市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

捜査に協力したから執行猶予!?・・・東京地裁でくだされた上州小渕藩国家老ら2名の有罪判決

2015-10-10 22:14:00 | 政治とカネ
■「姫」こと小渕優子・元経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われた「国家老」こと、元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)と、「姫」の資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者加邊守喜被告(62)に対する判決公判が、平成27年10月9日(金)午後2時から東京地裁104号法廷で開かれました。


 当日は、11時半ごろの高崎発の新幹線で、東京地裁に着いたのは、午後0時45分ごろでした。東京地裁のある裁判所合同庁舎の1階右手正面で、法定の場所を確かめようとしましたが、満員の状態だったため、裏側に行きました。刑事裁判は2部ファイルが有りましたが、幸い、すぐに一人が読み終わったので、見始めたところ、一番上の、最初のページにありました。そこには次のように書かれていました。

 第104号法廷(1階)開廷表
 開始時刻:午後2時00分
 終了時刻:午後3時00分
 事件番号/事件名:平成27年特(わ)第853号/政治資金規正法違反
 被告人:折田謙一郎、加邊守喜
 審理予定:判決
 担当部署:刑事第1部ACD係
 裁判長(官):薗原敏彦
 事務官:鈴木梨紗子
 検察官:北村隆、瀧間俊朗
 ※傍聴券配布


傍聴券は入口の左手で配布され、待機してからグループで裁判所の中に入る。

■開廷に先立ち、午後1時10分から地裁正面左手で傍聴希望者向け整理券が発行され始めました。当会では、都合により前回初公判を傍聴できなかったことから、8番目に整理券を受け取り、左手の待機場所で1時半の傍聴申込み締め切り時間まで過ごしました。たまたま居合わせた顔見知りの記者らによると、前回の初公判では傍聴希望者数が68名でしたが、数が104号法廷の収容人数を下回ったためパソコンによる抽選会は回避されました。せっかく仕事を休んで、群馬県から出かけて来たので、もし、抽選に漏れたらどうしようか、という思いがあったため、「抽選無し」の知らせを聞いて、ホッとしました。

 そして、待機場所から出る際に、整理券と引き換えに傍聴券を手渡されました。今度は10番目となっています。傍聴券を手に、再び裁判所合同庁舎に入り、入り口で再度、荷物チェックと金属探知機によるボディチェックが行われました。そして、1階の南側にある104号法廷に向かいました。

 104号法廷の前の廊下に沿って2列に順番に並んだあと、入場開始の手続きに入りました。中に持って入れるのは、一般の傍聴者の場合、メモ用紙と筆記用具程度で、携帯電話、カメラ、録音機その他は全て持ち込み禁止となっています。

 手荷物を預けた後、再度、金属探知機を手に持った係官らが6名ほど待ち構えていて、全身をくまなくチェックされます。ベルトのバックルや、棟ポケットに差したボールペンの金属部品にも反応し、その都度、実際に触って確かめられます。

 幸いにも、何も異常がなく、スムースに通過でき、入場前の左手にある長椅子に座った順番は2番目でした。目の前で、あとから来る人のボディチェックが延々と繰り広げられており、女性の場合も、ハンドバッグの中身を女性係官が子細に検査していました。

 20分ほどそこで待機した後、ようやく104号法廷に入場できました。中は前橋の21号法廷よりもずっと大きく、4つずつ並んだ横4列の椅子席が、縦に7列ならんでいて、合計112席の収容能力があるようです。既に、裁判長ら裁判官3名と書記官1名、そして、原告側検事ら3名と被告側弁護士ら2名が今を遅しと座って待っていました。開廷5分前でした。

 傍聴人が全て着席し終わると、報道陣による法廷内の写真撮影が2分間許可されました。筆者は最前列の中央部の右側の角に着席しました。当然、後方から撮影さえると後姿が移ることになる位置です。

 写真撮影時間が終了すると、被告2名が右手から入場し、左手の検察官の席の前に着席しました。間近で初めて見る折田被告と、加邊被告です。二人とも神妙な表情ですが、あまり緊張感は感じられませんでした。あらかじめ判決内容を知っていたものと想像されます。

■午後2時ちょうど、定刻通りに開廷しました。裁判長は、「では開廷します」と述べた後、両被告に対して、正面に並んで立つように促しました。そして判決文が言い渡されました。

「主文 折田被告を禁錮2年、加邊被告を禁錮1年に処する。両名に対して、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその刑の執行を猶予する」

 二人の被告は身じろぎもせず座っていました。加邊被告は斜め下を見つめていましたが、折田被告は前方を見つめていました。特に驚く風情もなく、表情もゆったりとしていました。隣の傍聴席で、一生懸命スケッチの鉛筆を走らせる音が聞こえます。

 裁判長は続けて、両名に対して「判決理由は着席して聞いてください」と促すと、座った両被告人に対して、「理由の要旨」を述べました。ただし、裁判所が初公判で取り調べた証拠に基づき、審理して認定した公訴事実の朗読は長文になることを理由に、省略されました。さらに、「証拠の標目」と「法令の適用」についても省略されました。

 続いて、「刑を決めた理由」が裁判長から説明されました。内容は概ね次のとおりです。

(1)本件は、小渕優子衆議院議員の資金管理団体を含む4つの関連政治団体の事務全般を取り仕切っていた被告人折田が、関係者らと共謀し、同政治団体の2~5年分の収支報告書に虚偽記入や不記載を行った政治資金規正法違反事件であること。

(2)また、資金管理団体の会計責任者だった被告人加辺が、被告人折田による上記犯行のうち、資金管理団体の3年分の収支報告書の虚偽記入に加担した政治資金規正法違反事件であること。

(3)政治資金規正法は政治団体等の政治活動が、国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治団体の政治資金の収支を公開させることで政治活動の透明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することを目的としていること。

(4)このため、政治団体の収支報告書を適正に作成して提出することは、政治資金の収支の公開制度の根幹をなし極めて重要なこと。

(5)本件の各犯行のうち、架空寄付の収支の虚偽記入は、期間にすると5年分、総額1億1200万円と多額であり、後援会主催の女性部大会の収支の虚偽記入・不記載は期間にすると5年分、総額2億円余りに上ること。

(6)また、内容が虚偽の収支報告書は4つの政治団体について、合計15通もあること。

(7)以上のとおり、本件の各犯行は、政治活動に対する国民の不断の監視と批判の機会を無にする悪質なものであること。

(8)各犯行の背景には、政治資金の収支を、正確に収支報告書に記載しない実態を当然のことのように考え、違法手段を使ってまでも、政治資金の収受について、国民の疑惑を回避できればよいとする、法の目的に照らして正反対の被告人らの勝手な振る舞いがあったこと。

(9)両被告人が、これまで国会議員秘書として政治の世界に身を置いて、各政治団体で重要な地位を占め、政治活動の透明性と公正性の確保を最大限尊重すべき立場にあることも勘案すると、本件各犯行は、厳しい批判に値するものであること。

(10)被告人らの各弁護人は、本件各犯行のうち、架空寄付の収支の虚偽記入について、本件以前に生じた収支報告書上の繰越預金残高と、実際の預金残高との多額の乖離を解消する目的で行われたものと指摘している。だが、乖離の生じた過程を明らかにしないまま、収支報告書が実態に近づいたとしても、それは単なる帳尻合わせというべきであり、政治活動の透明と公正を確保するという法の目的に叶うものでないことは、明らかであるから、罪を減ずるような事情とは言えないこと。

(11)各被告人の役割を見ると、被告人の折田は、虚偽記入・不記載の方針を決定したほか、各収支報告書の作成担当者に対して、虚偽記入の金額や不記載とする事項を具体的に指示するなどして本件各犯行において主導的役割を果たしたこと。

(12)また、前述の女性大会の収支の虚偽記入・不記載は裏金捻出等を目的としていたものと認められるため、その責任は相当に重いこと。

(13)一方、被告人の加辺は、上記各犯行の一部に加担したに留まる上、被告人の折田と較べると、収支報告書の作成作業への関与の程度も大きいとまでは言えない。しかし、被告人の加辺は、資金管理団体の会計責任者の立場にあり、その役割について従属的で責任が軽いということにはならないこと。

(14)その上で、被告人の両名には量刑上考慮すべき前科がないこと、被告人の両名がいずれも捜査段階から一貫して本件の各犯行を認めて反省の言葉を述べていること、また、関連政治団体とは距離を置いており今後は収支報告書の作成業務に関与しないと述べていること、なども考慮し、被告人に対しては求刑通りの、被告人の折田については禁固2年、被告人の加邊については禁錮1年とする主文の刑を科した上で、今回に限りそれぞれの刑の執行を猶予すること。

(注:上記はメモと記憶によるため、あくまでも参考情報として認識願います)

■以上のように断罪理由を説明したあと、裁判長は両被告人らに「もう一度前へ出るように」と促し、自らの言葉で、次のように諭しました。

「以上が、裁判所の結論です。執行猶予の意味は、あとで弁護人からよく聞いてください。簡潔に説明をすると、今日は言渡しの日となります。概ね2週間で刑が確定しますが、確定した日から、それぞれ3年間、罪を犯すことなく無事に過ごすことができれば、この判決によって服役することはありません。逆に3年間、多分そういうことはないだろうと我々としては考えていますが、仮に何らかの罪を犯して、裁判となった場合、当然、新しく刑が言い渡されますが、この判決による刑が、それぞれの刑の合計に加算されて留置されることがあり得ます。そういうことが無いように特に注意をしてください。意味は分かりましたね」

 裁判長のこの言葉に、両被告人らは黙って頷きました。

 裁判長は続けて、「この判決は執行猶予付きですが、有罪判決なので、もし不服がある場合は、東京高等裁判所に控訴の手続きができます。法律上はそういうふうになっています。意味が分かりますか」と付け加えました。

 裁判長のこの言葉にも、両被告人らは黙って頷きました。

 そして、裁判長が「はい。ではこれにて判決の言渡しを終わります」と宣言し、判決公判は15分ほどで終了しました。裁判長らが退出するやいなや、係官らが「傍聴人の方は、おそれいります。速やかに退室願います。忘れ物にご注意ください」と連呼し、約70名程度の傍聴人らは追い立てられるようにして、第104号法廷を後にしたのでした。

■この後、マスコミ3社(上毛、読売、毎日)から取材を受け、当会から次の感想を述べました。

<元秘書らの判決を傍聴した当会の感想>

 執行猶予になりそうだという下馬評は従前から囁かれていたが、「初犯」で「捜査に協力」という判決理由には、さすがに驚かされた。なにしろ、捜査の端緒となった当会の告発直後に、検察が踏み込む直前に、パソコンのハードディスクをドリルで穴を開けて破壊したという件で、「よくぞ証拠を消した」という意味で、捜査に“協力”してくれた、というべきブラックジョーク的な執行猶予の理由のように聞き取れたからだ。これでは明らかなデキレースである。

 当会が昨年10月20日に「姫」に対する公選法と政治資金規正法違反にかかる告発状を地検に提出した際、それとほぼ同じタイミングで姫は経産相を辞任し会見を開いた。それでこの事件の全てかと思ったら、小渕藩のお膝元の中之条町の「国家老」折田町長が、突然、町議会議長あてに辞表を提出し、その直後から行方不明になった。

 実はその後、国家老は東京のホテル・ニューオータニにいた。ここは姫のいる議員会館から数百メートルの距離。ここで自民党群馬県連関係者やその顧問弁護士らを交えた密談が行われ、いつごろどのように捜査に踏み込むかは、ここでシナリオが出来上がっていた。

 なお、当会は10月23日に国家老についても、政治資金規正法違反で告発状を特捜部に提出した。

 一方、東京地検から告発状の書き直しを命じられていた当会は10月31日に姫と国家老の告発状の修正版を提出したが、その前日に地検が姫の後援会事務所踏み込んだ時には、パソコンのハードディスクは無残にもドリルで破壊されたあとだった。
○2014年10月31日:小渕優子政治資金問題でオンブズマンが既提出の2件の告発状の差替えバージョンを東京地検に送付
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1443.html#readmore

 これら一連の動きは、10月20日の夜、ホテル・ニューオータニで決められたシナリオに沿って行われた。10月30日に家宅捜索のため、事務所や自宅に踏み込むから、やばい使途不明金にかかる情報はそれ以前に始末しておけという命題は、もっとも重要だった。それをやれば、選挙区内の有権者に配布したオブチ・ワインやオブチ・カレンダー、地元のバーベキュー大会に選挙民が無料参加で行ったことなど、当会が特捜部に情報提供したことなど、どうにでもなったからだ。

 そのような実態にも関わらず、“初犯”で“反省”し、“捜査協力”したというのだから、裁判所の判断は実態とは真逆だ。神妙な顔をしていたが、両被告人とも、判決を聞いて、ホッとしたような表情が伺えた。判決後2週間で刑が確定すれば、昨年10月20日からスタートした当初のシナリオ劇が、1年間を経て幕が下りるということだが、これで当会はもとより、国民としては幕引きできるとは思っていない。

 これだけのことをやらかせば、連座制が適用され、元秘書の有罪を踏まえて、姫自身がしかるべき説明責任と進退判断をする番だ。連座制により、姫はもう一度下野して、出直すべきだ。一番問題なのは、これまでもいい加減な法律の典型とされていた公職選挙法でも、これだけのことをしてもおとがめなし、ということが明らかになったことで、いよいよその法律の存在理由が問われる。

 筆者も地方選挙には4回出馬経験を持つが、候補者説明会で警察が「留置所はいつでも空いている」として、いつも候補者に公選法の順守を求める場面がある。しかし今後は、姫の行状に対するおとがめなし、という司法の対応が前例となり、やりたい放題になることは必至。だからといって、代議士だから何をしてもよく、地方議員が同じことをしてもよい、ということにならない。今回、シナリオ劇の幕が下りたことで、いろいろなことの矛盾が露呈することになる。この第2幕のシナリオは誰にも分からない。

 繰り返しになるが、執行猶予の理由の「捜査協力」には首をひねった。また、先日の初公判における公訴事実の中でも、オブチ・ワインの話は一切出なかった。今日の判決理由の中で、裁判長が触れた「婦人部による明治座への観劇会」について、裁判長は「裏金づくり」が目的だと言っていた。

 これは、当会が最初から指摘したように1万2千円を参加者から集金したが、それらを未記載としたことで、姫や国家老の信用はガタ落ちだ。だが、1万2千円で、40人乗りバス25台で、昼と夜の2回、1000人規模の団体で1日2ラウンドの観劇会をすれば、当然、大幅割引があるはず。バスも1台10万円となれば、40名乗りとして一人当たり2500円、弁当代も割引されるだろうから、実際には1万2千円の半分程度のコストでやれるはず。そうすれば、毎年、1200万円がマネーロンダリングできる。にもかかわらず、政治資金規正法違反で、禁固2年、執行猶予3年で幕引きとされ、裏金の使途が不問のままだというのは、いったい我が国の司法はどうなっているのか。

 判決では、政治資金規正法違反ということで、単純に記載事項が間違っていたということだけで処理されてしまった。これこそが、いわゆる司直を交えた事前のシナリオだった。これでやれやれ、ほっとしたような顔つきで、検察官らも法定を退出していったのが印象的だったが、こうした矛盾や不作為をそのまま残したままでよいのか。あれだけのことをやっても代議士だから良いのか。地方政治で同じことをやっても今後小渕ワインが前例となっておとがめ無いのか。関心事は尽きない。

 今後、オンブズマンとして当会は何をやるべきか、ということについては、もう一度、東京地検特捜部に、このような結果でよいのかどうか、確認しておきたい。法務省にも聞いてみたい。これが前例になるのか、それとも特例なのか。特例というのがあり得るのかどうか。魑魅魍魎の政治世界の内部の不文律で、それは、しもじもの普通の民衆とは異なり、国政にかかわる、そして与党に属する関係者は、そもそも司直による扱われ方が根本的に違っているのかもしれない。そこはどうなっているのか?ということを公開質問することも当会としては考えている。

 今回の一連の事件は、トリックにもなっていない杜撰なものだった。そこで、ズサンなのを露呈したまま、そして放置したまま、これでおしまいということで、今後の社会的な影響が心配になる。今回の司法の判断は、一連の事件の真相究明ということとは、まったく縁遠いものであった。PCに入れていた裏金使途情報を記録したハードディスクをドリルで破壊して、データを回収できないようにしたということだけでも厳罰のはずだ。ところが、公選法でも処分なし、ということを、検察審査会も判断した。

 審査申立を検察審査会の提出した際に、受付職員は「きちんと受け止めます」などと言っていたが、なんのことはない。5月連休前に姫の負貴所処分通知が特捜部から今年4月28日付で同30日に我々に送られてきた。そして、検察審査会も姫の不起訴処分相当通知を、シルバー連休の突入直前に送り付けてきた。そういうふうに、地検特捜部も、検察審査会もタイミングを合わせていることだけを見ても、強い不信感を覚える。

 自民党群馬県連は法律を捻じ曲げる力がある。その顧問弁護士は警察や検察に顔の利く実力者だ。今回の政治資金を巡る一連の不祥事について、三者委員会に調査を委託して説明責任を果たすと繰り返す姫の言葉は、「このまま何もやらないだろう」あるいは「全部お世話になった国家老ら元秘書が2名も執行猶予付で有罪を宣告されたのだから、いくらなんでも罪を元秘書らに押しつけることはないだろう」という世間の予想にどう対応するのか、皆目わからない。今のところは神妙を装って、自民党群馬県連の会合にも、衆議院の外部委員会にも、一度も出席していないという。

 国家老ら2名は、「悪うございました」と、いさぎよく罪(といっても収支報告書の記載間違いだけ)を全部認め、テレビカメラの前で、謝罪をし、執行猶予つきの有罪になった。今度は姫の度量が試される番だ。

 果たして姫は、自分の責任をどう感じているのか。これは代議士を表す言葉としてよく選良という言い方をするが、姫自身が自ら率先して、事件の真相、責任の所在が自分にあることを明らかにしないまま、事をウヤムヤにし続ければ、再発防止には全く役立たない。世間を煩わし、司直の手を煩わし、全て我々の税金を投入して司法による捜査や判断が行われた。姫はきちんと責任の所在を有権者に分かりやすい言葉で認めて、一旦職を辞するべきだ。

 昨年12月の衆院選挙で、姫は、例年の得票数を2万票減らしたものの、ぶっちぎりで当選し、それで禊は済んだと心の奥でまだ思っているとしたら、そして、首を引っ込めて嵐の過ぎ去るのを待っているとしたら、ほんとにそれでいいのという気がする。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※マスコミの報道記事から
**********毎日新聞 2015年10月10日 地方版
小渕衆院議員:政治資金問題 元秘書らに有罪判決 「裏金捻出も目的」 資金収支のずれ、未解明 /群馬

家宅捜索した小渕優子高崎後援会事務所で押収物をワゴン車に運び込む東京地検の係官ら。元秘書2人の裁判で事実は解明されたか=高崎市棟高町で2014年10月30日
 小渕優子衆院議員(41)を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地裁が9日、元秘書で前中之条町長の折田謙一郎被告(67)に禁錮2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。しかし、収支にずれを生じさせた「裏金」の使途は解明されないままとなった。小渕氏の地元、中之条町では後援会関係者の間からも「本人による説明が必要」との声が上がった。
 午後2時に開廷すると、黒のスーツにネクタイ姿の折田氏は、元秘書の加辺守喜(かべもりよし)被告(62)と並んで、神妙な面持ちで判決に聴き入った。
 判決は、4団体の収支報告書に5年間で計約3億2100万円の虚偽があったと認定。観劇会を巡っては「裏金捻出をも目的としていた」と指摘した。観劇会に関する虚偽記載・不記載は計2億円を超えた。虚偽記載のあった収支報告書は資金管理団体「未来産業研究会」(東京)と、地元・群馬の「小渕優子後援会」「自民党群馬県第5選挙区支部」「自民党群馬県ふるさと振興支部」の4政治団体で15通に及んだ。
 9月の初公判で検察側は、関連政治団体で慶弔費や陣中見舞いを簿外処理した結果、実際の残高と収支報告書との間に巨額のずれが生じ、それを隠すために不正な資金操作が常態化していた、と説明した。冒頭陳述などによると、未来研では2006年末までに、実際の預貯金の残高が収支報告書上の残高より約1億円も少なくなっていたという。
 折田氏は被告人質問で「冠婚葬祭や接待費用など、収支報告書に載せづらい支出が積もった」と述べた。ずれを解消させるために「つじつま合わせ」を始めたのは、07年に他の国会議員の不適切な事務所費問題が発覚したことが発端で、「1人で考えて実行した」と話した。
 園原敏彦裁判長は判決で「犯行の背景には、政治資金の収支をその通りに記載しない実態を半ば当然視し、違法な手段を使ってでも、政治資金の収受について国民の疑惑を回避できさえすればよいとする、法の目的とは正反対の姿勢が垣間見える」と指弾した。
 判決言い渡し後、折田氏は裁判長席に一礼し、険しい表情のまま黙って法廷を後にした。【尾崎修二】
 ◇「一旦、議員辞職を」の声も
 観劇会を主催した「自民党群馬県ふるさと振興支部」の蟻川七郎次代表(82)は「説明責任は果たさないといけない。ただ、裁判に影響が出るので、判決が出るまで説明する場がなかったのではないか。今日で決着がついた。当然、本人は説明の準備はしているはず。この事件を重く受け止め、しっかり説明してステージアップしてほしい」と話した。今後の選挙への影響については「ないと言えばうそになるが、中之条に限ってはダメージなし。折田さん本人が(金を)ポケットに入れたわけでもない。折田さんが責任を取ったことで、むしろ同情を買っている」と分析した。
 一方、父恵三氏の時代から小渕陣営の後援会員という男性町議は「優子さんは、一旦、議員を辞めるべきだ」と話す。後援会内では「事務所の不正であり、代議士は知らなかったのでは」との声が根強いという。しかし、この町議は「優子さんにとって折田さんは地元を仕切ってくれる父親のような存在。実際、中之条では折田さんが実権を握っており、優子さんは体のいいお人形のようなものだった。だからこそ小渕議員は一度辞職して出直すべきだ。そうでなければ政治家として一人前になれない」と語った。
 折田氏についても「町長になってからも大番頭として建設業界などに隠然たる力を振るい、小渕家の資金になることなら『何でもあり』の人だった」と振り返る。この町議は「今回の有罪判決で縁が切れるかどうか疑問だ」と危惧した。【山本有紀、高橋努】
 ◇小渕氏「説明機会設ける」 知事「有罪は誠に遺憾」
 小渕氏本人は9日、報道各社の取材には応じず、事務所が「判決内容を重く受け止めております。多くの皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げますとともに、本件については近く提出される第三者委員会のご報告も踏まえ、今後の再発防止に万全を期し、説明する機会を設けさせていただくことを考えております」とのコメントを発表した。
 大沢正明知事は「有罪となったことは誠に遺憾。政治資金を巡る問題は、これまでもたびたび世間を騒がせているが、政治家は国民の負託にしっかり応えるためにも、透明性を確保することが大切と考えている」とコメントした。大沢知事は9月9日の記者会見で折田氏について「潔白を信じています」と話していた。折田氏は、大沢知事が2007年に初当選した際、大沢陣営の選挙戦を取り仕切ったことで知られる。
 一方、小渕優子支援県議団の南波和憲団長(吾妻郡区)は「判決を戒めとして大きな反省をし、今後は政治資金の取り扱いを国民に分かりやすく公明正大に行ってもらいたい」と注文した。
 自民党県連の中曽根弘文会長は9日、報道各社に対しコメントしなかった。【吉田勝】
 ◇猶予付きは不満、再発防止できぬ 市民オンブズマン
 小渕氏を東京地検特捜部に告発した「市民オンブズマン群馬」の小川賢代表は9日、東京地裁で判決公判を傍聴した。閉廷後、「何より問題なのは政治家本人は『後援会が資金を管理していた』とさえ言えば何の責任も問われず『あれだけやっても大丈夫』となること」と不満を述べた。
 小川代表は「責任者の執行猶予付き判決だけで済むようでは、今回の事件が再発防止にすらならない。真相解明にはほど遠く、小渕陣営のシナリオ通り。裏金と認定されても、使途不明の金銭の真の使い道は何も明らかになっていない」と話し、小渕氏本人による徹底した調査と説明を改めて求めた。
【尾崎修二】

**********読売新聞2015年10月10日
折田被告 犯行主導…小渕氏政治資金
 ◆虚偽記入で有罪 支持者から「透明性を」
 「具体的に指示し、犯行を主導した」。小渕優子・元経済産業相(41)の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地裁は9日、同法違反に問われた元秘書で前中之条町長の折田謙一郎被告(67)が、虚偽記入などの中心的役割を担ったと認定し、禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)の判決を言い渡した。公判を通じて明らかになった資金操作について、関係者から「納得がいかない」「透明性をきちんと確保して」と求める声が相次いだ。
 折田被告は午後2時前、スーツ姿で入廷。背筋を伸ばして証言台の前に立ち、園原敏彦裁判長をまっすぐ見つめながら、判決内容に耳をすませた。言葉を発する機会はなく、量刑理由などの説明を聞き終えると深々と一礼した。元秘書の加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)となった。
 小渕氏の地元・中之条町の後援会事務所はこの日、静まりかえっていた。関係者の出入りもほとんどなく、事務所にいた男性は取材に「東京の事務所で一括対応している。そちらに聞いてほしい」と述べた。
 公判を通じて、簿外処理した慶弔費や陣中見舞いの存在を隠すために、折田被告らが資金操作を行ったことが明かされた。これについて、小渕氏の支持者からは疑問の声が相次いだ。
 後援会女性部の幹部を務める70歳代の女性は、「陣中見舞いなどの支出を隠すために(資金操作を)やったという理由は納得できない」と話し、「有罪判決を受け止め、今後は有権者に堂々と説明できるような、透明性のある取り組みを求めたい」とした。
 別の女性幹部は、「折田さんにはしっかりと(記載を)やってほしかった。法廷だけでなく、後援会の人たちにもしっかりと説明してもらわないと納得はできない」と語った。
 昨年10月に折田被告らを同法違反容疑などで告発した市民オンブズマン群馬の小川賢代表は判決を傍聴した。閉廷後、「これで幕引きにしていいのか。小渕氏は有罪判決をどう考えているのか。自身の責任について公の場で明らかにする必要がある」と指摘した。
 大沢知事は「有罪となったことは誠に遺憾。政治資金を巡る問題は、これまでもたびたび世間を騒がせているが、政治家は、国民の負託にしっかり応えるためにも、その透明性を確保することが大切であると考えている」とのコメントを発表した。

**********西日本新聞2015年10月09日16時38分 (更新 10月09日 17時14分)
小渕氏元秘書に有罪判決 政治資金違反、東京地裁
 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われた元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)に、東京地裁は9日、「政治活動に対する国民の監視と批判の機会をないがしろにした」として禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
 資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。2人は9月の初公判で起訴内容を認めていた。
 判決によると、支援者向けの観劇会で赤字が生じたように装うなどして、政治資金収支報告書に虚偽記入と不記載をした。

**********共同通信2015年10月09日 16:34
小渕氏元秘書に有罪判決 政治資金違反、東京地裁
 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われた元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)に、東京地裁は9日、「政治活動に対する国民の監視と批判の機会をないがしろにした」として禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
 資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。2人は9月の初公判で起訴内容を認めていた。
 判決によると、支援者向けの観劇会で赤字が生じたように装うなどして、政治資金収支報告書に虚偽記入と不記載をした。

**********NHK News Web 2015年10月9日15時20分
小渕氏の元秘書2人に猶予付き有罪判決

 小渕元経済産業大臣の政治資金を巡り、収支報告書にうその記載をしたなどとして元秘書2人が政治資金規正法違反の罪に問われた事件で、東京地方裁判所は「政治活動への国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行だ」として、2人にいずれも執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
 小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長、折田謙一郎被告(67)と、元政策秘書の加邉守喜被告(62)は、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」などの収支報告書にうその記載をしたなどとして政治資金規正法違反の罪に問われました。
 9日の判決で、東京地方裁判所の園原敏彦裁判長は「収支報告書の虚偽記載や不記載は4つの政治団体で総額3億2000万円余りと多額で、政治活動への国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行だ。折田元秘書は虚偽記載の金額などを具体的に指示し、一部は裏金の捻出を目的としていたと認められ、責任は重い」と指摘しました。そのうえで、「2人は捜査段階から一貫して犯行を認め、反省のことばを述べている」などとして、折田元秘書に禁錮2年、執行猶予3年、加邉元秘書に禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
<小渕氏事務所「改めておわび」>
 判決を受けて、小渕氏の事務所は「判決内容を重く受け止めております。多くの皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げるとともに、近く提出される第三者委員会の報告も踏まえ、今後の再発防止に万全を期し、説明する機会を設けさせていただくことを考えております」というコメントを出しました。

**********TBS最終更新:2015年10月9日(金) 17時46分
小渕優子氏元秘書に猶予付き有罪判決
 小渕優子衆院議員の政治資金を巡る事件の裁判で、東京地裁は、小渕氏の元秘書に執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
 小渕優子衆院議員の政治資金を巡る事件の裁判で、東京地裁は、小渕氏の元秘書に執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
 元秘書で群馬県中之条町の前町長、折田謙一郎被告(67)ら2人は、小渕氏の資金管理団体などの収支報告書に架空の寄付を記載するなど、5年間で3億2000万円あまりのうその記載をした罪に問われました。
 折田被告は、「過去の収支の欠損を穴埋めするためだった」などと動機を説明していましたが、9日の判決で東京地裁は、「単なる帳尻合わせであって、違法な手段でも国民の疑惑を回避できればよいとする姿勢が垣間見える」と指摘し、折田被告に禁錮2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
 小渕氏の事務所は、「判決を重く受け止めております」とコメントした上で、今後、小渕氏本人が説明する機会を設けたいとしています。(09日17:14)

**********日テレ2015年10月9日 15:11
小渕優子氏の元秘書2人に有罪判決
 小渕優子元経済産業相の政治資金を巡り、元秘書2人が収支報告書にウソの記載をした罪に問われた裁判で、東京地裁は執行猶予が付いた有罪判決を言い渡した。
 小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長・折田謙一郎被告(67)と、資金管理団体の会計責任者だった加辺守喜被告(62)は、収支報告書に総額で3億2000万円を超えるウソの記載をした罪などに問われている。
 9日の判決で東京地裁は、「政治活動に対する国民の不断の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行である」と指摘した。その上で、「政治資金の収支をそのとおり記載しない実態を半ば当然視する姿勢が垣間見え、厳しい非難に値する」として、折田被告を禁錮2年・執行猶予3年、加辺被告を禁錮1年・執行猶予3年とする有罪判決を言い渡した。

**********東京新聞2015年10月10日
小渕氏元秘書に有罪判決 説明果たさず地元冷ややか
 小渕優子・元経済産業相の元秘書折田謙一郎被告が九日、政治資金規正法違反の罪に問われ有罪判決を受けた。地元の中之条町では「政治とカネ」の問題に説明がない小渕氏に対し、父の故小渕恵三元首相時代から二代にわたって応援し続けた住民の間に冷めた見方が広がっている。
 問題となった東京・明治座の観劇会に参加していた中之条町の女性(73)は「説明がなくうやむやにされた。もう小渕さんは応援したくない」と不満を訴えた。
 小渕氏は昨年末の衆院選に「一からの出直し」と出馬、一日三十~四十カ所で遊説するなどの徹底した「おわび行脚」で、支持者のつなぎ留めに奔走した。
 遊説先でビールケースに立ち、涙ながらに頭を下げると、支持者から「優子ちゃんは悪くない」と声が上がる場面も。結局得票率七割を超す圧勝で二新人を破って六回目の当選を決め、変わらぬ人気ぶりを見せつけた。
 だが、飲食店経営の男性(74)は「他に有力候補がおらず、小渕さんを支持するしかなかった」と振り返った。
 一方、昨年十月に問題が発覚した直後、折田被告は町長を辞職。十一月の町長選で「折田氏の町政を引き継ぐ」とした前副町長の伊能正夫氏が、共産党推薦の新人候補を大差で破り初当選した。
 中之条町の職員は「町長は折田さんと頻繁に連絡を取って相談し、業務には支障がない」と話した。
◆「政治家は透明性大切」 知事がコメント
 大沢正明県知事は判決を受け、「有罪となったことは誠に遺憾である。政治資金をめぐる問題は、これまでもたびたび世間を騒がせているが、政治家は、国民の負託にしっかり応えるためにも、その透明性を確保することが大切であると考えている」とのコメントを発表した。

**********朝日新聞デジタル2015年10月10日01時29分
小渕氏の元秘書2人に有罪判決 東京地裁

判決が認定した事件の構図。
 小渕優子・元経済産業相の政治資金をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪に問われた元秘書2人の判決が9日、東京地裁であった。園原敏彦裁判長は、群馬県中之条町の前町長・折田謙一郎被告(67)に禁錮2年執行猶予3年(求刑禁錮2年)の判決を言い渡した。
 小渕氏の資金管理団体の元会計責任者・加辺守喜(かべもりよし)被告(62)については、禁錮1年執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。園原裁判長は「政治資金の収支について、国民の疑惑を回避できさえすればいいとする姿勢が垣間見え、厳しい非難に値する」と述べた。
 判決によると、両被告は小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」(東京)の2009~13年分の政治資金収支報告書で、未来研から地元・群馬側の政治団体に計約5600万円の寄付があったように装ううその記載をした。また、折田被告は群馬側の政治団体の収支報告書でも、計約2億円のうその記載をするなどした。
 検察側は公判で、未来研が06年末までの支出の一部を収支報告書に記載せず、実際の預貯金残高と約1億円のずれが生じたと指摘。ずれの解消のため、両被告が収支報告書にうその記載をしたと主張した。
 判決もこうした経緯を認めたうえ、「単なる帳尻合わせで、政治活動の公正を確保する法の目的に合わないことは明らかだ」と非難。主導役と認定した折田被告の犯行の一部は「裏金の捻出を目的としていた」とも指摘した。他方で、「2人とも認めて反省している」などと刑の執行を猶予した理由を説明した。
 判決を受け、小渕氏の事務所は「判決内容を重く受け止める」とする談話を出した。
(久保田一道)

**********産経新聞 10月10日(土)7時55分配信
小渕氏元秘書に有罪判決 乏しい順法意識是正へ一石
 小渕優子元経済産業相の元秘書2人に有罪判決が言い渡された。9月には政治団体「日本歯科医師連盟」をめぐる迂回(うかい)献金事件で歴代トップら3人が東京地検特捜部に逮捕されるなど、政治資金に対する関係者の順法意識の乏しさが改めて浮き彫りになっている。そうした中、この日の東京地裁判決は、他の政治団体でも横行しているとされるずさんな資金管理の是正に一石を投じた。
 判決などによると、折田謙一郎被告らは、慶弔費など一部の支出を収支報告書に記載しないなどずさんな会計を続けてきた結果、実際の現金保有額と政治資金収支報告書上の保有額に約1億円のずれが発生。問題発覚を恐れ、帳尻を合わせるため、架空の寄付金計上や収支操作といった虚偽記載を行っていた。
 政治資金をめぐるこうした乏しい順法意識は過去にも露呈。近年も西松建設による偽装献金事件や陸山会事件で関係者が有罪となった。また、複数の議員秘書が取材に「多くの事務所が収支を調整しているはずだ」などと証言しており水面下で不正が横行している現状をうかがわせる。
 不正横行の背景には、秘書らに「収支報告書に嘘を書いても、誰にも実害を与えない」との法軽視の意識があるからだとされる。
 しかし、この日の判決で、園原敏彦裁判長は「政治資金収支報告書の適正な作成・提出は、政治活動を国民の監視と批判の下に置き、民主政治を発展させることを目的とした政治資金規正法の中核で極めて重要だ」と指摘。その上で「収支を事実通りに記載しない実態を半ば当然視し、違法な手段でも国民の疑惑を回避できればよいという姿勢が垣間見える」などと断罪した。
 一方、日歯連事件でも不正の舞台となった政治団体は、特定の政治家名を冠した後援会だった。小渕氏は「後援会活動には関与していない」と説明するが、名前を冠しながら「政治家は無関係」との主張は国民には理解しにくい。政治家本人にも意識向上が求められている。(小野田雄一)

**********スポニチ 2015年10月9日16:27
小渕氏元秘書らに有罪判決 政治資金違反「国民の監視ないがしろ」
 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われた元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)に、東京地裁は9日、「政治活動に対する国民の監視と批判の機会をないがしろにした」として禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
 資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。2人は9月の初公判で起訴内容を認めていた。
 判決によると、支援者向けに東京・明治座で開いた観劇会で赤字が生じたように装うなどして、未来研を含む4団体の2009~13年分の政治資金収支報告書に計3億2千万円分の虚偽記入と不記載をした。
 公判で弁護側は、収支報告書上の残高よりも実際の現金が少ない赤字状態が判明し、解消のために虚偽記載をしたもので、経緯や動機に酌量の余地があると主張した。
 しかし、園原敏彦裁判長は「差額の生じた過程を明らかにせず報告書が実態に近づいたとしても、それは単なる帳尻合わせだ。違法な手段によってでも、政治資金の疑惑を回避できればいいという姿勢が垣間見える」と非難した。
 東京地検特捜部が今年4月に2人を在宅起訴し、小渕氏を嫌疑不十分で不起訴処分にした。不起訴については検察審査会へ申し立てがあったが、東京第6検審は9月17日に不起訴相当と議決している。

**********日経2015年10月9日15:32
小渕氏の元秘書らに有罪判決 政治資金規正法違反事件
 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、同法違反(政治資金収支報告書の虚偽記入)の罪に問われた元秘書ら2人の判決公判が9日、東京地裁であった。園原敏彦裁判長は元秘書の前群馬県中之条町長、折田謙一郎被告(67)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)の有罪判決を言い渡した。
 資金管理団体の元会計責任者、加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。2人はいずれも起訴内容を認め、執行猶予付き判決を求めていた。
 園原裁判長は判決理由で「政治活動への国民の不断の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行」と指摘。「政治活動の公明と公正を確保するなどの法の目的にかなわないことは明らか」と述べた。
 判決によると、小渕氏の関連政治団体の事務を統括していた折田被告は、加辺被告と共謀するなどして、2009~13年に小渕氏が代表を務める「未来産業研究会」(東京都)や政治団体「小渕優子後援会」(群馬県)の収支報告書に架空の寄付金の支出や収入を計上したり、観劇会の収入を過少に計上したりした。

**********日刊スポーツ[2015年10月10日8時47分紙面から]
最後まで「姫」かばう 小渕優子氏元秘書有罪
 東京地裁は9日、小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われた元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)に、禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)の有罪判決を言い渡した。資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者加辺守喜被告(62)は、禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。
 故小渕恵三元首相から2代にわたり小渕家に仕え、「国家老」と呼ばれる影響力を持った折田被告。園原敏彦裁判長は、「政治活動に対する国民の監視と批判の機会をないがしろにした」と、厳しく断じた。
 事件は、東京・明治座の観劇会をめぐる不透明な収支が表面化したことで、拡大。裁判長は「差額の生じた過程を明らかにせず報告書が実態に近づいたとしても、それは単なる帳尻合わせ。違法な手段によってでも、政治資金の疑惑を回避できればいいという姿勢が垣間見える」と非難。折田被告が主導した観劇会収支の虚偽記入を「裏金捻出も目的だった」と認定した。
 判決理由の朗読を、折田被告は、加辺被告とともに姿勢を崩さずに聞いた。事件発覚後、町長を辞任。「全責任は自分にある」と公判でも小渕氏には言及せず、幼少時から見守る「姫」を、最後までかばった。
 小渕氏は昨年10月の経産相辞任後、第三者委員会を立ちあげたが、十分な説明責任は果たしておらず、地元の一部でも厳しい声がある。小渕事務所は「判決内容を重く受け止めている」とするコメントを発表。近く提出される第三者委員会の報告を踏まえ、説明の場を設ける意向を示した。
 ◆事件メモ 判決によると、折田被告らは、小渕氏の支援者向けに東京・明治座で開いた観劇会で赤字が生じたように装うなどして、4団体の09~13年分の政治資金収支報告書に計3億2000万円分の虚偽記入と不記載があった。東京地検特捜部は今年4月、2人を在宅起訴。2人は先月の初公判で起訴内容を認め、弁護側は、虚偽記入は差額を解消するためだったと主張した。小渕氏への任意の聴取も行われたが、嫌疑不十分で不起訴処分になった。小渕氏の不起訴には、群馬県の市民団体が検察審査会に審査を申し立てたが、東京第6検審は先月17日付で不起訴相当と議決した。

**********上毛新聞2015年10月10日一面

元秘書2人有罪判決 小渕氏団体の虚偽記載
東京地裁「国民ないがしろに」

 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入・不記載)の罪に問われたともに元秘書で群馬県の前中之条町長、折田謙一郎被告(67)と、資金管理団体「未来産業研究会」(未来研)の元会計責任者、加辺守喜被告(62)の判決公判が9日、東京地裁であった。園原敏彦裁判長は「政治活動に対する国民の不断の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行」と述べ、折田被告に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)、加辺被告に禁錮1年、執行猶予3年(同禁錮1年)を言い渡した
★裏金捻出を認定
 園原裁判長は、支援者向けに東京・明治座で開いた観劇会で赤字が生じたように装うなどして、四つの政治団体の2009~2013年の収支報告書計15通で虚偽記入や不記載を行い、その総額は3億2千万円に上ると認定した。
 犯行の背景として、「政治資金の収支をその通りに記載しない実態を半ば当然視し、違法な手段によってでも国民の疑惑を回避できさえすればいいとする姿勢が垣間見える。厳しい非難に値する」と断じた。
 折田被告の役割については、虚偽記入などの方針を決定し、担当者に虚偽の記入や不記載とする項目といった具体的な指示を出して犯行を主導したと指摘した。「女性部大会の収支では裏金捻出も目的としたと認められ、責任は相応に重い」とした。加辺被告には「犯行の一部に加担しただけとしても、従属的とはいえない」と述べた。
 未来研では、長年にわたり慶弔費や陣中見舞などを簿外で支出していたことから、収支報告書上の残高よりも実際にある現金が少なかった。虚偽記入はその隔たりを解消するためで経緯や動機に酌量の余地があるとした弁護側の主張には、「単なる帳尻合わせであって、政治活動の構成を確保するほうの目的にかなうものではない」と退けた。
 両被告の弁護人は上毛新聞の取材に「判決を重く受け止めたい」などと述べ、両被告とも控訴はしない方針だという。
 東京地検特捜部が今年4月に2人を在宅起訴し、小渕氏を嫌疑不十分で不起訴処分にした。不起訴については検察審査会へ申し立てがあったが、東京第6検審は9月17日に不起訴相当と議決している。

★「説明する機会設ける」 小渕氏事務所
 元秘書2人の有罪判決を受け、小渕優子氏の事務所は9日、「判決内容を重く受け止める。多くの皆さまに多大な心配と迷惑をおかけしたことをあらためておわび申し上げるとともに、近く提出される第三者委員会の報告も踏まえ、今後の再発防止に万全を期し、説明する機会を設けることを考えている」とのコメントを発表した。

************上毛新聞2015年10月10日社会面右
透明性確保 再認識を
〔解説〕
 小渕優子元経済産業相の元秘書2人に有罪判決が下った。政治資金の収支を公開して公正な政治活動を確保する政治資金規正法の趣旨に背き、政治への信頼を失墜させた責任は重い。
 政治資金収支報告書への虚偽記入と不記載は常態化し、総額3億2千万円にも上った。折田謙一郎被告が主導した観激化収支の虚偽記入と不記載は「裏金捻出も目的としていた」と認定された。悪質性は否定できず、量刑理由で園原敏彦裁判長も「違法な手段によってでも、政治資金の収受について国民の疑念を回避できさえすればよいとする、法の目的炉は正反対の被告人の姿勢が垣間見える」と厳しく指摘した。
 「政治とカネ」の問題が後を絶たない。先月30日には、政治団体「日本歯科医師連盟」をめぐる迂回献金事件で、年間上限額を超える献金を隠すため、収支報告書に虚偽記載したなどとして。政治資金規正法違反容疑で3人が逮捕された。これまでも政界を揺るがす問題を契機に規正法はたびたび改正され、厳格化されてきたが、不透明な処理はなくならず、国民の政治不信につながっている。
 今回の事件で小渕氏本人は嫌疑不十分で不起訴処分となったが、その代償は大きく、合議的責任は免れない。これを教訓に、あらためて政界全体で政治資金の透明性確保の重要性を認識するとともに、政治家の監督責任強化など規正法のさらなる厳格化を検討すべきだ。
 (東京支社 富田充慶)

【小渕氏元秘書判決要旨
 東京地検が小渕優子元経済産業相の元秘書2人に言い渡した政治資金規正法違反事件の判決要旨(量刑理由)は次の通り。

 事件は、①小渕優子衆院議員の資金管理団体を含む、四つの関連政治団体の事務全般を統括していた折田謙一郎被告が、関係者と共謀して、関連政治団体の2年分ないし5年分の収支報告書に虚偽の記入や不記載を行い②資金管理団体の会計責任者であった加辺守喜被告が、折田被告による犯行のうち資金管理団体の3年分の収支報告書の虚偽記入に加担した―という政治資金規正法違反事案である。
 政治資金規正法は、政治活動が国民の監視と批判の下で行われるようにするため、政治資金の収支の公開などを行うことを目的とする。政治団体の収支報告書の適正な作成や提出は、政治資金の収支の公開制度の中核であり、極めて重要。
 それに対し、架空寄付の収支の虚偽記入は、期間にして4年分、総額1億1200万円と多額で、女性部大会の収支の虚偽記入と不記載については5年分、総額2億円以上になる。また、内容虚偽の収支報告書は、4団体で計15通と多く、政治活動に対する国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行だ。
 犯行の背景には、政治資金の収支をその通り収支報告書に記載しない実態を半ば当然視し、違法な手段を使ってでも、国民の疑惑を回避できさえすればよいという、法の目的とは正反対の姿勢が垣間見える。
 両被告は、国会議員の秘書として政治の世界に長く身を置き、各政治団体で重要な地域にあった。政治活動の公明と公正の確保を最大限尊重すべき立場にあったことを考えると、犯行は厳しい非難に値する。
 弁護人は、架空寄付の収支の虚偽記入については、事件前に生じた収支報告書の繰り越し預金残高と実際の預金残高との多額の乖離を解消する目的で行われたものだったとしているが、乖離の生じた過程を明らかにすることなく収支報告書が実態に近づいたとしても、それは帳尻合わせであって、法の目的にかなうものではないことは明らかであり、違法性を減じる事情とはいえない。
 折田被告は、虚偽記入や不記載の方針を決定、各収支報告書の作成担当者への虚偽記入の額や不記載とする事項を具体的に指示するなど犯行を主導した。また、女性部大会の収支の虚偽記入と不記載は、裏金捻出をも目的としていたと認められ、責任は重い。
 加辺被告は、犯行の一部に加担したにとどまり、折田被告と比べると、収支報告書の作成作業への関与の程度も大きいとはいえない。しかし、資金管理団体の会計責任者の立場にあり、その役割が従属的で責任が軽いとまではいえない。
 両被告には前科がなく、いずれも捜査段階から一貫して犯行を認めて反省している。また、関連政治団体とは距離を置き、今後は収支報告書の作成業務に関与しないことなどから、各刑を科し、今回に限りそれぞれの刑の執行を猶予する。

**********上毛新聞2015年10月10日社会面左
地元も説明求める声 小渕氏元秘書に有罪
両被告 判決に姿勢崩さず


証言台の前に発ち判決を聞く折田謙一郎被告(左)と加辺守喜被告(イラスト・勝山展年)
 小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件は9日、王経地裁でともに元秘書の折田謙一郎(67)、加辺守喜(62)両被告に執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。「政治とカネ」の在り方が問われ、県政会を揺るがして事件。小渕氏の事務所は同日、近く提出される第三者委員会の報告を踏まえ、「説明する機会を設ける」としたが、昨年10月の経産相辞任以来、問題について口を閉ざした状態が続く小渕氏に、地元からも説明責任を求める声が相次いだ。
 法廷で、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されると、折田、加辺両被告は、直立して裁判長をまっすぐ見つめた、両被告は黒っぽいスーツにネクタイ姿で入廷し、終始姿勢を崩さず判決文の朗読に聞き入った。小渕氏の右腕として働き、政界の表と裏を知り尽くした元秘書2人は閉廷後、取材に応じることもなく裁判所を後にした。
 小渕氏の長年の側近に対する有罪判決に、野党は批判の声を強める。民主党の宮崎岳志衆院議員は「金額、手法をみても前代未聞の犯罪。虚偽記載された資金の使い道も全てが解明されたとは言いがたい」と非難。黒沢孝行県連会長も「国民の誰もが疑問に思っている」と一刻も早い説明を求めた。
 身内である自民党県連からも、有罪判決を重く受け止めるべきだとの声が聞かれた。小渕氏の地元の選挙区選出の県議で、選挙運動を支えてきた南波和憲氏は「代議士や事務所は今回の件をしっかりと受け止めて、今後の政治活動の教訓としてほしい」と注文した。
 かつて折田被告が選挙を支え、小渕氏とも交流が深い大沢正明知事も「有罪となったことは誠に遺憾。政治家は国民の負託にしっかり応えるためにも、透明性を確保することが大切だ」とのコメントを出した。
 小渕氏は批判を受けながらも、昨年末の衆院選で「おわび行脚」に徹し、7割を超す得票率で2新人に圧勝した。しかし、折田被告が町長を務めた小渕氏の地元、中之条町では「説明責任を果たしてから、国民のために活躍してほしい」(61氏男性)と期待の声がある一方で、問題となった東京・明治座の観劇会に参加した女性(73)は「説明がなくうやむらにされた。もう小渕さんは応援したくない」と不満を口にした。
 同町の小渕氏の後援会事務所は同日、関係者が出入りする様子もなく、ひっそりとしていた。高崎市の事務所でも、事務所関係者が「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と話すのみだった。
★「到底納得できない」 市民オンブズマン群馬の小川代表
 小渕優子元経済産業相の元秘書2人への判決を受け、市民オンブズマン群馬の小川賢代表は取材に対し、「シナリオ通りの展開。本質的な部分は何も解決していない」と述べた。
 小川氏は9日、東京地裁で公判を傍聴。小渕氏側が選挙区内の有権者にウィンを贈ったとされたり、会計書類などを保存していたパソコンのハードディスクが破壊されていた問題が、公判で触れられなかったとし、「世間を騒がせた小渕氏本人はいまだに説明責任を果たしておらず、到底納得できない」と強調。東京地検特捜部などに公開質問状を提出することも検討する。
 同団体は6月、小渕氏本人が嫌疑不十分で不起訴になったのは不当として、東京検察審査会に審査を申し立てたが、審査会は9月17日付で、処分を「相当」と議決した。


★疑惑立件せず不満
高崎経済大の増田正教授(政治学)の話
 判決自体は妥当だが、本件以外に取り沙汰された小渕氏に関する疑惑は検察が立件せず、公の場で解明されなかった点で不満が残る。政治資金への甘い認識が背景にある旧時代的な事件で、関係者は今後、襟を正して政治不信を拡げないようにしてほしい。

★責任負う仕組みを
県立女子大の片桐康夫名誉教授(政治学)の話
 故小渕恵三元首相時代からの秘書に資金管理を任せきりにしたことが問題だった。資金問題などが起きた場合、秘書だけが責任を取ることがあるが、政治家も責任を負うような仕組み作りが必要だ。小渕氏は、何が問題だったのか有権者に説明してほしい。
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高崎市の知的障害者通所施設清涼園の虐待疑惑に関して高崎市障害福祉課から現状ヒヤリング

2015-10-10 01:13:00 | 高崎市の行政問題
■群馬県内でも老舗の知的障害者授産施設(通所)として知られる高崎市宮元町153にある清涼園で、少なくとも2年前から虐待が行われているという報告を会員のかたから受けた当会では、これまでに事実関係を確認するために高崎市長宛に公開質問状を出したり、群馬県の障害政策課に対して、高崎市から虐待についての報告を受けたかどうかの確認を求めたりしてきました。これまでの経緯は次のブログを参照ください。
○2015年8月6日:高崎市の知的障害者通所施設清涼園の虐待疑惑に関するオンブズマン公開質問に対して高崎市長が回答(1)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1684.html
○2015年8月7日:高崎市の知的障害者通所施設清涼園の虐待疑惑に関するオンブズマン公開質問に対して高崎市長が回答(2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1686.html





 公開質問状に対する高崎市長からの2015年7月31日付の回答の中で、「虐待があったかどうかの判断結果については行政機関が保有する情報となるため、通報者への通報は想定されていない。情報公開条例に基づく公開請求は可能である」とする一文があったため、約2か月が経過した10月9日に、当会では高崎市役所1階を訪れて、障害福祉課の中西課長代理と面談をしました。因みに高井係長は在席のようでしたが、なぜか顔を出しませんでした。

 同課の窓口でのやりとりでしたが、次のことが分かりました。

(1)虐待の有無にかかわる清涼園の立入調査の結果について、高崎市では、まだ、調査結果について検討していること。このことは、高崎市がなんらかの対応を清涼園に対して行ったことをうかがわせる。

(2)高崎市の言い方は「情報公開請求をしてもらっても、そちらが期待されている情報は、まだ出せる状態には無い」ということ。

(3)この件については群馬県障害政策課からも連絡を受けていること。

(4)高崎市としては、関係者から虐待の通報があれば、事実確認は必ず行っていること。本件については、確認したことについて、虐待があったかどうかを、現在確認検討中であること。

(5)オンブズマン側の趣旨はよく理解されていること。だが、高崎市としては障害福祉課のみならず、他の部署とも関連して動いていること。なぜなら、障害福祉課は虐待の事実の有無を確認することしかできないため、その次の対応は他の部署になること。詳しくいうと、虐待の事実確認は障害福祉課が行い、虐待が認められると判断されれば、その後、事業者に対して、指導監査課が指導や勧告を出すようになっていること。

(6)今回の通報者については、通報者のかたの言い分と、市側で聞いている内容との間に差異があること。通報者本人はそのように行っているかもしれないが、市側として、そのように受け止めていなかったところも多少あるのは事実であること。

(7)いずれにしても、老舗の施設なので、利用者が不利益を被っているのであれば、早期に排除していくことを市側としても念頭に置いていること。

■これに先立ち当会からは次のコメントを伝えました。

①既に情報公開請求は準備をしてあり、いつでも提出する用意が出来ていること。ただし、高崎市が開示できる状況にあるのか、ないのか、事前に確認したうえで、提出すべきか判断すべく、本日ヒヤリングに訪れたもの。

②慎重に検討するのは悪いことではないが、いたずらに時間をかけてしまうと、清涼園側も証拠隠滅や、各方面に手をまわして、関係者の口裏あわせをしてしまったり、この問題について封印をされてしまう恐れがあるので、迅速な対応を躊躇なく実行することが肝要であること。

③当会としては、すべて公表するのが基本方針であること。この問題についても、下関市の大藤園のような不祥事が繰り返されないように、きちんと監視していく予定である事。グレーゾーンだからといって放っておくことは許されないと考えていること。

④今回は、市側の対応状況を把握するために、こうして本日ヒヤリングをしたが、1週間から10日した後、もういちど高崎市障害福祉課の高井係長(課長は土屋氏)あてに電話をし、その後の進捗を確認したうえで、依然として中途段階であったら、有無を言わずに郵送で情報開示請求書を提出することも視野に入れていること。

■このように、高崎市ではどうやら清涼園にコンタクトしたり、利用者からもコメントを聞いたりしている様子がうかがえます。

 一方、当会が入手した情報では、8月31日に、清涼園の施設長(=園長)が、利用者の保護者らを集めて会合を開き、その席上、「うちの園では虐待をしていない。利用者の保護者の皆さんには安心して施設を利用してほしい」という趣旨のことを話しているようです。さらに「当園で虐待が行われていうというのは根拠のない噂であり、根も葉もないことを言いふらしている輩がいる」と、間接的に当会の活動を批判していると思われる発言もあったようです。

 おそらく利用者の保護者らに対しては、利用者が虐待を自ら言い出しにくい状況にあることから、それを逆手にとって、保護者らを懐柔しておき、高崎市からの立入調査や関係者からのヒヤリング時に、悪い印象をもたれないように発言してもらえるように、気を使っているのかもしれません。

 引き続き、この問題については、フォローしてまいる所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局・福祉ビジネス調査班】
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