■「姫」こと小渕優子元経産相が、自身の政治資金の不正会計を巡る諸問題が発覚した1年前から、「説明責任を果たしたい。そのために第三者委員会を立ち上げたい」と言い出したのはいつだったのでしょうか。姫の発言履歴を検索してみると、2014年10月20日午前9時40分ごろから経済産業省で記者会見に臨んだ記者会見で、次の発言のなかで第三者委員会のことを示唆したのが、公式には初めてだったと思われます。つまり、10月16日にスクープ記事が発表されてから、4日目に姫が辞任会見をしたのですが、この間、既に幕引きに向けたシナリオが早くも作られていたのかもしれません。
「このように収入と支出の双方にその実態があったのか否か、私自身大きな疑念を持ったところであり、収支報告書の内容のすべてを関係政治団体の報告書を第三者的な観点から調査して頂く必要があると考えています。そこで関係ない外部から弁護士や税理士などの専門家を入れて客観的な調査をして頂くことにしました。政治団体間の資金のやりとりも収支報告書上あったとされているので、その収支と支出が真実あったのかも含めて調査をしていただくことにしました。ただ、調査範囲は多数の団体、個人に及ぶことから、相応の調査期間を必要とする状況にございます」
その後、一向に第三者委員会の設置の過程も、活動内容も分からないまま、1年が経過しようとする時、突然10月19日(月)の午前中にマスコミ向けの記者会見が行われました。
この時、A4用紙14頁の報告書がマスコミに配布されました。当会ではこの報告書の入手をマスコミ関係者に依頼していますが、まだ入手できていません。地元紙の記者は、「在京の記者は持っているが、地元のこちら側にはまだ届いていない」というだけです。
そのため、姫のホームページにアクセスしてみましたが、2015年1月1日に「年頭のご挨拶」のあと、同29日にプロフィールを更新して以降、全く更新されていません。もちろん、不起訴処分になったことや、第三者委員会の活動ぶりや、国家老こと元秘書らの有罪判決など、重要な情報は全く掲載していません。
■この第三者委員会による10月19日の記者会見の内容をもとに、姫は翌日の10月20日午後、渋川市内で行われた自分の後援会幹部向け報告集会でも、その日の夕方、前橋市内で行われたマスコミ向けの記者会見でも、もっぱらこの第三者委員会報告をよりどころとしていました。
しかし第三者委員会の報告書の内容が未確認のため、何がどうなっているのかわかりません。そこで、10月19日の午後以降の新聞記事を見てみましょう。当会のコメントは青字で示してあります。
**********NHK 10月19日 13時01分
政治資金事件 小渕氏設置の第三者委が報告書
小渕元経済産業大臣の政治資金を巡る事件で、事実関係を調査してきた弁護士らは、19日、「不正行為は元秘書の判断や指示の下に行われたことは明らかだ」としたうえで、小渕氏の責任も軽微とは言えないなどとする報告書を公表しました。
この事件で、小渕元経済産業大臣は、弁護士や税理士で作る第三者委員会を設け、独自に事実関係の調査を進め、19日、弁護士らが東京都内で記者会見して、報告書を公表しました。
それによりますと、一連の不正経理について、「関係する政治団体の事実上の責任者である、元秘書の判断や指示の下に行われたことは明らかだ。小渕氏を守り、政治家として大成することを願っていた元秘書らが、世間体を重視して、つじつま合わせを行ったものだ」などとしています。
一方で、小渕氏については、「本人の関与は認められなかった」としながらも、「監督責任があることは当然で、その責任は軽微とは言えない」などと指摘しています。
弁護士によりますと、報告書は小渕氏にも手渡したということです。
小渕氏は20日夕方地元の群馬県で記者会見することにしています。
この事件で、東京地方裁判所は今月9日、小渕氏の資金管理団体などの収支報告書にうその記載をしたなどとして、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長と、元政策秘書の2人に対し、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しています。
★事件の経緯は
小渕元経済産業大臣の政治資金を巡る問題は、去年10月に明らかになりました。
「小渕優子後援会」などが主催した観劇会の収支が大きく食い違っていたことなどが問題となり、小渕氏は大臣就任から僅か1か月半で辞任しました。
大臣辞任の10日後、東京地検特捜部は小渕氏の後援会事務所などを一斉に捜索し、強制捜査に乗り出します。
そして、ことし4月、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(67)と加邉守喜元政策秘書(62)が、小渕氏の資金管理団体などの収支報告書にうその記載をしたなどとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴されました。
東京地方裁判所は今月9日、「収支報告書の虚偽記載や不記載は4つの政治団体で総額3億2000万円余りと多額で、政治活動への国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行だ。折田元秘書は虚偽記載の金額などを具体的に指示し、一部は裏金の捻出を目的としていたと認められ、責任は重い」と指摘し、折田元秘書に禁錮2年、執行猶予3年、加邉元秘書に禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡していました。
**********毎日新聞 2015年10月20日 地方版
小渕衆院議員:政治資金問題、第三者委調査 小渕氏の関与否定、追認 オンブズマン「出来レース」 /群馬
↑記者会見する佐々木善三委員長(テーブル中央)ら第三者委員会メンバー=東京都千代田区のホテルニューオータニで↑ ←※当会注:姫は議員会館からほど近いHニューオータニがお気に入りらしい。だから第三者委員会の会見もここを使ったのだろうか。また国家老の折田謙一郎被告は、1年前に地元から雲隠れした当時「東京・赤坂のホテルニューオータニで自民党に缶詰めにされて」(週刊現在2014年11月4日)いたようです。
小渕優子衆院議員(41)=群馬5区=の政治資金規正法違反事件で、小渕氏の依頼を受けて調査していた「第三者委員会」が19日、記者会見し「小渕氏は関与しておらず、法律上の責任はないが、監督責任は軽微ではない」との調査結果を公表した。記者会見で佐々木善三委員長は「今後、政治家として頑張っていただきたいという気持ち」と言及した。一方、小渕氏を刑事告発したオンブズマンは「出来レースのようだ」と不満を表明した。
東京都内のホテルで記者会見した佐々木委員長は、元最高検検事の弁護士。報告書要旨を約40分かけて読み上げ、「会場が1時間しか借りられない」ことを理由に、質疑応答は15分程度で打ち切った。←※当会注:H ニューオータニが1時間しか貸してくれなければ、なぜ記者クラブを使わないのだろうか。
9日に東京地裁で有罪判決を受けた元秘書の折田謙一郎・前中之条町長(67)の行為について、第三者委の報告書は「(秘書)退職までに自己責任で(政治資金収支報告書と実際の残高との約1億円の)乖離(かいり)を処理しようと決心して虚偽記載に至った。責任感が強くなければ乖離を放置した可能性もある」と指摘。乖離した原因について、佐々木委員長は「関係資料を全て特捜部に押収されている状況で、しかも古い話なので(調査は無理)」と述べた。←※当会注:関係資料を押収されているといっても、既に1年経過しており、不起訴処分になってからも既に半年が経過しており、この言い訳は有り得ない。
地裁判決が「裏金捻出も目的としていた」と指摘した観劇会については、第三者委が2009〜13年の「本物」の収支表を示した。毎年、約60万〜392万円の剰余金が出ていたが、秘書の人件費や交通費などが含まれていないことを理由に、「特に高額とは言えず、適正に運営されていた。実質的な余剰金は相当低い」と結論づけた。←※当会注:当会の指摘通り、観劇会では2000人の参加者から1万2千円を参加費として徴収したが、バス代や明治座の観劇料等が団体割引のため、半値程度で済んだと考えられる。地裁判決で「裏金捻出」とされたことから、当会の指摘が正しいと証明されたことになる。第三者委員会も年最大392万円の剰余金が出たことを認めざるを得なかったわけだが、秘書の人件費や交通費が含まれていないという訳の分からない理屈は、裏金捻出を裏付けている。
立件されなかった贈答品の問題では「選挙とは無関係と認められる」と強調した。ただ、公職選挙法が有権者の買収だけでなく利益供与(寄付行為)も禁止している点には触れなかった。←※当会注:選挙の有無にかかわらず、有権者への金品の供与は公選法違反の筈。
贈答品の中で特に問題となったのが、小渕氏の顔写真ラベルが貼られたワインだ。昨年10月に毎日新聞が報じ、明るみに出た。第三者委は「特製なので選挙区内の支援者も欲しがるなどしたため担当秘書が独断で手渡した」と判断したが、ワインを受け取った選挙区内の男性は小渕氏の支援者ではなく、ワインを欲しがったわけでもない。男性は「慶事の祝い品として地元秘書から受け取った」と証言している。このワインは不問に付されたことになる。←※当会注:当会は、「ワイン配布は公選法違反だ」として特捜部に告発したが、なぜか不問にされた。第三者委員会も佐々木弁護士が特捜部出身のヤメ検なので、同じ結論をこじつけている。なお、今後、候補者は誰でも金品を選挙民に配っても不問になるのか、東京地検特捜部や法務省、地元自治体の選挙管理委員会に確認する必要がある。
小渕氏は第三者委のヒアリングに対し、収支報告書の作成や、残高の乖離について「経験豊富な秘書らに安心して任せており、全く知らなかった」と回答したという。小渕氏の責任の取り方について考えを聞かれた佐々木委員長は、こう答えた。「小渕議員の責任は重いが、今後、政治家として頑張っていただきたいという気持ちは、調査結果を全体として読んでいただければ感じ取っていただけるかもしれません」【尾崎修二】←※当会注:これは第三者委員会の佐々木弁護士の率直な気持ちなのだろうが、中立性を自ら放棄する発言でもある。
◇「これからも応援」地元の声「道義的責任ある」
「第三者委員会」の報告書提出を受け、小渕優子衆院議員は20日、前橋市内で記者会見する。渋川市で後援会幹部と自民党県議の合同会議に出席した後、問題の経緯を説明するとみられる。
小渕議員の後援会員で、観劇会にも参加したことがあるという中之条町の女性(65)は「折田(謙一郎前町長)さんの判決ですべて終わりだと思う。優子さんに責任はないでしょう」と擁護する。「地元の集まりにもきちんと顔を出すし、仕事も頑張っている。これからも応援する気持ちに変わりはない」と言い切った。
一方、昨年の町長選で折田氏後継の現町長と戦った原沢今朝司町議(64)は「法律上問題はないというが、国会議員として道義的責任はあるはず。小渕さんは敬老会や成人式でこまめに地元に帰ってくる。でも『お騒がせして申し訳ない』と言うだけ。有権者は納得できない」と批判する。
小渕氏の説明責任について、原沢氏は「皮肉な話だが、今も折田さんが秘書だったら、こんなことはなかっただろう。『それなりに説明しないとまずい』とアドバイスしたのではないか」と指摘した。【高橋努】
◇「政治家として資質問われる」 市民オンブズ代表
小渕優子衆院議員を東京地検特捜部に刑事告発した「市民オンブズマン群馬」の小川賢代表(63)は19日、第三者委員会が「小渕氏に法律上の責任はない」との調査報告書を公表したことを受け、「本人に責任が及ばないようにするための出来レースのような印象を受ける」と述べた。担当秘書らが政治資金収支報告書を提出する際に小渕氏は中身を確認していなかったとされる点については「いくら忙しくても、事実ならば政治家としての資質が問われる」と指摘した。
小渕氏は20日に記者会見する。小川代表は「小渕氏が秘書の監督責任をどの程度重く考えているのか注視している。収支報告書の問題だけでなく、有権者へのワイン贈答などについても本人の口から説明を聞きたい」と語った。【田ノ上達也】
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◇「第三者委員会」報告書の要旨
◆2006年末時点で資金管理団体「未来産業研究会」の実際の預貯金残高が収支報告書上の残高より約1億円も少なくなっていた点について
一定期間をかけて積もり積もって1億円になったようだ。前年の繰越額を上回る繰越額を決め、それに見合うよう調整して報告書を作成していた。また、慶弔費や陣中見舞いなどの支出を記載していなかった。それらの支出の具体的な内容は古い話で、裁判でも問題視されていないので調査の必要はない。←※当会注:慶弔費も陣中見舞いも本人以外の秘書が配れば立派な公選法違反行為。本来なら、これだけでアウトの筈。
◆収支報告書への虚偽記載の原因
未来研の残高の1億円の乖離を解消するための、つじつま合わせが目的だった。折田氏は世間体も重視していた。地元新聞で公表される群馬県選出国会議員の政治団体の収入額についての評判を気にし、小渕優子後援会の収入額が他議員の団体と比べて突出して多かったり少なかったりしないよう配慮するのが自分の役割と考えていた。←※当会注:世間体というより、八ッ場ダム関連の土建業者らからの献金が多額なので、目立たないようにするのが主目的だったはず。
◆女性支援者向けの観劇会について
2012年の収支報告書には記載がない。折田氏は「12年は選挙(衆院選)があり、こういう内容を記載すると供応接待ではないかと疑われると思って書かなかった」と説明している。←※当会注:記載しないことが、裏金のマネーロンダリング行為そのもの。
◆折田氏らの悪質性について
虚偽記入は悪質だが、部外者との間で不正献金や支出があったと断罪されたわけではない。違反の原因となった未来研での残高の乖離は折田氏とは無関係。乖離を知った折田氏は、責任感や義務感の強さから虚偽記入に至った。←※当会注:これが第三者委員会のいうことか。
◆小渕氏に違反行為への関与や認識があったか
小渕氏本人や秘書らは関与や認識はなかったと説明している。小渕氏は当時非常に忙しかったという状況も客観的な裏付けだ。←※当会注:全く説明になっていない。
◆実姉の夫が経営する東京都内の服飾雑貨店での多額の物品購入について
海外出張などの際に要人にプレゼントしていたもので政治活動そのもの。小渕氏によると、親族経営のショップの商品と言えば話題作りになり、相手と打ち解けることができたという。秘書らが個人的に商品を購入して代金を支払った後、領収証を政治資金収支報告書の支出に流用したものもあった。これは問題がある。←※当会注:同じ嘘をつくならもっともっともらしいウソをつけ。
◆有名洋服店からの衣類購入について
小渕議員の洋服を購入した際の領収証を、経理担当ベテラン秘書が預かっているうちに、誤って未来研の収支報告書の支出に記載したものがあった。←※当会注:確信犯なのに、よくまあこんなウソを信じるものだろうか。第三者委とは到底思えない。
◆「小渕ワイン」の贈答について
選挙区外の支援者に配っていたが、特製のため区内の支援者も欲しがるなどしたため、担当秘書が独断で贈ったものがあった。選挙とは無関係。←※有権者にワインを配ったことがこれでハッキリした。さっそく東京地検特捜部の見解をあらためて確認したい。
◆ふるさと振興支部の会員に対するジャガイモ贈答について
毎年贈っており選挙が動機ではない。地元産のジャガイモを贈るので、ふるさとの振興にも寄与している。←※当会注:地元の農産物を有権者に贈ったことがこれでハッキリした。まさに買収だ。昨年12月の衆院選で2万票減らしたのは、農産物を贈らなかったのが原因かも。
◆高崎事務所のパソコンのハードディスク(HDD)破壊について
以前からパソコンがサーバーにつながらないなど不具合があったところ、(週刊誌が観劇会の収支のずれを報じた2日後の)昨年10月18日に異音がしたり動作が止まるなど状況が悪化した。19日に業者が新品に交換し、古いサーバーを引き取った。24日ごろに東京地検から提出を求められたため27日に業者を呼んだが、すでに業者がHDDにドリルで穴を開けていた。バックアップしたデータを検察官に提出したので捜査への支障はない。←※当会注:週刊誌がスクープしたらパソコンが不調になったのではなく、パソコンを強制的に不調にしたのではないか。使途不明金がバレるのを防ぐのが目的だ。高崎事務所はとくに疑惑の支出が多い環境なのかもしれない。
**********東京新聞2015年10月20日
政治資金事件できょう会見 小渕氏に真意求める声
↑小渕優子 元経済産業相↑
二十日に前橋市内で記者会見する小渕優子元経済産業相。関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件についてどんな言葉で説明責任を果たすのか。市民からはきちんと説明するよう求めたり、政治資金の流れを透明化する方策を示すよう求める声が上がった。
十九日に発表された、小渕氏側が設置した第三者委員会が小渕氏が不正に関与していなかったなどとする調査結果などについて後援会幹部らに説明した後に会見に臨む。この問題で経産相を辞任したのは昨年十月二十日。その際、「説明責任を果たす」としていたがこれまで自ら説明することはなかった。
小渕氏の地盤の中之条町に住む無職男性(63)は「説明責任について言及した時には期待したが一年間何もなく失望した」と言う。「第三者委も監督責任は指摘している。会見で議員辞職を表明しまた選挙で当選を目指すぐらいの覚悟を見せてほしい」と話した。安中市の六十代の女性も「関与は無くても責任はある。本人の説明が遅かった」と指摘。同市の女性(37)は「彼女が不正を知らなかったことはないと思う。金の使い方が市民感覚と違う。はぐらかさずに市民に分かる言葉で真意を語るべきだ」と話した。
小渕氏らを政治資金規正法違反容疑などで告発し、東京地検特捜部が小渕氏を不起訴処分としたのは不当だとして検察審査会に審査を申し立てた(審査会は不起訴相当と議決)「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「会見では一定の謝罪ですますのではなく、政治資金の流れを透明化する納得できる方策を示すべきだ」と話す。
**********日刊ゲンダイ2015年10月21日
ドリル優子事件 「無罪放免」のお墨付き与えた第三者委の詭弁
↑まるで「小渕弁護団」だったヤメ判&ヤメ検第三者委(C)日刊ゲンダイ↑
こんなデタラメな調査結果に国民は納得するのか。小渕優子元経産相(41)の政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で19日、第三者委員会の調査報告書が公表された。億単位のカネの流れを複数年にわたって意図的に隠し、パソコンのハードディスクをドリルで破壊するという前代未聞の「証拠隠滅」の疑惑が指摘された事件だ。当然、小渕氏もアウトと思いきや、報告書は「無罪放免」にお墨付きを与えていた。
A4用紙14ページにまとめられた報告書の内容はハッキリ言って支離滅裂だ。特にヒドイのは、9日に政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で執行猶予付きの有罪判決を受けた元秘書、折田謙一郎被告(67)らをかばう表現だ。
「折田氏の責任感・義務感の強さが虚偽記入に結びついた」
「折田氏を批判することには躊躇を覚える」
まるで折田被告が故意犯ではなく、過失犯だったような言い回しだ。だいたい問題発覚後、町民ホッタラカシで町長職をブン投げて雲隠れした男にマトモな責任感や義務感があるワケがない。しかも、第三者委は「前年の繰越額を上回る任意の繰越額を決め、それに見合うように収入額や支出額を調整するといった方法で収支報告書を作成した」「つじつま合わせを行った」と認定しながら、「不正な収入や支出を隠したりすることに主眼が置かれていたものではない」と結論付けているのだ。カネの流れを意図的に調整したり、つじつま合わせをしたりする行為を世間では「粉飾」という。どこから見ても悪質な犯罪ではないか。
第三者委の委員長である佐々木善三弁護士は元最高検検事。委員を務めた田中康久弁護士は元仙台高裁長官、野口光夫税理士は元東京国税局調査官というリッパな経歴の持ち主だが、判決の主文で「有罪」を言い渡しながら、理由で「無罪」と言っているに等しい報告書を作って「正しい」と考えているなら、そろって国家資格は返上した方がいい。“主犯”の折田被告がこんな大アマ扱いじゃあ、“共犯”の小渕氏も「不正に関与しておらず、法律上の責任はない」との結論に至るワケだ。
「第三者委は問題が発覚した昨年10月、小渕議員が『説明責任を果たす』と言って設置されたものですが、誰がカネを出し、どこまで客観性が保たれたのかは疑問です。設置こそ1年前だが、折田被告が特捜部にパクられて資料が押収されたため、関係者らに話を聞くことができたのは、つい最近。第三者委が会見で『調査には限界がある』と認めたように穴だらけなんですよ」(司法ジャーナリスト)
報告書を読んだ政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授はこう言う。
「(報告書は)まるでツジツマが合っていない。『小渕弁護団』が書いたような内容です。例えば、陣中見舞いに使ったカネは、明らかに不正なのに、まるでなかったような評価です。配布物にしても、選挙の有無にかかわらず違法です。小渕議員の法的責任を問うのは難しいまでも、監督責任や政治的、道義的責任はある。本来は『辞職するべき』ですよ」
小渕氏は20日、地元・群馬の有権者の前で「本当に大勢の皆さま方に、心から心からおわびを申し上げます」と頭を下げたが、謝って済む問題ではないのだ。
**********東京スポーツ2015年10月21日10時00分
本当に第三者?小渕優子氏 疑惑調査で甘い報告
小渕優子元経産相(41)の関連団体の政治資金収支報告書に虚偽記載があったことで、調査を行っていた第三者委員会が19日、報告書の内容を明らかにした。
この件で小渕氏は不起訴。元秘書で会計責任者だった折田謙一郎被告(67)ら2人が執行猶予付きの有罪判決を受けている。
報告書では関連団体の収支報告書の繰越額よりも実際の預金額が約1億円下回っていたことを指摘。つまり1億円がどこかへ消えたわけだ。その原因を慶弔費や選挙の陣中見舞いなど領収書のないものを記載しなかったことが、積もり積もったと説明した。このズレを埋めるために元秘書らが虚偽記載したという。
全体的に甘い内容になっている感は否めない。委員長の佐々木善三弁護士は折田被告について「責任感が強くなかったら(ズレを)放置していた可能性もある」と話し、報告書でも「単純に折田氏を批判することに躊躇(ちゅうちょ)を覚える」と擁護。
また、小渕氏についても「政治資金規正法違反の件に全く関与していなかった」と結論付けた。
選挙区内の有権者に配ったワインも「担当秘書の独断で」(報告書から)、事務所のパソコンのハードディスクがドリルで破壊されたのは、不調だったパソコンを販売業者に引き渡したら、穴を開けられたという。
この第三者委員会とは何なのか。会見において委員会の事務局担当者なる人物が「誰が設置したがとなると小渕氏の意向」と説明していたが、事務局の実態もよくわからない。
自民党関係者は「事務局? 小渕事務所の人間とかほかにも…。詳しいことはよく分からない」と首をかしげるのみ。
これでは第三者というには疑問が残る。小渕氏は20日に地元で会見を開くという。疑惑を追及していた野党関係者は「当初は国会で説明すると言っていたのにウヤムヤになった」とこぼす。まだまだ尾を引きそうだ。
**********毎日新聞 2015年10月21日 13時18分
<小渕衆院議員>記者会見、おわびに終始 「今後も説明続ける」 /群馬
問題発覚から1年、自らの政治団体の不明朗会計から閣僚辞任、元秘書2人の有罪判決にいたった小渕優子衆院議員が20日、初めて公の場での説明に臨んだ。1時間余りの記者会見は何度も頭を下げ、おわびに終始。求められ続けてきた「説明責任」に対する回答は、自らが設置した「第三者委員会」の報告内容を繰り返すにとどまった。【高橋努、尾崎修二】
「一連の事件に関し、後援会や支持者など多くの皆さんにご心配、ご迷惑をかけた。心からおわび申し上げたい」。小渕氏は昨年10月の問題発覚以来、さまざまな場で繰り返した言葉とともに平身低頭して記者会見の口火を切った。しかし、議員としての責任のあり方を問われると、後援会の意向や「第三者委員会」の報告内容を盾に、強気の姿勢を貫いた。
「議席をどうしていくかは私が決めることではない。(記者会見に先立つ)渋川市での後援会との会合で、今後も群馬のために頑張れとの激励をいただいた。身を粉にして働いていく」。用意した書面から目を上げ、背筋を伸ばして断言した。
一方、昨年末の衆院選については「当選はしたが、(問題について)説明もできぬままの選挙だった。理解してもらっての当選とは考えていない」と述べ、今後も謝罪と説明を続けていくと弁明した。
それでも、「第三者委員会」について「議員本人に寛容過ぎる。お手盛りとの批判もあるが」と問われると、「3人の委員とは面識もなく、公平公正な立場で仕事をしてきた方々。お手盛りをする必要もない。これ以上できないほど調査していただいた」と述べ、調査は終了したとの認識を強く打ち出した。
◇支援者「全力で応援」 渋川で説明会、オンブズは質問状
渋川市での会合は非公開。出席した支援者らによると、小渕氏は冒頭、「1年間、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と謝罪し、「第三者委員会」の弁護士が事件の経緯を説明した。出席者から「誤解が解けてよかった」「これからも頑張って」と声が上がり、小渕氏は「地元住民のために一生懸命頑張ります」と述べ、涙ながらにお辞儀したという。
父の小渕恵三元首相の時代から選挙運動を支えてきた自民党の南波和憲県議(吾妻郡区)は会合後、「これからも今まで通り全力で応援していく」と話した。
一方、小渕氏を東京地検特捜部に刑事告発した「市民オンブズマン群馬」は20日、「第三者委員会」の調査結果報告書には疑問点が多いとして、小渕氏に公開質問状を出したことを明らかにした。「3億円を超える巨額の簿外支出の使途について詳細を明らかにする義務がある」「収支報告書に目を通し、秘書たちを指導・監督する政治家としての役割をなぜ放棄してきたのか」と質問している。鈴木庸事務局長は「疑念が全く晴れない。堂々と公開の場で説明すべきだ」と話した。【杉直樹】
**********日刊スポーツ2015年10月22日9時55分紙面から
【政界地獄耳】政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
心に刺さらない小渕の会見
★元経産相・小渕優子は本当に将来、首相の座を狙おうとしているのか。20日の地元で行った会見は、地元の選挙対策のため以外に心に刺さるものはなかった。そもそも事件自体が極めて乱暴なものだ。
★小渕の資金管理団体「未来産業研究会」など4団体の09年から13年分の政治資金収支報告書について、簿外支出を穴埋めする目的で、架空の寄付金を団体間で計上したり、地元支援者向けに開いた「観劇会」の収入を少なく申告したりしたとして、特捜部が政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で、ともに元秘書で、前群馬県中之条町長と、未来産業研究会の元会計責任者を在宅起訴した。小渕については「共謀などの関与が明らかではない」などとして、嫌疑不十分で不起訴となった。しかし判明した裏金は3億円以上。パソコンはドリルで穴をあけ解析不能に。使途についても全く分からなかったと言い張る小渕に国を任せるわけにはいかない。
★小渕が設置した第三者委も、委員長は元最高検検事・佐々木善三。委員も元仙台高裁長官・田中康久、元東京国税局調査官・野口光夫と素晴らしい経歴の歴々だが、これでは「悪いことしたけど知らなかったから罪はない」と根拠のないお墨付きを与えただけ。権威に守られて、地元でだけの釈明で被害者のごとき振る舞いが通用するのだろうか。潔いのは閣僚を辞任した時だけ。それ以来発言は1年ぶり。
★結局静かに時間が過ぎ、次の選挙での当選をみそぎとするのだろう。そして何事もなかったように役職に就きキャリアを重ねる。いずれは首相にという寸法だろうか。当選さえすれば、有権者は許したかもしれないが、首相になるには国民の理解が必要だ。(K)※敬称略
**********
■姫は、「個人的に相談していた弁護士を経由して、第三者委をつくってもらった」ので、「先生は公平公正な立場で懸命に仕事をしてきた方。私にお手盛りの報告をする必要はないと思う」と会見で記者団に説明しましたが、噴飯ものとしか言えません。
個人的に相談していた弁護士が誰なのか、関心が持たれますが、おおかた自民党群馬県連のウラ顧問弁護士のことだと思われます。弁護士が公正、中立だと姫が本気で思っているはずもなく、姫=自民党=利権だから、姫のために都合の良い結論を出してくれる弁護士が第三者委員会の委員長になったはずです。
そこで第三者委員会の構成員である佐々木善三委員長、田中康久委員、委員についてさらに検索してみました。
東電原発事故の国会事故調への東電の対応に関する第三者検証委員会で、東電の依頼を受けて、委員長になったのは田中康久弁護士(丸の内法律事務所)でした。同じく委員になったのは佐々木善三弁護士(晴海協和法律事務所)でした。まさに、第三者委員会のお仲間同士というわけです。
田中康久委員の略歴は次の通りです。
昭和15年1月1日生
昭和37年 東京大学法学部卒
昭和37年 司法試験合格
昭和40年 司法修習終了(17期)
昭和40年~平成16年 裁判官(東京地裁、旭川家地裁、法務省参事官、東京地裁判事部総括、東京高裁、前橋地裁所長、東京高裁判事部総括、名古屋地裁所長、仙台高裁長官)
平成17年 法務省公安審査委員会 委員長、弁護士登録、得意分野は民事執行、不動産登記、戸籍、破産、知財。
また、野口光夫委員の略歴は次の通りです。
1974(昭和49)年 立命館大学経営学部卒業
2005(平成17)年7月 大蔵省、東京国税局、大阪国政局、麹町税務署等の勤務を経て東京国税局調査部主査で退職。税理士登録。
その後税理士法・法人税法・消費税法等の改正立案作業に携わるほか、外国法人・大企業法人の調査、特に海外取引・移転価格調査を重点的に実施。海外取引調査・国際源泉調査・地価税調査等の経験を活かし、外国法人等を含む企業の顧問や株式上場(株式公開)・ M&A などの企業再編等を得意とする。駿河台法律会計事務所パートナー。
■このようなデタラメの第三者委員会の報告を根拠に、後援会はともかく、マスコミ相手に記者会見をするなど、説明責任とはかけ離れた無謀な暴挙として、よく恥ずかしげもなくできるものだと嘆息を禁じ得ませんが、それが通用するところが、保守王国の群馬ならではの現象といえます。
日弁連では、本来の第三者委員会のあるべき要素について、ガイドラインを発表しています。次のPDF資料を参照ください。
○第三者委員会の設置のためのガイドライン(日弁連)↓
oukchciaj.pdf
【市民オンブズマン群馬事務局から報告】
「このように収入と支出の双方にその実態があったのか否か、私自身大きな疑念を持ったところであり、収支報告書の内容のすべてを関係政治団体の報告書を第三者的な観点から調査して頂く必要があると考えています。そこで関係ない外部から弁護士や税理士などの専門家を入れて客観的な調査をして頂くことにしました。政治団体間の資金のやりとりも収支報告書上あったとされているので、その収支と支出が真実あったのかも含めて調査をしていただくことにしました。ただ、調査範囲は多数の団体、個人に及ぶことから、相応の調査期間を必要とする状況にございます」
その後、一向に第三者委員会の設置の過程も、活動内容も分からないまま、1年が経過しようとする時、突然10月19日(月)の午前中にマスコミ向けの記者会見が行われました。
この時、A4用紙14頁の報告書がマスコミに配布されました。当会ではこの報告書の入手をマスコミ関係者に依頼していますが、まだ入手できていません。地元紙の記者は、「在京の記者は持っているが、地元のこちら側にはまだ届いていない」というだけです。
そのため、姫のホームページにアクセスしてみましたが、2015年1月1日に「年頭のご挨拶」のあと、同29日にプロフィールを更新して以降、全く更新されていません。もちろん、不起訴処分になったことや、第三者委員会の活動ぶりや、国家老こと元秘書らの有罪判決など、重要な情報は全く掲載していません。
■この第三者委員会による10月19日の記者会見の内容をもとに、姫は翌日の10月20日午後、渋川市内で行われた自分の後援会幹部向け報告集会でも、その日の夕方、前橋市内で行われたマスコミ向けの記者会見でも、もっぱらこの第三者委員会報告をよりどころとしていました。
しかし第三者委員会の報告書の内容が未確認のため、何がどうなっているのかわかりません。そこで、10月19日の午後以降の新聞記事を見てみましょう。当会のコメントは青字で示してあります。
**********NHK 10月19日 13時01分
政治資金事件 小渕氏設置の第三者委が報告書
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/97/495beffee70647b95f204a16e19ef27e.jpg)
小渕元経済産業大臣の政治資金を巡る事件で、事実関係を調査してきた弁護士らは、19日、「不正行為は元秘書の判断や指示の下に行われたことは明らかだ」としたうえで、小渕氏の責任も軽微とは言えないなどとする報告書を公表しました。
この事件で、小渕元経済産業大臣は、弁護士や税理士で作る第三者委員会を設け、独自に事実関係の調査を進め、19日、弁護士らが東京都内で記者会見して、報告書を公表しました。
それによりますと、一連の不正経理について、「関係する政治団体の事実上の責任者である、元秘書の判断や指示の下に行われたことは明らかだ。小渕氏を守り、政治家として大成することを願っていた元秘書らが、世間体を重視して、つじつま合わせを行ったものだ」などとしています。
一方で、小渕氏については、「本人の関与は認められなかった」としながらも、「監督責任があることは当然で、その責任は軽微とは言えない」などと指摘しています。
弁護士によりますと、報告書は小渕氏にも手渡したということです。
小渕氏は20日夕方地元の群馬県で記者会見することにしています。
この事件で、東京地方裁判所は今月9日、小渕氏の資金管理団体などの収支報告書にうその記載をしたなどとして、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長と、元政策秘書の2人に対し、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しています。
★事件の経緯は
小渕元経済産業大臣の政治資金を巡る問題は、去年10月に明らかになりました。
「小渕優子後援会」などが主催した観劇会の収支が大きく食い違っていたことなどが問題となり、小渕氏は大臣就任から僅か1か月半で辞任しました。
大臣辞任の10日後、東京地検特捜部は小渕氏の後援会事務所などを一斉に捜索し、強制捜査に乗り出します。
そして、ことし4月、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(67)と加邉守喜元政策秘書(62)が、小渕氏の資金管理団体などの収支報告書にうその記載をしたなどとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴されました。
東京地方裁判所は今月9日、「収支報告書の虚偽記載や不記載は4つの政治団体で総額3億2000万円余りと多額で、政治活動への国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行だ。折田元秘書は虚偽記載の金額などを具体的に指示し、一部は裏金の捻出を目的としていたと認められ、責任は重い」と指摘し、折田元秘書に禁錮2年、執行猶予3年、加邉元秘書に禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡していました。
**********毎日新聞 2015年10月20日 地方版
小渕衆院議員:政治資金問題、第三者委調査 小渕氏の関与否定、追認 オンブズマン「出来レース」 /群馬
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/da/9051a45656cb3924563b5161ddedc916.jpg)
↑記者会見する佐々木善三委員長(テーブル中央)ら第三者委員会メンバー=東京都千代田区のホテルニューオータニで↑ ←※当会注:姫は議員会館からほど近いHニューオータニがお気に入りらしい。だから第三者委員会の会見もここを使ったのだろうか。また国家老の折田謙一郎被告は、1年前に地元から雲隠れした当時「東京・赤坂のホテルニューオータニで自民党に缶詰めにされて」(週刊現在2014年11月4日)いたようです。
小渕優子衆院議員(41)=群馬5区=の政治資金規正法違反事件で、小渕氏の依頼を受けて調査していた「第三者委員会」が19日、記者会見し「小渕氏は関与しておらず、法律上の責任はないが、監督責任は軽微ではない」との調査結果を公表した。記者会見で佐々木善三委員長は「今後、政治家として頑張っていただきたいという気持ち」と言及した。一方、小渕氏を刑事告発したオンブズマンは「出来レースのようだ」と不満を表明した。
東京都内のホテルで記者会見した佐々木委員長は、元最高検検事の弁護士。報告書要旨を約40分かけて読み上げ、「会場が1時間しか借りられない」ことを理由に、質疑応答は15分程度で打ち切った。←※当会注:H ニューオータニが1時間しか貸してくれなければ、なぜ記者クラブを使わないのだろうか。
9日に東京地裁で有罪判決を受けた元秘書の折田謙一郎・前中之条町長(67)の行為について、第三者委の報告書は「(秘書)退職までに自己責任で(政治資金収支報告書と実際の残高との約1億円の)乖離(かいり)を処理しようと決心して虚偽記載に至った。責任感が強くなければ乖離を放置した可能性もある」と指摘。乖離した原因について、佐々木委員長は「関係資料を全て特捜部に押収されている状況で、しかも古い話なので(調査は無理)」と述べた。←※当会注:関係資料を押収されているといっても、既に1年経過しており、不起訴処分になってからも既に半年が経過しており、この言い訳は有り得ない。
地裁判決が「裏金捻出も目的としていた」と指摘した観劇会については、第三者委が2009〜13年の「本物」の収支表を示した。毎年、約60万〜392万円の剰余金が出ていたが、秘書の人件費や交通費などが含まれていないことを理由に、「特に高額とは言えず、適正に運営されていた。実質的な余剰金は相当低い」と結論づけた。←※当会注:当会の指摘通り、観劇会では2000人の参加者から1万2千円を参加費として徴収したが、バス代や明治座の観劇料等が団体割引のため、半値程度で済んだと考えられる。地裁判決で「裏金捻出」とされたことから、当会の指摘が正しいと証明されたことになる。第三者委員会も年最大392万円の剰余金が出たことを認めざるを得なかったわけだが、秘書の人件費や交通費が含まれていないという訳の分からない理屈は、裏金捻出を裏付けている。
立件されなかった贈答品の問題では「選挙とは無関係と認められる」と強調した。ただ、公職選挙法が有権者の買収だけでなく利益供与(寄付行為)も禁止している点には触れなかった。←※当会注:選挙の有無にかかわらず、有権者への金品の供与は公選法違反の筈。
贈答品の中で特に問題となったのが、小渕氏の顔写真ラベルが貼られたワインだ。昨年10月に毎日新聞が報じ、明るみに出た。第三者委は「特製なので選挙区内の支援者も欲しがるなどしたため担当秘書が独断で手渡した」と判断したが、ワインを受け取った選挙区内の男性は小渕氏の支援者ではなく、ワインを欲しがったわけでもない。男性は「慶事の祝い品として地元秘書から受け取った」と証言している。このワインは不問に付されたことになる。←※当会注:当会は、「ワイン配布は公選法違反だ」として特捜部に告発したが、なぜか不問にされた。第三者委員会も佐々木弁護士が特捜部出身のヤメ検なので、同じ結論をこじつけている。なお、今後、候補者は誰でも金品を選挙民に配っても不問になるのか、東京地検特捜部や法務省、地元自治体の選挙管理委員会に確認する必要がある。
小渕氏は第三者委のヒアリングに対し、収支報告書の作成や、残高の乖離について「経験豊富な秘書らに安心して任せており、全く知らなかった」と回答したという。小渕氏の責任の取り方について考えを聞かれた佐々木委員長は、こう答えた。「小渕議員の責任は重いが、今後、政治家として頑張っていただきたいという気持ちは、調査結果を全体として読んでいただければ感じ取っていただけるかもしれません」【尾崎修二】←※当会注:これは第三者委員会の佐々木弁護士の率直な気持ちなのだろうが、中立性を自ら放棄する発言でもある。
◇「これからも応援」地元の声「道義的責任ある」
「第三者委員会」の報告書提出を受け、小渕優子衆院議員は20日、前橋市内で記者会見する。渋川市で後援会幹部と自民党県議の合同会議に出席した後、問題の経緯を説明するとみられる。
小渕議員の後援会員で、観劇会にも参加したことがあるという中之条町の女性(65)は「折田(謙一郎前町長)さんの判決ですべて終わりだと思う。優子さんに責任はないでしょう」と擁護する。「地元の集まりにもきちんと顔を出すし、仕事も頑張っている。これからも応援する気持ちに変わりはない」と言い切った。
一方、昨年の町長選で折田氏後継の現町長と戦った原沢今朝司町議(64)は「法律上問題はないというが、国会議員として道義的責任はあるはず。小渕さんは敬老会や成人式でこまめに地元に帰ってくる。でも『お騒がせして申し訳ない』と言うだけ。有権者は納得できない」と批判する。
小渕氏の説明責任について、原沢氏は「皮肉な話だが、今も折田さんが秘書だったら、こんなことはなかっただろう。『それなりに説明しないとまずい』とアドバイスしたのではないか」と指摘した。【高橋努】
◇「政治家として資質問われる」 市民オンブズ代表
小渕優子衆院議員を東京地検特捜部に刑事告発した「市民オンブズマン群馬」の小川賢代表(63)は19日、第三者委員会が「小渕氏に法律上の責任はない」との調査報告書を公表したことを受け、「本人に責任が及ばないようにするための出来レースのような印象を受ける」と述べた。担当秘書らが政治資金収支報告書を提出する際に小渕氏は中身を確認していなかったとされる点については「いくら忙しくても、事実ならば政治家としての資質が問われる」と指摘した。
小渕氏は20日に記者会見する。小川代表は「小渕氏が秘書の監督責任をどの程度重く考えているのか注視している。収支報告書の問題だけでなく、有権者へのワイン贈答などについても本人の口から説明を聞きたい」と語った。【田ノ上達也】
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◇「第三者委員会」報告書の要旨
◆2006年末時点で資金管理団体「未来産業研究会」の実際の預貯金残高が収支報告書上の残高より約1億円も少なくなっていた点について
一定期間をかけて積もり積もって1億円になったようだ。前年の繰越額を上回る繰越額を決め、それに見合うよう調整して報告書を作成していた。また、慶弔費や陣中見舞いなどの支出を記載していなかった。それらの支出の具体的な内容は古い話で、裁判でも問題視されていないので調査の必要はない。←※当会注:慶弔費も陣中見舞いも本人以外の秘書が配れば立派な公選法違反行為。本来なら、これだけでアウトの筈。
◆収支報告書への虚偽記載の原因
未来研の残高の1億円の乖離を解消するための、つじつま合わせが目的だった。折田氏は世間体も重視していた。地元新聞で公表される群馬県選出国会議員の政治団体の収入額についての評判を気にし、小渕優子後援会の収入額が他議員の団体と比べて突出して多かったり少なかったりしないよう配慮するのが自分の役割と考えていた。←※当会注:世間体というより、八ッ場ダム関連の土建業者らからの献金が多額なので、目立たないようにするのが主目的だったはず。
◆女性支援者向けの観劇会について
2012年の収支報告書には記載がない。折田氏は「12年は選挙(衆院選)があり、こういう内容を記載すると供応接待ではないかと疑われると思って書かなかった」と説明している。←※当会注:記載しないことが、裏金のマネーロンダリング行為そのもの。
◆折田氏らの悪質性について
虚偽記入は悪質だが、部外者との間で不正献金や支出があったと断罪されたわけではない。違反の原因となった未来研での残高の乖離は折田氏とは無関係。乖離を知った折田氏は、責任感や義務感の強さから虚偽記入に至った。←※当会注:これが第三者委員会のいうことか。
◆小渕氏に違反行為への関与や認識があったか
小渕氏本人や秘書らは関与や認識はなかったと説明している。小渕氏は当時非常に忙しかったという状況も客観的な裏付けだ。←※当会注:全く説明になっていない。
◆実姉の夫が経営する東京都内の服飾雑貨店での多額の物品購入について
海外出張などの際に要人にプレゼントしていたもので政治活動そのもの。小渕氏によると、親族経営のショップの商品と言えば話題作りになり、相手と打ち解けることができたという。秘書らが個人的に商品を購入して代金を支払った後、領収証を政治資金収支報告書の支出に流用したものもあった。これは問題がある。←※当会注:同じ嘘をつくならもっともっともらしいウソをつけ。
◆有名洋服店からの衣類購入について
小渕議員の洋服を購入した際の領収証を、経理担当ベテラン秘書が預かっているうちに、誤って未来研の収支報告書の支出に記載したものがあった。←※当会注:確信犯なのに、よくまあこんなウソを信じるものだろうか。第三者委とは到底思えない。
◆「小渕ワイン」の贈答について
選挙区外の支援者に配っていたが、特製のため区内の支援者も欲しがるなどしたため、担当秘書が独断で贈ったものがあった。選挙とは無関係。←※有権者にワインを配ったことがこれでハッキリした。さっそく東京地検特捜部の見解をあらためて確認したい。
◆ふるさと振興支部の会員に対するジャガイモ贈答について
毎年贈っており選挙が動機ではない。地元産のジャガイモを贈るので、ふるさとの振興にも寄与している。←※当会注:地元の農産物を有権者に贈ったことがこれでハッキリした。まさに買収だ。昨年12月の衆院選で2万票減らしたのは、農産物を贈らなかったのが原因かも。
◆高崎事務所のパソコンのハードディスク(HDD)破壊について
以前からパソコンがサーバーにつながらないなど不具合があったところ、(週刊誌が観劇会の収支のずれを報じた2日後の)昨年10月18日に異音がしたり動作が止まるなど状況が悪化した。19日に業者が新品に交換し、古いサーバーを引き取った。24日ごろに東京地検から提出を求められたため27日に業者を呼んだが、すでに業者がHDDにドリルで穴を開けていた。バックアップしたデータを検察官に提出したので捜査への支障はない。←※当会注:週刊誌がスクープしたらパソコンが不調になったのではなく、パソコンを強制的に不調にしたのではないか。使途不明金がバレるのを防ぐのが目的だ。高崎事務所はとくに疑惑の支出が多い環境なのかもしれない。
**********東京新聞2015年10月20日
政治資金事件できょう会見 小渕氏に真意求める声
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/95/f6c79eef7d46ca68b2ff438b6080b0b7.jpg)
↑小渕優子 元経済産業相↑
二十日に前橋市内で記者会見する小渕優子元経済産業相。関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件についてどんな言葉で説明責任を果たすのか。市民からはきちんと説明するよう求めたり、政治資金の流れを透明化する方策を示すよう求める声が上がった。
十九日に発表された、小渕氏側が設置した第三者委員会が小渕氏が不正に関与していなかったなどとする調査結果などについて後援会幹部らに説明した後に会見に臨む。この問題で経産相を辞任したのは昨年十月二十日。その際、「説明責任を果たす」としていたがこれまで自ら説明することはなかった。
小渕氏の地盤の中之条町に住む無職男性(63)は「説明責任について言及した時には期待したが一年間何もなく失望した」と言う。「第三者委も監督責任は指摘している。会見で議員辞職を表明しまた選挙で当選を目指すぐらいの覚悟を見せてほしい」と話した。安中市の六十代の女性も「関与は無くても責任はある。本人の説明が遅かった」と指摘。同市の女性(37)は「彼女が不正を知らなかったことはないと思う。金の使い方が市民感覚と違う。はぐらかさずに市民に分かる言葉で真意を語るべきだ」と話した。
小渕氏らを政治資金規正法違反容疑などで告発し、東京地検特捜部が小渕氏を不起訴処分としたのは不当だとして検察審査会に審査を申し立てた(審査会は不起訴相当と議決)「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「会見では一定の謝罪ですますのではなく、政治資金の流れを透明化する納得できる方策を示すべきだ」と話す。
**********日刊ゲンダイ2015年10月21日
ドリル優子事件 「無罪放免」のお墨付き与えた第三者委の詭弁
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/85/96038770d3788b516d822a418265f9d9.jpg)
↑まるで「小渕弁護団」だったヤメ判&ヤメ検第三者委(C)日刊ゲンダイ↑
こんなデタラメな調査結果に国民は納得するのか。小渕優子元経産相(41)の政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で19日、第三者委員会の調査報告書が公表された。億単位のカネの流れを複数年にわたって意図的に隠し、パソコンのハードディスクをドリルで破壊するという前代未聞の「証拠隠滅」の疑惑が指摘された事件だ。当然、小渕氏もアウトと思いきや、報告書は「無罪放免」にお墨付きを与えていた。
A4用紙14ページにまとめられた報告書の内容はハッキリ言って支離滅裂だ。特にヒドイのは、9日に政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で執行猶予付きの有罪判決を受けた元秘書、折田謙一郎被告(67)らをかばう表現だ。
「折田氏の責任感・義務感の強さが虚偽記入に結びついた」
「折田氏を批判することには躊躇を覚える」
まるで折田被告が故意犯ではなく、過失犯だったような言い回しだ。だいたい問題発覚後、町民ホッタラカシで町長職をブン投げて雲隠れした男にマトモな責任感や義務感があるワケがない。しかも、第三者委は「前年の繰越額を上回る任意の繰越額を決め、それに見合うように収入額や支出額を調整するといった方法で収支報告書を作成した」「つじつま合わせを行った」と認定しながら、「不正な収入や支出を隠したりすることに主眼が置かれていたものではない」と結論付けているのだ。カネの流れを意図的に調整したり、つじつま合わせをしたりする行為を世間では「粉飾」という。どこから見ても悪質な犯罪ではないか。
第三者委の委員長である佐々木善三弁護士は元最高検検事。委員を務めた田中康久弁護士は元仙台高裁長官、野口光夫税理士は元東京国税局調査官というリッパな経歴の持ち主だが、判決の主文で「有罪」を言い渡しながら、理由で「無罪」と言っているに等しい報告書を作って「正しい」と考えているなら、そろって国家資格は返上した方がいい。“主犯”の折田被告がこんな大アマ扱いじゃあ、“共犯”の小渕氏も「不正に関与しておらず、法律上の責任はない」との結論に至るワケだ。
「第三者委は問題が発覚した昨年10月、小渕議員が『説明責任を果たす』と言って設置されたものですが、誰がカネを出し、どこまで客観性が保たれたのかは疑問です。設置こそ1年前だが、折田被告が特捜部にパクられて資料が押収されたため、関係者らに話を聞くことができたのは、つい最近。第三者委が会見で『調査には限界がある』と認めたように穴だらけなんですよ」(司法ジャーナリスト)
報告書を読んだ政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授はこう言う。
「(報告書は)まるでツジツマが合っていない。『小渕弁護団』が書いたような内容です。例えば、陣中見舞いに使ったカネは、明らかに不正なのに、まるでなかったような評価です。配布物にしても、選挙の有無にかかわらず違法です。小渕議員の法的責任を問うのは難しいまでも、監督責任や政治的、道義的責任はある。本来は『辞職するべき』ですよ」
小渕氏は20日、地元・群馬の有権者の前で「本当に大勢の皆さま方に、心から心からおわびを申し上げます」と頭を下げたが、謝って済む問題ではないのだ。
**********東京スポーツ2015年10月21日10時00分
本当に第三者?小渕優子氏 疑惑調査で甘い報告
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/f1/ae4718d7ae7484eb76af5a2de2e7bed6.jpg)
小渕優子元経産相(41)の関連団体の政治資金収支報告書に虚偽記載があったことで、調査を行っていた第三者委員会が19日、報告書の内容を明らかにした。
この件で小渕氏は不起訴。元秘書で会計責任者だった折田謙一郎被告(67)ら2人が執行猶予付きの有罪判決を受けている。
報告書では関連団体の収支報告書の繰越額よりも実際の預金額が約1億円下回っていたことを指摘。つまり1億円がどこかへ消えたわけだ。その原因を慶弔費や選挙の陣中見舞いなど領収書のないものを記載しなかったことが、積もり積もったと説明した。このズレを埋めるために元秘書らが虚偽記載したという。
全体的に甘い内容になっている感は否めない。委員長の佐々木善三弁護士は折田被告について「責任感が強くなかったら(ズレを)放置していた可能性もある」と話し、報告書でも「単純に折田氏を批判することに躊躇(ちゅうちょ)を覚える」と擁護。
また、小渕氏についても「政治資金規正法違反の件に全く関与していなかった」と結論付けた。
選挙区内の有権者に配ったワインも「担当秘書の独断で」(報告書から)、事務所のパソコンのハードディスクがドリルで破壊されたのは、不調だったパソコンを販売業者に引き渡したら、穴を開けられたという。
この第三者委員会とは何なのか。会見において委員会の事務局担当者なる人物が「誰が設置したがとなると小渕氏の意向」と説明していたが、事務局の実態もよくわからない。
自民党関係者は「事務局? 小渕事務所の人間とかほかにも…。詳しいことはよく分からない」と首をかしげるのみ。
これでは第三者というには疑問が残る。小渕氏は20日に地元で会見を開くという。疑惑を追及していた野党関係者は「当初は国会で説明すると言っていたのにウヤムヤになった」とこぼす。まだまだ尾を引きそうだ。
**********毎日新聞 2015年10月21日 13時18分
<小渕衆院議員>記者会見、おわびに終始 「今後も説明続ける」 /群馬
問題発覚から1年、自らの政治団体の不明朗会計から閣僚辞任、元秘書2人の有罪判決にいたった小渕優子衆院議員が20日、初めて公の場での説明に臨んだ。1時間余りの記者会見は何度も頭を下げ、おわびに終始。求められ続けてきた「説明責任」に対する回答は、自らが設置した「第三者委員会」の報告内容を繰り返すにとどまった。【高橋努、尾崎修二】
「一連の事件に関し、後援会や支持者など多くの皆さんにご心配、ご迷惑をかけた。心からおわび申し上げたい」。小渕氏は昨年10月の問題発覚以来、さまざまな場で繰り返した言葉とともに平身低頭して記者会見の口火を切った。しかし、議員としての責任のあり方を問われると、後援会の意向や「第三者委員会」の報告内容を盾に、強気の姿勢を貫いた。
「議席をどうしていくかは私が決めることではない。(記者会見に先立つ)渋川市での後援会との会合で、今後も群馬のために頑張れとの激励をいただいた。身を粉にして働いていく」。用意した書面から目を上げ、背筋を伸ばして断言した。
一方、昨年末の衆院選については「当選はしたが、(問題について)説明もできぬままの選挙だった。理解してもらっての当選とは考えていない」と述べ、今後も謝罪と説明を続けていくと弁明した。
それでも、「第三者委員会」について「議員本人に寛容過ぎる。お手盛りとの批判もあるが」と問われると、「3人の委員とは面識もなく、公平公正な立場で仕事をしてきた方々。お手盛りをする必要もない。これ以上できないほど調査していただいた」と述べ、調査は終了したとの認識を強く打ち出した。
◇支援者「全力で応援」 渋川で説明会、オンブズは質問状
渋川市での会合は非公開。出席した支援者らによると、小渕氏は冒頭、「1年間、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と謝罪し、「第三者委員会」の弁護士が事件の経緯を説明した。出席者から「誤解が解けてよかった」「これからも頑張って」と声が上がり、小渕氏は「地元住民のために一生懸命頑張ります」と述べ、涙ながらにお辞儀したという。
父の小渕恵三元首相の時代から選挙運動を支えてきた自民党の南波和憲県議(吾妻郡区)は会合後、「これからも今まで通り全力で応援していく」と話した。
一方、小渕氏を東京地検特捜部に刑事告発した「市民オンブズマン群馬」は20日、「第三者委員会」の調査結果報告書には疑問点が多いとして、小渕氏に公開質問状を出したことを明らかにした。「3億円を超える巨額の簿外支出の使途について詳細を明らかにする義務がある」「収支報告書に目を通し、秘書たちを指導・監督する政治家としての役割をなぜ放棄してきたのか」と質問している。鈴木庸事務局長は「疑念が全く晴れない。堂々と公開の場で説明すべきだ」と話した。【杉直樹】
**********日刊スポーツ2015年10月22日9時55分紙面から
【政界地獄耳】政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
心に刺さらない小渕の会見
★元経産相・小渕優子は本当に将来、首相の座を狙おうとしているのか。20日の地元で行った会見は、地元の選挙対策のため以外に心に刺さるものはなかった。そもそも事件自体が極めて乱暴なものだ。
★小渕の資金管理団体「未来産業研究会」など4団体の09年から13年分の政治資金収支報告書について、簿外支出を穴埋めする目的で、架空の寄付金を団体間で計上したり、地元支援者向けに開いた「観劇会」の収入を少なく申告したりしたとして、特捜部が政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で、ともに元秘書で、前群馬県中之条町長と、未来産業研究会の元会計責任者を在宅起訴した。小渕については「共謀などの関与が明らかではない」などとして、嫌疑不十分で不起訴となった。しかし判明した裏金は3億円以上。パソコンはドリルで穴をあけ解析不能に。使途についても全く分からなかったと言い張る小渕に国を任せるわけにはいかない。
★小渕が設置した第三者委も、委員長は元最高検検事・佐々木善三。委員も元仙台高裁長官・田中康久、元東京国税局調査官・野口光夫と素晴らしい経歴の歴々だが、これでは「悪いことしたけど知らなかったから罪はない」と根拠のないお墨付きを与えただけ。権威に守られて、地元でだけの釈明で被害者のごとき振る舞いが通用するのだろうか。潔いのは閣僚を辞任した時だけ。それ以来発言は1年ぶり。
★結局静かに時間が過ぎ、次の選挙での当選をみそぎとするのだろう。そして何事もなかったように役職に就きキャリアを重ねる。いずれは首相にという寸法だろうか。当選さえすれば、有権者は許したかもしれないが、首相になるには国民の理解が必要だ。(K)※敬称略
**********
■姫は、「個人的に相談していた弁護士を経由して、第三者委をつくってもらった」ので、「先生は公平公正な立場で懸命に仕事をしてきた方。私にお手盛りの報告をする必要はないと思う」と会見で記者団に説明しましたが、噴飯ものとしか言えません。
個人的に相談していた弁護士が誰なのか、関心が持たれますが、おおかた自民党群馬県連のウラ顧問弁護士のことだと思われます。弁護士が公正、中立だと姫が本気で思っているはずもなく、姫=自民党=利権だから、姫のために都合の良い結論を出してくれる弁護士が第三者委員会の委員長になったはずです。
そこで第三者委員会の構成員である佐々木善三委員長、田中康久委員、委員についてさらに検索してみました。
東電原発事故の国会事故調への東電の対応に関する第三者検証委員会で、東電の依頼を受けて、委員長になったのは田中康久弁護士(丸の内法律事務所)でした。同じく委員になったのは佐々木善三弁護士(晴海協和法律事務所)でした。まさに、第三者委員会のお仲間同士というわけです。
田中康久委員の略歴は次の通りです。
昭和15年1月1日生
昭和37年 東京大学法学部卒
昭和37年 司法試験合格
昭和40年 司法修習終了(17期)
昭和40年~平成16年 裁判官(東京地裁、旭川家地裁、法務省参事官、東京地裁判事部総括、東京高裁、前橋地裁所長、東京高裁判事部総括、名古屋地裁所長、仙台高裁長官)
平成17年 法務省公安審査委員会 委員長、弁護士登録、得意分野は民事執行、不動産登記、戸籍、破産、知財。
また、野口光夫委員の略歴は次の通りです。
1974(昭和49)年 立命館大学経営学部卒業
2005(平成17)年7月 大蔵省、東京国税局、大阪国政局、麹町税務署等の勤務を経て東京国税局調査部主査で退職。税理士登録。
その後税理士法・法人税法・消費税法等の改正立案作業に携わるほか、外国法人・大企業法人の調査、特に海外取引・移転価格調査を重点的に実施。海外取引調査・国際源泉調査・地価税調査等の経験を活かし、外国法人等を含む企業の顧問や株式上場(株式公開)・ M&A などの企業再編等を得意とする。駿河台法律会計事務所パートナー。
■このようなデタラメの第三者委員会の報告を根拠に、後援会はともかく、マスコミ相手に記者会見をするなど、説明責任とはかけ離れた無謀な暴挙として、よく恥ずかしげもなくできるものだと嘆息を禁じ得ませんが、それが通用するところが、保守王国の群馬ならではの現象といえます。
日弁連では、本来の第三者委員会のあるべき要素について、ガイドラインを発表しています。次のPDF資料を参照ください。
○第三者委員会の設置のためのガイドライン(日弁連)↓
oukchciaj.pdf
【市民オンブズマン群馬事務局から報告】