息を絶って、まだ生存の期待を捨てきれなかったころの、揺れる気持。

      あれほどに 夜径戯(ざ)れたる キクなりと 
                      もしやのことも 降る雪に問ふ
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       ’16年「春」 (3)

2016年03月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  この深い青い空、今にも芽を吹き出さんばかりに膨らんだミズナラの新芽、草地には鹿が好みそうな牧草の一番目が生え始める。そうなればまた、こういう自然の中で、牧場の仕事が始まる。毎年同じことを繰り返して、10年目に入る。

 牧場へ行っても牛に会えないという不満を時々聞く。確かに近年の放牧頭数にしたら入笠牧場は広すぎるから、放牧中の牛の姿を目にすることは難しい時もある。
 ただ、観光との両立はなかなか難しい面もある。その理由としてまず挙げられるのが、防疫対策。口蹄疫ばかりでなく、牛に有害な病気を持ち込まれては大変なことになる。また、牛との接触事故ということもある。ホルスタインは見知らぬ人を警戒するし、ストレスにもなる。その一方、種牛である和牛の雄牛は気も荒く、牧柵で区画された牧区内で管理しているが、どのような場合でも絶対に近付かないようにお願いしている。重大事故に至る場合がある。
 入笠牧場は、牧場内に後から遅れて一般道路が入った。そのため、東、南、北3か所ある牧場の入口には、牛を出さないため、道路上に鉄のパイプを横に格子状に並べた、大型のソロバンのような「テキサスゲート」と呼ばれる仕掛けがある。そこを越えると牧場内であり、近年は何の対策もせずに牛を道路に出すようなことはしないが、放牧地が道路を跨ぐため牛が道路に出ることもあった。そうした牛の移動のため、かならずしも道路に沿って牧柵があるわけではないが、牧場内では柵があってもなくても、草地のみならず森や林も、立ち入らないようにお願いしたい(道路以外は全域借用地)。
 
 ウーン、管理人ぽい口調になってしまった。しかし牧場の観光的な面を全く考えていないわけではないし、牧場内のみならずそこら辺の案内を買って出ることもある。来訪者の理解と協力を得ながら、意見や要望にも耳を傾け、まずは山小屋とキャンプ場を中心に、できることから努力していきたい。
 



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