どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

米良の上漆・・秋田

2021年05月31日 | 昔話(北海道・東北)

      日本昔話大成 第四巻/関敬吾/角川書店/1978年

 

 ある兄弟が、朱の塊がたくさん埋まっている赤淵という深い深い淵に潜り、朱をとって、それを町へもっていって売り、暮らしをたてていました。

 腹黒い弟が、淵の朱をひとりじめしようと、朱塗りの膳で蛇体頭をこしらえ、それをこっそり赤淵へ沈めておきました。何も知らない兄が、翌日朱を取ろうとしたら、大きな竜が真っ赤な口を開いて自分を飲み込むように見えたので、蒼くなって逃げてきました。それからは弟は自分ばかり朱を取って大儲け。

 ある日、いつものように淵に出かけ水へ入ろうとしたら、気のせいか竜が生きているように見える。そんなはずはないと水に入ろうとすると、その竜はほんとうにいきていて、弟を一のみにしてしまう。

 

 自分ばかりいいことをするもんでないという教訓。昔話では、腹黒いのは兄という相場ですが、この話では弟です。新潟県にも同様の話があるといいます。


うりひめとあまんじゃく

2021年05月30日 | 絵本(昔話・日本)

    うりひめとあまんじゃく/稲田和子・再話 小西英子・画/福音館書店/2016年(1991年初出)

 

  おばあさんが川でひろってきたうりから うまれたうりこひめ。

 おおきくなったうりひめは 機織りが上手。

 おとのさまから 「よめにもらいたい」といわれ、おじいさん、おばあさんが お祝いの ごちそうをたべさせたと でかけると やってきたのは あまんじゃく。

 一人で留守番してたうりひめは、あまんじゃくに 連れ去られ、柿の木に くくりつけられてしまいます。

 あまんじゃくは、うりひめの姿で かごで おとのさまのところにでかけますが、大きなカラスの歌声で 化けの皮がはがれてしまい、馬と 牛に、ひきさかれてしまいました。

 そのとき、ねもとと そばのねもとは、あまんじゃくの血に そまって 赤くなりました。

 

  あまんじゃくが、うりひめを つれさったのは、おとのさまのところへ、よめいりするためと 読めますが、そのままよめいりしたら どうなったことやら?

 「ももたろう」のでだし、あまんじゃくとうりひめのやりとりは、「オオカミと七ひきのこやぎ」、柿の木でのやりとりは「さるかにかっせん」、そばの根元が赤い由来と もりだくさん。語り口調の文章にもリズムがあります。


みみずくと3びきのこねこ

2021年05月29日 | 絵本(外国)

      みみずくと3びきのこねこ/アリス&マーティン・プロペンセン・作 きしだえりこ・訳/ほるぷ社/1985年

 

 嵐の中で、かえでがおか農場のいちばん古い木が ふきたおされました。たおれた木のおおきなうろから 親がいなくなった ちいさなみみずくが でてきました。

 野生のみみずくの育て方に試行錯誤しながら みみずくの面倒を見たのは、こどもたち。

 はじめはみんなと部屋の中で暮らし、やがて森の中へ放してやります。

 次に、農場で暮らす猫たちの話が続きます。農場で生まれたデカオ、道に棄てられていたノラコ、おとなりからもらったウエブスターの3びき。

 猫たちの生態がこまかく続きます。

 

 「かえでがおか農場シリーズ」とあり、馬やヤギ、ヒツジ、アヒルもいますので、これらの動物の物語もあるのでしょう。

 みみずくが あるきまわったり、とんだりするようすは、連続写真のように描かれていて、スープ皿で水遊びしたり、いつもじぶんの思い通りにしようとする様子にほっこりします。みみずくは、人とくらすのに向いていません。人がみみずくをかうことはできないのを子どもたちはわかっていました。

 猫が狩りをしているときは野生の性質にもどり、人は猫のほんとうの主人にはなれないと、結んでいます。


クリフォ-ド おおきな おおきな あかいいぬ

2021年05月28日 | 絵本(外国)

     クリフォード おおきな おおきな あかいいぬ/ノーマン・ブリッドウェル・作 椎名かおる・訳/あすなろ書房/2021年

 

 犬のクリフォードはエミリー・エリザベスと大の仲良し。クリフォードは、おおきなおおきな 赤い犬。家よりも大きな赤い犬です。

 アメリカで1963年にはじめて出版されて以来、60冊以上ものシリーズが発行されていて、なぜおおきくなったかの絵本も翻訳されています。

 クリフォードが得意なのは、投げた帽子をもってくること。キャンプのテント替わりにもなります。

 猫を追いかけ動物園は出入り禁止。靴は噛み噛み、お花は掘り返します。ご飯もたくさん必要。

 でも立派な番犬で、いじめっこも追い払います。犬のコンテストで一位になれなくても、クリフォードはエミリ-にとって 世界に いっぴきしかいない 一番の友だちです。

 

 絵も文もいたってシンプル。ページのほとんどを占めるのは、赤く大きなクリフォード。表情がゆたかでちょっとチャーミングです。おおきいことはおおきいのですが、それが特別でなく当然というのも さっぱりしています。


ジオジオのかんむり

2021年05月27日 | 絵本(日本)

      ジオジオのかんむり/岸田 衿子・作 中谷 千代子・絵/福音館書店/1978年

 

 子どものとき最初にであう絵本の一冊が「はらぺこあおむし」。独特の手法でインパクトをあたえてくれた米国の絵本作家エリック・カールさんが5月23日、91歳で亡くなったという。残念です。

 

 ライオンのジオジオは、ライオンの中でも一番強く、かんむりを かぶっていました。遠くの方でジオジオの かんむりが ちかっと ひかると だれでも、こそこそ かくれてしまうのです。
 ほんとうは ジオジオは つまらかったのです。白髪が生え、目もよく見えなくなってきて、キリンやシマウマを追いかけるのも いやになって、誰かとゆっくり はなして みたくなりました。
 すぐそばで、はいいろのことりが 6つもあった たまごが ヒョウや ヘビに盗まれたりして みんな なくなってしまったことを はなしました。

 それをきいたジオジオは、あーっと、いいことを思いつき、「たまごをうみたいなら、いいところが あるぞ。おれのあたまの うえの かんむりの なかなら、どうおもう?」。よろこんだ はいいろのことりは、かんむりのなかに 巣をつくり、たまごを うみました。

 ゆうだちがくると、ジオジオは、大きな木の下であまやどり。夜になってジオジオがねむっても ヒョウもヘビも たまごは ぬすめません。

 春になってたまごがかえり ちいさなヒナが七つ。七つの ことりは、ジオジオのたてがみや しっぽに とまって なきました。ジオジオは、目が見えませんでしたが、ことりの声を うれしそうに きいていました。

 

 年老いて体力もままならなくなり、残り少ない人生をどうすごすか。
 一人では生きていけない人間。誰かの役に立つならそれが一番です。ことりのさえずりをたのしそうにきくジオジオの心境が、じんわりと伝わってくる優しい話です。

(それにしても だれかに迷惑をかけることだけは 避けたいが・・・)


かぐやひめ

2021年05月26日 | 絵本(昔話・日本)

      かぐやひめ/岩崎京子・文 長野ヒデ子・画/教育画劇/1998年

 

 竹から生まれたかぐやひめが、みかどに別れを告げ、十五夜の晩、天女たちと天に昇っていく話。

 結婚を申し込んだ五人の身分の高い若者に 難しい注文をするかぐやひめ。

 お釈迦さまがつかったという石の鉢、金銀の枝に真珠のなる木、火にくべても もえない ひねずみの かわごろも、竜の持っている五色に光る玉、つばめのこやすがい

 はじめからあきらめたほうがよさそうなものばかり。それでも何とかしようとする若者。

 かぐやひめの地上での一時滞在?はなんのためだったのかという疑問はのこります。

 

 長野さんの絵は素朴な感じ。ちょっとチャーミングなかぐやひめで、美人美人風でないのに好感が持てました。よくみるとネコが、あちこちに登場します。

 たまたまですが、今日は24年ぶりのスーパームーン+皆既月食。人間にとって、古くから月は神秘的な存在。今夜見られるでしょうか。(夜、残念なことに雲が多くてうっすらと見えただけでした。)


ふまんばかりのメシュカおばさん

2021年05月25日 | 絵本(外国)

      ふまんばかりのメシュカおばさん/キャロル・チャップマン・作 アーノルド・ローベル・絵 こみや ゆう・訳/好学社/2021年

 

 むかし、ヘーマーという、ちいさな村に住むメシュカおばさんは、朝から晩まで不満ばかり いっていました。
 パン屋さんや仕立て屋のおくさんにあいさつされても、つっけんどん。亡くなっただんなが建てたは家は、小さい箱のようだし、息子は本ばかり読んで何もしないし、まるでキュウリのピクルスみたいに どでっとしている、よめにいった娘は、一か月に一回あいにくるだけで、のこりの30日は、いないとでも 思っているんだ! という調子。

 あるあさ、メシュカが目をさますと、舌がちくっとしました。それからは、不満を言っていたことが次々に現実になります。

 息子の部屋に行ってみると、ベッドにはキュウリのピクルスが。家は ぎーぎー ぎしぎしと きしみだし、みりみるうちに ちぢんでいきました。

 娘のところにいくと、かあさんじゃないといわれ、石の壁があらわれメシュカのせなかに のしかかってきました。

 石の壁のしたじきになってから一時間。とおりかかったラビにこれまであったことをはなすと、それは不満病といいます。ぶつぶつ不満ばかりこぼしていると、いったことが ほんとうになる病気。この病気は、これからさき、ものごとを すべて、前向きで、いいように いうと治るだろうと 言われてやってみることにしたメシュカですが・・・。

 

 幸せになるためには、不満や愚痴ばかり言うのではなく、前向きに考えなさいという。たしかに思い当たることも多い。前向きには感謝も含めたい。

 表紙の足はかぼちゃ。足ときたら かぼちゃみたいに おもたいよ!と不満を言っていたのです。 

 原著は1980年、今年、翻訳されています。


きつねにょうぼう

2021年05月24日 | 絵本(昔話・日本)

     きつねにょうぼう/長谷川摂子・再話 片山 健・絵/福音館書店/1997年

 

 ページを開くと墨絵のようなしーんとした山間の風景。屋根にはどっさりの雪で、あたり一面雪が降っている場面が最後。なかほどには見開きページいっぱいに、斜面をおおう色鮮やかな椿が咲いています。そして後半には、田んぼ一面に黄金色の稲穂。

 

 雨の降る晩、若い女から今夜泊めてほしいといわれた貧しい男。

 女は ひと晩とまり、二晩とまっても、いっこうにでていくようすがない。そうこうするうちに夫婦になって、男の子が生まれ、ててっこうじ という名前をつけました。てってこうじが三つになった春の日、女が機織りの手を休めて 目をあげると 外は 椿の花盛り。

 うっとりながめているかかあのところへ、ててっこうじが 「でっこい しっぽが ぶらさがっとる」と、声を上げました。椿に見とれて われをわすれ きつねの 正体をあらわしてしまったのでした。正体を知られたからには、このいえにおられんと なくなく かかあが まもってあげるからと 別れを告げ、きつねの姿になって 山へ帰っていきました。

 田植えという日、歌声が聞こえてきて、山の田んぼに行ってみると かかが もとのすがたで 田植えをしていて、もうじき うえおわるところだった。かかは、ててっこうじに 乳を飲ませると またしずかに、きつねになって 山の方へとんでいってしまいます。

 やがて秋になると・・・。

 

 四季を感じさせる重厚な絵が シンプルな流れに、厚みをくわえています。

 ところで ”ててっこうじ”という名前はどんな意味合いでしょうか。


みずうみを しばる はなし

2021年05月23日 | 紙芝居(昔話)

      みずうみを しばる はなし/横田章・文 黒井健・画/教育画劇/1996年(12画面)

 

 北欧民話よりとあり、黒井さんの画もいつもとちがいます。

 

 三人兄弟の末っ子ペールの遺産は縄だけ。

 こうした出だしは「長靴をはいたネコ」をはじめ多い。

 ペールは大きな湖の方へ歩いていきました。その湖のそばでつかまえたのはリス。クマを見つけ縄をよりあわせていると、水の精ネックが現れました。

 何をしているか尋ねられたペールは「湖をしばってやろうと ながいながい綱をつくっているところだよ」と、こたえました。そんなことをされるとネックは住むところがなくなってしまいます。大慌てのネックは木登り競争をもちかけます。

 するとペールは、じぶんのかわりに弟というリスにきのぼりさせます。ネックは木登り競争にまけたのがくやしく こんどは 相撲をとろうといいます。ネックの次の相手はおじいさんというクマ。

 湖をしばるのをやめさせようと、ネックは、帽子に金貨をいれはじめますが、いくらいれても、ちっとも いっぱいになりません。帽子の下には深い穴があったのです。

 大金持ちになったペールは、大喜びで うちへ かえりました。縄で金貨を手に入れたときいて、欲張り兄さんたちは、縄をとりあげてしまいました。

 

 兄さんたちがどうなったかはでてきません。ペールのように知恵があったかどうか?もしかするとネックに 湖に ひきずりこまれたか?


えかきさんとことり

2021年05月22日 | 紙芝居

      えかきさんとことり/マックス・ベルジュイス・作 八木田宣子・脚本/ほるぷ出版/2001年

 

 生活のために、一番気にいっていた小鳥の絵をお金持ちに売ってしまったえかきさん。

 絵の小鳥も えかきから離れたくなかったので、さびしくてなりません。

 ある日、大決心して絵からぬけだしました。どこにいったらいいかわからないという小鳥に、おんどりが あっちの森にいってみたらどうかとすすめます。

 小鳥があんまりきれいなので、森のとりから やきもちをやかれ、動物園へ。しばらくライオンといっしょになりますが、たいくつして そこからも逃げ出します。

 飛行機を とりと勘違いし「ひとりぼっち」と泣いていると、親切な男の子が、一緒に探してくれることになりました。

 いっぽう、お金持ちは 小鳥がいなくなったから お金をかえしてほしいと、えかきのいえにやってきて、絵をおいてかえっていきまいた。

 小鳥は、自分のうちを さがしだすと えかきのところにある絵の中に はいってしまいました。

 「ごめんよ、わたしの 小鳥。もう二度と うったりしないよ」という、えかきさんに、「ぼくも、まどから にげだしたりしません。でも、ときどき 絵の中からでて はねをのばしたり、あなたが かいている 絵を見たりしてもいいでしょう?」と、小鳥はたずねました。

 それからは、えかきと 絵のなかの 小鳥は ずっと 仲良く いっしょに 暮らしました。

 

 一緒にいることが当たり前だった小鳥が、自分の居場所を捜し歩き、さがしあてたのは生みのえかきのところ。

 しかし、だれもが、自分の居場所をさがせるわけでもありません。


おじいちゃんのたびじたく

2021年05月21日 | 絵本(外国)

     おじいちゃんのたびじたく/ソ・ヨン:文・絵 斎藤真理子・訳/小峰書店/2021年

 

 こんなにも穏やかに、人生の最後をむかえられたら最高です。

 ある日、おじいちゃんのところに ほわほわ白い おきゃくさまがやってきました。

 「とうとうきたね、まってたんだよ!」と、おじいちゃんは、旅支度をはじめました。

 おきゃくさまは、なにもいらないといいますが、おじいちゃんは、あれもこれもと旅の支度をします。

 お金、途中で、おきゃくさまと食べるゆでたまご、もじゃもじゃしたおひげをきれいにそり、ふるいアルバムから昔の写真を取り出し、おくさんと囲碁の練習をするための本。

 おじいちゃんは、「かなしくないよ、うれしいよ。のこるみんなには すまないけどなあ」「しんぱいするな。わたしはだいすきな人に会いに行くんだからね」そういって、満開の桜のしたをとおって、とおくへ旅立ちました。

 

 どんな人生をおくっていたのか想像するほかないのですが、古い写真にはふたりの赤ちゃん。おくさんが二か月前になくなっていました。


焼けあとのちかい

2021年05月20日 | 絵本(社会)

    焼けあとのちかい/文・半藤一利 絵・塚本やすし/大月書店/2019年

 

 作家半藤さんのはじめての絵本。多分最初で最後の絵本かも。

 戦争体験をした人たちがだんだんすくなくなるなかで、みずからの体験をつうじて、戦争を知らない世代に、これだけはどうしても伝えたいという思いが。

 「絶対に正義は勝つ」「絶対に神風がふく」「絶対に日本は負けない」というなかで育った半藤少年。

 「バカな戦争なんかはじめやがって、いったいなにを考えているんだ、この国は。おまえの人生もながいことなかったな・・」という父に、<もしかしたら父は非国民なのかもしれない>と思う少年。

 戦時下のようす、疎開、そして東京大空襲で逃げ回った経験、何もかもなくなった焼け跡。死なないですんだのも偶然なら、生きていることだって偶然にすぎないのではないかと思う作者が「絶対」という言葉を使ってどうしても伝えたい思い。それは、「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」ということでした。

 黒が基調の素朴な人物像、赤く塗られ何ページも続く空襲の様子に圧倒されました。


黄金の斧・・山梨

2021年05月19日 | 昔話(北信越)

          日本昔話大成 第六巻/関敬吾/角川書店/1979年

 

 池の水神様が正直度を試す話。

 お爺さんが斧を池に落とし、水神様に拝むと、水神様が白木の三方へ黄金の斧をのせてでてきて、これかと問う。お爺さんは、黄金の斧をみてびっくりし、これは自分の斧ではないといい、水神様に返します。すると水神様は、お爺さんが正直なのに感心し、鉄の斧と、黄金の斧をくれます。

 黄金の斧をもって家に帰ると、こんなにめでたいことはないと、村の人が費用をだしあい、酒肴を買うやら餅をつくやら、大酒盛りして大変にぎやかな水神様のお祭りをします。  爺さまは、黄金の斧を宝物にすることにしました。

 この話を聞いた悪い爺さまが、無理やり自分の斧を池に落とし、水神様がさしだしてくれた黄金の斧を自分のものだというと、水神様は急いで黄金の斧を取り返し、水の中へもぐってしまいます。悪い爺さまが空手ですごすごかえってくると、家ではお婆さんが 今日はおらの爺さまが黄金の斧を持って帰ってくるからと、店から酒肴を買い込むやら餅をつくやらして、お祭りの支度をしてまっていた。

 ところが爺さまが、からっけつで帰ってきたから、店の支払いができず、自分の商売道具の斧までなくしてしまい、山の仕事もできんようになって貧乏になってしまう。

 

 山梨県の話として紹介されているが、このパターンだと、斧だけでなく、鍬や金づち、釣り竿などがでてきもおかしくないので、類話がいくらあってもおかしくない。

 神さまが金銀の斧をもってあらわれたり、落とした斧を淵に落として取りに行くと竜宮の主からもてなされるという話も紹介されています。


あかいてぬぐいの おくさんと 7人のなかま

2021年05月18日 | 絵本(外国)

      あかいてぬぐいの おくさんと 7人のなかま/イ ヨンギョン・文絵 神谷丹路・訳/福音館書店/1999年

 

 針仕事が得意な赤てぬぐいのおくさんがうたたねしていると、針箱のものさし、はさみ、針、糸、ゆびぬき、のしごて、ひのしが、それぞれ、自分が一番と主張しました。

 言い争いの声で目を覚ましたおくさんが、「わたしの うでがいいから、おまえたちも じぶんの 役目をはたせるんじゃないか!」と、一喝し、七つの 道具を裁縫道具に乱暴に ほうりこんでしまいます。

 みんなは、しょんぼりと 黙ってしまいます。

 ところが、おくさんは、夢の中で 七つの道具が いくらさがしても みつからず、なきだしてしまいます。

 七人から おこしてもらった 赤てぬぐいのおくさんは、「わたしたちのなかで だれか ひとりでも いなくなったら、おはりはできない」と、てれくさそうに笑いました。

 

 七つの裁縫道具が擬人化されていて、ひとりひとりがイスからたって、自分が一番と主張するのですが、まるで舞台を見ているようです。眠りながらも 言い争いを聞いていて 目が開いていく おくさんの表情も 細かい。

 今では裁縫する姿はほとんどみられないかもしれません。なので のしごて、ひのし といっても 役目がすぐに わからないかもしれません。

 作者は韓国の方で、丁寧に描かれた室内のようす、民族衣装にも注目です。


いろいろいろの ほん

2021年05月17日 | 絵本(外国)

      いろいろいろの ほん/エルヴェ・テュレ・作 谷川俊太郎・訳/ポプラ社/2014年

 

いろの ぼうけんを はじめよう

おひそを ぽんと なにかがやってきたぞ

もういちど ぽん ぽん 

たくさんの いろが やってきた

いろに 手をのせ、ゆびに いろをつけて ほかのいろを なでると?

おつぎは いろを つまんで ほかのいろに ぬる

ほんを ゆすったり かたむけ

ほんを ぽんを ぱたんと とじちゃおう

いろを つくるのは どうする?

 

語る絵本? 谷川俊太郎さんの軽快な文で、絵具の不思議を体験します。

いろを なで まぜ こすると 別の色に

何度も繰り返さないと、どんな色になるか 予想できません。

子どもが夢中になりそうな いろの 本です。

手はもちろん、服を汚しても 部屋を汚しても 𠮟らないでください。