アラビアンナイト「空飛ぶじゅーたん」は、いきたいところにいくことできます。
また「魔法の馬」(黒檀の馬と訳されているのもあり)は職人がつくったものですが、いきたいところにいけるというので、これももう一つの方法です。
イギリス「ジャックと豆のつる」では、植えると翌日には天までとどいている豆のつるをよじ登って、天までいってお宝を頂戴するというもの。豆のつるをよじ登るのは大変そう。
日本の昔話、大川悦生・文の「かみなりごろべえ」では、豆の木をのぼり かみなりさまのところに行く話。同じ「鼻ののびるうちわ」では、天狗のもっていた羽うちわで鼻をのばし、天の川までいきつきます。
ロシア「石の王子」(世界むかし話6 ロシア 空飛ぶ船/田中 泰子・訳/ほるぷ出版/1979年初版)では、空にまでのびているトナカイの角をのぼっていきます。
天へいくのは縦への移動ですが、縦の移動に比較すると、横への移動の事例は数多く見ることができます。
ロシアの昔話「7人のセミョーン」(子どもに語るロシアの昔話/伊東一郎 訳・再話 茨木啓子 再話/こぐま社/2007年初版)では、三×九=二七番目のそのまた向こうの30番目の国に住んでいた美しいエレーナ姫を王さまのところにつれてくるというシーンがあり、「火の鳥と王女ワシリーサ」では、はるか遠く離れた国のかなた、そこから太陽がのぼる、この世の果ての国に住む王女ワシリーサのもとへ若者が旅をするシーンも。
日本の昔話には、このように遠くまでいくという例が少ないように思いますが・・・?。
空を飛ぶのもさまざまで、インドの昔話(大人と子どものための世界のむかし話 インドのむかし話/坂田貞二 編訳/偕成社/1989年初版)には空を飛ぶベッドがでてきます。
「王子とふたりの若者」や「かいば入れから生まれたおよめさん」にも「空飛ぶベッド」(こちらは実際には飛ばないが)がでてきます。
ジュータンは何となく不安定なイメージですが、ベッドとなると安定感があります。
アイスランドの「リヌシとシグニ」(子どもに語る北欧の昔話/福井信子・湯浅朱美 編訳/こぐま社/2001年初版)でもベッドが空を飛びます。二人のトロル女から連れ去られた王子をシグニという娘が救うというお話。
空を飛ぶといえば、魔法使いがのっている「ほうき」は、これまで読んだ昔話にはあまりでてこないと記憶していますが・・・・。
ハリーポッターや魔女の宅急便キキ、魔法使いサリーなどでおなじみの空飛ぶほうきは、創作から生まれたものでしょうか。
アンデルセンの「空とぶトランク」(アンデルセン童話集1/大畑末吉・訳/岩波少年文庫/1986年初版)
は、トランクが空を飛びます。
親からうけついだ財産を浪費した男が、一人残った親切な友だちからもらったトランク、錠前をおすとどこまでもどこまでも飛んでいきます。
城のてっぺんにいた、恋人のために不幸せな目に合うというお姫様と結婚することになるのですが、まっていた結末は?