■おしらせ版あんなか平成22年3月21日号No.92の2頁目に妙な記事が掲載されています。
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平成22年3月21日号(P2)
「公拡法」届出(申出)先の変更について
公拡法(公有地の拡大の推進に関する法律)は、県や市町村などが公共の目的のために必要な道路や公園などの土地を計画的に取得しやすくすることを目的とした法律です、
土地所有者が一定の面積以上の土地を有償で譲渡する時は、事前に届け出が必要です。また、所有地の買い取りを希望する時には申出をすることもできます
4月1日よりこの事務が群馬県から安中市へ権限移譲されますので、「群馬県知事あて」に提出していた届出(申出)は「安中市長あて」に変更となります。
【問合せ】
本庁建設部都市整備課
(電話382-1111)
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公拡法に基づく公有地の先行取得と言えば、土地開発公社のことが思い浮かびます。15年前に、それまで15年間も安中市土地開発公社の職員として異動もなく、市長や議員の利権業務に携わっていたタゴが、市長印と公社理事長印を縦横無尽に駆使して、51億円以上もの公金を湯水のように使っていた事件の舞台となったところです。
その公社の主要業務である先行土地の確保のために必要な、土地取引の事前届出先と事務事業が、群馬県から安中市に移管されたというおしらせのようです。タゴ事件から15年を経過して、刑事事件の時効も到来し、公社の事業ノウハウを身に付けたタゴ自身が昨年9月に晴れて出所したことから、もしかしたら、群馬県から安中市に対して贈られたお祝い措置ではないか、と、安中市民としては、推測したくなるような記事です。
■群馬県のホームページを見ると、公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)の「土地の先買い制度」について、次のように記載されています。
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公有地の拡大の推進に関する法律(以下「公拡法」)は、地方公共団体等が公有地の拡大の計画的な推進を図ることにより、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に役立つことを目的としています。
本法における「土地の先買い制度」の手続の概要は下記のとおりです。
1.届出(公拡法第4条第1項)
次の土地を有償で譲渡しようとする場合には、契約締結前に、当該土地が所在する市町村長を経由して、知事に届出なければなりません。
*一定の要件を満たす土地を有償で譲渡する場合に事前届出をすることにより、その土地が公共目的のために必要であれば譲受人に優先して地方公共団体等が買取り協議を行うことができるものとするもので、土地の取引の目的や価格を規制するものではありません。
★対象面積
都市計画施設の区域内に所在する土地又は、都市計画区域内に所在し、各法で定める道路・公園・河川等の区域内の土地で、面積が200m2以上の土地
1の指定区域以外は、市街化区域内5,000m2以上・その他の市街化調整区域以外の都市計画区域10,000m2以上の土地
1の指定区域以外で市街化調整区域については、事前届出の必要はなくなりました。(平成18年法改正)
2.申出(公拡法第5条第1項)
次の区域内の自己所有の土地について、地方公共団体等による買取りを希望する場合は、当該土地が所在する市町村を経由して、その旨を知事に申し出ることができます。
★対象面積
都市計画区域及び都市計画施設内の200m2以上の土地
*ただし、用途地域内については100m2以上
届出・申出対象範囲(都市計画区域内)
◇都市計画区域(線引き済み)
市街化区域
・届出 5,000m2(200m2)
・申出 100m2
市街化調整区域
・届出 事前届出必要なし(200m2)
・申出 200m2
◇都市計画区域(非線引き)
用途地域内
・届出 10,000m2(200m2)
・申出 100m2
用途地域外又は用途地域無し
・届出 10,000m2(200m2)
・申出 200m2
届出・申出対象範囲 (都市計画区域以外)
◇都市計画施設等の区域内
・届出 (200m2)
・申出 (200m2)
※ ( )内は、計画決定された都市施設内等の場合
3.上記の届出又は申出があった場合(公拡法第6条)
知事は、3週間以内に当該土地の買取りを希望する地方公共団体等を定め、買取り協議を行う旨(買取りを希望する地方公共団体等がない場合はその旨)届出・申出者に通知します。
買取り協議を行う旨の通知を受けた者は、正当な理由がなければ、買取りの協議を拒むことはできません。
4.手続のながれ
土地所有者は、知事あての届出書又は申出書に必要な書類を添付のうえ、土地の所在する市町村に3部提出してください。
★提出書類
(1)土地有償譲渡届出書(法第4条第1項)又は土地買取希望申出書(法第5条第1項)
<関係様式>
◇法第4条第1項関係 一太郎形式 28KB / Word形式 42KB
◇法第5条第1項関係 一太郎形式 35KB / Word形式 38KB
(2)位置図(10,000分の1程度)
(3)案内図(2,500分の1程度)
★手続のながれ (フロー図、Excel形式 45KB)
5.税法上の優遇措置
届出・申出のあった土地を地方公共団体等が買い取ったときは、税制上の優遇措置を受けられます。
6.権限移譲済み市町村
群馬県では、この「土地の先買い制度」に係る事務について、市町村へ権限移譲を進めています。
届出・申出の土地が次の市町村内に所在する場合には、当該市町村長あてに、届出・申出を2部提出してください。(※権限委譲日前は知事あてに3部提出。)
各市町村の担当課一覧
市町村/担当課/電話/権限移譲日
前橋市/都市計画課 地域計画係/027-898-6946/平成21年4月1日
太田市/用地管理課 管理係/0277-78-2842/平成21年4月1日
安中市/都市整備課/027-382-1111(内1212)/平成22年4月1日
みどり市/都市計画課 都市計画係/0277-76-1903(内2511)/平成21年4月1日
甘楽町/振興課 都市計画係/0274-74-3131(内421)/平成21年4月1日
玉村町/都市建設課/0270-64-7707(内323)/平成22年4月1日
<連絡先>
企画部土地・水対策室
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2366
FAX 027-223-4371
tochimizu@pref.gunma.jp
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■安中市土地開発公社を舞台に地方自治体では前代未聞の巨額横領事件を起こした元職員タゴとその取り巻きの輩が、よろこびそうなニュースです。なぜなら、土地売買情報と土地開発公社の取り扱い業務が増えて、公社に支払う安中市からの事務費補てん額が増えて、群馬銀行に支払う和解金の原資の調達が容易になるからです。
巨額横領事件当時も、群馬県知事あてに届出がされていましたが、それでも、群馬県から情報を得ていたタゴは、市内の土地売買情報をいち早く仕入れることができました。そのうえ、市職員の立場をフルに利用して、デタラメの書類を駆使して、審査の甘い嘱託登記制度を自由自在に操り、土地台帳や固定資産課税台帳を改ざんして、好き放題、土地ころがしをやっていました。ところが、新年度から、その安中市が自ら届出先となったのですから、夢よもう一度、と出所したタゴをはじめ、当時、タゴのまわりで利権に有りついていた職員OBや政治家らは、小躍りして喜んでいるに違いありません。出所したタゴを、安中市土地開発公社の顧問として受け入れて、そのノウハウを再び開花させるかもしれないのです。
■おりしも、2010年3月17日付東京新聞に次の記事が載りました。
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都市公園構想ピンチ 安中 古墳隣接地に開発計画
安中市簗瀬にある簗瀬二子塚古墳の隣接地で、市内の不動産業者が宅地開発を計画していることが、16日の安中市議会の一般質問で明らかになった。この古墳は敷地が個人所有のため文化財には指定されていない。市は国指定史跡を目指し、周辺を含む用地を取得し、公園として整備する構想を描いていたが、頓挫する可能性が出ている。
山口覚氏(共産)が質問で明らかにした。
簗瀬二子塚古墳は6世紀前半の前方後円墳で、回答で最古とされる横穴式石室を持ち、有力豪族が埋葬されたとみられる。古墳本体は東西に約80メートル、南北は最大約60メートルで幅約20メートルの周堀が囲んでいる。
山口氏によると、宅地開発計画は古墳西側の周堀の隣接地。計画地内には、市史跡で中世(鎌倉時代から戦国時代)の戦死者をまとめて改葬したとされる「首塚」などがある。
古墳周辺では市土地開発公社が2000年、古墳南側約3千平方メートルを先行取得したが、厳しい財政状況などから用地取得が進まず、それ以外の敷地は古墳を含め個人所有。保護を求める地元の声もあり、市は古墳など史跡保護を目的に都市公園構想を描いた。
だが、07年、周堀の一部が市道工事で破壊されていたことが判明。「国指定は困難になった」との見方も出ていた。
市教委は「古墳は周堀が一部破壊されているものの、国指定も可能。用地の公有化が急務」としている。 (樋口聡)
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■秋間の山林のように、安中市土地開発公社の元職員タゴが公拡法で買いあさった土地は、首長や議員、役人、OBらが口利きをしたものが多数含まれていました。しかし、その経緯や過程について、市民はほとんど知らされませんでした。
だから、まともな都市計画ビジョンを描くことができず、上記の史跡公園のようないきあたりばったり計画となるのです。口利きや利権目当ての土地先行取得では、カネはふんだんに注ぎ込むのに、市民のための公園や史跡保存などの計画にはカネがないという不思議な現象が起きるのです。
タゴ事件が密かに発覚した平成7年5月17日の夕方と、安中市役所を震撼させた翌18日から、15回目の記念日が、あと2カ月足らずに迫っています。選挙後の新しい市長が、タゴ事件の尻拭いの現状について、どのように判断するのか、あるいは、これまで同様に、タゴ事件のツケを、公社を介して市民に転嫁し続けるのか、注目していきましょう。
【ひらく会情報部】