■2年前の平成25年7月、あろうことか大同特殊鋼から排出された有毒スラグが、東吾妻町萩生地区の農業地帯での圃場整備事業で、田畑のど真ん中を通る農道工事の敷砂利に大量に使われてしまいました。その後、昨年初めより、有害スラグ問題が世間で騒がれた途端、それらを本来は直ちに全量撤去すべきところ、またしてもあろうことか、平成26年6月~7月にかけて、その上に補足材を入れた挙句に舗装をしてしまうという、およそ農業行政と逆行する行為が、実際に行われてしまいました。

↑大同スラグ不法投棄現場に蓋をした事件の住民訴訟第2回口頭弁論が開催された前橋地裁。↑
営農環境を悪化させ、安全・安心な食料生産環境を踏みにじった行為の原因追及と責任の所在明確化を通じて再発防止を行うには、納税者住民にとっては、住民監査請求という手段しか思いつきません。当会はさっそく群馬県監査委員に善処を求めることにしました。
ところが、これだけ酷いことをやったのに、結局、群馬県監査委員は、誰も責任の明確化を図ろうとしませんでした。そこでやむなく当会は、この無駄な舗装工事計画を実行した吾妻農業事務所長個人から損害賠償を取るよう、群馬県知事に求める住民訴訟を提起したのでした。
10月2日(金)は、10時30分開廷の30分前に前橋地裁に着きました。1階のロビーの替えに張り出してある本日の開廷予定表をさっそくチェックしたところ、初っ端にこの事件が載っていました。
<第21号法廷開廷表>
平成27年10月2日 金曜日
開始/終了 事件番号/事件名 当事者 代理人 担当
/予定 民事第2部合議係
10:30 平成27年(行ウ)第7号 小川賢外 裁判長 原道子
10:40 住民訴訟事件 群馬県知事 裁判官 佐藤薫
弁論 大澤正明 関夕三郎 裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
まもなく、吾妻農業事務所からきた職員の一団6名がやってきました。挨拶の声を掛けましたが、2人程度が蚊の鳴くような声で返事を返してきました。訴訟代理人の関夕三郎弁護士と同じ事務所のもう1人の弁護士と思しき人物が後からやってきました。彼らはさっそく2階に上がって行きました。当方も、10分前までロビーで話していましたが、その後2階にあがりました。開廷約5分前に21号法廷の傍聴席入口のドアの鍵が開けられ、中に入りました。県の職員らが出頭簿の前に並んで順に記載しているので、時間がかかるため、さっさと法定の中に入り、法廷側から出席者名のところに○をくれました。
傍聴席を見渡すと、この後伊勢崎市を相手取った住民訴訟もあるため、そちらの関係者と思しき傍聴者も数名いらっしゃいました。当会の会員が複数名駆けつけてくれました。その他には、マスコミ関係者が3名(読売、毎日、共同)、その他を含め、計18席ほど傍聴席が埋まっていました。
■定刻通り、3名の裁判官が姿を見せると、全員が起立し一礼し、近藤書記官が「只今から平成27年(行ウ)第7号事件を開廷します」と宣言しました。
冒頭に、裁判長から「まず裁判所の構成が変わった。弁論更新を行う。右陪審が変わったが、前回の続きをすることでよいか?」と発言があり、原告として、「はい」と言いました。
裁判長は続いて「原告は準備書面(2)を陳述するか?」と声を掛けてきたので原告は「陳述します」と答えました。
裁判長は「それから原告からの訴えの変更申立書。これは、被告は見ているか?」と言うと、被告弁護士が「はい」と言いました。
※訴えの変更申立書→ix2015.10.pdf
そして裁判長は原告に向かって「これはこのとおり陳述するか?」と聞いてきたので、「陳述します」と答えました。原告はさらに「だから、最初に請求しろということで出したのは、本当は本人をクビにしてから請求しろというつもりでいた。ところが、被告の第1準備書面で、一番最後の方に、地上自治法の243条云々という所に、命ずると。つまり、知事という職員のトップが、その部下となっている職員に対して“命ずる”という表現しているので、そちらを使わないとどうたらこうたらと主張するので、本来であれば職員をクビにしてから、本人のカネで支出してもらうところを、地方自治法では職員だからということで、トップが部下に対して損害賠償を、“お前払えや”という意味で記述になっているのかなと思って、そのようにしたまでです」と述べました。
それを聞いた裁判長は「つまり“請求せよ”というのはそのひと個人のことを言っているのか?」と原告に質問したので、「そうです」と答えました。
裁判長は「つまりその職員のポスト、地位ではなくて、個人としてとらえて、その個人が退職した時のことを想定しているのか?最初の訴状では?」とさらに確認の質問をしてきたため、原告は「ポスト(職位)ではなくて、個人に対してです」と答えました。
裁判長はしつこく「その個人が退職したときのことを想定しているのか?最初の訴状では?」とたたみ掛けてきました。原告は「はい」と力強く返事をしました。
すると裁判長いわく「では、在職中ということであれば、今回の追加的なものでよいと、そういう理解でよいか?」というので、「そうです」と原告は言いました。
裁判長は「現時点では、“単純併合”と理解してよいか?つまり、選択的とか主意的、予備的とか、この順番に判断してほしいとか、どちらか片方を判断してほしいとか、というのではなくて、本人が退職するかどうか分からない現時点では両方訴えるという、請求の趣旨でよいか?」とさらに念押しをして聞いてきました。原告は「はい、よろしいです」ときっぱり言いました。
裁判長はさらに「片方でなくて、ね?」と確認してきたので、原告は「はい。両方でいいですよ。本来は、やはり、本人が、我々の血税で払った原資で給与を食んでいる期間中に、その税金原資の給与を以って、(損害額と)相殺するようなことは、私は許されないと思います。きちんと個人として責任を採るべきです」と力説しました。
裁判長は「それ以前の段階の請求の趣旨は、吾妻農業事務所長が一旦退職したのちに、その個人に対して請求しろという訴訟で、まだ退職前でいるという場合には、今回の追加的変更の請求の趣旨になる?」と重ねて丁寧に説明したので、原告は「はい」と肯定しました。
さらに裁判長は「それで、原告としては裁判所では、両方審理してもらいたいと。だから、単純に併合するのだと。順番を付けたり、どっちの片方でいいということでなく両方で判断してほしいという場合になる」と自らの考え方を確認しようとしているかのように、何度もこの件で繰り返し確認しているので、原告からは「納税者の心境としては、ぜひそう願いたいです」と相づちを打ちました。
すると裁判長は今度は、被告に向かって「被告は原告の言う、この意図を理解したということでよいか?」と質問しました。被告弁護士は「はい、結構です」と答えました。
続いて裁判長は、「それから甲号証に移ると、書証の提出があるが、まとめて9月15日付の証拠説明書で甲16号証から甲25号証まで、すべて写しを提出でよいか?」と原告に確認を求めてきたので、原告は「そのとおりです。もともと写しで被告からもらったものだから、正確に言えばこれらはリコピーということになります。いわゆる再写しです。いずれにしても写しです」と
ここまでで、裁判長は「以上が予め提出された書類ということで、その手続きをとった。次に裁判所のほうから」と言って、被告代理人の弁護士に向かって、なにやら言った後「それから追加的変更ということで、答弁書を用意すること」と指示をしたところ、被告弁護士は「はい」と答えました。
続いて裁判長は原告に対して「裁判所から申し上げる。本件では舗装契約について問題にしているわけだが、原告に聞きたいのは1行でいうと、“本件舗装契約はいかなる理由でいかなる法令に違反して違法となるのか”、このことを確認したい。今ここで口頭で返事をせよと言うのでは。そして、地方自治法2条14項と16項を違法の根拠に挙げているが、それは、抽象的な部分であって、もっと具体的な法令、そして“こういうものに反する”ということを明確にしてもらいたい、と、そういう趣旨だ。そこで、本件舗装契約は、“いかなる理由で、いかなる法令に反しているか”という主張かを明らかにすること。これが1点目」として、宿題を投げかけました。
さらに続けて裁判長は「で、2点目は、契約があって、契約に基づいて支出すると2つに分けて考えると、公金の支出そのものに違法な点があるのか、というのが次の質問。つまり2つ目は、手続的になるとその支出自体がどうなのか、ということ」と述べました。
原告からは「再三言ってるように、この規模の公共事業は、いわゆる財務上の手続き上、彼らはそれに則ってやりますと言っているんで、その外形的なところは、たしか書類にも書いたが、今言ったように、そもそもそういった、なんというか、毒物の入ったものを知っておきながら、それを隠すために、さらに我々の血税を使うというのはけしからんのです」
ここで裁判長が何か言おうとしたが、原告は「講学的に難しいことはあとで勉強するが、このことが要するに、納税者として看過できない。指揮をいただいた点は講学的な検討をどうするかというのは、六法全書を見て勉強して対処します」と述べました。
裁判長は「そうすれば、有害スラグが混入しているのが問題にしているのか?」と質問してきました。そこで原告は「それを使っていることを知りながら、訳知りで、舗装で蓋をするのが問題だ。とんでもないことだ」と述べました。
裁判長は「混入していることを知っていながら舗装で蓋をしたことを問題にしているのだね」と再度、聞いてきたので、原告は「そうです。そのことを住民監査請求から一貫してアピールしています」と答えました。
すると裁判長は、「原告の主張するところは、有害スラグが混入されていることを知りながら、それに蓋をすべく舗装したことを問題としているものである、と、そういうふうに伺った。1番目の最初に申し上げた具体的にこういう法律に違反しているとか、あるいはその会規に違反しているのであればそれを具体的に指摘して下さい、というお願いだ」と原告に最終的に念押しをしました。
次に裁判長は被告に向かって、「被告の方だが、原告準備書面尾(2)3頁以下に求釈明があるが、これについて対応、答弁をした方が良いと思うが・・・」と言うと、被告弁護士は「はい」とい小さな声で答えました。
裁判長は「それと、請求の趣旨で出てきた、吾妻農業事務所の所長が、本件で舗装契約について契約の内容、どのように舗装工事を行うか、その契約の内容について決定する権限が与えられていたと理解してよいか?という質問がある」と被告にいうと、被告弁護士は「はい」と相変わらず小声で答えました。
裁判長は、原告と被告の両方を交互に向いて「これらについてそれぞれ答えをいただきたい」ときっぱりとした口調で言いました。そして「原告と被告の夫々に裁判所からうかがうことを申し上げた。そこで、いつまでにそれをお願できるかだが、原告はどうか?」と言いました。
原告は「先だってのように、8月20日までに情報開示資料が出るかと思っていたところ8月27日にまで遅れたということがあったが、今度はそのようなことは無いと思うので、今の裁判長の訴訟指揮に対して、いろいろ勉強しながら対応する」と答えました。
しかし裁判長は、具体的な期限日を原告に求めて「回答いただけるのは?」と迫りました。原告は、これから年末に向かって予定されているさまざまな行事を頭に描いていて「今考え中です。まあできればですね。年末までに・・・」と答えました。
すると裁判長は「年末?」と言って、驚いたような声を上げました。原告は「といいますのは、10月終わりから12月の10日頃まで日本に居ない可能性があります」と言うと、裁判長は「年末までに書類を出したい、ということ?」と原告に聞いてきたので、「新年は新たな気持ちで迎えたいからです」と答えました。
裁判長が「年末に裁判所を開かせていただきたい。12月18日とか・・・」と言うと、被告代理人弁護士が「期日は11月末にいただければ十分ご判断できる」と言い出しました。裁判長が「11月末に?」というと、被告は「はい」と答えました。
それを受けて裁判長は「被告は11月末までに提出するという。そうしたら、原告はその時は日本に居ないのか?」と聞くので、原告は「居ません。南のほうに居ます」と答えました。
裁判長は原告に対して「それから、被告が11月末までに出す書面だが、その内容についての言い分が原告にあれば、それについての言い分を加えて、原告からその後に出していただくということでよいか?」と振ってきました。原告は「余りこの件を先延ばしにはしたくないので、この問題でついては早めにケリを付けたいですね」と言いました。
裁判長は、「では11月までに被告は先ほど尋ねた求釈明への対応と、それから権限があるかということについて、書いて出していただく。原告は裁判所からの質問と、原告が提出した書面に対して被告からの回答があれば、それを踏まえた主張、準備書面を踏まえた原告の主張を記載した書面を今年中に出すこと。今年は何時までを、今年というかだが、何日までに、例えば12月31日と言われると困る」と言いましたので、思わず「それは原告も困りますね」と言いました。
裁判長は原告に「何時まで裁判書類を出してもらえるか?」と迫ったので、「どうするかな」と言うと、裁判長は「12月21日は月曜日で25日が金曜日だ」というので、原告は「ではクリスマスまででお願いします」と言いました。
裁判長は「クリスマスだというと25日か?」というので、原告は「はい、12月25日までに提出します」ことに同意しました。
最後に裁判長は、次回期日について「期日は年明けの1月15日か、22日でどうか?」と言いました。その結果、原告としては、「いいと思います。多分、日本にいるでしょうから」と言いました。
次に裁判長は協議開始時間についても提案しました。その結果、「1月15日1時30分にこの部屋、21号法廷で開廷する。提出期限を守るようにすること」を約しました。
予定時間を5分超過して、第2回口頭弁論は10時45分に終わりました。
■以上が第2回口頭弁論におけるやりとりでしたが、どうやら次回で結審する可能性が見えてきました。
なお、以上のやり取りは、当日傍聴に参加していただいた皆様のメモ等の情報を参考にまとめてみました。内容に不備や事実と相違のある箇所があれば、下記メッセージボックス、あるいはコメント欄、もしくは拍手コメント欄等を通じて当会事務局にご連絡ください。

↑次回ここに来るのは第3回口頭弁論が開かれるのは来年1月15日(金)13時30分から。↑
【10月5日追記】
前橋地裁の近藤書記官から、10月2日の第2回口頭弁論の期日調書が送られてきました。
裁判長の指示によるものとあります。
**********
20151005q_i102j.pdf

ファクシミリ送信書兼受領書(本書面含む2枚)
平成27年10月5日
鈴木 庸 殿
弁護士 関 夕三郎 殿
前橋地方裁判所民事第2部合議係
裁判所書記官 近藤直樹
TEL 027-231-4275 内線324
FAX 027-233-0901
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
上記事件につき、裁判長の指示により、前回期日(10/2)の期日調書の別紙を送信させていただきます(本書面含む2枚)。
お手数ですが、下記受領書欄に記名押印のうえご返信ください。
以 上
受 領 書
上記文書を受領しました。
平成27年10月5日
鈴木 庸 印
(次回期日 平成28年1月15日)
**********

別紙
原告ら
本件舗装契約については、有害スラグが混入されていることを知っていながらそれにふたをする形で公金を支出して本件舗装工事を行ったことが問題である。
裁判長
1 原告らに対し、次の各事項につき記載した準備書面の提出期限を平成27年12月25日と定める。
(1) 本件舗装契約は、いかなる理由で、いかなる法令に反し違法となるのかにつき明らかにされたい。
(2) 原告らの上記内容につき詳細に主張されたい。
(3) 下記2の(2)及び(3)についての被告の主張書面に対し反論されたい。
(4) 本件舗装契約とは別に公金支出そのものに違法な点があると主張するのかにつき明らかにされたい。
2 被告に対し、次の各事項につき記載した準備書面の提出期限を平成27年11月30日と定める。
(1) 原告らの本日陳述の訴えの変更申立てに対し答弁されたい。
(2) 原告らの本日陳述の準備書面の3頁に記載の求釈明事項に対し対応されたい。
(3) 吾妻農業事務所長は、本件舗装契約について、契約に内容に関し決定する権限を付与されていたのかにつき明らかにされたい。
以 上
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

↑大同スラグ不法投棄現場に蓋をした事件の住民訴訟第2回口頭弁論が開催された前橋地裁。↑
営農環境を悪化させ、安全・安心な食料生産環境を踏みにじった行為の原因追及と責任の所在明確化を通じて再発防止を行うには、納税者住民にとっては、住民監査請求という手段しか思いつきません。当会はさっそく群馬県監査委員に善処を求めることにしました。
ところが、これだけ酷いことをやったのに、結局、群馬県監査委員は、誰も責任の明確化を図ろうとしませんでした。そこでやむなく当会は、この無駄な舗装工事計画を実行した吾妻農業事務所長個人から損害賠償を取るよう、群馬県知事に求める住民訴訟を提起したのでした。
10月2日(金)は、10時30分開廷の30分前に前橋地裁に着きました。1階のロビーの替えに張り出してある本日の開廷予定表をさっそくチェックしたところ、初っ端にこの事件が載っていました。
<第21号法廷開廷表>
平成27年10月2日 金曜日
開始/終了 事件番号/事件名 当事者 代理人 担当
/予定 民事第2部合議係
10:30 平成27年(行ウ)第7号 小川賢外 裁判長 原道子
10:40 住民訴訟事件 群馬県知事 裁判官 佐藤薫
弁論 大澤正明 関夕三郎 裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
まもなく、吾妻農業事務所からきた職員の一団6名がやってきました。挨拶の声を掛けましたが、2人程度が蚊の鳴くような声で返事を返してきました。訴訟代理人の関夕三郎弁護士と同じ事務所のもう1人の弁護士と思しき人物が後からやってきました。彼らはさっそく2階に上がって行きました。当方も、10分前までロビーで話していましたが、その後2階にあがりました。開廷約5分前に21号法廷の傍聴席入口のドアの鍵が開けられ、中に入りました。県の職員らが出頭簿の前に並んで順に記載しているので、時間がかかるため、さっさと法定の中に入り、法廷側から出席者名のところに○をくれました。
傍聴席を見渡すと、この後伊勢崎市を相手取った住民訴訟もあるため、そちらの関係者と思しき傍聴者も数名いらっしゃいました。当会の会員が複数名駆けつけてくれました。その他には、マスコミ関係者が3名(読売、毎日、共同)、その他を含め、計18席ほど傍聴席が埋まっていました。
■定刻通り、3名の裁判官が姿を見せると、全員が起立し一礼し、近藤書記官が「只今から平成27年(行ウ)第7号事件を開廷します」と宣言しました。
冒頭に、裁判長から「まず裁判所の構成が変わった。弁論更新を行う。右陪審が変わったが、前回の続きをすることでよいか?」と発言があり、原告として、「はい」と言いました。
裁判長は続いて「原告は準備書面(2)を陳述するか?」と声を掛けてきたので原告は「陳述します」と答えました。
裁判長は「それから原告からの訴えの変更申立書。これは、被告は見ているか?」と言うと、被告弁護士が「はい」と言いました。
※訴えの変更申立書→ix2015.10.pdf
そして裁判長は原告に向かって「これはこのとおり陳述するか?」と聞いてきたので、「陳述します」と答えました。原告はさらに「だから、最初に請求しろということで出したのは、本当は本人をクビにしてから請求しろというつもりでいた。ところが、被告の第1準備書面で、一番最後の方に、地上自治法の243条云々という所に、命ずると。つまり、知事という職員のトップが、その部下となっている職員に対して“命ずる”という表現しているので、そちらを使わないとどうたらこうたらと主張するので、本来であれば職員をクビにしてから、本人のカネで支出してもらうところを、地方自治法では職員だからということで、トップが部下に対して損害賠償を、“お前払えや”という意味で記述になっているのかなと思って、そのようにしたまでです」と述べました。
それを聞いた裁判長は「つまり“請求せよ”というのはそのひと個人のことを言っているのか?」と原告に質問したので、「そうです」と答えました。
裁判長は「つまりその職員のポスト、地位ではなくて、個人としてとらえて、その個人が退職した時のことを想定しているのか?最初の訴状では?」とさらに確認の質問をしてきたため、原告は「ポスト(職位)ではなくて、個人に対してです」と答えました。
裁判長はしつこく「その個人が退職したときのことを想定しているのか?最初の訴状では?」とたたみ掛けてきました。原告は「はい」と力強く返事をしました。
すると裁判長いわく「では、在職中ということであれば、今回の追加的なものでよいと、そういう理解でよいか?」というので、「そうです」と原告は言いました。
裁判長は「現時点では、“単純併合”と理解してよいか?つまり、選択的とか主意的、予備的とか、この順番に判断してほしいとか、どちらか片方を判断してほしいとか、というのではなくて、本人が退職するかどうか分からない現時点では両方訴えるという、請求の趣旨でよいか?」とさらに念押しをして聞いてきました。原告は「はい、よろしいです」ときっぱり言いました。
裁判長はさらに「片方でなくて、ね?」と確認してきたので、原告は「はい。両方でいいですよ。本来は、やはり、本人が、我々の血税で払った原資で給与を食んでいる期間中に、その税金原資の給与を以って、(損害額と)相殺するようなことは、私は許されないと思います。きちんと個人として責任を採るべきです」と力説しました。
裁判長は「それ以前の段階の請求の趣旨は、吾妻農業事務所長が一旦退職したのちに、その個人に対して請求しろという訴訟で、まだ退職前でいるという場合には、今回の追加的変更の請求の趣旨になる?」と重ねて丁寧に説明したので、原告は「はい」と肯定しました。
さらに裁判長は「それで、原告としては裁判所では、両方審理してもらいたいと。だから、単純に併合するのだと。順番を付けたり、どっちの片方でいいということでなく両方で判断してほしいという場合になる」と自らの考え方を確認しようとしているかのように、何度もこの件で繰り返し確認しているので、原告からは「納税者の心境としては、ぜひそう願いたいです」と相づちを打ちました。
すると裁判長は今度は、被告に向かって「被告は原告の言う、この意図を理解したということでよいか?」と質問しました。被告弁護士は「はい、結構です」と答えました。
続いて裁判長は、「それから甲号証に移ると、書証の提出があるが、まとめて9月15日付の証拠説明書で甲16号証から甲25号証まで、すべて写しを提出でよいか?」と原告に確認を求めてきたので、原告は「そのとおりです。もともと写しで被告からもらったものだから、正確に言えばこれらはリコピーということになります。いわゆる再写しです。いずれにしても写しです」と
ここまでで、裁判長は「以上が予め提出された書類ということで、その手続きをとった。次に裁判所のほうから」と言って、被告代理人の弁護士に向かって、なにやら言った後「それから追加的変更ということで、答弁書を用意すること」と指示をしたところ、被告弁護士は「はい」と答えました。
続いて裁判長は原告に対して「裁判所から申し上げる。本件では舗装契約について問題にしているわけだが、原告に聞きたいのは1行でいうと、“本件舗装契約はいかなる理由でいかなる法令に違反して違法となるのか”、このことを確認したい。今ここで口頭で返事をせよと言うのでは。そして、地方自治法2条14項と16項を違法の根拠に挙げているが、それは、抽象的な部分であって、もっと具体的な法令、そして“こういうものに反する”ということを明確にしてもらいたい、と、そういう趣旨だ。そこで、本件舗装契約は、“いかなる理由で、いかなる法令に反しているか”という主張かを明らかにすること。これが1点目」として、宿題を投げかけました。
さらに続けて裁判長は「で、2点目は、契約があって、契約に基づいて支出すると2つに分けて考えると、公金の支出そのものに違法な点があるのか、というのが次の質問。つまり2つ目は、手続的になるとその支出自体がどうなのか、ということ」と述べました。
原告からは「再三言ってるように、この規模の公共事業は、いわゆる財務上の手続き上、彼らはそれに則ってやりますと言っているんで、その外形的なところは、たしか書類にも書いたが、今言ったように、そもそもそういった、なんというか、毒物の入ったものを知っておきながら、それを隠すために、さらに我々の血税を使うというのはけしからんのです」
ここで裁判長が何か言おうとしたが、原告は「講学的に難しいことはあとで勉強するが、このことが要するに、納税者として看過できない。指揮をいただいた点は講学的な検討をどうするかというのは、六法全書を見て勉強して対処します」と述べました。
裁判長は「そうすれば、有害スラグが混入しているのが問題にしているのか?」と質問してきました。そこで原告は「それを使っていることを知りながら、訳知りで、舗装で蓋をするのが問題だ。とんでもないことだ」と述べました。
裁判長は「混入していることを知っていながら舗装で蓋をしたことを問題にしているのだね」と再度、聞いてきたので、原告は「そうです。そのことを住民監査請求から一貫してアピールしています」と答えました。
すると裁判長は、「原告の主張するところは、有害スラグが混入されていることを知りながら、それに蓋をすべく舗装したことを問題としているものである、と、そういうふうに伺った。1番目の最初に申し上げた具体的にこういう法律に違反しているとか、あるいはその会規に違反しているのであればそれを具体的に指摘して下さい、というお願いだ」と原告に最終的に念押しをしました。
次に裁判長は被告に向かって、「被告の方だが、原告準備書面尾(2)3頁以下に求釈明があるが、これについて対応、答弁をした方が良いと思うが・・・」と言うと、被告弁護士は「はい」とい小さな声で答えました。
裁判長は「それと、請求の趣旨で出てきた、吾妻農業事務所の所長が、本件で舗装契約について契約の内容、どのように舗装工事を行うか、その契約の内容について決定する権限が与えられていたと理解してよいか?という質問がある」と被告にいうと、被告弁護士は「はい」と相変わらず小声で答えました。
裁判長は、原告と被告の両方を交互に向いて「これらについてそれぞれ答えをいただきたい」ときっぱりとした口調で言いました。そして「原告と被告の夫々に裁判所からうかがうことを申し上げた。そこで、いつまでにそれをお願できるかだが、原告はどうか?」と言いました。
原告は「先だってのように、8月20日までに情報開示資料が出るかと思っていたところ8月27日にまで遅れたということがあったが、今度はそのようなことは無いと思うので、今の裁判長の訴訟指揮に対して、いろいろ勉強しながら対応する」と答えました。
しかし裁判長は、具体的な期限日を原告に求めて「回答いただけるのは?」と迫りました。原告は、これから年末に向かって予定されているさまざまな行事を頭に描いていて「今考え中です。まあできればですね。年末までに・・・」と答えました。
すると裁判長は「年末?」と言って、驚いたような声を上げました。原告は「といいますのは、10月終わりから12月の10日頃まで日本に居ない可能性があります」と言うと、裁判長は「年末までに書類を出したい、ということ?」と原告に聞いてきたので、「新年は新たな気持ちで迎えたいからです」と答えました。
裁判長が「年末に裁判所を開かせていただきたい。12月18日とか・・・」と言うと、被告代理人弁護士が「期日は11月末にいただければ十分ご判断できる」と言い出しました。裁判長が「11月末に?」というと、被告は「はい」と答えました。
それを受けて裁判長は「被告は11月末までに提出するという。そうしたら、原告はその時は日本に居ないのか?」と聞くので、原告は「居ません。南のほうに居ます」と答えました。
裁判長は原告に対して「それから、被告が11月末までに出す書面だが、その内容についての言い分が原告にあれば、それについての言い分を加えて、原告からその後に出していただくということでよいか?」と振ってきました。原告は「余りこの件を先延ばしにはしたくないので、この問題でついては早めにケリを付けたいですね」と言いました。
裁判長は、「では11月までに被告は先ほど尋ねた求釈明への対応と、それから権限があるかということについて、書いて出していただく。原告は裁判所からの質問と、原告が提出した書面に対して被告からの回答があれば、それを踏まえた主張、準備書面を踏まえた原告の主張を記載した書面を今年中に出すこと。今年は何時までを、今年というかだが、何日までに、例えば12月31日と言われると困る」と言いましたので、思わず「それは原告も困りますね」と言いました。
裁判長は原告に「何時まで裁判書類を出してもらえるか?」と迫ったので、「どうするかな」と言うと、裁判長は「12月21日は月曜日で25日が金曜日だ」というので、原告は「ではクリスマスまででお願いします」と言いました。
裁判長は「クリスマスだというと25日か?」というので、原告は「はい、12月25日までに提出します」ことに同意しました。
最後に裁判長は、次回期日について「期日は年明けの1月15日か、22日でどうか?」と言いました。その結果、原告としては、「いいと思います。多分、日本にいるでしょうから」と言いました。
次に裁判長は協議開始時間についても提案しました。その結果、「1月15日1時30分にこの部屋、21号法廷で開廷する。提出期限を守るようにすること」を約しました。
予定時間を5分超過して、第2回口頭弁論は10時45分に終わりました。
■以上が第2回口頭弁論におけるやりとりでしたが、どうやら次回で結審する可能性が見えてきました。
なお、以上のやり取りは、当日傍聴に参加していただいた皆様のメモ等の情報を参考にまとめてみました。内容に不備や事実と相違のある箇所があれば、下記メッセージボックス、あるいはコメント欄、もしくは拍手コメント欄等を通じて当会事務局にご連絡ください。

↑次回ここに来るのは第3回口頭弁論が開かれるのは来年1月15日(金)13時30分から。↑
【10月5日追記】
前橋地裁の近藤書記官から、10月2日の第2回口頭弁論の期日調書が送られてきました。
裁判長の指示によるものとあります。
**********
20151005q_i102j.pdf

ファクシミリ送信書兼受領書(本書面含む2枚)
平成27年10月5日
鈴木 庸 殿
弁護士 関 夕三郎 殿
前橋地方裁判所民事第2部合議係
裁判所書記官 近藤直樹
TEL 027-231-4275 内線324
FAX 027-233-0901
事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
上記事件につき、裁判長の指示により、前回期日(10/2)の期日調書の別紙を送信させていただきます(本書面含む2枚)。
お手数ですが、下記受領書欄に記名押印のうえご返信ください。
以 上
受 領 書
上記文書を受領しました。
平成27年10月5日
鈴木 庸 印
(次回期日 平成28年1月15日)
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別紙
原告ら
本件舗装契約については、有害スラグが混入されていることを知っていながらそれにふたをする形で公金を支出して本件舗装工事を行ったことが問題である。
裁判長
1 原告らに対し、次の各事項につき記載した準備書面の提出期限を平成27年12月25日と定める。
(1) 本件舗装契約は、いかなる理由で、いかなる法令に反し違法となるのかにつき明らかにされたい。
(2) 原告らの上記内容につき詳細に主張されたい。
(3) 下記2の(2)及び(3)についての被告の主張書面に対し反論されたい。
(4) 本件舗装契約とは別に公金支出そのものに違法な点があると主張するのかにつき明らかにされたい。
2 被告に対し、次の各事項につき記載した準備書面の提出期限を平成27年11月30日と定める。
(1) 原告らの本日陳述の訴えの変更申立てに対し答弁されたい。
(2) 原告らの本日陳述の準備書面の3頁に記載の求釈明事項に対し対応されたい。
(3) 吾妻農業事務所長は、本件舗装契約について、契約に内容に関し決定する権限を付与されていたのかにつき明らかにされたい。
以 上
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】