どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ハーメルンの笛ふき

2014年03月31日 | 絵本(昔話・外国)
ハーメルンの笛ふき  

    ハーメルンの笛ふき/サラ&ステファン・コリン・作 エロール・ル・カイン・絵 かなせき ひさお・訳/ほるぷ出版/1989年初版

 

 絵が助けになる物語です。

 町中ねずみだらけで、ねずみを追い払ったら多額の賞金をだすというおふれを出した町に、一人の笛ふき男がやってきます。この男があっという間に、ねずみを川のなかにおぼれさせます。あまりもあっという間に、ねずみを退治してしまったので、町の人たちは賞金をだすのがおしくなってしまいます。
 すると、これに怒った笛ふき男は、町中の子どもたちを笛をふきながらどこかに連れて行ってしまいます。

 物語の流れだけをみると短い話のようにおもえますが、町がねずみでどんなに困っていたか、子どもたちが連れ去られる場面も詳しくでてきて、かなり長い物語です。

 1284年にハーメルンという小さな町で、130人の子どもが、まるで神かくしにでもあったように、きゅうに消えてしまったという事件をもとにつくられた物語で、グリムにも、この話があるというが、手元のグリム昔話にのっていませんでした。

 有名といわれているようですが、知らなかった話です(笑)。

 後で調べてみましたが、グリム童話集をさがしてもなく、「ハメルンのネズミとり」という題でのっていたのが、講談社から出されているオックスフォード世界の民話と伝説5 ドイツ編。1978年改訂第一刷にありました。
   
 話のながさは適当で、このテキストだったら語ることができそうである。

 約束を守らない理由を何とか考え出す人間へのしっぺがえしがきいています。


おとうさんはパンやさん

2014年03月30日 | 絵本(日本)
おとうさんはパンやさん  

    おとうさんはパンやさん/平田昌広・作 鈴木まもる・絵/佼成出版社/2010年初版

 

 おとうさん・おかあさんのしごとシリーズの一冊。

 朝早くから、お店で忙しく働く母さん、お父さんのため、朝食は一人で食べるサキちゃん。
 なぜパン屋さんになったかを話してくれるやさしいお父さんです。

 学校でたくさんの友だちが、サキちゃんとこのパンを食べてるよといわれてびっくり。
 お客さんにおいしいパンをたべてほしいというお父さんの気持ちが伝わってきます。

 パン屋さんの仕事がていねいに描かれ、仕事で使う器材なども知ることができます。

 夜 中の2時に厨房にはいるお父さん。お母さんは朝6時30分にはお店を開けますが、こうしておいしいパンが食べられるんですね。

 美味しいものを食べられることに感謝。         


はっぱ

2014年03月29日 | 絵本(自然)
しぜんと あそぼう はっぱ  

    はっぱ/水野政雄/小学館/2005年初版

 

  こんな作り方もあると目を開かされる絵本。

 おおきさ、いろ、かたちなど、さまざまに異なるはっぱをつかって作りだしています。
 さかな、水族館、フクロウ、鳥、虫、動物、乗り物などなど、 葉っぱが大変身します。

  実写で構成されている絵がやさしい。

 この絵本を手にとると、多分、自分でも作ってみたくなります。

 子どもだけではなく、大人も楽しめるものとなっています。

 絵本を子どものものと決めつけないで、たまには手に取ってみたい。                   


ライオンのすてきないえ

2014年03月21日 | 絵本(日本)
ライオンのすてきないえ  

    ライオンのすてきないえ/西村 敏雄/学研教育出版/2010年初版

 

 カバ、キリン、ゾウ、カンガルーなど、子どもの好きそうな動物たちが集合し、楽しめる絵本。

 大工のさるくんが、ライオンの家をつくっていると、そこにやってきたぶたくん。てつだわせてくれとさるに頼みますが、「しごとの じゃま!」とことわれれてしまいます。

 さるが一休みしているとき、ぶたがバナナを差し入れに。
 お腹いっぱいになったさるが、ねむくなり、横になると、ぶたくんはすこしやっておいてあげようと、くぎをうちはじめます。
 すると、そこに、しまうまが手伝いに。しまうまは縞模様のペンキを塗り始めます。

 つぎに、たぬきがやってきて、ブランコをつくりはじめます。
 お次は、ねずみくん。のこぎりを使うより、歯でけずるほうが早いと板を削ってしまいます。
 すると次からつぎへと動物たちがやってきて、トントン カンカン キコキコやりはじめます。 

 どんな家ができたかな・・・・

 最後のページは、子どもと一緒に楽しめます。


長ぐつをはいたねこ(私家版)

2014年03月18日 | 私家版
 「長ぐつをはいたねこ」も訳がいろいろあって、なやましいところですが、東京子ども図書館編の「おはなしのろうそく5」に入っているものを、自分用にしてみたものです。

 おそれおおいのですが、例えば

・「ねこのかわでマフをひとつこさえたら」は、マフを手袋としました。これはほかの訳にあったもの

・「ばかなうさぎ」という表現がありますが、すこしひっかかるので「そそっかしいうさぎ」へ

・「うさぎをたくさん放し飼いにしてある」とありましたが、人間が飼っているというイメージがあるので「うさぎがいっぱいいる野原へ」としました。

 時間からすると、もう少し短くできればとも思いますが・・・・。


<長ぐつをはいたねこ>
 むかし、あるところに、ひとりの粉屋がいました。その粉屋が死んだとき、三人の息子に残した財産といえば、水車小屋とろばとねこだけでした。
 一番上の息子が水車小屋をとり、二番目の息子がろばをとったので、末の息子には、ねこしか残りませんでした。
 末息子は、こんなわずかな分け前しかもらえなくて、がっかりして、いいました。
「兄貴たちは、一緒に組んで仕事をすれば、水車小屋とろばとで、けっこう暮らしていけるだろうさ。ところがおいらときたら、このねこを食っちまって、それから、こいつの皮で手袋をひとつこさえたら、あとにはもうなんにも、のこりゃしない。それでおしまいだ。あとは、飢え死にでもするより仕方ないや」
 ねこは、この言葉をちゃんと聞いていたのですが、聞こえなかったふりをして、おちつきはらった、まじめなようすでこういいました。
「何も心配することはありませんよ。ご主人さま。このわたしに袋をひとつくれませんか。それから、やぶのなかを歩きまわれるように、長ぐつを一足作らせてください。そうすれば、あなたのもらった分け前だって、そんなに悪くなかったとわかるでしょうよ」
 末息子は、この話を、それほどあてにした訳ではありませんが、このねこがいつもねずみを上手にとるので、ひょっとしたら助けてくれるかもしれない。ひとつ、ねこのいうとおりにしても、悪くはあるまいと考えました。

 さて、ねこは、頼んでいたものが手にはいると、長ぐつを格好よくはき、袋を肩にかけ、袋のひもを前足で持って、うさぎがいっぱいいる野原へとでかけて行きました。そして、袋のなかに、うさぎの好きなぬかとレタスを入れ、自分は、まるで死んだように地面に寝ころびました。こうして、まだ世の中のこわさを知らない若いうさぎが、なかのものを食べに、袋に飛びこむのを待っていたのです。
 ねこが横になったかと思うと、もう、うまくいきました。そそっかしい一匹のうさぎが、袋の中へとびこんだのです。ねこは、すばやく袋のひもをしめてうさぎをつかまえ、あっさり殺してしまいました。
 ねこは、このえものにすっかり得意になって、王さまの御殿へ出かけていき、お目どおりを願いでました。そして、王さまのおへやに通されると、うやうやしくおじぎをして、こういいました。
「陛下、これは主人のカラバ侯爵から、陛下にさしあげるよういいつかって持ってまいりましたうさぎでございます。(ねこは自分の主人に勝手にこんな名前をつけたのです)「ご主人に、どうぞよろしくお伝えしてくれ。けっこうな贈りものをたいそう喜んでおるとな」と、王さまはいわれました。

 また、ある日、ねこは、こんどは麦畑に出かけ、れいの袋の口をあけて待っていると、やまどりが二羽とびこみました。そして、これも前のうさぎと同じように、王さまにさしあげました。王さまはまたまた喜んで、この贈りものをうけとり、ねこにはほうびをくださいました。
 こんなふうにして、ねこは、二、三カ月のあいだ、たびたび主人の狩場からだといって、王さまのところへ、えものをお届けしました。

 すると、ある日のこと、ねこは、王さまが世界で一番美しい美しいお姫さまとご一緒に、川へ遊びにお出かけになるということを聞きこみました。そこで、主人にこういいました。「わたしのいうとおりになされば、運がひらけますよ。あなたは、ただ川へいって、わたしのいう場所で、水浴びをしていればいいんです。あとのことは、わたしが引き受けますから」
 末息子は、なにがなんだか、ちっともわけが分かりませんでしたが、とにかくいわれたとおりにしました。
 さて、末息子が水浴びをしていると、そこへ王さまの馬車が通りかかりました。すると、ねこは、きゅうに、火のつくようなかなきり声をあげてさけびたてました。
「助けてください。助けてください。カラバ侯爵がおぼれそうです」
 王さまは、その声を聞いて、馬車の窓から顔を出しました。見ると、しきりにどなっているのは、これまでに、何度も狩りのえもを持ってきた、あのねこではありませんか。そこで、王さまは、お供の者たちに、すぐカラバ侯爵をお助けしろ、といいつけました。
 みんなが、あわれなカラバ侯爵を川からひっぱりあげている間に、ねこは、馬車のところにやってきました。そして、主人が水遊びをしていると、どろぼうがやってきて、主人の服をみんなかっさらっていきました。わたしは声を限りに「どろぼう!どろぼう!」と叫んだのですがだめでしたと申し上げました。実をいうと、この利口なねこが、大きな石の下にこっそり服をかくしておいたのです。
 王さまは、さっそく衣装係の役人にいいつけて、カラバ侯爵のために、ご自分の一番上等の服をひとそろい取ってこさせました。そして、やさしく侯爵をいたわりました。
 侯爵は、-もともと顔だちもよく、体つきの立派な若者でしたからー王さまからいただいた服を着ると、いかにも侯爵らしい上品なひとがらになりました。それを見たお姫さまは、すっかり侯爵がすきになりました。
 そこで、王さまは、侯爵に、ぜひとも一緒に馬車に乗って、散歩の相手をしてもらいたいといわれました。
 ねこは、自分の計画がうまく運びそうなのをみると、大喜びで、馬車の先に立って走っていきました。そして、お百姓たちが、牧場の草を刈っているところにくると、こういいました。
「これこれ、草刈りの衆、もしも王さまがお尋ねになったら、この牧場は、カラバ侯爵のものですと、お答えするんだ。さもないと、お前たちみんな、一人残らず切りきざんで、こまぎれにしてしまうぞ」
 さて、案の定、王さまは、お前たちが草刈りをしているこの牧場は、誰のものかとお尋ねになりました。
「カラバ侯爵のものでございます」と、みんなは口をそろえて答えました。ねこのおどしにふるえあがっていたからです。
「なかなか立派な土地をお持ちじゃな」と、王さまは、侯爵にいわれました。
「ごらんのとおり、陛下」と侯爵は答えました。「この牧場からは、まい年、すばらしい収穫がございます」と申しました。
 ねこが、また先に走っていきますと、今度は、麦刈りをしている人たちに出会ったので、こういいました。
「これこれ、麦刈りの衆、もしも王さまお尋ねになったら、この麦畑は、カラバ侯爵のものでございますと、お答えするんだ。さもないと、お前たちみんな、一人残らず切りきざんで、こまぎれにしてしまうぞ」
 王さまは、ひと足おくれてそこを通りかかると、この麦畑は、誰のものかとお尋ねになりました。
「カラバ侯爵のものでございます」と、刈り入れの人たちは答えました。そこで、王さまは、また、侯爵をおほめになりました。

 こうして、ねこが馬車の先回りをしては、会う人ごとに同じことを言って歩いたので、王さまはカラバ侯爵の領地の広さにびっくりされました。
 やがて、ねこは、あるりっぱなお城にやってきました。この城の主人は、人食い鬼で、また大変なお金持ちでした。今、王さまのお通りになった土地は、全部、この人食い鬼のものだったのです。ねこは、前もって、この人食い鬼のことを、ちゃんと調べておきました。
 そこで、せっかくお城の近くまで来ながら、素通りしたのでは失礼だからといって、ご主人に挨拶がしたいと申し出ました。
 人食い鬼は、鬼としては精いっぱいていねいにねこを迎え入れ、まずすわるようにといいました。
「うわさによりますと」と、ねこはいいました。「あなた様は、どのような動物にでも姿を変えることがおできになるそうですね。例えば、ライオンとかゾウとか、そんなものにでも・・・」
「いかにも、さよう」と、人食い鬼は、ぶっきらぼうにいいました。「ひとつ、ライオンになって見せてやろう」
 ねこは、目の前に、いきなりライオンが現れたのを見ると、びっくり仰天。あわてて屋根の上にとびあがりましたが、長ぐつのままで瓦の上を歩くのは、とてもむずかしくて、たいそうあぶない思いをしました。しばらくして、人食い鬼がもとの姿にかえったのを見ると、ねこはやっとおりてきて、さっきは、本当にこわかったと打ちあけました。
「また、こんな話も聞きましたが」と、ねこは続けました。「あなたさまは、はつかねずみのようなごくごく小さい動物になることもおできになるそうですね。しかし、そんなことは、いくらなんでもとても信じられませんが」
「なに、信じられん?。よし、見ておれ!」と、人食い鬼は叫んで、たちまち一匹のはつかねずみに姿を変え、床の上をちょろちょろ走り出しました。ねこは、それを見るが早いか、とびかかって、ぺろりと食べてしまいました。
 そのとき、ねこは、お城のそとのはね橋を渡る馬車の響きを聞きつけて、お迎えに走り出て、いいました。
「陛下、カラバ侯爵の城へ、ようこそおこしくださいました」
「何じゃと、カラバ侯爵。この城もあなたのものなのか」と、王さまはいいました。
「この中庭といい、まわりの建物といい、これほど見事なものは見たことがない。よかったら、城のなかもみせてもらいたいが・・・」
 そこで、カラバ侯爵は、お姫さまの手をとり、王さまのあとから、段々をのぼって、大広間にはいっていきました。見るとそこには、すばらしいごちそうが並んでいます。じつは、このごちそうは、きょう、たずねて来るはずの友だちのために、人食い鬼が用意したものでした。けれども、ねこは、それがわざわざ、王さまやお姫さまのために用意させてあったもののように見せかけました。人食い鬼のお客たちは、王さまがみえたのを知って、遠慮して、かえって行きました。

 さて、王さまは、カラバ侯爵の立派なようすや人柄にすっかりほれこみましたが、お姫さまときたら、もう夢中でした。それに侯爵が大した財産をもっていることもわかったので、何杯かお酒を召し上がったあとで、王さまは、こういいだされました。
「どうであろうな、カラバ侯爵、わしの婿になってはくださらぬか」
 侯爵は、うやうやしくおじぎをして、王さまこのありがたいお言葉をお受けすることにしました。そして、その日のうちに、お姫さまと結婚しました。
 
 さて、ねこは、大貴族になって、それからというもの、ねずみを追いかけまわすなんてことは、もう遊びにしかしませんでした。

ろくべえ まってろよ

2014年03月16日 | 絵本(日本)
ろくべえまってろよ  

   ろくべえ まってろよ/灰谷 健次郎・作 長 新太・絵/文教出版/2002年第67刷

 

 小学校一年生の、えいじくん、かんちゃん、みつおくん、しろうくん、みすずちゃんが心配そうに眺めている深い穴に落ちてしまった、犬のろくべえ。
 
 「まぬけ」とかんちゃんが言いますが、言葉とは裏腹にどうしたものかみんなで知恵をしぼります。

 お母さんたちにきてもらいますが、「無理よ」の一言。
 ぼくがいくよと男らしくいったかんちゃんに、お母さんは「ゆるしません」。
 歌をうたってあげても、ろくべえはちょっと目をあげるだけ。
 ろくべえが好きなシャボン玉をふいてあげても、ろくべえはぴくりともしません。
 ゴルフのクラブをふりながら、とおりかかったひまそうにひとにお願いしても「いぬでよかったなあ」といったきり、いってしまいます。

 そこで考えたのは・・・・・。
 
 タイトルの「ろくべえ まってろよ」に、子どもたちの気持ちが凝縮されています。縦と横になった絵が交互にあらわれるのも楽しいですが、穴におちたろくべえのしょんぼりしたさまに、ほろりとさせられます。        


ペンキやさん

2014年03月14日 | 絵本(日本)
ペンキやさん  

    ペンキやさん/あおき あさみ/福音館書店/2013年初版

 

 さまざまな工程を通してきれいに生まれ変わる家。

 あっちゃんが興味津々に質問すると、職人さんが丁寧にこたえてくれます。
 子どもって、なんにでも興味をもつので、面倒くさがらずにこたえてくれたら、その仕事に将来つきたいと考えるのも自然です。

 巻末には、ペンキやさんの道具や仕事の順番、仕事中のスタイルまで紹介されていて、この絵本一冊で、ペンキやさんの仕事がまるごとわかります。

 それにしても、子どもがなりたい職業の10位までペンキやさんがでてきませんが、こんな絵本が身近にあったら、もう少し上位にでてきても不思議はないところ。

 絵本の企画もいろいろあって、将来の職業を選択する手助けになる魅力的な絵本が多くあったら、子どもたちの職業観も少しかわるかも。


屋根がチーズでできた家・・スウェーデン、マメ子と魔物・・イラン

2014年03月12日 | 昔話(外国)

   マメ子と魔物/子どもに聞かせる世界の民話/矢崎源九郎/実業之日本社/1964年初版
   屋根がチーズでできた家/子どもに語る北欧の昔話/福井信子・湯沢朱実 編訳/こぐま社/2001年初版


 「屋根がチーズでできた家」にでてくるお兄さん(幾つぐらいかは不明だが自分の年齢におきかえても聞いていても不思議はない・・・)が、妹と一緒に森に出かけ、屋根がチーズでできている屋根のおいしいチーズを食べ始めると、トロル女につかまってしまう。このトロルは人食いの恐ろしい存在。
 
 しかし、お兄さんは食べられそうになると、まず「太らせてからのほうがおいしい」といって、トロルから木の実やミルクをせしめたり、パン焼き板で殺されそうになると、逆にトロル女をかまどのなかにおしこんでしまうなど、うまくトロル女をやりこめてしまう。

 お話の終わりには、主人公が幸せなる前提があるので、トロル女がいくら怖くても、安心して聞いていられる。

 「マメ子と魔物」は、豆のように小さい女の子が、これもやはり人食いの魔物をやりこめますが、やりこめかたは「屋根がチーズでできた家」とそっくり。

 女の子たちが魔物につかまり、魔物は眠った子どもを食べようとするが、マメ子が「ケーキとたまごやきを食べないと眠れない」からといって、魔物につくらせたり、「夕ご飯のあとでいつも水をのまないと眠られない」と、うまく魔物を遠くの山にいかせることに成功し、その間に、女の子たちは魔物から逃げ出します。
 ここからマメ子がもう一度魔物の家にもどることになるが、やはりつかまってしまい、食べられそうになるが、逆に魔物をかまどのなかに、押し込めて焼き殺してしまう。

 
 「屋根がチーズでできた家」にでてくる兄と妹は、姉と弟に置き換えても違和感はなさそう。下の子が主役の昔話にあって上の子に存在感がある話になっています。

 「マメ子と魔物」は、子どもに恵まれなかった夫婦が、豆から生まれた子をさずかるところから話がはじまるが、後段との直接的な関連はないので、聞き手と等身大の主人公であってもおかしくはない。

 イスラムでは、女性が正当な評価をうけていないように思えますが、マメ子のように女性が活躍する話の背景にも注目したいところ。

 屋根がチーズでできているのは、トロルが子どもをつかまえるためだが、日本の昔話では、食べるものでできた家などはみられないところ。


えんのぎょうじゃ・・・小川町の民話

2014年03月10日 | 私家版
 平成4年に発行されている「小川町の民話と伝説」。
 一度、このブログで紹介しましたが、小川高校郷土部の取材がもとになっているユニークなもの。
 せっかくなので、語ってみたいと思い、少しだけかえてみました。

 ここに出てくる下里、腰越は当然のことながら、小川町の地名で、古寺というのも実際にあるお寺です。
 ここに住んであまり間がないので、なぜ「えんのぎょうじゃ」なのか説明できないのが残念ですが・・・

<えんのぎょうじゃ>
 むかしむかし、下里村の人が畑仕事をしていたときのことです。
ズシン!ズシン!ゴウ、ゴウ突然の地震です。
山々がたてに波をうっています。
畑仕事をしていた男も女も鍬を投げ捨てて叫びます。
「地震だ!竹藪に入れ。赤ん坊は大丈夫か」。
「わああ、きゃあ」
「コケコッコー」「ヒーン、ヒーン」動物たちも大騒ぎです。村は、ハチの巣をつついたようになりました。
やっと地震はおさまりました。そんなに長い間ではないのに、竹藪や押し入れで中でかくれていた人たちは、とても長く揺れていたように思いました。
そして、さっきの騒ぎがウソのような静けさがもどってきました。かくれていた人々は、しばらくはじっとしていました。それから口々に、いいあいました。
「おい、さっきの地震はすごかったなあ。」「田んぼのどじょうまでおどっていたぞ。でもなんか変な地震だったよなー。」「まるで大男でも歩いたみてえな調子だったよ」「それにしてもおっかなっかたよ。おらなんか声もでなかったよ」
 しばらくして、こんどはグオー、グオーという音が聞こえてきました。村の人たちは気味悪がって、誰も野良へ出かけようとしませんでした。夜がふけましたが「グオー」という音は消えませんでした。
次の日も、やはり「グオー」という音がしました。村人たちは、家の中でじっとしていましたが、べんぞうさんだけは、畑にでかけていきました。
次の日も、やはり「グオー」という音はやみません。地震のあった日から三日間も、その音は続きました。村人たちは気味悪くてたまりませんでした。
 村の人たちは、いつの間にか一つの場所に集まって、話し合いをはじめました。
「なあ、どうもあの音は、腰越のむこうからでているんじゃあないかな」
「うん、おらもそう思っただ」
「おらも」
「んだ、んだ」
「だれか腰越のほうに行って見てこいよ」
「おらやだ」
「おらもだ」
みんなだまってしまいました。
「そうだ、べんぞうにいかせるべー」
自分が行くのではないので、話はいっぺんにまとまりました。
 べんぞうさんはあまりいきたくありませんでしたが、みんなから、お願いされて、しかたなく、とぼとぼあるきだしました。べんぞうさんは腰越を越え、古寺にいきました。
 ズシン!ズシン!音が一段と強くなりました。
「オオオー!アアア!」
べんぞうさんは、言葉にならない言葉で叫んでいました。べんぞうさんは、なんと山より大きい大男を見てしまったのです。
「だれだ!」
鼓膜がやぶれるような、いや、地面まではりさけような声がしました。
べんぞうさんは恐ろしさのあまり、ペタリとすわりこんでしまいました。
しかし、大男はべんぞうさんには目もくれず、「いまいましい石ころめ!」と言いながら立ちどまり、ゲタの歯にはさまった石を、ポーンといせいよく蹴り上げました。石ころは、下里のほうまで飛んで行ってしまいました。大男は「ズシン!ズシン!」と足音をひびかせ、北へ北へと行ってしまいました。
べんぞうさんは、いちもくさんに村へ向かってはしりだしました。
 そのころ、下里ではべんぞうさんを心配して、村の人たちが走りまわっていました。
べんぞうさんが帰ってきたときです。べんぞうさんは、もう息もたえだえに、「え・ん・の・ぎょう・じゃ・が・げた・のあいだの石・・」と言っただけで、そのまま息をひきとってしまいました。
 村の人たちは、べんぞうさんの話と、飛んできた大きな石を見ながら、
「きっと、えんのぎょうじゃという大男が、腰越のほうの山にやってきたにちがいねえ。あの地震も、飛んできたあの石も、えんのぎょうじゃのしわざなんだんべえ。」
「それに、べんぞうの話からすると、その石はゲタの歯にはさまってんじゃあねえか。」
「それにしてもあれが、ゲタの歯にはさまった石かいのお。そんなに大きな男だったんだんべえか。」と、言い合いました。

しきしきむらのふゆ

2014年03月08日 | 絵本(日本)
しきしきむらのふゆ  

    しきしきむらのふゆ/木坂 涼・文 山村浩二・絵/岩波書店/2005年初版 

 

 巻末に、「しきしきむらのはる」、「しきしきむらのなつ」、「しきしきむらのあき」、「しきしきむらのふゆ」とあって、四季のシリーズを描いたものであることがわかります。

 登場人物?(動物かな)の豊かな表情を見ているだけで、ほのぼのしてくる絵本。

 屋根の軒下につらら。びゅびゅうふくつめたいかぜ。それでも、こどもは風の子とそりすべりをしたり、雪だるまをつくったり。
 しかし、暖かい部屋の炬燵で食べるあまーいお汁粉は格別。カタツムリとカメは、おいしそうにミカンを食べています。

 お腹いっぱいのあとは、だれのあしあとかわからないゆきのあしあとをおいかけていくと、
 空には冬の星座がでむかえてくれます。

 最後のページは、ドラム缶の風呂に、カタツムリとカメが暖かそうに入っていて、さむ―い冬も楽しくなりそうな場面。

 小型版で、子どもを膝の上にのせて読んであげたら、親のぬくもりが冬の寒さを吹き飛ばしてくれそう。                


ふくろうのダルトリー

2014年03月07日 | 絵本(日本)
ふくろうのダルトリー  

   ふくろうのダルトリー/文・乾 栄里子 絵・西村 敏雄/ブロンズ新社/2011年初版

 

 お月さまがやせてくると、それを心配したふくろうのダルトリーが、塔のてっぺんにリンゴをおいておきます。
 リンゴは次の日にはいつもなくなっています。

 このリンゴ。

 一人暮らしのおばあさんのところに
 くたびれたろばのあしもとに
 おぼれそうになったこねずみを岸に運んで
 いそがしく働いている音楽家のところへ

 すると・・・・

 リンゴは幸せの象徴だったようです。

 舞台は、ポスターからするとどこか外国

 帽子をかぶったふくろうのダルトリーくん、なぜか傾いている家々、頭でっかちのろばなどが楽しい。

 絵も作者が違うとこんなにもさまざまな描き方もあると、いまさらながら絵本の奥深さにひかれます。        


山のごちそう どんぐりの木

2014年03月03日 | 絵本(自然)
山のごちそう どんぐりの木  

   山のごちそう どんぐりの木/ゆきの ようこ・文 川上和生・絵/理論社/2005年初版

 

 2月の大雪で、食べた種を植えて4年ほどだったビワの木が、雪のせいで無残におれてしまいました。1mほどの大きさで、水気を含んだ雪の重みにたえられなかったようです。

 実のなる木を植えたいと思って、庭に植えたクヌギは、3年ほどで40㎝と80㎝ほどの大きさに。

 クヌギは落葉樹のせいか、こちらは何とか無事でした。常緑樹だと雪国では雪の重みにたえられないこともありそうです。

 ところで、どんぐりといっても、コナラ、シラカシ、アカガシ、スダジイ、マテバシイとさまざま。

 クリもどんぐりの仲間。

 コナラの葉っぱで、さまざな幼虫が。まるまると太ると鳥のエサに。
 チョウ、カブトムシやガの仲間が樹液を吸いに集まります
 秋になって地上におちたどんぐりは、鳥やクマ、リスたちごちそうに。
 虫にも動物や鳥に食べられなかったどんぐりは、やがて芽をだします。

 春を待つ枝の先には、たくさんの芽がかたい「りんぺん」というウロコのようなものでおおわれて、雪がつもっても、冷たい風がふいても、大切な宝物をしっかりまもっている・・・とあって、今の時期にも実りの秋を想像させてくれます。

 コナラの木の四季を通して森の自然や虫たち、動物の様子が描かれていて、これまで知らなかった新しい発見があり、大人にとっても楽しくなる絵本とです。