入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「春」(11)

2022年03月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 

  昨日の夕方、待っていた梅の花が3輪咲いているのを見付けた。ところが、また寒くなるらしい。そうなると、開花の勢いが止まってしまい、梅の花ばかりか、昨春はこっちの方が早かったボケの花も、今年はまだ先のことになってしまうだろうか。1年前の春はなぜかこの木の蕾の中からたった1輪だけが咲いて、その後が続かず、大分遅れてから咲き出した。日当たりとか、風の流れとかに特に違いがあるとは思えないのに、1本のボケの木にも生育の差があれほどあるとは意外だった。


 
 梅の花を正面から撮ろうとして脚立まで持ち出したのに、どうしてもうまくいかず、1輪だけ咲いている貴重な枝を折ってしまった。その中にはもうすぐ花を咲かせそうな蕾もあり、持ち帰って花瓶に生けた。今朝水をかえてやった時に見たらもう1輪咲きそうな蕾があり、少しでも日に当てようとして外に出してある。


 
 思い付いて、家の西側にあるなだれ(傾斜した所)、「シタハバ」へ行ってみたら、思った通り今年も蕗の薹が出ていた。行事と言えば大袈裟ながら、昼の味噌汁の具と、蕗味噌は夜の酒の添え物にしようとして目に付いた4株だけを摘んできた。今年も尊い春を頂くことにする。

 これほど連日草花のことを呟くと、結構そういう方面に関心が強いのかと思われそうだが、そうではない。ここでよく酒のことを語るから、大酒飲みのように思われているかも知れないが、これまたささやかなもので、それと同じだ。
 敢えて言えば、清貧独居禁欲の単調平凡な日々にあって、梅の蕾の開きかけた無垢な白さを目にするのも、なだれに顔を出した蕗の薹の苦みを味わうのも、これまた同じ言葉を繰り返すが、さ・さ・や・か・な・この季節への単なるクマやカエルのような動物的反応でしかない。しばらく続く。
 toirinさん、ありがとう。本日はこの辺で。
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     ’22年「春」(10)

2022年03月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうこそはこのボケの木が白い花を咲かせてくれると思っていたが、まだのようだ。東京ではぼつぼつ桜の開花が始まると聞いても、梅の花の咲くのを待つ身とあってはとてもそこまで気が回らない。昨日のユキワリソウはようやく花を開いたが、それはまるで破れ傘を半分開きかけたような哀れな姿で、それで今春は終わるつもりらしい。
 そういえば、今朝はヤマバトの声がしない。もうここにはやってこないのかと思うと、いつまでもしつっこいほど鳴き続けた朝が懐かしくなる。あの鳥の名前は正しくはキジバトというのだと、さすが野鳥の会々員のUme氏から教えてもらったばかりだが、呼び慣れたヤマバトの方があの「ボウ、ボウ」と低音で鳴く声には合っているような気がする。
 あれ、今遠くで声がしたような気がした。やはり鳴いている。それも、折角山から里へ春を告げに下りてきたはいいが、お気に入りの大崎様のサワラの木が消えてしまったとあって、慣れ親しんだその木をしきりに恋しがって鳴いているように聞こえる。それも無理ないだろう。

 以前に問い合わせておいたテイ沢用の丸太の値段がおよそ分かった。まだ詳しいことはここでは呟けないが、取り敢えず目の玉が飛び出るほどの価格ではなかったとだけ言っておきたい。橋の架け替えに関しても、森林管理署との間で特に心配することはなさそうで、それも分かり安堵した。
 また今回は丸太の皮剥き、運搬などの応援、協力を広く一般に求めたいと考えている。時期的には5,6月の梅雨入り前になると思うが、このころは牛の入牧の前後で牧場が一番忙しい時であり、もう少し様子を見てからにしたい。ともかく、土、日が中心になるはずだ。
 前回は丸太を結束する横板は運搬用のパレットを解体して使った。ところが、最近はこれが木材からプラスティックに変わりつつあり、入手が次第に困難になってきている。これも幾つかの策を考えてはいるが、旧東欧から入ってくる木製のパレットが一番しっかりしていて、それを何とかするつもりでいる。
 前回、丸太の皮剥きは女性の手も借りた。結構面白がってやってもらたから、今回も屈強な男ばかりではなく女性にも是非参加してもらいたいが、そんな人はいるだろうか。筋肉男の君は、もちろん5メートル、4メートルの丸太運搬に精を出してもらい、理論派OZWさんにはシノの腕前をじっくりと見せてもらうつもりだ。

 今度の橋の架け替えを終えれば、その後10年は保つと思う。その間に、この美しい歴史の渓をどのようにするか、行政も一緒になって考えて欲しい。
 事故のないようにとの思いから口うるさいことも言った。その罪滅ぼしになるか、今度はできるだけ手すりも増やし、より安全な丸太橋になるように精々汗を流すつもりでいる。何卒お手柔らかに。
 本日はこの辺で。
 

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     ’22年「春」(9)

2022年03月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 二日続けて夜中に雨が降った。これでまた季節は進むだろう。昨日はここも気温は20度を超えて、4月だか5月の陽気だといっていた。今も窓を開け、炬燵の電気を入れないままでいるが寒くない。昨日はふる里の山に決別宣言をしたばかりだが、春の日を浴びていたらまた気が変わるかも知れないと思ったりしている。
 
 この時季になると決まって、里に下りてきた鳥の声がする。声の主をアオバズクだと思っていたら、日本野鳥の会の会員でもあるUme氏から、ヤマバトだろうと訂正された。
 郷里に帰り暮らすようになって18年が過ぎようとしているが、この鳥がこれまでずっと春の訪れを教えてくれていた。ところが昨年、近くにあるヤマバトのお気に入りだった大崎様のサワラの大木が伐られてしまい、それで飛来する木を変えたようだが、以来それまでのような長鳴きを止めて、すぐにどこかへと飛び去ってしまう。新しい木は好みに合わないのかも知れない。
 ウクライナの争乱やcovid-19のことはさて措くが、そうなってみればそのこともまた、いつまでも開花しないボケや梅の花に加えて、今春の気になる出来事になってしまった。

 ついでにもうひとつ気になることがあった。先日、テレビの紀行番組だったと思うが、紅葉の乗鞍が紹介され、突然「乗鞍?、どこだったけ」と、あれだけ毎日のように眺め親しんでいた山が頭の中でぼやけ、その位置もなぜか立山の辺りにある山のような気がした。
 一生懸命に信濃の歌の一部を歌い、思い出そうとしたその挙句に、ぼやけていた映像がようやく焦点を結ぶようにはなった。しかし、いまだに乗鞍は立山方面に引っ越したままのようで、御嶽山の右に見えていたあの秀麗な姿を思い浮かべることができなくなってしまった。
 あれは一種の記憶喪失というのだろうか。それにしてもあまりにひどい話で、まるで隣家の主の顔を忘れてしまったに等しく、これも寄る年波のせいにするしかないのか。また、悟了の人に嗤われるだろう。



 昨日は入魂して久しぶりにカレーを作った。アレを「玉ねぎのスープ」だと教えてくれた「システムキッチン」の著者に倣い、徹底的に多量の玉ねぎを炒め、それから先は「CAMP ONE」時代の古い料理のノートを頼りにして、どこに出しても恥ずかしくないカレーに仕上げた。そう、思っている。
 冬ごもりの間、食べるものは殆ど自作した。美味い物を食べるのは快感であるから、それなりに手をかけたが、それでもひと冬を送り、少し下腹を膨らまし、よくもまあ元気にここまできたなあという感慨はある。

 本日はこの辺で。
 
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     ’22年「春」(8)

2022年03月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 
Photo by Ms. Fukinoha

 こういう写真を目にすると、呟くべき言葉が思い付かない。中アのサギダルの峰から宝剣岳の核心部へ向かおうとしているところで、好天に恵まれて春山らしい雰囲気に溢れている。T氏、Fさん男女二人の組み合わせだが、こういう場面で先行するのはやはりT氏だろうか。
 
 中ア駒ケ岳を中心にした山域はふる里の山であり、この宝剣岳に至る山稜や壁も、四季折々何度となく経験している。入笠で働くようになる前は最も数多く登った山で、30回は優に超えるだろう。単独の時もあれば、仲間と一緒のこともあったが、ウーン、そういえば一度とて女性を伴ったことはなかったナ。
 最後にこの山域へ行ったのは5,6年も前のことになるか、やはり季節は3月の今頃で一人だった。記憶の中の山の雰囲気が大分変ってしまっていたのに驚いた。というよりか、つい昔を懐かしむ年齢になっていたのだろうが、見知った顔は一人としてなかった。
 確か登山届を書いていた時だった、ピッケルの代わりにアイスバイルをザックの中に入れていたのが小屋の人には分からず、柔らかく注意されたりした。事故を案じてくれたのだろう。この時は、馬の背を通り伊那小屋経由で伊那へ下るつもりだったが、西駒山頂で天候のために中断した。
 今はカール内の登山道も雪崩を避けるため大きく迂回しているし、一般路以外の登攀はいつにか禁止されている。ゴンドラで2,600㍍まで行けるから、季節を問わず登山客ばかりでなく一般の観光客にも人気が高いという。
 山荘はホテルが併設され、そこにも泊まってスキーをしたことがある。小中と同級生だったN君はやがてそこの支配人になって、そうなる前も後もいろいろと世話になった。

 そんなふうにいろいろな思い出は多いが、また行きたいかと聞かれたら、多分否と応える。今さらゴンドラを頼ってまであの山へ行きたいとは思わない。もう、殆どの山がそうだ。入笠も、やがてはそうなるかも知れないが、ただし、入笠と言うよりか牧場は長い間の職場だったから、山とは別の思い入れもあれば、気がかりなこともある。
 本日はこの辺で。

 
   
   

 
 
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     ’22年「春」(7)

2022年03月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 1羽の大きなカラスが柿木に来ている。嘴で枝を加えては、木の上で不安定な動きを見せながら何かしている。まさか、そこに巣でも作るつもりではないだろうが、まだ分からない。あんな大きなカラスに住み着かれ、その上幾羽もの子ガラスでも生んだ日にはえらいことになる。しかも、あのカラスだけでなく、そのうち仲間までがお誂え向きの木だと真似をすれば、それこそカラスだらけになってしまう。
 あと1ヶ月と少々で上の仕事が始まれば、この家は留守がちになり、そうなればカラス共は住人のいないことをよいことにして何をしでかすか予想もつかない。となれば、やはりあの柿の木は伐るしかないのかと心を決めかけた途端に、まさかこっちのそんな気持ちが届いたはずもないが、どうしたことかそれまでの努力を投げ出し、カラス奴は急に飛び去った。



 昨日は4月半ば、いやそれ以上に暖かだったらしい。きょうの風は冷たく、昨日ほどの陽気とも思えずにいるが、どうだろうか。少なくも、どこか外へ出ていく気にはならない。
 ここの天気も気になるが、上の小屋の屋根に積もった雪のことを心配している。前回行った時は、日中でも気温が低くかったせいだろう、軒先にはまだ氷柱(つらら)もできていなかった。それが気温の上昇に伴い雪が融け出すとその水が屋根をつたい、氷り付いていた雪を全層雪崩のように落下させかねない。
 以前にも雪の多かった年にそんなことがあって、小屋の雨戸と窓ガラスが何カ所も壊されたり割れるという被害があった。今週末には天気も崩れるようだし、そろそろ雪ではなく雨でも降れば、屋根の雪はさらに自重を増やし落ちてくる。
 
 この小屋の建設に関わった人も、そんなことは知らない。冬の牧場に雪が積もることくらいの知識はあっても、実際の状況を想像したこともなければ、関心もなかっただろう。屋根の傾斜を見れば、そういうことについての配慮が全くなされていないことがよく分かる。そして、小屋は人知れず幾冬もいくふゆも耐え、痛みを深め、それを増やしてきた。
 時代から取り残され、忘れられかけた小屋が不憫に思え、またそれだけに愛着もある。1泊4000円(前年度利用者には割引あり)、ガス、冷蔵庫、その他の炊事用具を自由に利用できる山小屋など、他に聞いたことがないと自賛しているのだが。

 本日はこの辺で、明日は沈黙します。
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