こぶとり じい/宮川ひろ・文 蓑田源二郎・絵/ほるぷ社/1985年
右のほっぺに こぶがある 木こりの じいさまが雨宿りしているとき、天狗の酒盛りにでくわし、歌を歌いおどりまくり、その場を盛り上げたので、次の日もきてくれという約束のしるしに、天狗がこぶを とってしまいます。
この話をきいた左のほっぺに こぶのあるじいさまが、天狗のところにでかけますが、歌も踊りも天狗が気にいらず、きのうのこぶをつけられ、両方の ほっぺに こぶがある じいさまになってしまう。
宮川さんの絵本は、はじめてですが、好奇心が旺盛で天狗たちの踊りの輪にとけこんでいくじいさまと、となりのじいさまが、こぶをとってもらおうとでかけたはずなのに、ただふるえてしょぼしょぼするようすに、「自分にみあった生き方をしていけばいいよ」と、となりのじいさまをはげましたくなる とあとがきにありました。
天狗の踊りの部分がリズミカルで、たしかに、おじいさんも踊りたくなる躍動感いっぱいです。
よく知られている昔話ですが、おじいさんがであうのが、鬼というのが多いかもしれません。おじいさんも、良い、悪いじいさんというのではなく、ノリのいいおじいさんと、気弱なおじいさんといった感じ。
「こぶとりじいさん」も、隣のじいさまのほうが踊りがうまい、隣のじいさまにこぶがない、ひとりのおじいさんしかでてこない、踊りではなく魚釣りの技を鬼に披露する、隣のじいさまもこぶを取ってもらうことに成功するなど、さまざまなパターンが存在するといいます。
こぶとり/松谷みよ子・文 瀬川康男・絵/フレーベル館/2003年
ふたりのじいさまが、神さまにこぶを取ってもらおうといっしょに出かけ、天狗に遭遇します。
赤天狗、青天狗がでてきて、天狗の眉毛、髪の毛、羽根がついた衣装が カラフルです。
じいさまが、天狗の前で踊る場面は、笛や太鼓の音が聞こえてきそうです。
♭くるみは ぱっぱ
ばあくずく
おてらの なすが なったとな
いっぽんに ひゃくはち
なったとな
なるにゃ なったが くさくて くわれん
ちゃあるるう すってんがあ
ふたりのじいさま、お宮に おこもりしようと 米や味噌をもって でかけたのは、長期戦?を予想していたのでしょう。