どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

若返りのリンゴと命の水の話・・ロシア、命の水・・チェコ

2020年01月31日 | 昔話(ヨーロッパ)

「命の水」というタイトルで、おなじようなパターンの昔               

若返りのリンゴと命の水の話(世界のむかし話 ロシア/田中泰子・訳/ほるぷ出版/1988年)

 ひどく年をとって、目もよく見えなくなった王さまが、遠い遠い国にある若返りのリンゴと、水で目を洗うとみえるようになるという命の水のうわさをきいて、なんとか手に入れようとします。

 王さまは、王国の半分をゆずるという条件をだしますが誰もなのりをあげる人はいませんでした。そこで三人の王子の一番上のフョードル王子が馬にのって出かけ、十字路にでますが、そこにおいてあった石版には「右に行けば自分が助かるが、馬は死ぬ。左へ行けば馬は助かるが、自分が死ぬ。まっすぐいけば結婚する」とかいてありました。
 真ん中を進んでいった王子の前に、うつくしいむすめが。「楽しいことをしたほうがいいわ」という娘について城にいきますが、王子が眠ったとたん、地下の深い穴の中に落とされてしまいます。

 二番目のワシーリイ王子もおなじ運命に。
 二人の王子は地下の穴に落とされても、死ぬことはありません。娘の正体も、最後まで不明です。

 三番目のイワン王子は、左の道、つまり「馬は助かるが、自分が死ぬ」の道を。するとニワトリの足の上にのっている小さな小屋に。
 ニワトリの足といえばバーバ・ヤガーの家。このバーバ・ヤガーは三人姉妹の末。真ん中の姉、一番上のバーバ・ヤガーのところにいきますが、恐ろしく主人公を脅かすのがバーバ・ヤガーですが、ロシアのいつものバーバ・ヤガーとはちがっています。イワン王子は、どこでも親切にされ、リンゴと命の水を手に入れる方法まで教えてくれます。

 リンゴと命の水は、青い目の女勇士シニョグラースカのところにあり、バーバー・ヤガーの姪でした。

 城にでかけ、命の水と若返りのリンゴを手に入れたイワン王子でしたが、見てはいけないといわれたシニョグラースカをみてしまい、おまけにキスまで。

 やがて、シニョグラースカと戦うことになったイワン王子が逃げ込んだ先は、バーバ・ヤガーのところ。三人のバーバ・ヤガーのところからも逃げ出し、今度は戦うことに。

 シニョグラースカはイワン王子を倒し、刀で王子の白い胸をえぐろうとしますが、「殺さないでくれ、それより、ぼくの白い手をとってだきおこし、あまいくつびるにキスしておくれ」といわれて、すぐにイワン王子をだきおこし、あまいくちびるにキスし、三日三晩緑の草原で楽しく暮らし、結婚まで。
 戦った相手と結婚するあたりが昔話らしいところ。

 「本当は、長い間におこることも、お話のなかでは、あっというまにすぎてしまうのはしっていますね」というフレーズが何回かでてきます。
 シニョグラースカがうんだ二人の息子は一時間ごとに大きくなります。

 イワン王子は、二人の兄を助け出しますが、二人の兄から崖の下に投げ込まれてしまいます。

 やがてイワン王子はひな鳥をたすけたことから、ナガイという鳥の背中にのって、王さまのところへむかうことに。


命の水(チェコの民話集/カレル・ヤロミール・エルベン・編 阿部賢一・訳 出久根育・絵/西村書店/2017年)

 出だしはロシア版とおなじで、目に痛みを感じ、よく見えなくなった王さまが、命の水で目を洗うと、すっかり回復するという夢を三日間続けてみて、三人の息子が命の水を探すにでかけます。

 長男、次男は、旅の途中に出会った居酒屋の三人の娘と賭けをして、持参した金銀のみならず、自分の身も手放してしまいます。

 三男は娘たちにひっからず、旅を続けますが、ある町で濠に半分腐っている遺体をみつけます。町の人にどうして埋葬しないのかきくと、借金を返済する前に、あの世にいったので、こういうやつがまたでてこないように、見せしめに濠に投げ込んだという。

 三男の王子は、亡くなった人の借金を支払い、埋葬の手はずをととのえ旅を続けます。

 すると森のなかで灰色の大きなオオカミがやってきて、助言したり手伝いもできるという。

 オオカミの背に座ると、あっという間に水晶のような山につき、そこには銀でできた城が。

 オオカミが「城には二つの泉と黄金の桶がある。左側は死の水、右側は命の水。ただ一時間をすこしでも過ぎようものなら、とんでもないことになるからな」というので、王子はすぐに命の水を桶ですくい、瓶に注ぎおえます。

 寄り道するなといっても、寄り道するのが昔話のきまり。一つ目の部屋の番をしているのは頭が12もある恐ろしいドラゴン。二つ目の部屋には12人の美しい少女が銀色のベッドで眠っていました。三番目の部屋には一人の少女。王子は自分の銀のベルトをテーブルに置くと、代わりに少女のベルトを自分の体に巻きつけオオカミと舞い上がります。

 オオカミは、王子が借金を肩代わりして埋葬してやった人物の霊でした。「旅の途中で、絞首台の肉には手を出さないこと。買ったら、ひどい目にあうよ」というと、一瞬にして姿を消してしまいます。

 王子が先を急いでいると、二人の男が絞首台につれていかれるところでした。賭けで負け続き逃げようとした上の兄でした。支払いを肩代わりして二人をすくいだしますが、命の水を毒の水とすりかえられ、王さまから塔に閉じ込められてしまいます。

 ここで再びオオカミが登場し、塔のなかの王子に食べ物を運んできます。

 さらに銀の城の三番目の部屋にいた少女は、その後女王になり、王さまへ「わが城から命の水をもっていった息子をよこすこと」と手紙を書きます。

 二人の兄は「嘘つきの詐欺師」と断定されてしまいます。

 三番目の王子は、命の水をとりにきたとき城で目にしたのをこたえ、自分のベルトのかわりにもっていった女王のベルトをテーブルに置きます。

 女王は晴れやかな祝宴を用意させ、国内でつかまっていた者たちをすべて解放し、若い王さま、はあらゆる借金を肩代わりしてあげます。

 「これがとうの昔であるのは残念。もし今日こういうことがあったら、借金をしている人も、お金を貸した人も、気が晴れたでしょうに!」という結びが生きています。

 死者を丁寧に埋葬してあげるというのもよくある導入部です。


10ぴきのおばけの たんじょうび

2020年01月30日 | 絵本(日本)
           
       10ぴきのおばけの たんじょうび/にしかわ おさむ/ひかりのくに/2019年
 
 
 シリーズになっているのでしょう、おじいさんと一緒に暮らす10ぴきのおばけですが、ここにくるまえに、おばあさんと暮らしていました。
 
 絵のようにかわいらしいおばけです。
 
 もうすぐ”たんぽぽえん”にいく おんなのこから 誕生日に招待され、おいしそうなケーキをごちそうになった 10ぴきのおばけたち。
 
 「ぼくたちの お たんじょうびは いつ くるの?」「おたんじょうびの  ケーキは  いつ たべられるの?」ときになったおばけたち。
 
 おじいさん、みみずくさん、ゆうびんやさん、森のきつねやうさぎに聞いてもわかりません。
 
 前に一緒に住んでいたおばあさんに 聞いてみようと町まででかけますが、こんどは、おばあさんがみつかりません。
 
 そのうち、雨や雷まで・・・。
 
 むかえにきたおじいさんに、お誕生日のこと、お誕生日のケーキを食べたいことを話すと、おばけは としをとらないことをおしえてくれます。
 
 おじいさんのうちに はじめてきた日を誕生日にすることにすると、おばけは うれしそうに うなずきます。
 
 そして、”たんぽぽえん”にはいった おんなのこと おかあさんが もってきてくれた おおきなケーキで、お祝いです。
 
 おまけに ”たんぽぽえん”のみんなから招待状もとどきました。
 
 おじいさんも、おばけたちの食事を作ったり、お風呂に入れたりと大変そう。
 可愛らしい絵で、小さい子に喜ばれそうです。

どんな絵本がよまれてる?

2020年01月30日 | いろいろ

 どんな絵本が読まれているのか、ウィキペディアにのっている累計販売数200万部以上のものを現在の時点でみてみました。2000年以降は一点だけ。2008年発行の<だるまさんが かがくいひろし>が257万部とあり、単純計算で年間20万部以上。それ以外は長い年月を積み重ねたもの。

 時代とともに価値観が変わるなか、長い年月にわたって読み継がれているのは、それだけ絵本に普遍的なものがあるということでしょうか。


いないいないばあ       松谷みよ子・作 瀬川康男・絵    1967年 童心社    664万部

ぐりとぐら          中川李枝子・作 山脇百合子・絵   1967年 福音館書店  517万部

はらぺこあおむし       エリック・カール 森比左志・訳   1976年 偕成社    411万部

てぶくろ    内田莉莎子・訳 エウゲーニー・M・ラチョフ・絵  1965年 福音館書店  316万部

おおきなかぶ A・トルストイ・再話 内田莉莎子・訳 佐藤忠良・絵 1966年 福音館書店  307万部

しろくまちゃんのほっとけーき 若山憲               1972年 こぐま社   307万部
 
ねないこだれだ        せなけいこ             1969年 福音館書店  304万部

ぐりとぐらのおきゃくさま   中川李枝子・作 山脇百合子・絵   1967年 福音館書店  299万部

きんぎょが にげた       五味太郎              1982年 福音館書店  275万部

三びきのやぎのがらがらどん マーシャ・ブラウン 瀬田貞二・訳   1965年 福音館書店  270万部
 
じゃあじゃあびりびり      まついのりこ           1983年 偕成社    268万部

ノンタンぶらんこのせて     キヨノサチコ           1976年 偕成社    261万部
 
いないいないばああそび     木村裕一             1988年 偕成社    260万部

だるまさんが          かがくいひろし          2008年 ブロンズ新社 257万部
 
ボードブック/はらぺこあおむし エリック・カール 森比左志・訳  1997年 偕成社    255万部

しろいうさぎとくろいうさぎ ガース・ウィリアムズ 松岡享子・訳  1965年 福音館書店  250万部
 
からすのパンやさん       かこさとし            1973年 偕成社    247万部
 
ノンタンおやすみなさい     キヨノサチコ           1976年 偕成社    245万部

ノンタン!サンタクロースだよ  キヨノサチコ           1978年 偕成社    243万部

ウォーリーをさがせ! マーティン・ハンドフォード 唐沢則幸・訳  1987年 フレーベル館 240万部
 
はじめてのおつかい       筒井頼子・作 林明子・絵     1977年 福音館書店  238万部

ぐるんぱのようちえん      西内ミナミ・作 堀内誠一・絵   1966年 福音館書店  236万部

がたん ごとん がたん ごとん   安西水丸             1987年 福音館書店  236万部

100万回生きたねこ      佐野洋子             1977年 講談社    226万部
 
おしいれのぼうけん       古田足日・作 田畑精一・絵    1974年 童心社    225万部
 
ウォーリーのふしぎなたび マーティン・ハンドフォード 唐沢則幸・訳1989年 フレーベル館 215万部
 
しょうぼうじどうしゃじぷた   渡辺茂男・作 山本忠敬・絵    1966年 福音館書店  214万部
 
タイムトラベラー ウォーリーをおえ! マーティン・ハンドフォード 唐沢則幸・訳 1988年 フレーベル館 209万部

いいおかお           松谷みよ子・作 瀬川康男・絵   1967年 童心社    205万部

ごあいさつあそび        木村裕一             1988年 偕成社    203万部

うさこちゃんとどうぶつえん   ディック・ブルーナ 石井桃子・訳 1964年 福音館書店  202万部

ノンタンおよぐのだいすき    キヨノサチコ           1977年 偕成社    202万部

おつきさま こんばんは     林明子              1986年 福音館書店  200万部

徳間アニメ絵本・となりのトトロ 宮崎駿              1988年 徳間書店   200万部以上


大人のためのおはなし会・・毛呂山町 2014.1~2020.1

2020年01月29日 | お話し会

 毛呂山町図書館とおはなしのクレヨン主催で開かれているおはなし会。2014年以降です。

2020.1.29

 前日の雨がやんだと思ったら、昨日より10度も高くなりました。

 1 おんちょろちょろ(さてさて、きょうのおはなしは・・瀬田貞二・再話 福音館書店)
 2 花さきや山(齋藤隆介・作(滝平二郎・絵 岩崎書店)
 3 おむこさんの買い物(ムギをうえた人 朝鮮民話選 岩波書店)
 4 王子の夢(おはなしのろうそく17 東京子ども図書館)
 5 傘屋の天のぼり(日本の昔話3 おざわとしお・再話 福音館書店)
 6 かしこいグレーテル(語るためのグリム童話4 小澤俊夫・監訳 小澤昔ばなし研究所)
 7 樹のおつげ(ラフカディオ・ハーン・原作 さいとうゆうこ・再話 新世研)

 「花さき山」「樹のおつげ」はじっくり楽しめました。

2019.1.30

 1 みるなのくら(日本の昔話1 小澤俊夫・再話 福音館書店)
 2 あるだんなさんとおかみさんおはなし(おはなしのろうそく6 東京子ども図書館)
 3 空を飛んだ亀(かたれやまんば第三集 藤田浩子の語りを聞く会)
 4 黄色いリボン(語られると怖い話 赤木かん子・編 ポプラ社)
 5 ふるやのもり(さてさて、きょうのおはなしは・・ 瀬田貞二・再話 福音館書店)
 6 スヌークスさん一家(愛蔵版おはなしのろうそく1 東京子ども図書館)
 7 仁王とどっこい(かたれやまんば第五集 藤田浩子の語りを聞く会)
 8 鶴女房(日本昔話百選 三省堂)

 「みるなのくら」では12月にウグイスがでてきました。
 「鶴女房」は季節は不明の話でした。雪がでてくる矢川澄子さんの再話を思い出しました。
 「あるだんなさんとおかみさんおはなし」「スヌークスさん一家」は、おもわずほっこりするユーモアのある話でした。
 藤田さんの話は福島弁に苦労しますが、うまく自分のものにされていました。


2018.2.1
 この日の天気予報では、今日は雪ということでしたが、今日の未明からという予報にかわりました。

 1 親捨山(日本昔話百選 三省堂)
 2 ノックメニューの丘の巨人とおかみさん(フィンランドの昔話 童話館出版)
 3 ぼうさまになったからす(松谷みよ子・文 司修・絵 偕成社)
 4 貧乏の神(かたれやまんば 第3集 藤田浩子の語りを聞く会)
 5 犬の足(うそかほんとか 民話の研究会編 ポプラ社)
 6 月を射る(中国の昔話 おはなしのろうそく27 東京子ども図書館)
 7 絵姿女房(日本の昔話 おはなしのろうそう23 東京子ども図書館)
 8 金の髪(コルシカの昔話 おはなしのろうそく19 東京子ども図書館)

 おはなし会はグループによって取り上げるものや語り口に微妙なちがいがあります。おはなしクレヨンのかたのゆったりした語り口に魅了されました。
 毎回、男の方の語りを聞けるのも魅力です。

2017.2.2

 1 さるのひとりごと(島根県に伝わる話 松谷みよ子 童心社)
 2 こなべどん(世界のむかし話・・ドイツ 瀬田貞二・訳 のら書房)
 3 きりの国の王女(ジプシーのむかしばなし フィツオフスキ再話 内田莉莎子・訳 福音館書店)
 4 へや(齋藤隆介全集第一巻 岩崎書店)
 5 エパミナンダス(ブライアント・作 おはなしのろうそく1 東京子ども図書館)
 6 指輪(スペイン おはなしのろうそく27 東京子ども図書館)
 7 ねずみのすもう(日本の昔話5 小澤俊夫再話 福音館書店)
 8 いしになったかりゅうど(モンゴル民話 大塚雄三再話 福音館書店)

 「さるのひとりごと」を聞いたのはあまり時間をおかず三回目でした。語る人によってみんな味わいが違います。隣の方が面白かったというのは「ねずみのすもう」でした。多分はじめて聞かれた方かもしれません。
 「へや」はよめさんの屁のはなしですが、斎藤隆介さんのははじめて。男の方が話されていましたが、なんとも引き込まれる語り口でした。
 藤田浩子さんのも抱腹絶倒でしたが、ほかにもあるのを再認識しました。

2016.1.28

 1 ミアッカどん(イギリスとアイルランドの昔話 福音館書店)
 2 かさじぞう(瀬田貞二再話 福音館書店)
 3 おおかみと七ひきの子やぎ(おはなしのろうそく18 東京子ども図書館)
 4 ちいさなこげた顔(アメリカのむかしばなし 偕成社)
 5 たまごのカラの酒つくり(イギリスとアイルランドの昔話 福音館書店)
 6 ねずみの小判干し(おはなしのろうそく26 東京子ども図書館)
 7 悪魔のあごひげ(ハイチの民話 魔法のオレンジの木 岩波書店)

 「ねずみの小判干し」は、少し前に聞いたことがありますが、それとはテキストが違っていました。隣のお爺さんがでてくるのですが、今日のは、寐太郎という若者。
 後半部はありませんでした。
 秋田弁のリズムがよかったのですが、他の方には少し難しかったかもしれません。私は秋田の出身ですからすんなりと聞くことができました。


2015.2.5
 この日はみぞれまじり。

 1 天福地福(おはなしのろうそく14 東京子ども図書館)
 2 ゆきんこ(ストーリーテリングについて 子ども文庫の会)
 3 ねずみの商売(立石憲利の語り 悠書館)
 4 赤ずきん(子どもに語るグリムの昔話5 こぐま社)
 5 みつけどり(子どもに語るグリムの昔話2 こぐま社)
 6 かえるをのんだととさん(日野十成・再話 福音館書店)
 7 アディ・ニファスの英雄(山の上の火 岩波書店)
 8 鶴女房(日本昔話百選 三省堂)

 車がないと移動が大変で、一時間一本(時間帯によっては走らないことも)の八高線で毛呂駅まで。
 みなさん、ゆったりとした語り口で楽しめました。

  もう少し本数が増えると便利なのですが・・・。

2014.1.29
 1 おそばのきくはなぜあかい(石井桃子 岩波書店)
 2 アナンシと五(子どもに聞かせる世界の民話 実業之日本社)
 3 ずいてん(斎藤隆介全集 第一巻)
 4 十二のつきのおくりもの(おはなしのろうそく2 東京子ども図書館)
 5 ラプンツェル(おはなしのろうそく5 東京子ども図書館)
 6 鳥呑爺(日本昔話百選 三省堂)
 7 火男(東北地方の民話)
 8 蛙ぼたもち(かたれやまんば第一集)

 「蛙ぼたもち」最後本当に蛙が飛び出す趣向は、はじめてでした。


こんなもん くえニャイ!

2020年01月29日 | 絵本(外国)

   こんなもん くえニャイ!/クリストファー・サイラス・ニール・作 林 木林・訳/光村教育図書/2019年

 

 「ネコだけどさぁ、キャットフードなんか くう きは さらさら ニャイぜ」と、うそぶくネコ、それじゃ なにをくう?

 カメはミミズ キツネはウサギ ライオンのだんなはシマウマ チンバンジー? ゾウは? クジラは?

 とにかくネコには ピンとこない。

 そこへ「ぼくね、おなかペコペコで、おいしいもの さがしチュウなんだけど。ねえ、ネコって なにを たべるの?」とやってきたネズミ。

 ン・・そうか! ついに おれは みつけたぞ とネコ。

 結末は?

 この絵本では、チンバンジーはアリを食べるといいます。チンパンジーはヒトと同じ雑食動物で、植物の葉、花、種子、樹皮、茎の髄、樹液などを好んで食べ、植物以外にもアリやシロアリなどの昆虫、鳥、ハチミツなど観察されているだけでも約200種類の食べ物を食べているといいます。

 クジラはオキアミが連想しますが、バイオルミネセントフィトプランクトンとながったらしいのがでてきました。

 生き物の食べ物入門用でしょうか。


そらを とぶ ふね・・ロシア

2020年01月28日 | 絵本(昔話・外国)

    そらをとぶふね/西郷竹彦・再話 滝平二郎・絵/岩崎書店/1993年

 

 あるとき王さまが「”そらをとぶ ふね”を つくるものは おらぬか。王さまは、そらをとぶ ふねにのって、おしろへ とんできたものを、おひめさまの おむこさまとして むかえる」という おふれを だしました。

 三人兄弟の末っ子のイワンは、ぼろぼろの 服を着て 一日中 せっせと はたらいていましたが、おふれをきくと、「きれいな 服も もって いないくせに! 空を飛ぶぐ船なんて、つくれるはずが ないじゃないか」と両親に反対されても、黒パンと水だけをもって ボロ服のまま はりきって でかけていきます。

 森の中で よぼよぼのおじいさんから「食べ物をわけてくだされ」といわれて、黒パンと水を わけてやると おじいさんから そらをとぶ 船のつくりかたを おそわります。

 イワンは、三日三晩、すこしも休まず、空をとぶ船をつくり、その船にのって、王さまのお城にむかいます。

 行く途中、船にのりこんだのは、早耳おじいさん、速足おじいさん、鉄砲名人おじいさん、冬の主おじいさんと、それぞれ特技をもったおじいさん。

 お城に着いたイワンを見た王さまも、おひめさまも、ボロボロ服に怒り出すやら、泣きだすやら大騒ぎ。

 ここで王さまは、無理な命令をだします。「海を越え、山を越えた遠い国の鳥をいますぐ とってこい。」「熱く煮えたぎらせた風呂にはいれ」。

 こうした無理難題は、昔話に度々でてきますが、この話では二つだけと控えめ。もちろん特技を持ったおじいさんの出番です。

 横暴な王さまにおこったイワンは、鉄砲名人のおじいさんが呼び寄せた たくさんの軍隊を引き連れて、城にむかい、王さまを追放して、自分が国をおさめるようになります。

 冬の主のおじいさんは、いかにもロシアの昔話らしい人物です。さらに特技を持ったのが、おじいさんというのも珍しい。

 イワンが城にいったのは、お姫さまのおむこさまとしてのはずなのですが、お姫さまも、空を飛ぶ船も、いつのまにかフェードアウトしています。

 いつもながら滝平さんの切り絵に魅了されますが、これ以外にも外国を舞台にしたものがあるか気になりました。


ガラスめだまときんのつののヤギ・・白ロシア

2020年01月27日 | 絵本(昔話・外国)

   ガラスめだまときんのつののヤギ/田中かな子・訳 スズキコージ・画/福音館書店/1988年

 

 おばあさんが一生懸命育てている麦畑。ところがヤギが 麦畑のなかで「むぎを くってはふんづけ くってはふんづけ」。

 おばあさんが「でていけったら、でていけっ!むぎばたけから、でていけっ!」と叫びますが、「おいらにゃ、ガラスめだまと、きんのつのがある。 ひとつきすれば、いちころさ!」と逆に脅かされてしまいます。

 悲しんでいるおばあさんをみて、クマ、オオカミ、キツネ、ウサギが追い出してやるからと勇ましく出かけていきますが、「なまいきいうない、おいらにゃ、ガラスめだまと、きんのつのがある。ひとつきすれば、いちころさ!」と一喝されて逃げ出してしまいます。

 捨てる神あれば拾う神あり、おばあさんを助けてくれたのは?

 一面黄色になった麦畑をまえに、おばあさんはワインを片手にニコニコ顔。おばあさんがもっている鋭いカマは国旗からもってきたのでしょう。

 裏表紙のヤギは、赤い鼻をして、涙がポトリ。反省したのかな。

 スズキコージさんの画も、細かく見ていくと、遊び心がいっぱい。

 木(白樺?)の葉、雲の英字のほか、ところどころにコラージュ? おばあさんのスカートにはどうやら星が。

 

 ところで白ロシアですが、1991年8月にソ連から独立したベラルーシ共和国。

 じつは知らなかったのですが、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)は、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国、ウクライナ社会主義ソビエト共和国および、ザカフカース社会主義連邦ソビエト共和国と、この白ロシア・ソビエト社会主義共和国が構成共和国であるということ。四つの国で構成されていたんですね。またひとつ勉強になりました。


エミージーンのぼうし

2020年01月26日 | 創作(外国)

  エミージーンのぼうし/メアリー・チャルマーズ・作 福本友美子・訳/岩波書店/2019年

 

 挿絵は鉛筆画でしょうか。色は野原の淡い緑色だけ。

 小型本で、絵もそれほど大きくはありません。2019年の発行にしては地味な感じがしましたが原著は1956年でやや時代を感じました。

 妹のエミージーンの誕生日プレゼントをかうため、お兄さんのビリーと弟のトミーがデパートに買い物へ。

 兄弟の家は、汽車が朝一回、夕方一回とおるだけのところ。町からはだいぶ遠そうで、うまくいけるか心配になりました。

 イヌのマイケル、ねこのジョージアナと一緒。ワゴンで丘をすべりおりたり、トミーがまいごに なったり。ビリーがラッパを吹き、マイケルと木の枝にとんできた三羽の小鳥が歌い、ウサギが五ひきやってきて踊る楽しいの場面もあります。

 トミーがおちてきた飛行機のパイロットをたすけ、ヘリコプターでデパートへ。ヘリコプターのパイロットは ねこでした。

 デパートでは、おばさんが自分が買うつもりだったバラとブルーベリーとリボンのついた麦わら帽子を譲ってくれたうえに、代金まで払ってくれ、お金は自分のために使いなさいといってくれます。

 帰りはヘリコプターではなく、歩きです。トミーをおんぶしているビリーに手押し車を貸してくれるおじさんも登場。

 やさしさがあふれていました。無事、家に帰りついて一安心でした。


トランクの話・・スコットランド

2020年01月25日 | 昔話(ヨーロッパ)

       世界むかし話8/イギリス・アイルランド/おやゆびトム/三宅忠明・訳/ほるぷ出版/1979年

 

 年とった王さまから、はやくむすこのよめをみたいといわれ、よめさがしの旅でかけた王子。

 最初に泊まった宿屋から、宿屋の向かいの家に美しい娘が三人いて、朝になったら部屋からみえるといわれます。この三人はとても似ていて、なかなかみわけがつかない ただ一番上の娘には顔にホクロがあるのが見分ける方法だいわれます。

 娘をよめにもらうには、自分のほしい娘が、何番目かあて、さらに百ポンドの大金が必要でした。

 王さまは、あまり裕福ではなさそうで、王子に持たせたのは50ポンド。ホクロがある娘が一番上とわかりますが、50ポンドたりません。

 宿屋の主人は「一年と一日たったら、必ず返すという約束で、貸しましょう。もし返せなかったら、頭のてっぺんから足の先まで、すっかり皮をはいでしまうからな」という条件で、50ポンド貸してくれます。

 王子は娘を城に連れ帰って、結婚します。王さまはのぞみがかなって安心したのか、それからまもなくなくなってしまいます。

 ある日、新王はひとりの船長とつまらぬ賭けをしてしまいます。妻を自慢する王さまに、船長が奥方の寝室にはいれるか、はいれないかを賭けたのです。新王は全財産、船長は船の積み荷。

 船長はまず下女に相談します。下女は、妹が生きるか死ぬかの大病なのですぐにいかせてほしい、ただ、わたしの大切なトランクを留守の間、お后の寝室においてほしいと仲良しの侍女に頼ませます。

 トランクのなかにかくれた船長は、お妃が眠るまえにはずした指輪と首飾りを手にとって、またトランクに隠れます。

 翌朝、指輪と首飾りがなくなっていても大騒ぎしないのが昔話。

 しょげかえった王さまは、「わしはもう城に帰る元気もない。海の向こうの国につれていってくれ」と船長に頼みます。船長は王さまを海の反対側にはこぶと、すぐにひきかえし、王さまの城で暮らすことにしました。

 城もなにもかも自分のものだという見知らぬ船長にこまったお妃は若者の姿に身を変えて城を出ます。

 海の反対側の国についたお妃は、ある立派な屋敷で馬の番人として働くことになりました。

 ところが馬屋には、毎日夜になるとすごいやじゅうのむれがやってくるのです。むれのうしろには、いつもひげぼうぼうの男がついていました。主人に相談してもなにも対策をとろうとしません。そこでお妃はひとりでまち、男とやじゅうのむれが 馬屋にはいったのを見て、カギをかけます。男のひげをそりおとしてみると、その顔は、長い間行方の分からなかった夫でした。王さまは若者に変装したお妃に気づきません。王さまも これまでのことをすっかり忘れていました。

 お妃は、王さまといっしょに馬の番人をしていましたが、ひさしぶりに国にかえらせてほしいと主人にお願いして、二人で屋敷をあとにします。

 二人がやってきたのは、王さまが最初にとまった宿屋。50ポンド借りた宿屋でした。

 王さまは記憶がもどっていませんでしたが、宿屋の主人は王さまをみると、頭のてっぺんから足のさきまで、皮をはぐ約束をはたそうとします。

 お妃は、「ベニスの商人」のポーシャよろしく、「それはけっこうです。でも、いっておきますが、皮だけですよ。さあ、この白い布の上でやってください。もしも、赤い血が一滴でもこぼれたれたら、わたしが同じことをおまえさんにさせてもらいますからね。」と、危機をのがれます。

 宿屋の向かいに家は、お妃の実家。お妃の父親が出てきて、自分の嫁をどこにやったとせまりますが、記憶をなくした王さまはこたえることができません。お妃が自分の正体をいえば解決するのですが、お妃はなにもいいません。父親は王さまを木につるすことにします。

 お妃は外に出て立派な馬を500ポンドでゆずってもらうと、すぐにその馬を射ち殺させてしまいます。そして王さまが結納金をはらったのを確認すると、「このかたがあなたのむすめさんをどうしようと、関係ないじゃありませんか。わたしはいまこの町で一番立派な馬を買いました。そして射ち殺させました。それにたいしてだれが文句をいえますか」と、王さまをすくい、妹たちのガウンをかしてもらうと、若者からもとの姿にもどります。

 それでも王さまの記憶はもどりません。まだ城は船長のものです。

 お妃は城にのりこみます。

 昔話は都合のいいことの連続。船長を手助けする下女も、すぐに船長のいうことに協力したり、馬屋にあらわれるやじゅうの目的もはっきりしない、自分の正体をあきらかにすればいいことにもそうしないなどの連続です。

 この話をロシアのウラジミール・プロップによる物語の31構造に分類する方法でいうと
「主人公の出発」「結婚」「謀略」「発端の不幸または欠如の解消」「主人公の移動」「主人公の新たな変身」「調停」「主人公の帰還」「主人公が再確認される」「敵対者に対する勝利」などに分類できそうです。


古井戸に落ちたロバ

2020年01月24日 | 絵本(外国)
古井戸に落ちたロバ インディアンのティーチングストーリー  

    古井戸に落ちたロバ/北山耕平・作 ・oba・絵/じゃこめてい出版

 

 文書の量は少ないのですが、不思議な余韻が残る絵本です。

 荷物を運んでいたとき、使われていない深い古井戸に落ちてしまった としよりロバ。

 としよりロバが自分ではい上がることも、じいさまがひき上げることもできないほど深い深い古井戸。

 子どもたちが落ちてはいけないと じいさまは、ロバを助けることをあきらめ、ロバごと穴を埋める決断をします。

 助けを求めて、ずっと泣いていたロバの上に突然、土が降ってきます。

 疲れ果てたロバは暴れることをやめますが、体の上に、ほとんど土がつもっていないことにきずき、土が降りかかるたびに、それを何度も何度も払い落しては、足元を固めていき、太陽が昇りはじめるころ、ようやく、古井戸からでることができます。そのままとしよりロバはゆっくり歩きだし、一度も振り返ることはありませんでした。

 突然襲ってくる困難を 仕方がないとあきらめるか、前向きに考えるかは紙一重です。

 古井戸のまわりに囲いをつけて、子どもが落ちないようにする選択もあったのではないかという感想もあったといいますが、やはりメッセージは、降りかかった土のなかから立ち上がる方が強いものとなりそうです。
 
 ロバは 穴に土がふってきたときに じいさまを恨んだのか。それとも年老いて役にたたなくなったので仕方ないと考えたか、どちらだったのでしょうか。


 じいさまは、歩きだしたロバをひきとめませんでした。じいさまが古井戸に土を降らすことがなければ、ロバが遅すぎた?自由を手に入れることもありませんでした。

 朝、地平線に太陽が昇りはじめるなか、去っていくロバが小さく小さくえがかれているのが印象に残りました。

 インディアンのティーチングストーリーで、「生きることをおしえるはなし」とありましたが、考えさせられる話です。


たまたまたまご

2020年01月24日 | 絵本(日本)

       たまたまたまご/内田麟太郎・文 北村裕花・絵/文教出版/2019年

 

 でっかいたまごをのぞきこんでいるのはゴリラ、ワニ、ダチョウ、ゾウたち。

 めのまえに どーんと たっている たまごに 「な、な、な、なんなのよ。これ?」と、びっくりのゴリラ。

 ワニのたまご? ダチョウのたまご? ゾウのたまご?

 ものしりのゾウがあっさり、恐竜のたまごといいます。

 ぴち ぴち ぴち。たまごに、ひびが はしりました。

 でてきたのは?

 いつもながら あっとおどろく ものが。

 今の小さな子たちは、たまごがわれて うまれてくる瞬間をみたことがあるでしょうか。


鬼ぞろぞろ

2020年01月23日 | 絵本(昔話・日本)

    鬼ぞろぞろ/舟崎克彦・文 赤羽末吉・絵/偕成社/1978年

 

 大晦日の夜遅く、鬼の行列に遭遇し、唾をかけられ姿を消されてしまった身分のひくいさむらい。

 「神仏のお力にすがるほかない」男は心にきめると、三条の六角堂におまいりに。

 本堂にこもって、いっしんにいのりつづけます。はらがへるとお参り客の弁当を盗み食いしてしのいでいましたが、だれひとりきずきません。

 そのうち、姿が見えないことをいいことに、お堂にこもっている客の荷物をくすね、ちいさな盗みに飽きると、町の屋敷をねらい、すぐちかくのあばらやにためこんだので、たからものは はちきれるばかり。

 そんなある日、男は夢の中で観音さまのおつげをききます。

 「はじめにであったものの、いうことをきくがよい。それから先は、こうふくになるもならぬのも、おまえしだいじゃ。」

 一番どりの声で、お堂をとびだすと、おそろしげな牛かいに「おまえはなかなか悪い男らしいな。おれのしごとを、てつだわしてやる」と連れていかれたのは、とある大きな屋敷。

 屋敷には床に臥せった姫ぎみがいて、牛かいは、男の手に 槌を握らせ女のからだをおもうぞんぶんうつようにいいます。

 男はいわれたとおり、姫のからだをうちはじめますが、姫があわれな声をあげてなきもだえるので、すぐに自分のやっていることが我慢できなくなります。

 「なぜおれが こんなうらみもない人を痛めつけなければならないんだ。盗みを働いたり、人を痛い目にあわせたりしているうちに、おれは、人間の心をなくしてしまうぞ。それどころか もう二度と 人間の姿に もどれなくなってしまうんだ」

 男がとっさにとった行動とは?

 今昔物語のなかの物語です。

 男は、盗みでほうせきをどっさりため込み、さらにもとのすがたにもどりたい観音さまにおいのりするのは、じつに自分勝手。

 しかし、最後は、男が屋敷の跡取りにむかえられるハッピーエンド? でも、たからものをかくしたあばやらは? 男が良心を失っていないのが救いです。

  赤羽末吉さんが描く鬼、観音さまのシルエット、絵巻物風の屋敷、人物など今昔物語の世界も楽しめました。


へっこきあねさ

2020年01月22日 | 絵本(昔話・日本)

        てのひらむかしばなし へっこきあねさ/長谷川摂子・文 荒井良二・絵/岩波書店/2004年

 

 大工のあんにゃに あねさが よめにきました。

 そのうち あねさの 顔色が あおーくなってきて、あしもとも ふあんふあんしてきた。

 「どっか あんばいが わるいかや」と おばあさがきくと、「じつは へが でとうて でとうて」と あねさ。

 「なんだ へぐらい えんりょしないで こけや」というおばあさんに、あねさは 遠慮していたが とうとう こくことに。

 これがまあ でっかいでっかい へ。

 それも一回だけでなく、三回も。どっばーん! で おばあさんは天井まで舞い上がり、だっばーん! で、いろりのふちをひっつかんだまま、三発目は いしうすごと 天井までふっとばされてしまいます。

 「だいじな かかさまを こげなめに あわせる よめは うちには おかれねえ。さっさと かえってくれ」あんにゃがおこり、よめいり道具の たんすを おぶって、あねさを おくっていくとちゅうに 柿の木を見つけます。

 あんにゃが ぼうでたたいても、うまそうな実はおちてきません。

 あねさが笑って、どっばーん! とへをこくと、柿の実は一つ残らずおちてきた。

 川まできたら、渡し船が いったばかり。ここでも あねさが でっぼーん! とへをこき、へを すいこむと 舟は もどってきました。

 「こげな いい へなら さとへ かえすのは もったいない。なじょも いえに もどってくれ」と、あんにゃと あねさと ばあさとで なかよく くらしていた。

 このあとも、ぼっがーん! でっぼーん! ぼっがーん す。 でっぽーん す。とおならをこいて すって 大根を収穫するのもあります。

 へを すいこむというのは ほかの昔話にはみられません。

 おならの音の迫力は 圧倒的。

 荒井さんの絵もこの話にぴったり。着物のすそをまくりあげ おならをするあねさのおしりも もかわいいですよ。


999ひきのきょうだいの はるですよ

2020年01月21日 | 絵本(日本)

   999ひきのきょうだいのはるですよ/木村研・文 村上康成・絵/ひさかたチャイルド/2009年

 

 今年の啓蟄は3月5日。まだ早いのですが、春の訪れを感じさせてくれるやさしさがあります。

 冬眠中だったかえるの母さんが目をさまし「はるですよー。おきなさーい。」と子どもたちをおこしました。
 あっちからもこっちからも、もこ、もこ、もこ かえるのこどもが おきてきました。
 お母さんが、こどもたちを かぞえます。ところが何度数えても998ひきしかいません。おかあさん999ひきものこどもをちゃんとわかっています。

 まだねていたのは おにいちゃん。お母さんに怒られおきてきたら、こんどは どこからか「ぐー ふぃー むにゃみにゃ」と寝息。「おねぼうさん、おきなさーい」とこえをかけると、あなからでてきたのは かめ。かめのおじいさんは、満開の桜を見て大満足。

 弟たちと、おねぼうさんを探すに行くと、とかげ、落ち葉をよけてみるとテントウムシ。テントウムシは、菜の花を探してとんでいってしまいました。

 まだおねぼうさんを探すに行くと、穴の中から「ぐー すー ふぃー ふるふるふる」。

 おにいちゃんのあとをおとうとたちがひっぱって、「オー エス、オー エス、オーオー エス」と綱引きをすると、でてきたのは?

 でてきたのはかえる。へびはかえるの天敵。でもあわてず騒がず「まだですよ。あなたは、ごはんの したくが できるまで、まだ ねてなさーい」と、寝かすお母さんはさすが。

 ででてくる生き物の目にも注目です。

 子どもと、冬眠する生き物について会話できるきっかけにもなりそうです。


昔話の類型・・ウラジミール・プロップ

2020年01月20日 | 昔話あれこれ

昔話の類型によくでてくるのはAT分類。ただこれは分類を手元においておかないと不便。

ロシアの昔話の研究をしていたウラジミール・プロップによる物語の構造を31に分類する方法がありました。いくつかの要素を選んで整理するというもの。

・物語の構造を以下の31に分類
 「留守もしくは閉じ込め」,「禁止」,「違反」,「捜索」,「密告」,「謀略」,「黙認」

 「加害または欠如」,「調停」,「主人公の同意」,「主人公の出発」

 「魔法の授与者に試される主人公(贈与者の第一機能)」,「主人公の反応」

 「魔法の手段の提供・獲得」,「主人公の移動」,「主人公と敵対者の闘争もしくは難題」

 「狙われる主人公」,「敵対者に対する勝利」,「発端の不幸または欠如の解消」

 「主人公の帰還」,「追跡される主人公」,「主人公の救出」

 「主人公が身分を隠して家に戻る」,「偽主人公の主張」,「主人公に難題が出される」

 「難題の実行」,「主人公が再確認される」,「偽主人公または敵対者の仮面がはがれる」

 「主人公の新たな変身」,「敵対者の処罰」,「結婚(もしくは即位のみ)」

 「桃太郎」の例では

 「加害または欠如」  ・鬼が村を荒らしている
 「主人公の出発」   ・鬼退治に出発
 「主人公の反応」   ・いぬ・さる・きじに団子をあげ家来にする
 「敵対者に対する勝利」・鬼退治に成功
 「主人公の帰還」   ・宝をもって帰還。
とわかりやすい。

・7つの行動領域

 登場人物が何をするかに注目して物語を分類するもの

 主人公からみた「敵対者(加害者)」,「贈与者」,「助力者」

 「王女(探し求められる者)とその父」、「派遣者(送り出す者)」

 「主人公」,「偽主人公」

 「桃太郎」の例では

 主人公・桃太郎

 敵対者・鬼が島の鬼

 贈与者・おじいさんとおばあさん(きびだんごをくれた)

 助力者・いぬ・さる・きじ

 研究者ではないので、あまりパターン化する必要もないが、頭の隅に置いておくと便利か?