どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おひゃくしょうさんと だんご

2024年07月01日 | 紙芝居(昔話)

   おひゃくしょうさんと だんご/作・こわせ たまみ 絵・村田エミコ/教育画劇/2009年(12画面)

 
 スリランカといわれなければ、日本の昔話と勘違いします。
 
 隣の村で暮らす娘のところで、おいしいだんごをたべたお百姓さんが、帰る途中で石に足をぶつけ、だんごという名前を忘れてしまいました。
 
 おかみさんに だんごをつくってもらおうとしますが、”だんご”がいつのまにか”あいたった”になって、けんかになってしまいます。怪我の功名で、おかみさんの たんこぶのおかげで あまーい こめの だんごっこが 五つできますが こんどは、だんごの分け方で ひともんちゃく。
 
 先に口をきいたほうが負けで、勝ったほうが だんごを 全部ものにする我慢比べがはじまりました。夕方になっても夜になっても ふたりは だまったまま。
 ねずみがでてきて、だんごをさらっていこうとして、お百姓さんのそばにあった棒を押し倒し、その棒が お百姓さんの足にたおれ、たまらず「あー まいった こーりゃ あいたった!」と、さけんでしまい、だんごはすべて、おかみさんが 食べてしまいます。
 
 
 日本の昔話では前段だけというのが多く、あまりぱっとしないむすこがでてくるよりは 受け入れやすい。また後段だけという話も数多い。
 白黒の版画で、夫婦の大きく描かれた顔が、お話の世界にぴったり。
 
 
・五つのだんご(アジアの昔話6/松岡享子・訳/福音館書店/1981年初版)

 紙芝居のもとになったと思われる話。

 我慢比べの最後で、二人が墓穴に葬られようとしたとき、穴を掘るのに使ったシャベルが百姓の足のつま先にあたって、痛みをこらえきれずき大声をあげてしまうところで決着がつきます。そりゃあないよという場面がいくつもでてきまが、それにして墓穴まででてくるとは!。


 スリランカでは26年にわたる内戦が続いていたといいます。1983年から2009年までスリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラ (LTTE) による内戦で、つい最近のことです

はなのすきな おじいさん

2024年06月15日 | 紙芝居(昔話)

  はなのすきな おじいさん/脚本・小林純一 画・小谷野半二/童心社/1998年(12場面)

 

 中国の昔話。1964年発行。1998年に復刻。

 貧しい暮らしをしているのに、それはそれは花の好きな秋じいさんが いました。
 秋じいさんは、村の人に、花をおったりしないよう、ていねいにあたまをさげ、村の人の理解もありました。

 この庭に目をつけた、ならずものの張おやぶんたちが、庭をとりあげてやろうと、やってきて、秋おじいさんをなぐったり、そこらじゅうの花を折ったり、さんざんあばれていきました。

 秋おじいさんが、涙を流して悲しんでいると花の精があわわれ、花をもとどおりにすると、どこかへ きえていました。

 ところが、張おやぶんの密告で、折れた花をもとどおりにした魔法をつかったと、役人につかまってしまいました。

 張おやぶんたちが花見にいくと、咲いていた花は地面に落ちしまって ひとつものこっていませんでした。それだけでなく、風とともに、むすめがあらわれ、そでを ひらひらさせると、張おやぶんたちは、でんきにでも うたれたように ぴりーっと しびれるのです。そして、いっぱいつきでている枝に 顔を ひっかれたり、ねっこにつまずいて、すってんころりん。

 張おやぶんたちの わるいことが ばれたので 秋おじいさんは、牢屋からだされて、うちにかえってきました。そののち、秋おじいさんは自分の庭を みんなの公園にして、美しい花と、きんじょのこどもたちにかこまれながら たのしくくらしました。

 

 勧善懲悪が はっきりしていて わかりやすい話です。だいぶ古い出版ですが、昔話は時代の変化にも左右されないものがあります。


なぞの あねさま

2024年06月02日 | 紙芝居(昔話)

  なぞの あねさま/監修・松谷みよ子 脚本・桜井信夫 画・清水耕蔵/童心社/1998年(12場面)

 

 むかし、力じまんの3人兄弟が力だめしに旅にでました。旅のとちゅう、ある立派な長者の家の前に“立札があり、「知恵あり、力ある若者を むこにしたい」とかいてありました。

 ここで、三人が長者の前にならぶと、長者は、婿殿ををきめるためには、みかけだけではなく 仕事だめしに まず、千かり田んぼの田おこしをするようにいいました。

 まずは、はらごしらえをして、それから三人が千かり田んぼのたおこしをはじめました。そのはやいこと はやいこと ふつは十日もかかるたんぼを 一日でやりあげました。仕事ぶりは三人ともおなじようで、優劣が決められず、三人は長者の家にくらしはじめます。

 何日かたっても、娘の姿はみえません。ある夜、三人の部屋の前を、女の人がろうそくをもってとおりすぎました。三人が後をつけてみると、女の人は背中を向けて床板を取り外し、木の箱をとり、蓋を取りました。「ふっふふふ」と笑った女の人は、骸骨をとりだすと、ふりむきもしないで三人の声を掛けます。血のついた骨を目の前につきだし、振り向いた女の顔は、鬼でした。うえのふたりは たまらず 逃げ出しました。下の弟だけはじっと骨をみつめると、ついっと手を伸ばして 骨を ばりばり たべはじめました。

 すると、「ああ、よくぞ たべてくださいました。」と女の人が いうなり、白い着物をぬぐと、そこには うつくしいあねさま。あねさまは、「これまで なんにんも むこさまになりたいとやってきましたが、みんな途中で、逃げ出し、骨までたべるような 肝の据わった一人はおりませんでした。」と 話しました。そうして、弟は、めでたく長者のあねさまの婿に。

 

 婿を選ぶのは、女性の側に決定権があります。
 途中ぞっとさせておいて、骨は、餅でつくったうまい骨だったというオチ。


おにと おひめさま

2024年05月10日 | 紙芝居(昔話)

   おにと おひめさま/脚本・堀尾青史 画・田島征三/童心社/2000年20刷(12場面)

 

 「グリム童話傑作選」です。
 2000年で20刷とありますが、初版は1961年です。

 鬼の夫婦が王子さま、お姫さまをさらってきて食べようとしますが、逃げ出した二人が、追跡を振り切って めでたしめでだしになります。

 鬼の夫婦に存在感があります。ひとくいおにが、誕生日にうんとうまいにんげんをくいたい、おれは、あっちの国の王子をさらいにいくから、おまえは、こっちの国のお姫さまをさらってこい」というと、おかみさんは、「そのへんのこどもじゃいけないのかい。ごちゃごちゃいるよ、紙芝居を みているのが。」とこたえ、観客をひきこんでいきます。
 ひとくいおにが、「一そくとびのくつと魔法の杖がをしまっておけ。」というと、おかみさんは、「いつだって わたしに かたづけさせるよ。」と不満たらたら。どこか人間の夫婦みたい。
 ひとくいおにが、「きれいな 花だな。なんて 花だ。」ときくと、「バラだよ、ばかだね。」と、一言

 ひとくいおには、ものすごいくせに、バラのとげにちょっとさされ、おかみさんも ハチにちょっとさされるだけで、熱が出て、九百九十九年ねこんでしまいます。
 そして、ひとくいおにが そろそろ でてきたらたいへんだから、へんなひとに「ぼっちゃんや、おじょうちゃん、くるまに のせて、やるよ。」などどいわれて さらわれちゃ えらいことに なっまうものね」と注意喚起まで・・。

 

 表紙そのものが紙芝居仕掛け。一そくとびのくつには、羽根、魔法の杖は 人形風でもあり、スプーン風にもみえます。


わらのうし

2024年04月23日 | 紙芝居(昔話)

    わらのうし/脚本・八百板洋子 絵・日柴喜洋子/童心社/2024年(12画面)

 

 ウクライナの昔話。絵本も出版されています。

 むかし、まずしいおばあさんが、おじいさんに「わらで牛を作り、タールを いっぱい ぬって」くれるようおじいさんにいいます。
 いったんは、ばかばかしいというおじいさんでしたが・・・
 
 翌朝、おばあさんは、藁の牛を連れて丘のうえの草原にいきました。おばあさんが、うとうとしていると、クマがやってきて 牛に襲いかかると、クマはタールをぬった 藁の牛に くっついてしまい うごけなくなりました。おばあさんと 牛が クマをひきずってきたので おじいさんは びっくり。いそいでクマを穴蔵に 放り込みました。

 次の日、またおばあさんが草原に 連れていくと、今度はオオカミが牛にくっついてしまいます。三日目もおなじように、キツネが牛にくっついてしまいます。

 クマ、オオカミ、キツネでいっぱいになった穴蔵のそばで、おじいさんがナイフを研ぎながら、クマの皮でマントを作ろうか、オオカミの毛皮では、りっぱな ぼうしができる、ばあさんの襟巻には キツネの毛皮がいちばんあたたかそうだなと、独り言をいうと、クマはハチミツを、オオカミは羊を、キツネは にわとりとがちょうを連れてくるから逃がしてくれいいます。

 クマ、オオカミ、キツネは ちゃんと 約束を 守りました。

 

 最後の画面は、全員が笑顔。


しっぺいたろう

2024年04月17日 | 紙芝居(昔話)

   しっぺいたろう/脚本・津田真一 絵・田島征三/童心社/2018年(12画面)

 

 人身御供の娘を助ける 旅の坊さんと、しっぺいたろうという犬の話。

 「しっぺいたろうは おるまいの しっぺいたろうにゃ みつかんな」という話声で、しっぺいたろうを探すにいくと、それは犬で、娘が運ばれる危機一髪のとき、犬を連れ帰ったお坊さんと犬が、ヒヒを退治。

 田島さんが描く、坊さんよりおおきい犬の存在感が抜群。

 

 絵本も出版されています。全国各地に残され、地元にもあるという感想が寄せられていました。

 

・土ぐもたいじ(奈良のむかし話/奈良のむかし話研究会編/日本標準/1977年)

 タイトルがかわっていますが、化け物は、ヒヒではなく土ぐも。

 お坊さんは はじめからサンという犬を連れていています。お坊さんがもっている杖に、太い糸が、なんすじも、なんすじも ぐるぐる まきついてきます。そしてサンもまた、土ぐもの毒で殺されてしまいます。村の人は、土ぐもとたたかったサンのために、「犬づか」をたてて、手厚くほおむってやります。


しろい からす

2024年04月13日 | 紙芝居(昔話)

   しろい からす/脚本・上地ちづ子 画・福田庄助/童心社/1975年初版

 

 ハトの餌を横取りするため、白くなろうとしたカラスが、小麦の袋にくちばしで 穴をあけようとすると 粉がいっぺんにでてきて ゴホンゴホンとせき込んでしまいました。

 つぎに、染物屋さんで すっかり白くなると ハトのところで 餌を食べることができましたが、うますぎて カアーとなくと正体がばれて おいはらわれてしまいます。

 仲間のところへ行くと、こんどは 白いからと 仲間外れ。

 そこで カラスは・・・・。

 

 頭がいいとうぬぼれていたカラスは、ずるがしこく立ち回ろうとしなくなったかな?

 「たのしいイソップ」のお話しです。


きんいろのうま

2024年04月08日 | 紙芝居(昔話)

   きんいろのうま/脚本・おかもとあつし 絵・伊藤秀男/童心社/2017年(12画面)

 

 「むかしむかし とさの あるむら」とはじまるので、高知の昔話がもとになっているのでしょうか。

 ある大晦日かの晩、貧乏で怠け者の吾作のまえに貧乏神があらわれ、「ながいこと せわになっていたが これからいいところへ つれてやってやろう。」と、ひらひらと雪の舞う山のふもとへつれていきました。

 シャラリン シャラリンとなにかが 近づいた音がして、金色の馬がやってくると、貧乏神が馬を捕まえるようにいいます。馬はやまのようなたからものを積んでいましたが、みたこともない たからものをみて からだが がちがちで うごけないうちに 馬は とおりすぎていってしもうた。

 つぎに、すずのねを ひびかせて 銀色の馬がやってきました。貧乏神は、吾作に捕まえるよう 大声でさけびますが、たからものに目がくらんだ吾作が、まごまごしているうちに、銀色の馬も とおりすぎていきました。そのとき、「コケコッコー」と一番どりの声が聞こえてきて、貧乏神は よその家に いくからと あたふたと 姿をけしました。

 おしいことをしたをしたとつぶやく吾作のまえに、こんどは鉛色の馬がやってきました。こんどはなんとか 馬をおさえこみました。鉛色の馬は、たからものはつんでいなかったが、暮らしに役立つ道具や 食べ物を どっさりと つんでおった。

 つぎの日、馬は吾作の着物をくわえてたんぼにつれていき、吾作と一緒に 田植えの準備をした。夕方家にもどると、藁束を おしつけてくるので 吾作は、馬小屋の掃除。よくよくみてみると藁の中に 小判。それからというもの、朝から晩まで せいだして働いた時には、小判があるが、なまけると ない。吾作は 馬と一緒に わき目もふらずに働いたので、すっかり 豊かになっていった。

 そして月がうつくしい十五夜の晩、なにか音がするので、吾作が馬小屋へ行ってみると、馬がうれしそうに からだを すりよせてきて、ヒヒーンとなくと 金色の馬にかわって、地面を ちからいっぱいけると 月をめがけて 一目散に かけのぼっていった。

 

 なまけものの吾作が働き者になったのを見て、鉛色の馬も 安心して 天に かえっていったもんよのう。

 大晦日と貧乏神も、昔話にかかせない組み合わせです。


だいくと ねこ

2024年04月02日 | 紙芝居(昔話)

   だいくと ねこ/文・荒井悦子 絵・堀川 波/教育画劇/2012年(12画面)

 北風の吹く寒い朝、まいごのねこを 家に連れ帰った大工の佐吉。みけと名前をつけ、一緒に暮らすことにしました。

 ある日、仕事中に倒れてしまった佐吉は目が見えなくなってしまいました。医者からは、もう目は治らんといわれました。たまのために、魚いっぴき買えないと落ち込む佐吉。

 佐吉がうとうとするとみけが、佐吉のからだよじのぼり、両目をぺろぺろ なめはじめました。来る日も来る日も なめつづけました。

 ある朝、にぎやかな声がして、「なんだろう?」と、扉をひらくと、光が一面にさしこみ、光のあたたかさが 感じられました。外は春爛漫、桜の花が 見事に咲いていたのです。ところがみけをよぶと、目は白く濁って 何も見えないのでした。おいらのかわりに、みえなくなったんだなと、佐吉は なきくずれました。けれども、佐吉は それからもみけをかわいがり、仕事もがんばりました。

 

 桜の季節にぴったりの人情あふれる紙芝居です。


アラジンとまほうのランプ・・紙芝居

2024年03月29日 | 紙芝居(昔話)

   アラジンとまほうのランプ/脚本・若山甲介 画・中村景児/童心社/1999年(16画面)

 

 紙芝居はながくても16画面程度。もちろん原作が大分省略されているが、コンパクトにまとめられていて物語の雰囲気を味わうのには最適。

 アラジンが古ぼけたランプを手に入れるところから、かがやくばかりの宮殿を手にいれ、お姫さまと結婚。ところがランプを魔法使いにとりあげられ、元の木阿弥。七年と七か月旅をし、ケガしたロック鳥を助けたことから、ランプを取り戻し、お金持ちでも幸せに限らないと気づくところまで16画面。

 ある日、ひとりの男から声をかけられ、町のはずれの穴の中にはいっていったアラジンが見つけたのは男が探しているランプ。ランプをすぐにわたそうとしないアラジンは、大きな岩で入り口をふさがれてしまいます。ところがきたないランプのほこりを ふこうと こすると、煙とともに見上げるほどの魔人があらわれ、なんでも望みをかなえてさしあげますという。とりあえず腹ごしらえし、宮殿が出来上がると、王さまのお姫さまと結婚。

 そんなある日、古いランプを交換するというランプ売りがやってきて、何も知らないお姫さまが、アラジンのランプをとりかえてしまいます。ランプを手に入れた男は魔法使いで、お姫さまと城を、砂漠のかなたの魔法使いの国へ運びます。

 すべてを失ったアラジンが、七年と七か月旅をし、やってきたのはコーカサスの山。怪我したロック鳥の足を、ターバンで包帯代わりに結んであげると、ロック鳥は、お姫さまと、魔法使いを退治する方法も教えてくれました。

 やがて・・・。

 

 穴の中のランプをアラジンに託して手に入れようとするなど魔法使いらしくないところなどツッコミたくなるところも沢山ありますが、こすると魔人があらわれたり、空飛ぶジュータンが出てくるなど、わくわくするアラビアンナイトの世界です。


におうと どっこい

2024年03月08日 | 紙芝居(昔話)

   におうと どっこい/泉さち子・文 西村達馬・画/教育画劇/1998年(12画面)

 

 日本一の力持ちを自称するにおうが、唐という国には どっこいという男がいて、におうよりも ずうんと 力持ちだと 村の人に言われ、唐の国で力比べをしようと、唐の国にわたりました。わたる前、おぼうさんから、こまったときに 役立つだろうと ヤスリをもらっていました。

 ひとりぶんの飯のおおさに、どもぎをぬかれ、逃げ出そうとするとすると、地震のような大きな物音。どっこいの足音と言われ、におうは 船で にげますが、どっこいがなげた、かぎのついた鎖がにおうの船にくいこみました。そこで、におうが、お坊さんからもらったヤスリで、鎖を切ると、そのひょうしに ドッシーン!とひっくりかえったのは、どっこい。そのとたん、大地震がおき津波がおきて、におうがのった船は あっというまに日本の岸へ 運ばれました。

 ヤスリをくれたのは、じつは八幡さまでした。におうは この後、八幡さまの家来として、門番になりました。ですから、いまでも、山門には 仁王さまが ぐっと にらみを きかせているのです。

 

 お寺にはいる門には、仁王様が立っていることが多いので、親近感がわきそうな紙芝居。ただ、対象年齢がだいぶ低く設定されているのでやむを得ないのですが、どっこいの 力がどのくらいか もう少しあった方がインパクトがありそうです。


かみなりさまと くわのき

2024年02月21日 | 紙芝居(昔話)

   かみなりさまと くわのき/文・清水たみ子 画・安井康二/教育画劇/1998年/12画面

 主人公は”げんごろう”という子ども。

 源五郎と言えば、湖に落ちた源五郎さんが源五郎ブナになる話が知られていますが、この紙芝居では、雲から落ちたげんごろうが、クワの木にひっかかり 助かったことから、クワの枝を 家の軒下にさし かみなりがよけにしたというオチ。

 雲へ行くのは、ナスの木?をのぼっていきます。ナスを食べてしまった雷さまが、ごめんごめんといいながら、げんごろうを歓待してくれます。そこで雷さまを手伝って、雨をふらせていると、はしゃぎすぎて 落ちてしまいます。

 冒頭は、おじさんから、一本で 何百も 何千も ナスがなるという苗を 買うところから はじまります。

 

 どこの話がもとになっているかふれられていませんが、福島や群馬県に、おなじ昔話があるようです。


冬のわらたば

2024年02月17日 | 紙芝居(昔話)

    冬のわらたば/脚本・津谷タズ子 画・西山三郎/童心社/1991年(16画面)

<こわーいこわーいおはなし>とありました。

 あたり一面雪で、山仕事に出かけられないので、ばあさまは、大根を煮て。じいさまは ゆきぐつでも編もうと、土間につんであったわらたばを、囲炉裏のそばに、どさりとおいたら わらぼこりがたちました。そのとき、じいさまのくびすじを つめたい風が かすめました。ひょいとふりかえってみると、わらぼこりのなかに 背丈の低い男が三味線を かかえてたっていました。

 すこしあったまらせてくれという男は、ものもいわず 背中をこごめて ちょこんとすわり ときどき 囲炉裏のすみに しろい つばを とばしていました。じいさまが、礼儀を知らない男だなと思いながら、ゆきぐつを編んでいると、藁の中から ちっちゃい 虫が 囲炉裏のそばにでてきました。男は すこもこ すこもこ からだをうごかし、その虫 あつめては せわしく 顔を こすっていました。

 ばあさまが、できあがった 大根たきを すすめると 男は、「三味線に よくないので、ゆげのでているもんは きらいだ」と、不愛想な声でいいます。ふたりがたべていると、男は ペコン ペコン ジャラン ジャランと、三味線 かきならしました。そのあとも 湯気が嫌いだという男。

 じさまが 男に言われて、三味線を たたいてみれば、なるほど いい音。ペコン ペコンしていると、じいさまの手に、ねばねがが くっついて 糸 はじくことも できない。うごけばうごくほど、からだが 三味線に くっついてしまう。男は 口から 白い糸を ふきつけ、ぐりぐりまきにすると 天井の はりに ぶらさげて しまいます。

 ばさまが こりゃ たいへんと、湯気で じいさまを あっため 白い糸を、力任せに ひっぱると、おおきな くもが、煮立った お鍋に おっこちてきて、あっというまに とけてしまいました。

 

 くものいいたいこと、それは、「おらが 一冬、裕福に 食べようと あつめた だいじな 虫の わらたば、なんの まえぶれもなく ほぐすな」というものでした。

 

 特色のある擬音語がでてきます。藁束のなかの 虫のイメージが つかめないのが残念でした。


ふしぎな はな

2024年02月14日 | 紙芝居(昔話)

    ふしぎな はな/脚本・絵 藤田勝治/童心社/2009年

 

 ジャワの月下美人にまつわる花の話。


 むかしジャワ島の王さまは、優しい王さまでしたが、国が栄えるにしたがって 横暴になりました。

 大臣たちが、キアイというえらい坊さまに相談すると、キアイはさっそく お城にやってきて王さまを戒めます。
王さまは、生意気な坊さまを懲らしめようと、おおぜいの兵隊とキアイを取り囲みますが、海からあらわれた龍が暴れまわり、「じぶんは、すべてが 思い通りになるとおもっていたが、それは まちがっていた」ことを 思い知らされます。

 風がおさまり、龍は消え、何事もなかったような、キアイの 姿が ありました。王さまはキアイに、「わたしは いままで、ひどく 威張っていました。でも、本当は なんて ちっぽけで 弱いのでしょう。いったい どうすれば よいのでしょうか」と相談すると、「向こうに見える島に、真夜中 ほんのいっときしか 咲かない花がります。その花を持ち帰ることができるなら 王さまのこたえは 見つかるでしょう」といわれ、小舟で、その島をめざします。

 ふしぎなことに、いくらこいでも なかなかちかずくことができず、幾日も幾日も舟をこぎすすめ、やっと島にたどりつきました。そこには、魔物がいて 王さまを 口々に ののしりました。それでも くじけずにすすんでいきますが、花は見つかりません。暑い陽に照らされ、大雨にあい、風に たたきつけられながら歩きますが、やはり花はみつかりません。ついに、王さまは動けなくなりますが、そのとき、かぐわしい香りが ただよいはじめ、光の中に、女神があらわれ、花を 手にすることができました。

 「わたしは 民のための王に なろう」と誓った王さまは、その後、だれからも慕われるようになり、国も栄えたという。

 

 表紙は壁画風、龍や女神も独特の絵で、すんなりはいっていけるか心配なところもありました。立派な王さまになるためには たいへんな 試練がまっているというのが、後半にでてきます。


まほうの くびかざり・・グリムの紙芝居

2024年02月04日 | 紙芝居(昔話)

   まほうの くびかざり/原作・グリム 脚本・堀尾青史 画・かみやしん/童心社/1991年(16画面)

 

 きのみやきのこをとりに森にやってきた娘をよめにしようと 森の中に住む三人の泥棒が、たがいに争った挙句、泥棒たちは、三人とも 共倒れ。

 娘は森の中で迷子になりますが、うんよくハトに助けられ、木の穴で やすみます。そこに食べ物もありました。このハトは、魔法使いによって魔法をかけられていました。魔法をとくには、魔法使いの鳥がしている首飾りがないと、人間にはもどれません。

 魔法使いは目がみえませんが、においや 足音には敏感です。ハトは、娘を奥の部屋に案内し、鳥がしている首飾りを手にいれますが、気がついた魔法使いが夢中でおいかけてきます。

 娘が首飾りを ふりかざすと 魔法使いは、くるったようにふるえて、あっというまに とけて 池のようになり まったくきえてしまいました。そして、ハトは りっぱな 若者になり・・・。

 

 脚色とほかの翻訳にあたっていないのでなんともいえませんが、三人の泥棒が争う場面がややながめなのに、魔法使いがおいかける場面が、あっというまに決着がつくので、ややものたりないかもしれません。