■いよいよ本日10月2日午前10時30分から、東吾妻町萩生地区の圃場整備事業で大同有毒スラグを不法投棄した群馬県吾妻農業事務所の責任者に損害賠償を知事に命じるための住民訴訟事件の第2回口頭弁論が前橋地裁の201号法廷で開催されます。提訴からこれまでの本件請求事件の経緯は当会の次の一連のブログを参照ください。
○2015年4月30日:大同有毒スラグを斬る!…東吾妻町萩生地区の農道等への不法投棄問題の解決に向けて住民訴訟を提起↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1602.html#readmore
○2015年5月12日:【速報】東吾妻町農道の大同有毒スラグに舗装でフタをした県を相手取る住民訴訟で地裁から合議制審理の連絡↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1610.html#readmore
○2015年5月19日:【速報】東吾妻町農道の有毒スラグの舗装でフタ隠蔽住民訴訟の火蓋が切られる直前に地裁から来た連絡↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1620.html#readmore
○2014年5月24日:東吾妻町農道の有毒スラグの舗装でフタ隠蔽住民訴訟は金曜日開廷と決まるが、第1回口頭弁論期日は未定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1625.html#readmore
○2015年6月2日:東吾妻町萩生地区のスラグ不法投棄の住民訴訟第1回口頭弁論は7月10日(金)13:10前橋地裁21号法廷と決定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1634.html#readmore
○2015年7月6日:大同スラグ住民訴訟…7.10初公判直前に工事情報の開示を1か月半も先送りしてきた県吾妻農業事務所↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1656.html#readmore
○2015年7月7日:大同スラグ住民訴訟…被告の群馬県知事から答弁書到来!事の重大性を棚に上げ裁判所に門前払いを懇願か↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1657.html#readmore
○2015年7月8日:大同スラグ住民訴訟…7.10第一回口頭弁論期日を控えてオンブズマンが準備書面(1)を前橋地裁に提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1658.html#readmore
○2015年7月10日:大同スラグ住民訴訟…7.10第1回口頭弁論が開かれた前橋地裁201号法廷の模様↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1662.html#readmore
○2015年8月24日:大同スラグ住民訴訟…やっと農道舗装工事と区画整理補完工事の入札契約情報が8月27日に開示予定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1701.html#readmore
○2015年9月1日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区スラグ農道工事に係る住民監査請求結果を現場検証してみよう!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1708.html#readmore
○2015年9月2日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区でスラグ敷砂利に蓋をした群馬県から届いたハチャメチャ準備書面↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1709.html#readmore
○2015年9月5日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区スラグ農道工事に係る住民監査請求結果を更に現場検証!転圧不足だ!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1711.html#readmore
■今回の第2回口頭弁論に先立ち、原告住民らは、9月15日に原告準備書面(2)を前橋地裁に提出しました。本来は、9月10日までに提出するように裁判長から訴訟指揮があったのですが、その前提となる吾妻農業事務所における8月20日の公文書開示日が1週間遅れて、結局同8月27日となったため、原告として、膨大な開示資料の内容分析時間の短縮に努めましたが、5日間の提出遅れを余儀なくされたのでした。
*****【原告準備書面(2)】*****
iqj2015.9.pdf
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年9月15日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(2)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
平成27年7月10日の第1回口頭弁論で、裁判長から訴訟指揮のあった事項について、原告らは次のとおり陳述する。
第1 被告の本案前の主張について
第1回口頭弁論で、原告に対して裁判長は「原告は答弁書の2ページ目に“第2 本案前の主張」というのがある。これに対しての反論があれば、今すぐでなくてもよいが、反論をすること」と訴訟指揮をした。これについて、原告は次のとおり反論する。
1 監査請求前置主義について
(1) 原告らは、正当な監査請求を行ったところ、監査委員により「棄却する」旨の監査結果を得たので住民訴訟に踏み切ったものであり、監査請求前置主義の要件を満たしている。
(2) 被告は、本案前の主張として「違法な行為又は怠る事実は、監査請求において対象としていなかった行為又は怠る事実を新たに訴訟の段階で請求の対象とすることを認めない趣旨と解されている」との意見を述べているが、この根拠としている「新版逐条地方自治法〔第5次改訂版〕」なる代物は、松本英昭という人物が著者となっている。
(3) この松本英昭という人物の履歴を、ネットで検索したところ次の略歴情報を得た。
○松本英昭
昭和17年生。昭和39年東京大学法学部卒、自治省に入省。62年財政局地方債課長、平成元年行政局行政課長、2年大臣官房審議官(行政担当、財政担当)、5年総務審議官、6年国土庁地方振興局長、7年自治省行政局長、10年事務次官を経て、自治総合センター理事長、地方公務員共済組合連合会理事長、地方公務員共済組合協議会会長。第27次及び第28次地方制度調査会専門小委員会委員長、行政改革推進本部専門調査会委員
(4) 松本英昭の略歴を見ると、単に自治省(現・総務省)の官僚として行政の事務事業に携わっていて、平成10年に自治省の事務次官に上り詰めた後、天下り先期間を転々としていただけの人物であり、行政の事務には長けているが、行政法の知識は持ち合わせていないことがわかる。
(5) したがって、そのような人物が行政サイドの都合の良い「逐条解説書」を著したとはいえ、それは行政マンの単なる手引きであって、行政法の観点から掘り下げた解説書ではない。
(6) そうした単なるハンドブックを根拠として、被告が自分の都合の良いように勝手な解釈に基づく主張をするのは、公僕としていかがなものか。
2 違法性の承継について
(1) 被告の言うように、監査結果(甲10)では、「請求人が主張する違法性・不当性」について、「地方自治法第242条第1項違反(不当な公金の支出)」として「本件舗装工事は、群馬県知事が当該鉄鋼スラグを排出原因者に撤去させていれば実施する必要のなかった工事であるから、群馬県知事及び関係職員が本件舗装工事の施工により公金490万円を支給したことは、地方自治法第242条第1項に規定する公金の不当な支出に当たる」としている。
(2) 被告は、監査結果のこの箇所だけを見て、「違法な行為又は怠る事実を主張していない」としているが、原告は意見書(甲3)の中で、例えば、次のように、吾妻農業事務所長による違法行為について指摘していた。
「(1-2)支道6号線の敷き砂利について
「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」と題する県土整備部発出の文書(参考資料6参照)のなかで「④路床工、路面敷砂利に使用しない。」と明記されています。
また環境基準への適合性についても、「構造物の基礎工、裏込材および車道用下層路盤工は周辺土壌と区分する」と記述されています。
にもかかわらず県農政部は、敷き砂利や路床工に有害スラグを使用し、また周辺土壌と区分する処置もしていません。」
(3) このように、本事件における原告の違法な行為に係る請求は、既に監査請求の段階で、原告らによって縷々主張されていたのであり、監査委員も、監査結果(甲10)の16ページ中段で「下層路盤工として使用したとしつつ、路面敷き砂利として積算している農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低い物である」と指摘している。被告の言う「原告らの違法な行為に係る請求は,本訴において新たに請求の対象とするものであり,適法な住民監査請求を経ていない」という主張は、根拠のないものであり失当である。
(4) そもそも、監査結果(甲10)は、監査委員が作成しているかのように見えるが、実際には事務局の職員が編集している。そのため、いくら原告らが請求人として住民監査請求で主張しても、被告に都合の悪い個所は記録として残されず、監査結果にも反映されないのである。つまり、監査結果なるものは、被告が被告のために都合の良い結論に導くための形式的な手続きに過ぎない。住民監査請求で、住民の請求が少しでも実現した例が、極めて希であることからも、そのことが伺える。
第2 求釈明
監査結果(甲10)における「2 農村整備課及び吾妻農業事務所の見解」について、原告らは次の疑問や不明点があるので、被告に求釈明をする。
(1)ブレンド骨材の使用について
ア ブレンド骨材の環境基準等への適合性について
① 被告は、「本件農道整備工事において使用したブレンド骨材の環境基準等への適合性については、監理課通知に基づき、平成25年4月25日に工事請負業者から提出された使用材料の配合報告・使用承認願いに添付された試験結果報告書により確認済みである」というが、工事打合せ書(甲15)によれば、工区5の工事で道路工に使用された再生砕石(RC―40)の膨張安定性試験報告書の日付けが2013年4月16日、大同エコメット株式会社渋川事業所となっているが、大同エコメットは廃棄物処理法に基づく中間処理業の許可を得ていない業者である。なぜこのような業者の材料が使用できるのか説明されたい。
② 同じく、被告は「また、平成26年4月に群馬県県土整備部により実施された分析試験結果においても、当該ブレンド骨材が環境安全品質基準値以内であったことは確認されている。」というが、監理課通知(甲9)によれば、「また、環境基準への適合性については鉄鋼スラグに残留のおそれのある5品目についてブレンドした後の下記の②溶出・含有試験結果を提出させる」とある。工事打合せ書(甲15)によれば、工区5の工事で道路工に使用された再生砕石(RC-40)のスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書の日付けは平成24年(2012年)6月1日/成分、平成24年11月29日/物性となっている。上記①で2013年4月4日~7日にかけて膨張安定性試験を行って蒸気膨張比が1.5%以下だとして合格したスラグが、なぜ遅くとも前の年の6月1日にブレンドされていたのか、理由を分かりやすく説明されたい。
イ プレンド骨材の使用承認について
③ 被告は「群馬県農政部では、ブレンド骨材の使用に当たっては、監理課通知に準拠した取扱いをすることとしており、本件農道整備工事におけるプレンド骨材の使用についても、平成25年4月25日に工事請負業者から使用材料承認願の提出があり、担当者が監理課通知に基づき、その内容を確認して承認したものである」というが、実際には、平成25年4月3日に「使用材料の承認願い提出について」と題する工事打合せ書が南波建設から吾妻農業事務所あてに提出され、同日に受理されている(甲16)。これには「RC-40 再生クラッシャラン」として「使用工種:目石張工・敷砂利・路盤」とあり、竜ケ鼻建材株式会社のRC-40の試験結果報告書が添付されている。
同日に「使用材料の事前承認願い提出について」と題する工事打合せ書が、区画整理5工事の道路工に使用する再生砕石RC-40-0について、試験結果報告書の写しが提出され、同日に監督員の加藤栄樹から「上記材料について、内容を確認したので承認します。ただし膨張安定性試験結果については、現場使用1ヶ月以内の試験結果報告書を、再度提出されたい(膨脹安定性試験は使用1ヶ月以内のため)」として同日に回答されている(甲17)。この指摘は、大同エコメットによる膨張安定性試験報告書の蒸気残存膨張試験が2月17日~20日とあるため、工事打合せ書の協議日である4月3日の時点で1か月半を経過していたためとみられる。
その後、「使用材料の配合報告・使用承認願いの追加提出について」と題する工事打合せ書(甲15)が南波建設から吾妻農業事務所に提出されている。区画整理5工事については、大同エコメット製の再生砕石RC40-0の試験結果のうち、膨張安定性試験が1ヶ月以内のものに差し替えてあるが、大同エコメットのスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書は、4月3日付の工事打合せ書に添付されていたスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書と同一である。スラグの製造日が異なるのに、なぜ同一の1年半も前の試験成績書が提出されても、吾妻農業事務所はそれを受理して承認したのか、説明されたい。
④ 吾妻農業事務所が指摘した2013年2月21日付の膨張安定性試験成績書(甲17)には、中段のやや上に「採取枠No.34枠(F比率1:4)」という記載がある。この「F比率1:4」の意味は何か?また、甲15に添付されている膨張安定性試験報告書には「採取枠No.35枠」としか記載されていないが、ここの記載方法の相違のわけについて、なにか心当たりはあるか?
⑤ 区画整理補完3工事では「再生資源利用計画書 ―建設資材搬入工事用―」と題する建設リサイクルガイドライン対応とされる平成25年3月27日記入の文書がある(甲18)。これを見ると、砕石としては、再生採石RC-40(クラッシャーラン)が999.3㎥、粒度調整採石M-30が100.0㎡とある。これらは竜ケ鼻建材㈱が供給元とあるが、その後、確かに平成25年4月3日の工事打合せ書では、竜ケ鼻建材のRC-40再生クラッシャランなどが使用材料の承認願いとして提出されている。
ところが、平成25年4月25日の工事打合せ書(甲15)では、竜ケ鼻建材㈱が供給するのが粒調砕石M30-0の区画整理3工区の道路工だけとなり、5工区の道路工の粒調砕石M30-0と再生砕石RC40-0は佐藤建設工業が供給者となっている。となると、変更後の最終確定した「再生資源利用計画書」は、どの供給者がどのような砕石をそれぞれ何㎥利用したのか、実績ベースで教えてもらいたい。
ウ 監理課通知への適合性について
⑥ 被告は「請求人は、陳述において、監理課通知がブレンド骨材の路面敷砂利としての使用を禁じているにもかかわらず、吾妻農業事務所は本件農道整備工事においてブレンド骨材を路面敷砂利として使用しているから、同通知を無視して工事を施工したとしているが、本件農道整備工事は、同通知に基づき、下層路盤工として使用したものである」というが、本件農道整備工事(=区画整理補完3工事)で舗装した箇所以外の農道の計画平面図(甲19)を見ると、全てRC-40のt=10cmの敷き砂利となっている。なぜ、本件農道整備工事のステージで、「監理課通知に基づき、下層路盤工として使用した」といえるのか、説明されたい。どこかに、下層路盤工として使用したと記載してある箇所があれば、教えてもらいたい。
エ プレンド骨材の撤去の必要性について
⑦ 被告は「請求人は、県は本件農道整備工事で使用したブレンド骨材を撤去する必要があったとしているが、当該ブレンド骨材の環境基準等への適合性については、監理課通知に基づき確認しているほか、県土整備部が実施した分析試験結果も環境安全品質基準値以内であることから、撤去する必要はないものである」というが、上記②及び③で原告らが指摘した内容を踏まえて、どこが監理部通達に基づき確認しているのか、分かりやすく説明されたい。
(2)本件舗装工事について
ア 本件舗装工事の必要性について
⑧ 被告は「請求人は、本件農道整備工事にプレンド骨材が使用されていなければ、本件舗装工事は実施する必要がなかったとしているが、本件舗装工事において舗装した5つの路線は、ブレンド骨材の使用の有無にかかわらず、それぞれ実施する必要性があって実施したものであり、実際に地域住民等からも舗装要望を受けていた」としているが、実際に地域住民等から舗装要望を受けていたことを示す証拠を出してもらえるか。
イ 「蓋をする目的」について
⑨ 被告は「請求人は、本件舗装工事は本件農道整備工事においてブレンド骨材の使用が判明したため、これに『蓋をする目的』で実施されたものだとしているが、本件舗装工事において舗装した5つの路線は、プレンド骨材の使用の有無にかかわらず、それぞれ実施する必要性があって実施したものである。また、当該5路線の舗装の実施については、平成25年4月23日に開催した県営萩生川西土地改良事業推進協議会第24回工事委員会において、地域住民等から舗装要望があり、その際、この時点で本件圃場整備事業の事業期聞内に舗装を実施する旨を回答している」というが、ここで被告の言う、「平成25年4月23日に開催した第24回工事委員会の議事録を出してもらいたい。また、「本件圃場整備事業の事業期間内」というのは、いつからいつまでを指すのか分かりやすく示してほしい。
ウ 5つの路線の舗装理由について
⑩ 被告は「本件舗装工事において舗装した5つの路線の舗装理由は、それぞれ次のとおりである。(ア)支道6号、耕道7号及び耕道8号 道路が急勾配であることによるもの。(イ)支道7号 取水施設の管理のための必要性によるもの。(ウ) 支道27号 将来の維持管理費の低減を目的としたもの。」というが、これは、これらの舗装要件、つまり「道路が急こう配」「取水施設の管理の必要」「将来の維持管理費の低減」の観点から、利用者の要望をそれぞれ斟酌して、要望に全て答えた結果が5カ所の舗装路線だったのか。それとも、吾妻農業事務所が独自に利用者の要望内容を評価して順に並べ、優先度の高い場所だけ5カ所の舗装すべき路線を選定した結果なのか。
エ 本件舗装工事が本件農道整備工事の実施から一定期聞経過後に実施されたことについて
⑪ 被告は、「請求人は、陳述において、本件舗装工事の実施は本件農道整備工事の実施から一定の期間が経過した後に緊急に実施されていることが不自然だとしているが、本件舗装工事は、平成25年3月に実施した本件農道整備工事において整備した農道が切土、盛土等を行って新たに造成した路線であったことから、「農道設計の手引」等に基づき、―旦、交通開放することにより地盤の転圧を行い、一定期間を経過させて締め固めた後に舗装するステージコンストラクション(段階的施工法)を行ったことによるものである」と主張するが、群馬県寄りの監査委員でさえ、「設計書綴により確認したところ、確かに同工事において、ブレンド骨材は、下層路盤工としてではなく、路面敷砂利として積算され、使用されていた」とか、「下層路盤工として使用したとしつつ、路面敷砂利として積算している農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と述べている。この監査委員の指摘に対して、どのように反論するのか。
オ 本件舗装工事における舗装路線について
⑫ 被告は「また、平成26年6月に当該5路線を舗装したのは、プレンド骨材についてのいわれのない風評被害が発生するのを防ぐため、舗装工事の実施予定を早めて舗装したに過ぎない」というが、これまで環境基準をクリアしているから安全だと言い続けてきたはずの被告が、なぜ「風評被害」を気にしなければならないのか。
⑬ 被告の言う「風評被害」とは、根拠のない噂のために受ける被害のことだと思われる。この場合の被害者とは誰を想定しているのか?また、受ける被害とはどのようなものを想定しているのか?
⑭ また「根拠のない噂」のことを風評被害とするなら、被告の想定する「噂」とは、ある物事についての確実でない話のことだと思われる。この場合、確実でない話とは、どのような情報を想定しているのか?
カ 本件舗装工事の実施に当たり地域公共事業調整費を利用した理由について
⑮ 本件舗装工事の書目名である「地域公共事業調整費」というのは誰が所管し、どのような意義、目的、規模、対象の予算なのか。一般の県民にも分かりやすく説明されたい。
⑯ 被告は「平成26年度は、本件圃場整備事業を実施するための交付金の割当額が要望に対して非常に少なかったこと」を地域公共事業調整費の利用の理由としているが、交付金の割当額が、前年度や前々年度に比べてどのように変遷し、各年度の要望に対してどの程度少なかったのかを数値的に示してほしい。また、各年度の要望の内容とそれぞれの事業規模についても、具体的に示してほしい。
⑰ 被告は「本件農道整備工事において使用したプレンド骨材は環境基準等への適合性を確認して使用したものであった」というが、環境基準等への適合性について、なにを根拠に確認して仕様に踏み切ったのか、内部協議の議事録などと併せて示してほしい。
⑱ 被告は「いわれのない風評被害の発生を防止するため、予定よりも早期に舗装すべきと判断したことにより、地域公共事業調整費を利用したものである」というが、本来の舗装予定はいつを想定していたのか。
⑲ 被告は、早期に舗装するとなぜ風評被害の発生が防止できると考えたのか。因果関係を、一般県民が理解できるように具体的に説明してほしい。
⑳ 被告は「いわれのない風評被害の発生を防止するため、予定よりも早期に舗装すべきと判断したことにより、地域公共事業調整費を利用した」というが、地域公共事業調整費を利用すると、なぜ迅速に事業に着手できるようになるのか、一般県民・納税者がよくわかるように説明されたい。
第3 裁判所からの求釈明に対する補完説明
平成27年7月10日の第1回口頭弁論で、裁判長の指揮に沿って、原告らは、「本件工事にかかる公文書開示請求を被告にしており、早ければ平成27年8月20日に開示されること。その場合、原告準備書面(2)の提出は、同9月10日までに可能であること」と陳述した。しかし、遺憾ながら吾妻農業事務所が原告らに開示したのは、1週間遅れの8月27日であった。そのため、原告準備書面(2)の提出が5日ほど遅延を余儀なくされた。
ついては、改めて、裁判所からの求釈明に対して、次のとおり補完説明する。
<裁判所からの求釈明2>
「工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事」(訴状2頁13行目)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
次の項目は間違いがないことを確認した。
・工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事
・工事請負業者 南波建設株式会社
・起工日 平成25年3月7日(設計変更伺 平成25年6月7日)
・入札日 平成25年3月18日
・契約日 平成25年3月19日(変更契約日 平成25年6月7日)
・請負代金額 当初42,735,000円(変更後41,422,500円)
・工事完成日 平成25年6月28日
・完成検査日 平成25年7月11日
・検査合格日 平成25年7月11日
・請負代金支払日 平成25年7月19日
これに加えて、請負代金が変更(減額)となった理由は次のとおりであることが判明した。(甲20)
(内容)
・幹線排水路(3.4工事分)は、別途発注済みの工事の残区間を施工する工事であるが、水路の取付工事の関係から別途工事で対応した区間(約30m)を、本工事から除外したい。
・35-1ほ区の整地工に際し、現地に植木が植えてあり移植可能時期を確認したところ、4月以降は木が水を上げるため移植には適しないとのことから、移植時期を秋に変更し別途発注工事での対応とするため、本工事から除外したい。
・支道6号線(区画整理5工事)は土取山のすぐわきの為、土取山へのダンプの往来により舗装の沈下が懸念されることから、舗装を本工事から除外し、最終的な工事での対応としたい。
・その他、現地に合わせ数量の変更を行いたい。
<裁判所からの求釈明3>
「工事名 萩生川西地区農道舗装工事(本体舗装工事)」(訴状1頁末行)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
次の項目は間違いがないことを確認した。
・工事名 萩生川西地区 農道舗装工事
・工事請負業者 池原工業株式会社
・起工日 平成26年6月2日(設計変更伺 平成26年7月11日)
・入札日 平成26年6月11日
・契約日 平成26年6月12日(変更契約日 平成26年7月11日)
・請負代金額 当初 5,292,000円(変更後 6,490,800円)
・工事完成日 平成26年7月31日
・完成検査日 平成26年8月7日
・検査合格日 平成26年8月7日
・請負代金支払日 平成26年8月18日
これに加えて、請負代金が変更(増額)となった理由は次のとおりであることが判明した。(甲21)
(内容)
・当初は下層路盤の補足材を計上していなかったが、現地精査の結果、1cm程度の補足材が必要となるため、下層路盤の厚さを平均で11㎝程度としたい。
・その他、現地に合わせ数量の変更を行いたい。
この農道舗装工事は、平成26年度地域公共事業調整費という費目で実施されていることから、工事の実施は平成26年度に入ってから決定された可能性が高い。ただし、開示された公文書を見る限り、電子入札に向けて業者10社に対して指名通知があったのが平成26年6月3日、設計書及び契約条項を示したのが同6月3日午後2時から、同10日の午後4時まで、入札が平成26年6月11日午前9時に行われ、即時改札の結果、税抜き価格4,900,000円で池原工業㈱が落札者となった。工期は同6月12日~7月31日までの50日間だった。
一方、原告らは同6月1日に東吾妻町萩生地区の現場を訪れて、あまりにも夥しいスラグが農道に不法投棄されている現状をみて衝撃を受け、その時の写真や感想を原告小川のブログに同6月5日深夜に掲載したところ(甲22)、大きな反響を呼んだ。
同6月11日の入札日直前に、吾妻農業事務所が原告らのブログを見て、このままでは敷き砂利の上に舗装をかけてしまうことになるため、急遽、積算作業をやり直した。
その結果、敷砂利5cmを既設路盤材5cm(平均厚)と呼び替え、その上に不陸整正のための補足材1cm厚を施し、さらにその上に10cmのRC-40を下層路盤と称して継ぎ足してから舗装工事を施すことにした(甲23、甲24)。そして、この分の数量の増加分として、税抜き額490万円で落札した池原工業㈱に対して、さらに111万円を積み増し、請負金額税抜き601万円として平成26年7月11日に変更契約を締結した。
農道舗装工事を実施した場所はいずれも区画整理5工事に位置している(甲25)。黄色く着色してある道路5カ所が今回舗装路線であり、茶色に着色してある道路が貴舗装路線である。平成25年4月25日付で南波建設が吾妻農業事務所に提出した「工事打合せ書(使用材料の配合報告・使用承認願いの追加提出について)」によれば、佐藤建設工業製の再生砕石RC40-0は「使用工区 5工事」の道路工に使用されていることが分かる。従って吾妻農業事務所が、有毒スラグを敷砂利として使用した場所に舗装工事を施してカモフラージュしようとしたことは明らかである。
こうした付け焼刃なカモフラージュで、県民を煙に巻こうと企んで、「当初から、舗装を施す計画だった」などと平気でウソをつき、わざわざ「ステージコンストラクション(段階施工)」などという造語をでっち上げてまで、正当性を装ったところで、サル智慧はサル智慧に過ぎない。
吾妻農業事務所が、自ら監理課の通達に違背していたことを隠蔽しようとした事実は重大である。農村整備課もまたしかりであることは言うまでもない。
第4 結言
以上のように、吾妻農業事務所は、ウソの説明を監査委員にしており、さらにウソをつき通そうと、この裁判でもウソを塗り重ねた陳述をしている。このようなインチキの財務会計行為に対して、公金をつぎ込むことを決定した吾妻農業事務所長に対して、被告は庇うことなく、きちんと損害賠償請求を行わなければならない。
以 上
**********
■併せて、原告準備書面(2)に関連する証拠説明書を提出しました。
****【証拠説明書】******
3.pdf
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年9月15日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
証 拠 説 明 書
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
●甲16号証
b16hgpfogph25.4.3.pdf
標目:工事打合せ書(使用材料の承認願い提出について)
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月3日
作成者:南波建設
立証趣旨:竜ケ鼻建材㈱製のRC-40の試験結果報告書が添付されている。当初、南波建設はまともな再生砕石を使うつもりだったらしい。
●甲17号証
b17hgpofoghh25.4.3.pdf
標目:工事打合せ書(使用材料の事前承認願い提出について)
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月3日
作成者:南波建設
立証趣旨:佐藤建設工業㈱の再生砕石(RC40-0)の試験結果報告書が添付されている。区画整理5工事に有毒スラグを使うという誘惑に南波建設が負けて、吾妻農業事務所に事前承認願いを出したらなんと承認されてしまった。膨張安定性試験結果のデータが古いため、吾妻農業事務所に差し替えを指摘される。
●甲18号証
b18pvhp.pdf
標目:再生資源利用計画書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年3月27日
作成者:南波建設
立証趣旨:初めは南波建設も全量を竜ケ鼻建材㈱から調達するつもりだったらしい。しかし、佐藤建設工業から大同スラグを使うことになったにもかかわらず、変更修正をしていない。南波建設の文書管理もズサンだ。
●甲19号証
b19rhv.pdf
標目: 計画平面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年6月7日
作成者:吾妻農業事務所
立証趣旨:区画整理5工事の現場地図。いずれ未舗装路線には赤字で「敷き砂利」の文字が見える。吾妻農業事務所が、初めからスラグを「敷き砂利」と認識していた証しだ。
●甲20号証
b20rhhxaxra_ad.pdf
標目:工事変更請書・変更理由書・請負契約書・入札調書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月15日
作成者:南波建設ら
立証趣旨:補完3工事の入札から契約、変更までの主な書類。当初の落札金額から変更後、減額となっている。
●甲21号証
b21_hhxaxra_ad.pdf
標目:工事変更請書・変更理由書・請負契約書・入札調書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成27年7月2日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:農道舗装工事の入札から契約、変更までの主な書類。当初の落札金額から変更後、減額となっている。
●甲22号証
b22uo.pdf
標目:ブログ記事
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年6月5日
作成者:原告(小川賢)
立証趣旨:原告小川がブログ記事としてアップした情報。東吾妻町萩生地区におけるスラグ汚染の実態をレポート。この時はまだ、吾妻農業事務所が舗装をする前の状況だった。
●甲23号証
b23wf.pdf
標目:標準断面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:農道舗装工事の道路断面図。補完3工事で敷き砂利として施工されたものを、農道舗装工事で下層路盤の一部としてカモフラージュした苦心の作品。
●甲24号証
b24x27vzi10pj.pdf
標目:支道27号線 補足材数量計算書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:区画整理5工事の農道舗装工事で、支道27号線の敷き砂利の凸凹を不陸整正するために、補足材も入れる必要が出たため、道路断面図に施工位置を示すと共に、必要な数量を積算したもの。これも敷き砂利がじつは下層路盤だった、取り繕うための苦心の策。
●甲25号証
b25_hv.pdf
標目:農道舗装工事 計画平面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:区画整理5工事の農道舗装工事で、佐藤建設工業製の有毒スラグが大量に持ち込まれたため、舗装して隠蔽する必要が生じた今回舗装路線5カ所と、既舗装路線が分かる地図。
**********
■本日の第2回口頭弁論に向けて、昨日10月1日付で、訴え変更申立書を前橋地裁に提出しました。本日の法廷での裁判長の訴訟指揮が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
○2015年4月30日:大同有毒スラグを斬る!…東吾妻町萩生地区の農道等への不法投棄問題の解決に向けて住民訴訟を提起↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1602.html#readmore
○2015年5月12日:【速報】東吾妻町農道の大同有毒スラグに舗装でフタをした県を相手取る住民訴訟で地裁から合議制審理の連絡↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1610.html#readmore
○2015年5月19日:【速報】東吾妻町農道の有毒スラグの舗装でフタ隠蔽住民訴訟の火蓋が切られる直前に地裁から来た連絡↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1620.html#readmore
○2014年5月24日:東吾妻町農道の有毒スラグの舗装でフタ隠蔽住民訴訟は金曜日開廷と決まるが、第1回口頭弁論期日は未定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1625.html#readmore
○2015年6月2日:東吾妻町萩生地区のスラグ不法投棄の住民訴訟第1回口頭弁論は7月10日(金)13:10前橋地裁21号法廷と決定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1634.html#readmore
○2015年7月6日:大同スラグ住民訴訟…7.10初公判直前に工事情報の開示を1か月半も先送りしてきた県吾妻農業事務所↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1656.html#readmore
○2015年7月7日:大同スラグ住民訴訟…被告の群馬県知事から答弁書到来!事の重大性を棚に上げ裁判所に門前払いを懇願か↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1657.html#readmore
○2015年7月8日:大同スラグ住民訴訟…7.10第一回口頭弁論期日を控えてオンブズマンが準備書面(1)を前橋地裁に提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1658.html#readmore
○2015年7月10日:大同スラグ住民訴訟…7.10第1回口頭弁論が開かれた前橋地裁201号法廷の模様↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1662.html#readmore
○2015年8月24日:大同スラグ住民訴訟…やっと農道舗装工事と区画整理補完工事の入札契約情報が8月27日に開示予定↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1701.html#readmore
○2015年9月1日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区スラグ農道工事に係る住民監査請求結果を現場検証してみよう!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1708.html#readmore
○2015年9月2日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区でスラグ敷砂利に蓋をした群馬県から届いたハチャメチャ準備書面↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1709.html#readmore
○2015年9月5日:大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区スラグ農道工事に係る住民監査請求結果を更に現場検証!転圧不足だ!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1711.html#readmore
■今回の第2回口頭弁論に先立ち、原告住民らは、9月15日に原告準備書面(2)を前橋地裁に提出しました。本来は、9月10日までに提出するように裁判長から訴訟指揮があったのですが、その前提となる吾妻農業事務所における8月20日の公文書開示日が1週間遅れて、結局同8月27日となったため、原告として、膨大な開示資料の内容分析時間の短縮に努めましたが、5日間の提出遅れを余儀なくされたのでした。
*****【原告準備書面(2)】*****
iqj2015.9.pdf
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年9月15日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(2)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
平成27年7月10日の第1回口頭弁論で、裁判長から訴訟指揮のあった事項について、原告らは次のとおり陳述する。
第1 被告の本案前の主張について
第1回口頭弁論で、原告に対して裁判長は「原告は答弁書の2ページ目に“第2 本案前の主張」というのがある。これに対しての反論があれば、今すぐでなくてもよいが、反論をすること」と訴訟指揮をした。これについて、原告は次のとおり反論する。
1 監査請求前置主義について
(1) 原告らは、正当な監査請求を行ったところ、監査委員により「棄却する」旨の監査結果を得たので住民訴訟に踏み切ったものであり、監査請求前置主義の要件を満たしている。
(2) 被告は、本案前の主張として「違法な行為又は怠る事実は、監査請求において対象としていなかった行為又は怠る事実を新たに訴訟の段階で請求の対象とすることを認めない趣旨と解されている」との意見を述べているが、この根拠としている「新版逐条地方自治法〔第5次改訂版〕」なる代物は、松本英昭という人物が著者となっている。
(3) この松本英昭という人物の履歴を、ネットで検索したところ次の略歴情報を得た。
○松本英昭
昭和17年生。昭和39年東京大学法学部卒、自治省に入省。62年財政局地方債課長、平成元年行政局行政課長、2年大臣官房審議官(行政担当、財政担当)、5年総務審議官、6年国土庁地方振興局長、7年自治省行政局長、10年事務次官を経て、自治総合センター理事長、地方公務員共済組合連合会理事長、地方公務員共済組合協議会会長。第27次及び第28次地方制度調査会専門小委員会委員長、行政改革推進本部専門調査会委員
(4) 松本英昭の略歴を見ると、単に自治省(現・総務省)の官僚として行政の事務事業に携わっていて、平成10年に自治省の事務次官に上り詰めた後、天下り先期間を転々としていただけの人物であり、行政の事務には長けているが、行政法の知識は持ち合わせていないことがわかる。
(5) したがって、そのような人物が行政サイドの都合の良い「逐条解説書」を著したとはいえ、それは行政マンの単なる手引きであって、行政法の観点から掘り下げた解説書ではない。
(6) そうした単なるハンドブックを根拠として、被告が自分の都合の良いように勝手な解釈に基づく主張をするのは、公僕としていかがなものか。
2 違法性の承継について
(1) 被告の言うように、監査結果(甲10)では、「請求人が主張する違法性・不当性」について、「地方自治法第242条第1項違反(不当な公金の支出)」として「本件舗装工事は、群馬県知事が当該鉄鋼スラグを排出原因者に撤去させていれば実施する必要のなかった工事であるから、群馬県知事及び関係職員が本件舗装工事の施工により公金490万円を支給したことは、地方自治法第242条第1項に規定する公金の不当な支出に当たる」としている。
(2) 被告は、監査結果のこの箇所だけを見て、「違法な行為又は怠る事実を主張していない」としているが、原告は意見書(甲3)の中で、例えば、次のように、吾妻農業事務所長による違法行為について指摘していた。
「(1-2)支道6号線の敷き砂利について
「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」と題する県土整備部発出の文書(参考資料6参照)のなかで「④路床工、路面敷砂利に使用しない。」と明記されています。
また環境基準への適合性についても、「構造物の基礎工、裏込材および車道用下層路盤工は周辺土壌と区分する」と記述されています。
にもかかわらず県農政部は、敷き砂利や路床工に有害スラグを使用し、また周辺土壌と区分する処置もしていません。」
(3) このように、本事件における原告の違法な行為に係る請求は、既に監査請求の段階で、原告らによって縷々主張されていたのであり、監査委員も、監査結果(甲10)の16ページ中段で「下層路盤工として使用したとしつつ、路面敷き砂利として積算している農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低い物である」と指摘している。被告の言う「原告らの違法な行為に係る請求は,本訴において新たに請求の対象とするものであり,適法な住民監査請求を経ていない」という主張は、根拠のないものであり失当である。
(4) そもそも、監査結果(甲10)は、監査委員が作成しているかのように見えるが、実際には事務局の職員が編集している。そのため、いくら原告らが請求人として住民監査請求で主張しても、被告に都合の悪い個所は記録として残されず、監査結果にも反映されないのである。つまり、監査結果なるものは、被告が被告のために都合の良い結論に導くための形式的な手続きに過ぎない。住民監査請求で、住民の請求が少しでも実現した例が、極めて希であることからも、そのことが伺える。
第2 求釈明
監査結果(甲10)における「2 農村整備課及び吾妻農業事務所の見解」について、原告らは次の疑問や不明点があるので、被告に求釈明をする。
(1)ブレンド骨材の使用について
ア ブレンド骨材の環境基準等への適合性について
① 被告は、「本件農道整備工事において使用したブレンド骨材の環境基準等への適合性については、監理課通知に基づき、平成25年4月25日に工事請負業者から提出された使用材料の配合報告・使用承認願いに添付された試験結果報告書により確認済みである」というが、工事打合せ書(甲15)によれば、工区5の工事で道路工に使用された再生砕石(RC―40)の膨張安定性試験報告書の日付けが2013年4月16日、大同エコメット株式会社渋川事業所となっているが、大同エコメットは廃棄物処理法に基づく中間処理業の許可を得ていない業者である。なぜこのような業者の材料が使用できるのか説明されたい。
② 同じく、被告は「また、平成26年4月に群馬県県土整備部により実施された分析試験結果においても、当該ブレンド骨材が環境安全品質基準値以内であったことは確認されている。」というが、監理課通知(甲9)によれば、「また、環境基準への適合性については鉄鋼スラグに残留のおそれのある5品目についてブレンドした後の下記の②溶出・含有試験結果を提出させる」とある。工事打合せ書(甲15)によれば、工区5の工事で道路工に使用された再生砕石(RC-40)のスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書の日付けは平成24年(2012年)6月1日/成分、平成24年11月29日/物性となっている。上記①で2013年4月4日~7日にかけて膨張安定性試験を行って蒸気膨張比が1.5%以下だとして合格したスラグが、なぜ遅くとも前の年の6月1日にブレンドされていたのか、理由を分かりやすく説明されたい。
イ プレンド骨材の使用承認について
③ 被告は「群馬県農政部では、ブレンド骨材の使用に当たっては、監理課通知に準拠した取扱いをすることとしており、本件農道整備工事におけるプレンド骨材の使用についても、平成25年4月25日に工事請負業者から使用材料承認願の提出があり、担当者が監理課通知に基づき、その内容を確認して承認したものである」というが、実際には、平成25年4月3日に「使用材料の承認願い提出について」と題する工事打合せ書が南波建設から吾妻農業事務所あてに提出され、同日に受理されている(甲16)。これには「RC-40 再生クラッシャラン」として「使用工種:目石張工・敷砂利・路盤」とあり、竜ケ鼻建材株式会社のRC-40の試験結果報告書が添付されている。
同日に「使用材料の事前承認願い提出について」と題する工事打合せ書が、区画整理5工事の道路工に使用する再生砕石RC-40-0について、試験結果報告書の写しが提出され、同日に監督員の加藤栄樹から「上記材料について、内容を確認したので承認します。ただし膨張安定性試験結果については、現場使用1ヶ月以内の試験結果報告書を、再度提出されたい(膨脹安定性試験は使用1ヶ月以内のため)」として同日に回答されている(甲17)。この指摘は、大同エコメットによる膨張安定性試験報告書の蒸気残存膨張試験が2月17日~20日とあるため、工事打合せ書の協議日である4月3日の時点で1か月半を経過していたためとみられる。
その後、「使用材料の配合報告・使用承認願いの追加提出について」と題する工事打合せ書(甲15)が南波建設から吾妻農業事務所に提出されている。区画整理5工事については、大同エコメット製の再生砕石RC40-0の試験結果のうち、膨張安定性試験が1ヶ月以内のものに差し替えてあるが、大同エコメットのスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書は、4月3日付の工事打合せ書に添付されていたスラグ混合下層路盤材(RC-40)試験成績書と同一である。スラグの製造日が異なるのに、なぜ同一の1年半も前の試験成績書が提出されても、吾妻農業事務所はそれを受理して承認したのか、説明されたい。
④ 吾妻農業事務所が指摘した2013年2月21日付の膨張安定性試験成績書(甲17)には、中段のやや上に「採取枠No.34枠(F比率1:4)」という記載がある。この「F比率1:4」の意味は何か?また、甲15に添付されている膨張安定性試験報告書には「採取枠No.35枠」としか記載されていないが、ここの記載方法の相違のわけについて、なにか心当たりはあるか?
⑤ 区画整理補完3工事では「再生資源利用計画書 ―建設資材搬入工事用―」と題する建設リサイクルガイドライン対応とされる平成25年3月27日記入の文書がある(甲18)。これを見ると、砕石としては、再生採石RC-40(クラッシャーラン)が999.3㎥、粒度調整採石M-30が100.0㎡とある。これらは竜ケ鼻建材㈱が供給元とあるが、その後、確かに平成25年4月3日の工事打合せ書では、竜ケ鼻建材のRC-40再生クラッシャランなどが使用材料の承認願いとして提出されている。
ところが、平成25年4月25日の工事打合せ書(甲15)では、竜ケ鼻建材㈱が供給するのが粒調砕石M30-0の区画整理3工区の道路工だけとなり、5工区の道路工の粒調砕石M30-0と再生砕石RC40-0は佐藤建設工業が供給者となっている。となると、変更後の最終確定した「再生資源利用計画書」は、どの供給者がどのような砕石をそれぞれ何㎥利用したのか、実績ベースで教えてもらいたい。
ウ 監理課通知への適合性について
⑥ 被告は「請求人は、陳述において、監理課通知がブレンド骨材の路面敷砂利としての使用を禁じているにもかかわらず、吾妻農業事務所は本件農道整備工事においてブレンド骨材を路面敷砂利として使用しているから、同通知を無視して工事を施工したとしているが、本件農道整備工事は、同通知に基づき、下層路盤工として使用したものである」というが、本件農道整備工事(=区画整理補完3工事)で舗装した箇所以外の農道の計画平面図(甲19)を見ると、全てRC-40のt=10cmの敷き砂利となっている。なぜ、本件農道整備工事のステージで、「監理課通知に基づき、下層路盤工として使用した」といえるのか、説明されたい。どこかに、下層路盤工として使用したと記載してある箇所があれば、教えてもらいたい。
エ プレンド骨材の撤去の必要性について
⑦ 被告は「請求人は、県は本件農道整備工事で使用したブレンド骨材を撤去する必要があったとしているが、当該ブレンド骨材の環境基準等への適合性については、監理課通知に基づき確認しているほか、県土整備部が実施した分析試験結果も環境安全品質基準値以内であることから、撤去する必要はないものである」というが、上記②及び③で原告らが指摘した内容を踏まえて、どこが監理部通達に基づき確認しているのか、分かりやすく説明されたい。
(2)本件舗装工事について
ア 本件舗装工事の必要性について
⑧ 被告は「請求人は、本件農道整備工事にプレンド骨材が使用されていなければ、本件舗装工事は実施する必要がなかったとしているが、本件舗装工事において舗装した5つの路線は、ブレンド骨材の使用の有無にかかわらず、それぞれ実施する必要性があって実施したものであり、実際に地域住民等からも舗装要望を受けていた」としているが、実際に地域住民等から舗装要望を受けていたことを示す証拠を出してもらえるか。
イ 「蓋をする目的」について
⑨ 被告は「請求人は、本件舗装工事は本件農道整備工事においてブレンド骨材の使用が判明したため、これに『蓋をする目的』で実施されたものだとしているが、本件舗装工事において舗装した5つの路線は、プレンド骨材の使用の有無にかかわらず、それぞれ実施する必要性があって実施したものである。また、当該5路線の舗装の実施については、平成25年4月23日に開催した県営萩生川西土地改良事業推進協議会第24回工事委員会において、地域住民等から舗装要望があり、その際、この時点で本件圃場整備事業の事業期聞内に舗装を実施する旨を回答している」というが、ここで被告の言う、「平成25年4月23日に開催した第24回工事委員会の議事録を出してもらいたい。また、「本件圃場整備事業の事業期間内」というのは、いつからいつまでを指すのか分かりやすく示してほしい。
ウ 5つの路線の舗装理由について
⑩ 被告は「本件舗装工事において舗装した5つの路線の舗装理由は、それぞれ次のとおりである。(ア)支道6号、耕道7号及び耕道8号 道路が急勾配であることによるもの。(イ)支道7号 取水施設の管理のための必要性によるもの。(ウ) 支道27号 将来の維持管理費の低減を目的としたもの。」というが、これは、これらの舗装要件、つまり「道路が急こう配」「取水施設の管理の必要」「将来の維持管理費の低減」の観点から、利用者の要望をそれぞれ斟酌して、要望に全て答えた結果が5カ所の舗装路線だったのか。それとも、吾妻農業事務所が独自に利用者の要望内容を評価して順に並べ、優先度の高い場所だけ5カ所の舗装すべき路線を選定した結果なのか。
エ 本件舗装工事が本件農道整備工事の実施から一定期聞経過後に実施されたことについて
⑪ 被告は、「請求人は、陳述において、本件舗装工事の実施は本件農道整備工事の実施から一定の期間が経過した後に緊急に実施されていることが不自然だとしているが、本件舗装工事は、平成25年3月に実施した本件農道整備工事において整備した農道が切土、盛土等を行って新たに造成した路線であったことから、「農道設計の手引」等に基づき、―旦、交通開放することにより地盤の転圧を行い、一定期間を経過させて締め固めた後に舗装するステージコンストラクション(段階的施工法)を行ったことによるものである」と主張するが、群馬県寄りの監査委員でさえ、「設計書綴により確認したところ、確かに同工事において、ブレンド骨材は、下層路盤工としてではなく、路面敷砂利として積算され、使用されていた」とか、「下層路盤工として使用したとしつつ、路面敷砂利として積算している農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と述べている。この監査委員の指摘に対して、どのように反論するのか。
オ 本件舗装工事における舗装路線について
⑫ 被告は「また、平成26年6月に当該5路線を舗装したのは、プレンド骨材についてのいわれのない風評被害が発生するのを防ぐため、舗装工事の実施予定を早めて舗装したに過ぎない」というが、これまで環境基準をクリアしているから安全だと言い続けてきたはずの被告が、なぜ「風評被害」を気にしなければならないのか。
⑬ 被告の言う「風評被害」とは、根拠のない噂のために受ける被害のことだと思われる。この場合の被害者とは誰を想定しているのか?また、受ける被害とはどのようなものを想定しているのか?
⑭ また「根拠のない噂」のことを風評被害とするなら、被告の想定する「噂」とは、ある物事についての確実でない話のことだと思われる。この場合、確実でない話とは、どのような情報を想定しているのか?
カ 本件舗装工事の実施に当たり地域公共事業調整費を利用した理由について
⑮ 本件舗装工事の書目名である「地域公共事業調整費」というのは誰が所管し、どのような意義、目的、規模、対象の予算なのか。一般の県民にも分かりやすく説明されたい。
⑯ 被告は「平成26年度は、本件圃場整備事業を実施するための交付金の割当額が要望に対して非常に少なかったこと」を地域公共事業調整費の利用の理由としているが、交付金の割当額が、前年度や前々年度に比べてどのように変遷し、各年度の要望に対してどの程度少なかったのかを数値的に示してほしい。また、各年度の要望の内容とそれぞれの事業規模についても、具体的に示してほしい。
⑰ 被告は「本件農道整備工事において使用したプレンド骨材は環境基準等への適合性を確認して使用したものであった」というが、環境基準等への適合性について、なにを根拠に確認して仕様に踏み切ったのか、内部協議の議事録などと併せて示してほしい。
⑱ 被告は「いわれのない風評被害の発生を防止するため、予定よりも早期に舗装すべきと判断したことにより、地域公共事業調整費を利用したものである」というが、本来の舗装予定はいつを想定していたのか。
⑲ 被告は、早期に舗装するとなぜ風評被害の発生が防止できると考えたのか。因果関係を、一般県民が理解できるように具体的に説明してほしい。
⑳ 被告は「いわれのない風評被害の発生を防止するため、予定よりも早期に舗装すべきと判断したことにより、地域公共事業調整費を利用した」というが、地域公共事業調整費を利用すると、なぜ迅速に事業に着手できるようになるのか、一般県民・納税者がよくわかるように説明されたい。
第3 裁判所からの求釈明に対する補完説明
平成27年7月10日の第1回口頭弁論で、裁判長の指揮に沿って、原告らは、「本件工事にかかる公文書開示請求を被告にしており、早ければ平成27年8月20日に開示されること。その場合、原告準備書面(2)の提出は、同9月10日までに可能であること」と陳述した。しかし、遺憾ながら吾妻農業事務所が原告らに開示したのは、1週間遅れの8月27日であった。そのため、原告準備書面(2)の提出が5日ほど遅延を余儀なくされた。
ついては、改めて、裁判所からの求釈明に対して、次のとおり補完説明する。
<裁判所からの求釈明2>
「工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事」(訴状2頁13行目)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
次の項目は間違いがないことを確認した。
・工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事
・工事請負業者 南波建設株式会社
・起工日 平成25年3月7日(設計変更伺 平成25年6月7日)
・入札日 平成25年3月18日
・契約日 平成25年3月19日(変更契約日 平成25年6月7日)
・請負代金額 当初42,735,000円(変更後41,422,500円)
・工事完成日 平成25年6月28日
・完成検査日 平成25年7月11日
・検査合格日 平成25年7月11日
・請負代金支払日 平成25年7月19日
これに加えて、請負代金が変更(減額)となった理由は次のとおりであることが判明した。(甲20)
(内容)
・幹線排水路(3.4工事分)は、別途発注済みの工事の残区間を施工する工事であるが、水路の取付工事の関係から別途工事で対応した区間(約30m)を、本工事から除外したい。
・35-1ほ区の整地工に際し、現地に植木が植えてあり移植可能時期を確認したところ、4月以降は木が水を上げるため移植には適しないとのことから、移植時期を秋に変更し別途発注工事での対応とするため、本工事から除外したい。
・支道6号線(区画整理5工事)は土取山のすぐわきの為、土取山へのダンプの往来により舗装の沈下が懸念されることから、舗装を本工事から除外し、最終的な工事での対応としたい。
・その他、現地に合わせ数量の変更を行いたい。
<裁判所からの求釈明3>
「工事名 萩生川西地区農道舗装工事(本体舗装工事)」(訴状1頁末行)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
次の項目は間違いがないことを確認した。
・工事名 萩生川西地区 農道舗装工事
・工事請負業者 池原工業株式会社
・起工日 平成26年6月2日(設計変更伺 平成26年7月11日)
・入札日 平成26年6月11日
・契約日 平成26年6月12日(変更契約日 平成26年7月11日)
・請負代金額 当初 5,292,000円(変更後 6,490,800円)
・工事完成日 平成26年7月31日
・完成検査日 平成26年8月7日
・検査合格日 平成26年8月7日
・請負代金支払日 平成26年8月18日
これに加えて、請負代金が変更(増額)となった理由は次のとおりであることが判明した。(甲21)
(内容)
・当初は下層路盤の補足材を計上していなかったが、現地精査の結果、1cm程度の補足材が必要となるため、下層路盤の厚さを平均で11㎝程度としたい。
・その他、現地に合わせ数量の変更を行いたい。
この農道舗装工事は、平成26年度地域公共事業調整費という費目で実施されていることから、工事の実施は平成26年度に入ってから決定された可能性が高い。ただし、開示された公文書を見る限り、電子入札に向けて業者10社に対して指名通知があったのが平成26年6月3日、設計書及び契約条項を示したのが同6月3日午後2時から、同10日の午後4時まで、入札が平成26年6月11日午前9時に行われ、即時改札の結果、税抜き価格4,900,000円で池原工業㈱が落札者となった。工期は同6月12日~7月31日までの50日間だった。
一方、原告らは同6月1日に東吾妻町萩生地区の現場を訪れて、あまりにも夥しいスラグが農道に不法投棄されている現状をみて衝撃を受け、その時の写真や感想を原告小川のブログに同6月5日深夜に掲載したところ(甲22)、大きな反響を呼んだ。
同6月11日の入札日直前に、吾妻農業事務所が原告らのブログを見て、このままでは敷き砂利の上に舗装をかけてしまうことになるため、急遽、積算作業をやり直した。
その結果、敷砂利5cmを既設路盤材5cm(平均厚)と呼び替え、その上に不陸整正のための補足材1cm厚を施し、さらにその上に10cmのRC-40を下層路盤と称して継ぎ足してから舗装工事を施すことにした(甲23、甲24)。そして、この分の数量の増加分として、税抜き額490万円で落札した池原工業㈱に対して、さらに111万円を積み増し、請負金額税抜き601万円として平成26年7月11日に変更契約を締結した。
農道舗装工事を実施した場所はいずれも区画整理5工事に位置している(甲25)。黄色く着色してある道路5カ所が今回舗装路線であり、茶色に着色してある道路が貴舗装路線である。平成25年4月25日付で南波建設が吾妻農業事務所に提出した「工事打合せ書(使用材料の配合報告・使用承認願いの追加提出について)」によれば、佐藤建設工業製の再生砕石RC40-0は「使用工区 5工事」の道路工に使用されていることが分かる。従って吾妻農業事務所が、有毒スラグを敷砂利として使用した場所に舗装工事を施してカモフラージュしようとしたことは明らかである。
こうした付け焼刃なカモフラージュで、県民を煙に巻こうと企んで、「当初から、舗装を施す計画だった」などと平気でウソをつき、わざわざ「ステージコンストラクション(段階施工)」などという造語をでっち上げてまで、正当性を装ったところで、サル智慧はサル智慧に過ぎない。
吾妻農業事務所が、自ら監理課の通達に違背していたことを隠蔽しようとした事実は重大である。農村整備課もまたしかりであることは言うまでもない。
第4 結言
以上のように、吾妻農業事務所は、ウソの説明を監査委員にしており、さらにウソをつき通そうと、この裁判でもウソを塗り重ねた陳述をしている。このようなインチキの財務会計行為に対して、公金をつぎ込むことを決定した吾妻農業事務所長に対して、被告は庇うことなく、きちんと損害賠償請求を行わなければならない。
以 上
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■併せて、原告準備書面(2)に関連する証拠説明書を提出しました。
****【証拠説明書】******
3.pdf
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年9月15日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
証 拠 説 明 書
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
●甲16号証
b16hgpfogph25.4.3.pdf
標目:工事打合せ書(使用材料の承認願い提出について)
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月3日
作成者:南波建設
立証趣旨:竜ケ鼻建材㈱製のRC-40の試験結果報告書が添付されている。当初、南波建設はまともな再生砕石を使うつもりだったらしい。
●甲17号証
b17hgpofoghh25.4.3.pdf
標目:工事打合せ書(使用材料の事前承認願い提出について)
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月3日
作成者:南波建設
立証趣旨:佐藤建設工業㈱の再生砕石(RC40-0)の試験結果報告書が添付されている。区画整理5工事に有毒スラグを使うという誘惑に南波建設が負けて、吾妻農業事務所に事前承認願いを出したらなんと承認されてしまった。膨張安定性試験結果のデータが古いため、吾妻農業事務所に差し替えを指摘される。
●甲18号証
b18pvhp.pdf
標目:再生資源利用計画書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年3月27日
作成者:南波建設
立証趣旨:初めは南波建設も全量を竜ケ鼻建材㈱から調達するつもりだったらしい。しかし、佐藤建設工業から大同スラグを使うことになったにもかかわらず、変更修正をしていない。南波建設の文書管理もズサンだ。
●甲19号証
b19rhv.pdf
標目: 計画平面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年6月7日
作成者:吾妻農業事務所
立証趣旨:区画整理5工事の現場地図。いずれ未舗装路線には赤字で「敷き砂利」の文字が見える。吾妻農業事務所が、初めからスラグを「敷き砂利」と認識していた証しだ。
●甲20号証
b20rhhxaxra_ad.pdf
標目:工事変更請書・変更理由書・請負契約書・入札調書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成25年4月15日
作成者:南波建設ら
立証趣旨:補完3工事の入札から契約、変更までの主な書類。当初の落札金額から変更後、減額となっている。
●甲21号証
b21_hhxaxra_ad.pdf
標目:工事変更請書・変更理由書・請負契約書・入札調書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成27年7月2日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:農道舗装工事の入札から契約、変更までの主な書類。当初の落札金額から変更後、減額となっている。
●甲22号証
b22uo.pdf
標目:ブログ記事
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年6月5日
作成者:原告(小川賢)
立証趣旨:原告小川がブログ記事としてアップした情報。東吾妻町萩生地区におけるスラグ汚染の実態をレポート。この時はまだ、吾妻農業事務所が舗装をする前の状況だった。
●甲23号証
b23wf.pdf
標目:標準断面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:農道舗装工事の道路断面図。補完3工事で敷き砂利として施工されたものを、農道舗装工事で下層路盤の一部としてカモフラージュした苦心の作品。
●甲24号証
b24x27vzi10pj.pdf
標目:支道27号線 補足材数量計算書
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:区画整理5工事の農道舗装工事で、支道27号線の敷き砂利の凸凹を不陸整正するために、補足材も入れる必要が出たため、道路断面図に施工位置を示すと共に、必要な数量を積算したもの。これも敷き砂利がじつは下層路盤だった、取り繕うための苦心の策。
●甲25号証
b25_hv.pdf
標目:農道舗装工事 計画平面図
原本・写しの別:写し
作成年月日:平成26年7月11日
作成者:被告(吾妻農業事務所)
立証趣旨:区画整理5工事の農道舗装工事で、佐藤建設工業製の有毒スラグが大量に持ち込まれたため、舗装して隠蔽する必要が生じた今回舗装路線5カ所と、既舗装路線が分かる地図。
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■本日の第2回口頭弁論に向けて、昨日10月1日付で、訴え変更申立書を前橋地裁に提出しました。本日の法廷での裁判長の訴訟指揮が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】