どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

とうさん とうさん いかがなものか?

2023年02月28日 | 絵本(日本)

   とうさん とうさん いかがなものか?/穂高順也・作 西村敏雄・絵/あかね書房/2010年

 

 表紙はちょっと おしゃれな三人。裏表紙では、この三人が なにやら おどっています。

 というのも、今日は マーガレットのマーレンちゃんと蝶、アジサイのむらさきちゃんとでんでんむしの同時の結婚式!!!。マーガレットも、アジサイも 花屋のとうさんの 大事な花。蝶は、八百屋のとうさんの大事な菜っ葉についていた あおむし。でんでんむしは、石屋のとうさんの大事な石についていました。

 この三人のとうさん、店が連なって みんな 仲良し。

 花屋の むすめは たいそう きだてもよく 町の人気者。若者は、目をハートにして 見つめていました。そこへ八百屋の菜っ葉と石屋の石が名乗りをあげて、「およめに ほしいが いかがなものか?」と、とうさんが 乗り出したのでした。

 そりゃあ はなむこが 菜っ葉か 石では ねえ 悩みようにも どうしようもないはず。

 二転三転して、結婚式になるのですが、どうしてこうなったかは、見てのお楽しみ。

 ナンセンスですが、テンポがよく いつの間にか 引き込まれてしまいます。


わがはいは のっぺらぼう

2023年02月27日 | 絵本(日本)

    わがはいは のっぺらぼう/富安陽子・文 飯野和好・絵/童心社/2011年

 

 「わがはいは のっぺらぼうで あーる」とはじまります。朝はすきなだけ寝坊し、歯磨きなんて不要と のっぺらぼうの気楽な一日。

 つるつる ぴかぴかの 顔が命の のっぺらぼうの朝は、まず、とくせいのヘチマすいで 顔をよくあらい、とくせいの キュウリ・パック。

 そのあとは 「のっぺらふで」一本をつかいメイクで化け放題。今日は、とぴっきりのべっぴんさん。
 かつらをかぶって着物を着こんで、帯を締め 顔に描いた口で食事。大好物は、はんぺんステーキ、とうがんのスープ、キュウリの すのものとおぼろどうふ。それから マショマロ。

 おばけの仕事は 人間を 驚かすこと。そろそろ 仕事の夕暮れ。
町はずれの くらーい 四つ辻で 人間がやってくると 顔の化粧を落とし いち、にい、の「バアッ!」と飛び出すと 「ギャー!!」

 なにがおきた?

 文章の語尾が「あーる」と軽快なテンポですすみます。

 最初の場面は、大きな のっぺらぼうの顔(頭?)が ページいっぱい。そのあともページいっぱいの顔が続きます。

 のっぺらぼうには 耳があるんだと 気がつき メイクは 「のっぺらてぬぐい」で ごしごし ふくと いくらでも 書き直し ができる便利さに羨望。

 新型コロナ、インフルエンザ流行の折、口も鼻もないと、ウイルス潜入をガードできると、思い当たり、やたら人間のマネをすべきでないと、のっぺらぼうに 忠告もうしあげるのであーる。

 

 最後、行水の場面では、河童、カメ、カエル、カタツムリ、そしてみたことのない妖怪がでてくるところにも注目です。


マララとイクバル

2023年02月26日 | 絵本(社会)

   マララとイクバル/ジャネット・ウインター・作 道傳愛子・訳/岩崎書店/2015年

 

 パキスタンの小さな町で生まれたマララは、タリバンの兵士から「学校にいってはいけない」と警告をうけますが、教育を受ける権利があると、声をあげることをやめませんでした。そして、2012年10月9日、タリバンの兵士に撃たれてしまいます。


 イクバルは、親の12ドルの借金のため、4歳から、絨毯工場で働くことになりました。逃げられないように足は、鎖でつながれながら。

 夜、とぼとぼとかえりながら、壁にはった「債務労働」に反対する集会の知らせを見ました。債務労働が禁止され、借金もなくなったことを知ったイクバルは、学校にかよいはじめ、同じような目にあっている子どもたちのために声をあげました。パキスタン中の絨毯工場で、自由をよびかけたイクバルは、1995年4月16日、銃弾に倒れます。


 絵本を見ていくと、真ん中付近で上下逆になります。銃弾に倒れたイクバルくんから、一命をとりとめ声をあげ続けるマララさんへ 凧が手渡されています。

 マララさんが銃で撃たれたのは、世界中で報道されましたが、イクバルくんについては はじめて知りました。

 ふたりとも、日本でいえば小学生の年齢。どんな思いで行動していたのか考えると胸が痛くなります。

 いま、アフガニスタンで、また女子の教育が禁止されています。

 またここでは、債務労働がでてきますが、それ以外にも、 劣悪な環境での長時間労働、人身売買による性産業での強制労働、子ども兵として軍事行動に参加させること も児童労働の課題です。

 国際労働機関が公表している児童労働の現状によると、2016年時点で5~17歳による児童労働者数は1億5,200万人と言われており、ち7,300万人は危険有害労働を行っているとしています。

 バングラデシュでは縫製、インドではマッチ製造、タイやミャンマーでは海老の加工で児童労働が行われており、インドやパキスタンで行われているサッカーボールの縫製も。アフリカでは、コーヒーや紅茶、ゴム、タバコの生産に従事している子どもが多いといいますから、すべてといいませんが、日ごろ、よく利用する製品が、児童労働で支えられているのかもしれません。


鳥のみじいさん・・新潟

2023年02月25日 | 昔話(北信越)

         新潟のむかし話/新潟県小学校図書館協議会編/日本標準/1976年

 

 各地に分布している話。

 正直で、働き者のおじいさんが、畑仕事をしているとき、大あくびしたひょうしに、小鳥が口に入ってしまう。しばらくすると、脇の下へ羽が生えてきたと。びっくりして、じいさんがひっぱってみると

  あや ツウ ツウ

  こや ツウ ツウ

  ごよのさかずき たべもうせば

  ピピラピンの ピーン

 と、とってもよい音を出したと。

 おおいそぎで、うちに帰って、ばあさんの見ている前で、もう一度、ひっぱってみると またおなじ声。

 これを聞いたばあさんが、「あしたは、とのさまが、この道をおとうりになるすけに、きかせてやろうそ」というので、おじいさんは、道端の大きな木に上って、とのさまが くるのを まっていたと。

 さきばらいのさむらいが、「何者だ」と、どなると、おじさんは、「日本一の歌うたい」とこたえ、鳥の鳴き声を 披露する。

 おじいさんは、とのさまから、たくさんもらった小判を、神棚にあげたが、小判があまりにおもくて、神棚から、おちてしまったと。

 これをみた、となりの、よくばりばあさんが、じいさんへ、「おまえも、鳥をのんでこらっしゃい」と、いったと。

 よくばりおじいさんが、むりやり飲み込んだのは、真っ黒い鳥。脇の下に生えた、真っ黒い羽をひっぱると、「ガア、ガア」と、鳴いたと。

 よくばりおじいさんが、とのさまの行列で、羽をひっぱると 「ガアガア」ときたならしい大声。そして「うそつきじじい」と、鞭でうたれてしまったと。

 いちごさけもうした。

 

 褒美を神棚にあげる場面は、この話がはじめてです。

 

 今話題のchatGPTに、「日本の昔話 鳥のみじいさん」と入力すると こんな回答です。今後は別にして、流石にすぐに回答をもとめるのは 無理そうですよ。ただし、別の話とすると これはこれで面白い。

 

「鳥のみじいさん」という日本の昔話は、ある日、山の中でひとりの老人が鳥を捕まえようとしているのを見かけた男の子が、その老人に声をかけて助けを求めるという物語です。

男の子が老人に近づくと、老人は手にした籠を開け、その中には小さな鳥がたくさん入っていました。男の子は鳥を野に放してほしいと頼みますが、老人は鳥を売るために捕まえたと答えます。

しかし、男の子は老人の懐に入り込んで籠を取り上げ、鳥たちを放してしまいます。怒った老人は男の子を追いかけますが、男の子は山の中に逃げ込みます。

そこで、男の子は鳥たちから報いを受けることになります。鳥たちは、男の子を助けてくれたお礼に、羽音で老人を追い払い、男の子を案内してくれました。

そして、男の子は鳥たちの神様に会い、その神様からお宝を授かりました。そのお宝を持って帰った男の子は、家族を驚かせることになりました。

 

再生成という機能があり、その結果は・・・。

「鳥のみじいさん」という日本の昔話は、ある日森の中を旅していた男が、小さな鳥の巣を見つけます。その中には、一つだけ卵が残っており、男はその卵を手に取って持ち帰りました。

やがて卵からかわいらしい鳥が生まれましたが、その鳥は人間の言葉を話すことができるという不思議な能力を持っていました。男は、その鳥を「みじいさん」と名付け、大切に育てました。

ある日、みじいさんは「自由に空を飛びたい」と言い出しました。男は寂しさを感じつつも、みじいさんの望みを叶え、自由に空を飛ばしてあげました。

しかし、みじいさんは空を飛ぶうちに、狩りをしていた鷹に襲われてしまい、怪我をしてしまいました。男は心配してみじいさんを探し回り、ついに見つけ出しましたが、みじいさんは鷹の爪で傷ついた翼が治らず、飛べなくなってしまいました。

男は、みじいさんを助けるために、丹精込めて松の木を切り、それを鳥かごにしてみじいさんを入れました。みじいさんは、鳥かごの中で、自分が空を飛ぶことができなくなったことを悲しみ、人間の世界に帰りたいと願うようになりました。

男は、みじいさんの願いを叶えるため、松の木を切って小さな家を作り、みじいさんと一緒に暮らすことにしました。みじいさんは、人間の世界で幸せに暮らし、人間の言葉を話すことで、人々を楽しませることになりました。

この物語は、自由に生きることの重要さや、人と動物とのつながりの大切さを教えてくれます。また、みじいさんが人間と共に暮らすことで、互いに助け合い、幸せを見つけることができることを示唆しています。


ともだちだーれ?

2023年02月24日 | 紙芝居

    ともだちだーれ?/脚本・得田之久 絵・和歌山静子/童心社/2006年(8画面)

 

傘さんのともだち だーれ?

クレヨンさんの ともだち だーれ?

太鼓さんの ともだち だれだかしっている?

問いかけながら 進んでいく 紙芝居。最後は、全部横に広げていきます。

 

”ばち”は 小さい子だと、すぐに 連想するのが むずかしいところでしょうか。

絵はシンプルなので 遠くから見ても 目立ちそうです。

保育園、幼稚園で いっぱい ともだちが できると いいな。


やかましい!、ありがたいこってす!

2023年02月22日 | 絵本(外国)

    やかましい!/アン・マグバガン・作 シムズ・タバック・絵 木坂 涼・訳/フレーベル館/2008年

 

 この「やかましい!」と、次の「ありがたいこってす!」は、おなじシュチュエーションで、出版社の説明にはありませんが、ユダヤの民話が もとのようです。

 

 ある日、ちいさな古い家に一人で住む ひげもじゃのおじいさんは、ベッドが キーキーし、外では、葉っぱが風に揺れて 屋根をひゅんひゅん こすり、やかんが しゅー!と、音を立てるのに、気分がイライラ。

 「やかましい」を何とかしようと、村一番の物知り博士のところにいくと、「ウシといっしょに くらしなさい」とのご宣託。

 おじいさんがウシを 家に連れて行くと ウシはモーモー。

 「ちっともかわらん」と、また博士のところへ行くと、こんどは、ロバと暮らしなさいという。

 博士は、なにを企んでいるのやら。次はヒツジ、ニワトリ、イヌ、ネコ。

  ネコは ニャーニャー

  イヌは ワンワン

  ニワトリは コケコッコー

  ヒツジは メエメエ

  ロバは ヒーホー

  ウシは モーモー

  ベッドは きーきー

  ゆかは みしみし

  やかんは しゅー!

 おじいさんが博士にくってかかると 全部手放しなさいという。動物がいなくなると、ベッドの音は ちいさいし、床の音は かわいい音、風もやかんの音も気になりません。その夜、おじいさんは あっという間に眠って、しずかなしずかな 夢を みました。

 

 博士は、ほんとうのやかましさを 思い知らせるために 動物を 家の中に いれるように助言した確信犯。

 青を基調の絵が、落ち着いた感じを醸し出しています。

 一匹一匹動物が増えていくようすは すっかり 描かれていますが、動物が家をでていくのが 一ページですまされているのが やや 物足りない。


 子どもや孫が帰省で、手狭になった部屋が、みんなかえると 広くみえるのも、こんな感じ。
 原著は、1967年です。

 

    ありがたいこってす!/マーゴット・ツェマック・作 わたなべしげお・訳/童話館出版/1994年
 
 
 母親と おかみさんと 6人の子どもたちと いっしょに、一部屋しかない小さな家に すんでいた男の話。家の中があんまり狭いので、 男とおかみさんの言い争いが絶えないし、子どもたちはうるさく喧嘩ばかり。 冬になると昼間は寒く、夜は長く、 暮らしはますますみじめになるばかり。
 
 そして我慢できなくなった男が、ラビさま(ユダヤの法律博士・先生)のところへ 相談に行くと、おんどりとガチョウを 家の中にいれて、いっしょに暮すように言う。
 
 さらに、ラビさまのところへ相談に行くと、ヤギ、ウシと いっしょに 暮すようにいう。
 一度目は、驚きながら、二度目は「冗談は やめてくれ!」、三度目は「むちゃな!」と、思いながらも、ラビさまにいうとおりにした男。
 
 四度目に「地獄に 落ちたようでがんす!」と叫んだ男が、動物を 家の外に 追い出すと、哀れな男と家族のものは、ぐっすりやすむことができた。
 

 男は最後に、「おれの暮らしを、楽にしてくださって ありがたいこってす!」と、ラビさまにいいます。

 
 子どもたちからしたら、なんで そんなことするの?と、突っ込まれそうですが、形は違えど、同じようなことを していないか ぎょっとするところもあります。部屋が狭い狭いといいながら、いくつもの家電製品、あまり使わない健康器具などを必要以上に買い込んで、狭いといっているようなもの。

ママー、ポケット!

2023年02月21日 | 絵本(外国)

   ママー、ポケット!/デヴィット・エズラ・シュタイン・作 ふしみ みさを・訳/光村教育図書/2018年

 

 おもわず、ほっこりします。

 

 赤ちゃんカンガルーのジョーイは、ある日、ママのポケットから はじめて 外へとびだしました。草原のほうへピョン ピョンと二回はねると、はじめてみるハチにであい びっくり仰天。「ママー、ポケット!」と、ママのポケットへ逆戻り。

 でも すぐに また、ジョーイは 外へ出たくなり 三回はねたところで、はじめてみるウサギにあって、またママのポケットへ。

 でも すぐに また、ジョーイは 外へ出たくなり 四回はねたところで・・。

 そして、また また外に出て、であったのが、カンガルーの子。ふたりは、「ママー、ポケット!」と、ママのポケットに 入ろうとしますが 「あれ、ちょっと まって!」「・・もしかして きみも こわかったの?」と、顔を見合わせ、大笑い。その日からは 二人は仲良し。ママのポケットより 二人で遊ぶのが楽しくなりました。

 

 好奇心旺盛な子。すこしずつ経験を重ね、親離れしていきます。そんな子どもを そっとみまもるママの顔も優しい。


ぐうず・・佐賀

2023年02月20日 | 昔話(九州・沖縄)

       佐賀のむかし話/佐賀県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1977年

 

 「ぐうず」とは聞きなれない言葉。佐賀で「石ガメ」のこと。話は、正直なおじいさんと、よくばりじいさんがでてきて、「花咲か爺」に似ているが、結末が異なる。

 

 正月をひかえて、どうして年をとろうか 思案していたじいさんが、川の水をじっと ながめていると、「アワでっしょう。米でっしょう。」という声。よくよくみると、石と石の間に、いっぴきのかわいらしい石ガメが首をだす。

 ぐうずをつれて家に帰ると、ぐうずは、「うすのなかにわたしば入れて、きねでついてみてくんさい」という。びっくりした おじいさんが「お前のいのちは、大丈夫かい」と聞くと、ぐうずは、かわいらしい声で、「心配いらん。まあついでみてください。」と、なんべんもいう。

 おじいさんが、ふしぎな気持ちで、うすをだし、きねでついてみると、金がジャラジャア。ぐうずは、うすのふちに ちょこんと すわっとったてたい。おかげで、おじいさんは、楽しい正月をむかえるとができた。

 暮らし向きがよくなったことを知った、よくばりじいさんが、ぐうずを借りて、きねでつくと、きたないうんこばっかりだったもんで、ぐうずをたたき殺して、かまどの中にくべて 燃やしてしまう。

 正直なおじいさんは、かまどの灰をもらって家に帰り、神棚にまつっていたということたい。

 

 話を続けようと思ったら、この先も考えられる話。ここで終わるかどうかは、聞き手の受け止め方次第なのかも。


くものすおやぶん とりものちょう

2023年02月19日 | 絵本(日本)

    くものすおやぶん とりものちょう/秋山あゆ子/福音館書店/2005年(初出2003年)

 

 春爛漫の虫の町は、桜の花が真っ盛り。お菓子の「ありがたや」に、盗人からの予告状。

 「こんや くらのなかの おかしを ちょうだいする かくればね」

 「よしっ、おいらに まかせな」と、くものすおやぶんの出番。

 蔵に ぐるぐる くものすを はって 盗人を捕まえようと まちかまえる おにぐものあみぞうと、はえとりのぴょんきち。

 よも だいぶ ふけたころ、まっしろい くもが、どんどん近づいて 蔵に 体当たりすると 蔵の中へ。

 蔵の中へ とびこんでみると・・・。

 

 江戸時代の街を思わせる風景。日本橋の賑わいから、商店の並び、建物から部屋の中の小物まで見どころがいっぱい。俯瞰する江戸の町は、一緒に屋根に上っているよう。そこで繰り広げられる捕り物劇。  

 くものすおやぶんはクモ、お菓子屋はアリ、かくばねはガの三人兄弟。

 おやぶんの口調は、時代劇そのもの。

 「ううむ、かくればねだと。なにものだ。ふてえやろうだぜい」

 「いってえ、こりゃあ なにごとだ」

 「さあ、おとなしく おなわを ちょうだいしろ」

 「んん、まてよ・・・ かぜも ねえのに、やけに さくらが ちるじゃねぇか」

 そして、時代劇の決まり文句といえば、「これで いっけんらくちゃくだ」

 

 くものす親分の手は六本、きれいなガの羽など、細部までこだわった虫の描写。

 最近は、テレビでも時代劇はほとんど見ることができなくなりました。それだけに新鮮に感じられるかもしれません。


てんのくぎをうちにいった はりっこ

2023年02月18日 | 絵本(日本)

   てんのくぎをうちにいった はりっこ/かんざわ としこ・作 ほりうち せいいち・絵/福音館書店/2003年(1985年初出)

 

 親をなくした ハリネズミの はりっこは、クマおばあちゃんに そだてられました。はりっこは、おばあちゃんが歌う 天の釘をうつ 歌が大好きでした。

 昔、大空が おなべを ふせたように、かかっていいたころ、その空は、天の釘で ささえられていました。はしごを よじのぼり 天の釘を うったのは、クマのかじ屋の大男、クマばあちゃんの、ひいひいじいさま。

 はりっこは 木に登るのが だいすきで、木にのぼっては、空をみていました。昼間は 明るい丸天井で、天の釘は見えませんでしたが、はりっこの 耳には、かじ屋の ハンマーの 音が たったいま 歌っているように 聞こえていました。

  とんてん かんてん とんてんかん

  とんてん かんてん とんてんかん

 ある晩、ぎいー と、なにかの きしむおと。つづいて ぐわら ぐわら 恐ろしい音。丸天井が ゆれて 天の釘も ゆれています。このままでは、天の釘がぬけて この世は おわりです。

 森の仲間たちが あつまってきました。だれかがいって 天の釘を 打たなければ いけません。そこにいくには、火を噴くヘビとたたかい 目もくらむようなはしごをよじのぼらなければなりません。そのとき、はりっこは、自分でも知らないうちに 叫んでいました。「ぼくだ。ぼくがいく!」。

 クマばあちゃんは、かじ屋に伝わる七つのハンマーのうち、いちばん ちいさなハンマーを はりっこに もたせ、天の釘を打つときは、かならず 七つ 数えて 打つように言い聞かせます。

 「おれが ひとはしり おくっていこう」と、すすみでたオオカミに とびのり はりっこは、七つの谷と山をこえ、走りに走り、かけにかけて めざす 北山に のぼりつく。そこにまっていたのは、口から火を噴く 赤目のヘビ。せめくる ヘビを、右に左に かわしても、背中のハリが、じりじりとこげる。もうこれまでと、はりっこは ハンマーを ふりあげて いっしんに うちかかる。危機をのがれた はりっこは はしごを のぼっていく。のぼって のぼって、雲を抜け、ようやく てっぺんに のぼりついた。ハンマーを しっかり にぎりしめ ひとうち ふたうち みうち。「クマじいさま、どうか ちからを かしてください」といのりながら、うちにうった はりっこ。

 六度目を うったとき、手がしびれ、はりっこは 天から 荒波 しぶく北の海へまっさかさま。クジラの 背中に おちた はりっこは クジラのしっぽに はねとばされて また、天へ逆戻り。最後の力を込めて、ハンマーで かーんと釘を打つと、釘はぴたりと おさまった。しかし、はりっこは またもや 下界に 落ちていく。落ちた先は、なんと、クマばあちゃんの 小屋の上。そこから なかまの あつまる木の下へ。

 

 軽快なテンポですすみ、おもわずひきこまれるお話。裏表紙には北斗七星が えがかれているので、天の釘というのは、北極星でしょうか。七つのハンマー、七回釘を打つ、七つの山と谷をこえていくと 七がキーワード。

 黒っぽい色調で、はりっこと天の釘をうつときの火花の黄色、ヘビの口からとびだす火の赤がきわだっています。

 クマおばあちゃんが言う最後のセリフ。「よくやった、はりっこ。ごくろう ごくろう。おなかがすいたろう。さあ あったかい おかゆを おあがり」


おたんじょうび まだかな

2023年02月17日 | 絵本(外国)

   おたんじょうび まだかな/ジュリー・フォリアーノ・文 クリスチャン・ロビンソン・絵 よしい かずみ・訳/化学同人/2022年

 

 「あといくつ ねたら  おたんじょうびに なるのかな」 

 「明日かな、もしかしたら冬かな、それとも春かな?」。

 お誕生日にほしいもの。こうまがいいな。ネックレスも いいな。げんきなにわとりが いいかもね。ポーンと はねる ボールもいいね。

 チョコレートたっぷりケーキに そうそくだって。

 おばあちゃん、キリンさん、ナマケモノくんに おさかなさん みんなみんな だいかんげい。

 お誕生日に呼ばれたら、どんな服装で? どんなプレゼントを もっていくかなあ?。きょうは あの子の誕生日。

 あと いくつ ねたら?

 あしたのゆめを みて

 あさが きた!

 きょうは わたしの 誕生日。

 

 お誕生日が待ち遠しい子の気持ちが、縦長の絵本に ぎゅっうと つまっています。 

 誕生日当日は、キリンさん含め、みんな三角帽子。貼り絵で、素朴な感じがします。

 

 (それにしても、世界では、誕生日を祝ってもらえない子どもが いかに おおいことか!)


そばの茎はなぜ赤い・・佐賀

2023年02月16日 | 昔話(九州・沖縄)

     佐賀のむかし話/佐賀県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1977年

 

 天から鎖が落ちてくる話で、類似の話も多い。

 

 二人の兄弟が留守番しているところに、やまんばがやってきて、なにかうまいものを食わせろと 脅かす。気のきいたあんちゃんが「なんにも食うもんはなか」と、いうと、それなら兄弟を食べると、大きな口を あけてせまったので、ふたりはびっくりして裏の柿の木によじ登る。

 やまんばが、どうして柿の木に登ったかと聞くと、あんちゃんは、足の裏に油ばつけてのぼったという。やまんばが、足の裏にどっさり油をつけてのぼろうとするが、足がつるつるして、のぼれない。

 弟が、木に、きずつけてのぼれと正直に話すと、やまんばは、木にきずをつけてのぼりはじめ、だんだん二人にちかづく。あんちゃんは、こりゃいかんと思って「天道さん、天道さん、鉄の鎖ばおろしてください」と祈ると、天の一角からジャラジャラと、大きな音がして、鉄の鎖がおちてきたので、その鎖にとびうつって、空にのぼっていく。

 やまんばが、どうしてその鎖にのぼったか聞くと、あんちゃんは、天道さんに「鎖の綱ばおろしてください」と、たのんだという。

 やまんばがたのむと、天からおりてきたのは、くさった綱。やまんばが、これにとびつくと、綱は、プツンときれて、柿の木から まっさかさまにおちて、石に頭をぶつけてしんでしまう。そのときの血が、そばにあったそばの茎にかかり、それまで青かったそばの茎が、そのときから 赤くなったという。

(そいぎ、ばぁっきゃ)


のいちごつみ

2023年02月15日 | 絵本(日本)

    のいちごつみ/さとう わきこ/福音館書店/2015年(2010年初出)

 

 おいしいジャムを作ろうと、ばばばあちゃんは のいちごつみに出かけました。「いま とらなくって どうする」と、味見。いちごが、かご いっぱい。ぽかぽか陽気に誘われ ひと眠り。

 おなかをすかした 動物たちが やってきて、ジャムになるまえに、一粒と、食べはじめたら、あれあれ、いちごはどんどんなくなって、残ったのは七粒。

 「これだけじゃ、いちごジャム できないよ」と、みんながいうと、ばばばあちゃん、のこりの いちごを パクリ。そして、「あした また みんなで とりにいけば いいよ。のいちごつみも たのしいよ」と、平気な いつもの ばばばあちゃん。

 次の日、ちゃーんと みんなで のいちごつみです。

 

 「ふたつ いちご にこ にこ たべよう」

 「ななつ いちご なかなか とまらぬ」

 「やっつ いちご やっぱい うまい」

 と、数え歌で、のいちごを食べるのが、楽しそう。

 次の日の、のいちごつみ、クマはハチミツをさがし、サルは頭に野いちごがはいった籠をのせ、キツネはねむくなったりと さまざま。


まねっこ ともだち

2023年02月14日 | 紙芝居

    まねっこ ともだち/脚本・新沢としひこ 絵・長谷川善史/童心社/206年

 

じゅんくんは、いつも としくんのまねばかり。

としくんが ブランコに乗っていると どいてどいて!と ブランコで遊びはじめます。

しかたなく としくんが、トランポリンで、楽しそうに遊んでいると、「じゅんも、トランポリン やる!」といいだし、

としくんが、自転車にのっていると、かわって!と じゅんくん。

じゅんくんが、としくんが かしてくれた 自転車にのって としくんを おいかけようとすると バッターン!と 転んでしまいます。ワーンワーンと泣きはじめたじゅんくん。なかなか泣きやみません。

このあと、いつも邪魔されていたとしくんが とった行動は?

 

ほんとうは 仲がいいのでしょうが 楽しそうに遊んでいるのを見ると 自分もやってみたくなる気持。 なんかわかるわかる。

ケンカにならなくて よかったね。


ほらふきくらべ・・大分

2023年02月13日 | 昔話(九州・沖縄)

         大分のむかし話/大分県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1975年)

 

 力自慢が「ちからくらべ」にでかけ、ちからくらべを申し込まれた側が いかに 力が強いかが 現実離れをとおりこして あっけにとられるものが、ほとんど。

 「ほらふき」というからには、おおきければおおきいほどいい。

 

 話が旨いと自信満々の男が、話がうまい男がいるという村に出かける。

 こんな話では、中国や天竺まで でかけるものもおおいが、村というのは、ちょっと物足りない。

 その家の子がいうことには、「雨だれでできた水たまりに クジラがいるから すくう」という。

 子どもに、お父はいるかときくと、「この大雨で、大船山がくずれると 困るから 線香をもって 大船山に つっぱりにいった」という。

 おっかあは、なにしよるか聞くと、「カミナリさまの腹が破れると、雨がやまなくなって困るから、木綿針と木綿糸をもって、カミナリさまの腹を縫いに、天に登っちょる」という。

 おそれいった男が、急に逃げ帰る。

 もうすこす 米ん団子 はよう食わにゃ すえるで!

 

 大船山は、1786m、夏はミヤマキリシマが咲き乱れるという。