■我が国の教育界の弊害は、教育行政に携わる官僚の質の低下であり、第3者による評価がなされない状態が恒常化していることだと言われます。官僚になる連中は、最初は優秀かもしれませんが、役所に入ってしまうと権限だけが独り歩きをして、第3者による評価もなく、反省もないため、どんどん劣化していきます。したがって、定年になるころには、つぶしがきかなくなり、天下りによる職探しに依存せざるを得なくなってしまいます。
こうした構図が、連綿と続いていたことが、この度の文科省官僚の天下り斡旋発覚であらためて浮き彫りになりました。
さっそく報道記事を見てみましょう。
**********週刊現代2017年2月6日発売号
文科省「天下り斡旋」の責任者に退職金5610万円って…
もう呆れるほかない
●天下り局長にも5260万円
組織のトップに立っていた人間が、知らなかったでは通らない。文部科学省で、'09年頃から人事課OBを通じた組織ぐるみの再就職の斡旋が行われてきたことが発覚した。
事務次官の前川喜平氏(62歳、'79年旧文部省入省)が引責辞任したが、退職手当5610万円は受け取るつもりだという。
官僚の退職金は「俸給月額」をベースに算出される。事務次官の俸給月額は、117万5000円。これに「勤続期間別支給率=43.413」が乗じられ、さらに役職に応じた「調整額」が上乗せされる。前川氏は局長や官房長を歴任してきており、それも加味されて5610万円もの高額退職金になったわけだ。
前川氏はこれを受け取り、このまま逃げ切るつもりのようだ。
官僚の再就職について、国家公務員法は省庁の斡旋や在職中の求職活動を禁じている。ところが、文科省はそんな法律などお構いなしに、組織的に官僚の天下り先を用意していた。
その仕組みを文科省関係者が明かす。
「人事課のOBが、文科省の退職予定者の求職情報と、学校法人や民間会社からの求人情報を人事課から入手し、そのOBが『マッチング』を行って、再就職先を斡旋していたのです。これらは明らかな法律違反です」
吉田大輔・前高等教育局長の早稲田大学教授への「天下り」斡旋も、こうした手口だった。
さらに悪質なのは、文科省側はこうした行為の違法性を認識しており、内閣府の再就職等監視委員会の調査に備えて、吉田氏や早稲田大学側に対して虚偽の仮想問答を準備。
そこには、実際には同省の人事課が早稲田大学に働きかけたにもかかわらず、吉田氏が退職後、自発的に面接を受けて、採用に至ったと記されていた。
なお、早稲田大学は吉田氏を年収1400万円で教授として迎えた。
この問題を追及する民進党代議士で元経産官僚の後藤祐一氏が言う。
「より問題が大きいのは、吉田前局長です。彼は文科省を定年退職したため、満額の5260万円をきっちり受け取っています。
その後、再就職が違法行為によるものだったことが認定されたのにもかかわらず、法的にこれを返還させる仕組みがないのです」
世の中のサラリーマンのほとんどは定年後、会社に再就職先を斡旋してもらえることなどない。仮に雇用延長をしたところで、現役時代に比べて大幅に安い給料になる。
ところが、文科省では組織が斡旋してくれるばかりか、高待遇が用意されていたのである。
「時代は変わったのに、役人の世界が何も変わっていなかった」
こう嘆くのは、天下り問題に詳しい千葉大学名誉教授の新藤宗幸氏だ。
「'07年に国家公務員法が改正され、天下りが原則禁止になりました。その後、監視委員会も作り、各省庁の人事課が天下りを斡旋することは禁じられたことになっています。
しかし、当時から私は『あれはザル法。見かけを整えただけで、抜け穴はいくらでもある』と繰り返し指摘してきました。
今回は人事課が直接天下りに関与していましたが、OBを使って外部に斡旋組織を作れば、法の目をくぐり抜けることは簡単です。
天下りの問題は、官庁の許認可権限の影響力を受ける団体に、権限を行使する側の重要ポストにいた人間が就任することにあります。今回は高等教育局長が、高等教育を行う早稲田大学に天下ったことが問題なのです。
同時に、自分たちに有利な取り計らいを期待して受け入れた側にも責任があります」
●返納するべき
文科省の天下りは、氷山の一角にすぎない。官公庁の役人が所管業界の法人に天下る例は枚挙にいとまがない。
「たとえば、タクシー業界の全国組織『全国ハイヤー・タクシー連合会』の理事は旧運輸省と警察官僚が常に天下っています。
高市早苗総務相は、『総務省に天下りの斡旋事例はない』と言っていましたが、全国市長会や全国町村会の事務総長は総務省の局長以上の天下り指定席です。
経産省の人間がたとえば電力会社に天下る場合は、すぐに役員になると問題なので、数年間は顧問として顧問料を支払い、ほとぼりが冷めたところで、役員として迎える。この場合、顧問のポストは『座布団』という。こうしたやり方がいくらでもあるのです」(新藤氏)
霞が関では、同期が組織のトップである事務次官に就任すると、その他の人間は退職することが慣例となっている。60歳を前に、組織を追い出されることの不安は理解できなくもない。
しかし、だからといって、退職後に民間の常識ではありえない高待遇でおいしい天下りをすることが許されるわけでもない。しかも、破格の退職金を手にした上で、だ。
文科省に長く勤めた寺脇研氏が言う。
「官庁は上下関係の秩序で成り立っているので、先輩が部下にいたら仕事がやりにくいという側面はあると思います。ただ、それも慣れです。民間企業では、年上の部下は普通のことになっています。
霞が関は時代に合わなくなった人事制度を変えるべきでしょう。天下り先を確保することに汲々とするのではなく、定年まで働ける環境や民間レベルの再雇用制度を整備することが先決です」
不正の発覚した組織のトップが退職金を返納するくらい襟を正さないと、天下りの根絶は不可能だ。
「週刊現代」2016年2月11日号より
**********朝日新聞デジタル 2017年02月07日 21時25分
文科省官僚の天下り先「月2回勤務、年収1000万円」に国会はどよめく
文部科学省による「天下り」のあっせんについて、7日に開かれた衆院予算委の集中審議。前事務次官や仲介役OBへの追及から浮かんだのは、OBに厚遇ポストを与え、再就職の支援活動を組織ぐるみで下支えする違法な構図だ。
「天下り」あっせんの仲介役だったのは、本省の人事課に通算15年以上の勤務経験がある嶋貫(しまぬき)和男氏(67)。職員の異動を担う任用班の事実上の責任者を務め、人事課企画官などを経て2009年に退職した。
問題の一つとなったのは、顧問だった明治安田生命保険での嶋貫氏の待遇だ。嶋貫氏の処遇について、省内で「保険会社顧問に就任し、再就職支援業務をボランティアベースで行う」とする案がつくられた翌年の14年に就任した。
民進党の小川淳也議員は、顧問報酬について「月2日勤務で1千万円か」と質問。嶋貫氏が「社に出向く回数は基本的にそう」「金額はその通り」などと答えると、委員や傍聴人からは「おお」「1カ月2回か」とどよめきが起きた。
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文部科学省の天下りの構図に関わる元事務次官ら。↑
小川議員は、省内でつくられた顧問就任案が実現したことに触れ、「裏稼業であるあっせんを実行させるために表稼業を用意し、法外な報酬と極めて軽微な勤務条件を与えた」と指摘。同じ民進党の玉木雄一郎議員も「文科省は多くの職員を抱えて各種保険を扱い、保険会社との関係が密接。そこの顧問のポストをうまく利用しながら、あっせん活動を省を挙げて財政的に支える仕組みが色濃い」と疑問を投げかけた。
こうした嶋貫氏について、前事務次官の前川喜平氏は「人事課のOBとしてさまざまな知見を持っておられる」と一目置いていた。
前川氏は、再就職等監視委から「違法行為」と指摘された内容について、「(公益財団法人の)文教協会の当時の代表理事に面会し、退任の意思があるかどうかを確かめたことは事実」と認めた。そのうえで、「これは嶋貫さんから『確かめてくれ』という依頼を受けて行った」と説明した。
前川氏は文科省官僚トップとしての責任を「万死に値する」としながらも、この面会を「具体的なOBを後任に据えるという意図を持っていたわけではない」と釈明。組織的関与について繰り返し追及された嶋貫氏も、「人助けのつもりでいい人がいれば紹介するぐらいの気持ち。まさにボランティア」などとかわし続けた。
■明治安田生命「経験や知見への報酬」
明治安田生命保険は嶋貫氏の顧問就任について、「文科省を中心とした法人営業への助言をしてもらっていた。報酬は労働時間ではなく、嶋貫氏の経験や知見へのもので妥当な水準ととらえている」と回答した。文科省からの組織的なあっせんは「把握していない」としている。
**********日経2017/2/8 1:43
文科省天下り、前次官が法律逃れ認める 「仲介役に情報」
文部科学省の再就職あっせん問題に関する衆院予算委員会の集中審議が7日開かれ、松野博一文科相は、人事課OBの嶋貫和男氏(67)を仲介役とするあっせん体制づくりを同省が主導したことを認めた。前事務次官の前川喜平氏(62)は「自分があっせんすると法に触れるので(嶋貫氏に)退職者などの人事情報を提供した」と述べ、法規制を逃れるためOBを利用したと明らかにした。
問題発覚後、初めて公の場に現れた前川氏は「責任は極めて重く、国民の信頼を揺るがしたことは万死に値する」と謝罪したが、「OBによる再就職あっせんは規制に当たらないと認識していた」と釈明した。
国家公務員法は省庁が退職者の再就職をあっせんしたり、現役職員が利害関係のある企業などに求職活動をしたりすることを禁じている。文科省はOBを仲介することでこの規制をかいくぐろうとしたとみられる。
審議では、嶋貫氏を仲介役とする組織的なあっせん体制の構築を提案する2013年の内部文書について、人事課課員が作成し、当時の次官や次官OBにも報告されていたことが判明した。
文書は「再就職支援業務について」(13年9月11日付)。嶋貫氏を生命保険会社の顧問に就任させる一方、あっせんの拠点となる嶋貫氏の一般社団法人の事務所賃料や秘書給与を別法人に負担させる形で、嶋貫氏があっせんをしやすい環境を整備する内容だった。
文書は人事課課員から次官OBにメール送信された。当時の人事課長は「私も報告を受け、私か人事課課員から当時の次官にも内容を報告したと記憶している」と話した。こうした証言を踏まえ、松野文科相は、国家公務員法のあっせん禁止を免れる仕組みが構築されていたことを認め、「環境づくりに大きく文科省が関与してきたのは事実だ」と述べた。
**********2017.2.8 05:02産経新聞
【主張】文科省天下り これでも道徳の「本丸」か
文部科学省の天下り斡旋(あっせん)の手口が分かってきた。人事課OBを介し、法の抜け道をつくる。組織的で悪質だ。
これが教育をつかさどる官僚のすることかと、暗澹(あんたん)たる気分になる。
衆院予算委員会の集中審議で、先月、引責辞任したばかりの前川喜平前事務次官は、組織的な斡旋を認め、「万死に値する責任がある」と謝罪した。遅きに失している。
斡旋の調整役を担った人事課OBは「人助けのつもりでやってきた」と釈明した。言葉通りに受け取る人がいるだろうか。
違法行為を生んだ背景を含め、徹底した解明を求めたい。
平成20年施行の改正国家公務員法で、現職職員による斡旋や在職時の求職行為が規制された。翌21年から、このOBが斡旋を始め、一般社団法人「文教フォーラム」がその拠点となった。
その後、人事課が関与する体制ができたというが、こうした仕組みは、歴代事務次官ら上層部も認識していたものだ。
改正法は天下りを一律に悪いといっているわけではない。官民癒着が疑われないよう、透明性を持って行うルールを定めた。それを破り、こっそり裏口から入る脱法行為は許されない。関わった幹部らの責任は免れまい。
端緒となった元高等教育局長の早稲田大教授への天下りをめぐっては、内閣府の再就職等監視委員会の調査に対し、文科省が想定問答をつくるなど隠蔽(いんぺい)工作を行っていた。
法よりも組織を守る典型ではないか。「公僕」という言葉が死語に思える。道徳教育の旗を振るのにふさわしい役所なのか。
フォーラムの事務所家賃は、文科省が補助金などを出す公益財団法人「文教協会」が負担していた。問題の発覚を受け、両団体は解散するという。
OBはボランティアで斡旋を引き受けていたというが、文科省側から一切の便宜供与はなかったか。組織的斡旋の仕組みをさらに調査する必要がある。
安倍晋三首相は「徹底的に追及し、再発させない決意で臨む」と述べた。天下り規制強化は、第1次安倍政権が硬直した官僚組織の見直しとともに打ち出した。
今回の問題の背景を改めて政府一体で検証し、再発防止を図るべきである。
**********2017.2.8 14:29産経新聞
文科省天下り斡旋 嶋貫和男氏「月2日勤務で年収1000万円」に驚きの声
文部科学省の天下り斡旋問題で、7日に行われた衆院予算委員会の集中審議で参考人として出席した文科省の人事課OBの嶋貫(しまぬき)和男氏(67)が天下り先での厚遇ぶりを認め、波紋を呼んでいる。
嶋貫氏はこの日、小川淳也議員(民進)から「ドラフトされていた明治安田生命(保険)への顧問就任が実現しているが、実際に勤務形態は月2日勤務で報酬は(年収)1000万円だったのか」と追及された。これについて嶋貫氏は「確かに社の方へ出向く回数は基本的にそうだった。折に触れて行くこともあった」などと出勤回数について述べると「1000万円は」という声が上がり、「金額はその通りでございます」と認めると国会内が「おお~っ」「信じられない」という驚きの声に包まれた。
これについてツイッター上でも「俺にも天下り斡旋してよ~ 1000万の内1割くらいやるからさ~」「ほかの省庁なども探せば、こんな例がもっと沢山出てくるはずだ」「たくさんの礼金をもらっているでしょうから、脱税の調査はしてほしいわね」などと厳しい批判が寄せられた。
嶋貫氏は牧原秀樹氏(自民)の「斡旋の中心人物と認定されているが、事実か」との追及に「許される範囲のものと考え、人助けという思いで行ってきたが、監視委員会の報告を受け、自身の認識不足を恥じている。悔いてもいる」と反省の弁を述べた。これについてもツイッター上では「民間の立場で人助けって、そんな道理はない。だったらお金貰わず完全ボランティアでやりなさい」などの批判の声が上がった。
文科省が6日に発表した調査結果によると、嶋貫氏は人事課で調査官や企画官など要職を歴任し、2009年7月に文科省を退職。保険代理店の顧問や財団法人の審議役に就く傍ら、人事課が作成した退職者リストを活用して再就職の斡旋に関与し13年ごろまでに嶋貫氏と人事課による斡旋体制が形成・拡充された。
(WEB編集チーム)
**********2017年02月08日 15時01分 日刊ゲンダイDIGITAL
参考人は反省ゼロ 文科省天下り“アリバイ”集中審議の茶番
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文科省人事課OBの嶋貫和男氏(左)と前川喜平前事務次官(C)日刊ゲンダイ↑
ワルがバレないよう裏工作し、責任追及されてもスットボケ――。日本の教育をつかさどる役所の体質がこれじゃあ、学校も廃れる。7日に開かれた文科省の天下り問題をめぐる衆院予算委の集中審議。参考人質疑で、前川喜平前事務次官は「万死に値する責任」と言っていたが、隣に座った仲介役の人事課OB・嶋貫和男氏と顔を見合わせてニンマリする場面も見られ、反省ゼロだった。
「組織ぐるみと言われても仕方がない」。集中審議では、安倍首相が珍しく役所の責任について言及し、前川前次官も「自分であっせんすると法に触れるので、(嶋貫氏に)情報提供した」と発言した。要するに規制逃れを全面的に認めたわけだが、にもかかわらず、前川前次官や嶋貫氏以下、参考人の歴代人事課長8人の表情は余裕シャクシャク。それもそのはずで、自分たちの身が「安泰」であることが分かり切っていたからだ。
「現行の天下り規制は、OBによるあっせんはおとがめなし。しかも、在職中の職員が再就職のあっせんや求職活動をしても、不正行為がなければ刑事罰もない。今回のケースはOBを窓口に天下りを続けていたわけで、当人たちも本気で申し訳ないとは思っていないでしょう」(文科省担当記者)
■「助ける」なら子供が先だ
嶋貫氏は「認識不足を恥じている」とトボケていたが、“確信犯”は明らかだろう。「人助け」とも言っていたが、全国の教育現場には、貧困やイジメ、不登校、奨学金……などで困っている生徒、学生は山のようにいる。文科省OBなら仲間の食いぶちを探すより、子供たちを「助ける」ことが先だ。しかも、嶋貫氏は09年に文科省を退職後、一般財団法人「教職員生涯福祉財団」から年間700万円、都内の保険代理店から同500万円、明治安田生命保険から同1000万円のカネを受け取っていたことも判明した。結局はカネなのだ。
「与野党とも官僚機構と徹底的にケンカする気はありません。世論批判が強いためにアリバイ的に審議しているだけ。本気でウミを出し、天下りを根絶するのであれば、参考人招致ではなく、(虚偽答弁には罰則規定がある)証人喚問すべき。今回のケースでは、悪質な証拠隠しも行っていたわけですからね。要するに本気で取り組む気はないのですよ」(政治評論家の山口朝雄氏)
茶番劇に付き合わされる国民はたまったもんじゃない。
**********NHK News Web 2017年2月13日 12時03分
文部科学省の元幹部 慶応大学にも天下りか
文部科学省が組織的に天下りを行っていた問題で、慶応大学にも去年、退職した元幹部が再就職していたことが関係者への取材でわかりました。再就職にあたっては、人事課のOBを仲介させていたということで、文部科学省の調査チームは違法な天下りを禁じた国家公務員法に違反する疑いがあると見て、調べています。
一連の天下り問題を受けて文部科学省は、外部の有識者を交えた調査チームを設置して、天下りの規制が強化された平成20年以降に大学などに再就職したケースが違法でないか、調査を進めています。
こうした中、去年3月に退職した元幹部が、およそ2か月後に慶応大学の参事に再就職したときに、文部科学省の組織的な天下りを仲介していた人事課OBの嶋貫和男氏のあっせんを受けていた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。
このOBは、文部科学省の人事課から提供された元幹部に関する情報を基に慶応大学の人事課と再就職に向けたやり取りをしていたということです。
この再就職については、すでに辞任した前川前事務次官や当時の人事課長も了承していたということです。再就職した元幹部は、私立大学への助成金などを担当する私学助成課長などを経て、去年3月退職していました。
一連の問題では、すでに早稲田大学に再就職した元高等教育局長のケースを始め、合わせて10件が天下りのあっせんを禁じた国家公務員法に違反するとされていて、調査チームでほかにも違法なケースがないか、調べを進めています。
●慶応大学「文科省OBから情報提供受け採用」
これについて、慶応大学は「文部科学省OBの嶋貫氏の情報提供を受けて、去年6月に文部科学省の元職員を所定の手続きを経たうえで採用しました。採用のしかたに問題があったとは考えていませんが、文科省の調査には協力していくつもりです」と話しています。
**********日経2017/2/13 13:24
文科省元幹部、慶大にも違法天下りか OB仲介
文部科学省による組織的な再就職あっせん問題で、昨年3月に同省を退職した元幹部が慶応大に再就職していたことが13日、同省への取材で分かった。同省人事課OBが仲介しており、同省は国家公務員法の再就職規制に違反した天下りの疑いがあるとみて調べている。
文科省によると、元幹部は私立大学への助成金などを所管する私学助成課長などを歴任し、昨年3月に退職。その際、同省人事課OBの嶋貫和男氏(67)が元幹部の人事情報を慶大側に提供し、慶大は昨年6月、元幹部を参事として採用したという。
慶大広報室は「所定の手続きを経て採用したので、問題はないという認識だった。文科省からのヒアリング調査には協力する」としている。
一連の問題は再就職等監視委員会による調査で発覚。1月20日、元高等教育局長の早稲田大教授としての再就職を含め10件を違法と指摘した。今回の慶大への再就職はこれには含まれていない。
同省には人事課OBの嶋貫氏を介して、組織的に天下りをあっせんする仕組みがあり、歴代人事課長や事務次官にも報告されていた。前川喜平事務次官(当時)が同日付で辞職した。
同省は違法な天下り問題で弁護士や学者らによる省内調査班を設置。2月下旬に中間まとめを、3月末には最終報告を公表する予定。
**********朝日新聞デジタル2017年2月13日21時06分
慶応大にも天下りか 文科省元幹部の再就職、OBが仲介
文部科学省の組織的な「天下り」あっせん問題で、同省の元幹部2人が慶応大学に再就職した際、同省人事課OBの嶋貫和男氏の仲介を受けていたことがわかった。2人は退職から1~2カ月後に再就職しており、文科省は経緯に問題がなかったか調べている。
文科省 天下り問題
慶応大広報室は、嶋貫氏から情報提供を受けて2人を採用したことを認め、「所定の手続きを経て元幹部を採用しており、問題があったとは考えていない。文科省から直接、依頼などはなかった」としている。
慶応大などの関係者によると、元幹部のうち1人は私立大への助成金などを担当する私学助成課長などを務め、昨年3月末に文科省を退職。同年6月1日に慶応大に参事として再就職した。自らあっせんに関わって依願退職した前川喜平前事務次官らも認識していたという。もう1人も私学行政課長などを経て、10年2月下旬に独立行政法人「日本スポーツ振興センター」の理事を退職し、同年4月1日に同大の参事に就いた。現在は同大を退職している。
これらの経緯を文科省が調べたところ、天下りの仲介役だった嶋貫氏が同省人事課から元幹部に関する情報提供を受けるなどし、慶大に略歴などを伝えていたことがわかったという。
一連の問題では、同省人事課が嶋貫氏に対し、退職予定者の経歴や求人情報を提供するなどし、同氏が再就職を仲介する仕組みが続いていたことが明らかになっている。文科省は、元幹部2人のケースが再就職を規制する国家公務員法上、問題がなかったか調べている。
**********東洋経済オンライン2017/2/14(火) 15:15配信
文科省天下り、「墨塗り文書」が語る癒着事情
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黒塗りにされた資料からでも垣間見られる、天下りの実態とは!?(撮影:今井康一)↑
今年1月に発覚した文部科学省の天下り問題。2月に入って、その深層部が明らかになりつつある。その実態は、天下り先の要望によっては首のすげ替えまで行う、手の込んだ再就職あっせんシステムだった。
■国家公務員法で禁じられた行為が横行
問題の発端は元高等教育局長が退官翌々月に早稲田大学教授として就任した際、同省人事課が履歴書を送るなど関与しており、これが国家公務員法に反するというもの。同法は出身府省庁の職員による再就職のあっせんや、在職中の求職活動などを禁止している。
再就職等監視委員会は1月19日、文科省審議官と大臣官房人事課職員(役職はいずれも当時)が、国家公務員法第106条の2第1項に反するあっせん行為を行ったこと、元局長が在職中に同法第106条の3第1項に違反する求職行為を行ったこと、さらに人事課職員らが再就職等監察官に対して隠ぺい行為を行ったことを認定した。また人事課が元人事課職員の文科省OBに情報を提供し、再就職のあっせんを行わせていたことも明らかにしている。
これらのほか、再就職等監視委員会は文科省職員がかかわった再就職に関して37事例を摘示した。その資料の多くの箇所は「墨塗り」でマスキングされているが、それでも読んでみると非常に興味深い。
というのも、多くの事実が隠されていても、かなり「天下りの実態」をうかがい知ることができるからだ。たとえば後に文科省が「医学教育振興財団」と認めた箇所は、こういう記述がある。
同年11月頃、■が■を訪問したところ、同■が兼務している■について、■である■氏(文科省OB)の働きが悪いため、後任を派遣してほしいと依頼を受けた。■は同依頼内容を■氏に伝えたところ、当時■の■として現役出向していた文科省職員の■氏はどうかと提案を受け、■氏の指示により、■は■に対して■氏を紹介し、さらに、■氏と■との面接日程調整を行った。■氏はその後、■として再就職した。
●「働きが悪い」の意味とは?
要するに最初に天下った文科省OBは「働きが悪い」ので、別の「よく働く人物」にすげ替えてくれとの依頼があったというわけだ。そしてすげ替えられたOBは別の天下り先に再就職しているのも明らかにされている。
「これは天下り先に“序列”があると見ることができる。役に立たないOBを、下部の天下り先に送りこむシステムがあるのだろう」
天下り問題を追及する民進党の玉木雄一郎衆院議員はこう分析する。「問題は、何をもって『働きが悪い』としているのかだ。本省から何かのひも付きを持ってくることが『よく働く』と評価しているのなら、非常に大きな問題となる」。
●予算をとってくるための天下り
実際に予算をとってくるための天下りとしか思えない事例もある。文科省が「公立学校共済組合」と認めた記載箇所は以下のようになっている。
同年11月10日、■の■である■から■宛てに電話があり、■は■氏から、同【組合】が抱える【病院】である【研究】予算を増やすために、【科学研究費】を申請できる機構となるためのアドバイザーとして適任者を紹介してほしいという依頼を受けた。
■は同依頼を失念していたところ、約一カ月後の12月中旬、■氏から催促の電話を受けたために、急いで■氏に調整を依頼し、■氏という文科省OBの打診を受け、■は■氏に対し、同28年1月5日、■氏を紹介した。(注:【】は当初は■であった箇所を2月13日に文科省が明らかにした部分)
これは明らかに「研究予算」を分捕るために天下りを受け入れたという例だ。もっとも文科省は「今回の再就職あっせん問題は文科省側の問題であり、法人等について非はないことから、これら法人に対して私学助成等の国費を支出することについては問題がないと考えます」と、天下り先への責任追及を極力阻止したい様子だ。
公立学校共済組合の「科学研究費」についても「研究者から応募された研究計画について、ピアレビューによる厳正な審査を経て決定している研究者個人に対して支出されるものであり、これらの法人への文部科学省予算の支出に含まれていない」と弁明している。
しかし公立学校共済組合は「病院の研究予算を増やす」ことを希望しており、そのために「科学研究費を申請できる機構」になりたがっていた。よって「病院の研究予算を増やすこと」と「アドバイザーとして適任者の天下りを受け入れること」は因果関係にあるといってよいはずだ。
そもそも公務員は所轄省庁の長の申し出により、人事院の承認を得た場合を除いて、離職後2年間は、離職前5年間に在職していた国または特定独立行政法人と密接な関係にある営利企業の地位に就任したり、就任を承諾してはならないとされ、違反者には1年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金に処せられた。
ところが第1次安倍内閣時の2007年に国家公務員法が改正され、2年間の制限は撤廃される。天下りの規制対象が営利企業以外にも拡張されるとともに、府省庁による再就職あっせんの禁止、在職中の求職活動の禁止、再就職者からの働きかけの禁止が定められた。
このとき、再就職について設置されたのが「官民人材交流センター」だが、その利用は早期退職制度に応募した場合に限られ、自主的な早期退職や定年退職の場合は利用できないことになっている。現実には利用者数は極めて少なく、それが今回の天下り問題の一因となったともいわれている。
今回の文科省の天下り問題でも、深くコミットしていた前川喜平事務次官が引責辞任したが、前川氏には約8000万円の退職金が支払われ、数年後には何らかのポストがあてがわれるはずだ。国民が知らないところで、天下りの根っこは生き続けている。
天下り撲滅のためには、まずは国民が覚醒しなければならないが、そのためには詳細な調査と全面的な情報公開によって深刻な実態がつぶさにわかることが必要だろう。
安積 明子
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■民間の3倍以上もの退職金をせしめて、しかも月2日の出勤で年収1000万円という破格の待遇を受けられるのだから、まさにこの国は役人天国です。しかも、天下りをしてもさせても、お咎めがないのですから、やり放題の無法状態と言えるでしょう。
オンブズマンとしても、放置しておくわけにはまいりません。群馬高専のアカハラ事件の情報不開示取消訴訟や、安中市の体罰教諭の和解金返還のための住民監査請求を通じて、まずは地元の教育行政を少しでも正常化するように微力を尽くしていきたいと存じます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの連絡】