どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

うなぎにきいて・・紙芝居

2023年06月12日 | 長谷川善史

   うなぎにきいて/脚本・桂 文我 絵・長谷川善史/童心社/2005年(12画面)

 

 ウナギ屋の看板を見た二人ずれ。かば焼きを頼むが、調理人が かぜでやすんでいるからとことわられる。どうしても食べたい二人ずれは、料理が下手というウナギ屋の主人に 頼み込み主人が調理することに。

 主人が 一番大きなウナギをつかむと ウナギは 上へ上へ。二人ずれから手を下に向けるよういわれ、手を下に向けると、ウナギは こんどは下へ下へ。「手を前に だしたら、いいがな」といわれ、両手を前に出すと、ウナギは ニュルニュルと前へ。主人は 店の留守番してくれと大声を上げ、店の外へ。

 ウナギのおとうり、ウナギのおとうりと どんどん前へ。走る姿を見た こどもたちが あとについていき、いぬも ねこもおいかけていきます。

 走る主人の前に 大きな川。川へドボンと落ちた主人は、それでもウナギをはなしません。ウナギと主人は、どんどん川上へ。

 どこへいくつもりと 聞かれた主人は・・・

 

 あ! オチがタイトルになっていました。

 ウナギをにぎりしめる主人の顔が なんともいえません。快調なテンポと関西弁、長谷川さんの絵で、落語風に展開し、上の年齢の子も楽しめる紙芝居です。


おおにしせんせい

2021年01月13日 | 長谷川善史

       おおにしせんせい/長谷川善史/講談社/2019年

 

 五年生になって一週間。今日の一時間目は国語。しかし新しい担任の おおにしせんせいが「きょうは いちじかんめから ろくじかんめまで 図画工作」といいだし、みんなにわたしたのは、ふとい筆一本、パレット替わりの下敷き、バケツ。

 学校の中で自分の描きたいところを選びなさいといわれ、まっさん、こうちゃんとぼくが目をつけたのは廊下。

 「ここやったら すぐ おわる。あとのじかんは ちゃんばらごっごや」と、すぐにかきあげ、ちゃんばらごっこ していると ごつい おおにし先生の姿。

 これは かみなりが 落ちるかと 思うと「このろうか、その ちゃいろに みえますか。えのぐ そのままの ちゃいろい いろか。よーく みてみ。ろうか さわってみ」と先生。そういわれて、ぼくが ろうかをさわってみると さいしょは つめたかったが、しばらくすると ちょっと ぬくく かんじた。耳を近づけてみると、しずかやねんけど がっこうのおとが きこえて においをかいでみると あぶらのにおい、ほこりのにおい、みんながあるいた におい。

 給食のパンを食べながら、廊下のことを かんがえて さっきの廊下に もどると さっきの廊下と ちがってみえた。黄色に見えるところは 絵具の黄色と違う。あおくみえるところ、あかるくみえるところ。もう 絵具の 茶色やなかった。ぼくは ぼくが かんじる 廊下をかきはじめた。

 先生は絵をかく前に「からだが うごいたら はらが へる まえに、こころがうごくんや。よーく みて えがくんや」といい、ぼくが 絵をかきおわると、「よっしゃ! きがついたな。えのぐの ちゃいろと ちがいますやろ。いろんな いろがかさなって それがほんまの、あんたの ろうかや」「こころが うごいて はらが へったんや」と、声をかけました。

 二ページにわたる廊下の微妙な色使いが圧巻です。

 

 長谷川さんの担任だった先生がモデル。学校は木造校舎で、木の廊下であればこそ描けた絵だったのかも。

 昭和にはまだ先生の創意工夫がいかされる余裕があったように思いますが、現在の教育現場では、一日すべてを図画工作にあてるというのは考えられません。

 自分の将来を左右するほどの先生との出会いが 子どもたちに ありますように。


みどりのほし

2020年11月02日 | 長谷川善史

       みどりのほし/林 木林・作 長谷川善史・絵/童心社/2020年

 

 山口県周南市生まれの詩人まどみ・ちおさんが百歳を迎えたことを記念して2009年に創設された「こどもの詩 周南賞」で、作詞部門優秀賞を受賞した(2011年)詩に、長谷川さんが絵を描かれています。

 「きょうはなんだかつまんない ひとりで いたい きぶんなんだ」

 そんな、ぼくが、テーブルの夏ミカンをみていて、「てっぺんにみどりのほし、みぃつけた」

 畑の野菜にも あるかなあ。

 あっつ トマト ピーマン ししとう みんな ほしの かんむり かぶっている。

 花にも、みずたまりの中にも、葉っぱにも。

 ぼくも ほしなんだ だいのじに ねそべった。

 ほしとほしが 手をつなぐと ひとり またひとり ほしがふえていく。

 

 野菜のヘタから、緑の星を感じられるのは詩人ならではの感性でしょうか。

 身近な野菜から星座まで、どこまでも広がります。


おいせまいり わんころう

2020年08月18日 | 長谷川善史

      おいせまいり わんころう/あおきひろえ・文 長谷川善史・絵/ブロンズ新社/2019年

 

 すごろくじたての わんころうの伊勢参り。

 ふりだしは、大阪船場の米問屋「すごろくや」。

 米俵をかついだまんま しりもち ついて腰を痛めただんなさんの回復祈願のため、娘のこいちゃんにたのまれて、わんころうは ほな、いてさんじますと伊勢へと出発。

 おいせまいりのめじるしは ひしゃく。首には銅銭、巾着の中には、こいちゃんのつくってくれたおまもりと準備万端。

 くらがりとおげをこえ、ふるいちのやど青銅屋で一息。

 お伊勢参りの一行と歩いて歩いて・・・。

 森の中で わんこうのおしっこが しちどぎつねの あたまにかかったから、さあたいへん。肥溜めに落ちるわ、がいこつにおわれるわ、うわばみ、ろくろ首、大入道がでてるわとえらいめにあいながらも こいちゃんのためにと 先を急ぐわんころう。

 くしだがわでは、川に落っこちた備前屋のぼんを ひっしのパッチで助け、ごちそうやおどりでもてなしをうけた わんころう。

 やっと伊勢神宮についたとおもったら、犬畜生は通せないと門番にとおせんぼされたわんころうの前に、あまてらすおおみのかみがあらあれ、やっと、参詣ができ・・・。

 舟で大阪に着くと、こいちゃんのにおい。みんながそろって おでむかえ。米問屋「すごろくや」の だんなさんも わんころうのげんきなすがたをみたくて、すっくとたちあがりましたから、腰もよくなっていました。

 表と裏の見返しの、出発前とお伊勢参りから帰ったわんころうの姿にも注目です。

 いくまえ「そんなこといわれても・・」「なんぎやなあー」

 かえってきたとき「あー やれやれ」「はー しんど」

 こっちが本音かな?


なぞなぞあそびえほん

2019年12月16日 | 長谷川善史

        なぞなぞあそびえほん/角野栄子・作 長谷川善史・絵/のら書店/2009年

 

 子どもがだいすきななぞなぞ。簡単すぎず難しすぎのバランスが微妙。答えがわかっていても楽しめる絵本です。

 なぞなぞが30.

 りょうてで つくる さんかくやま くろいマントきて どかっと すわっている おなかのなかには なにがある? くちのなかで おたのしみ。

 あしもとから のびる くろい ぼく ぼくのは ぼくの かたち きみのは きみの かたち とりかえっこ できない あかるいと でてきて くらいと きえちゃう おばけと 反対のへんな やつ。

 問いかけの文 なかなか味があります。こたえの特徴が よくあらわされています。

 じつは長谷川さんの絵に こたえがあります。

 小型で持ち運びが便利。外出時にも持参できるので、ちょっとした時間に楽しめると評判です。


ぼくのえんそく

2019年11月16日 | 長谷川善史

     ぼくのえんそく/穂高順也・作 長谷川善史・絵/岩崎書店/2005年

 

 遠足当日に風邪で熱を出し、遠足に行けなかった”ぼく”。

 でもどうしてもいきたい”きもち”が からだから抜け出します。

 おともはネコといちご、ぶどう、オレンジ、バナナ、もも、メロンのミックスジュース。

 そして遠足の日には、みんなのきらわれものくろいあまぐも。でも雲もやっぱり遠足にいきたいですよね。

 そこへ、おひさまがあらわれて、くもをさえぎります。あまぐもとお日さまのバトル。

 つかれている雨雲にジュースを飲ませてあげると、雲からオレンジ、メロン、いちご、ぶどう、もも、バナナの雨。

 虹の雨に、バスのみんなもおおはしゃぎ。空にはジュース色した 虹の橋がかかって、おべんとうをいただきます。

 ちゃんと集合写真にも”ぼく”が、写っています。

 遠足の楽しさを味わって”ぼく”の風邪もなおったのかな。

 ふしぎな遠足ですが、ジュース色した虹を見上げるみんなの目の先には、雲もにっこり笑っています。


おこる

2019年10月07日 | 長谷川善史

      おこる/中川ひろたか・作 長谷川善史・絵/金の星社/2008年初版

 

 はじめは、””おこられる”

 月曜日、朝寝坊して おこられた

 火曜日、ピーマン のこして おこられた

 水曜日、植木鉢 わって おこられた。

 ・・

 後半は、”おこる”

 ままごと やりっぱなしの いもうと、ぼくは おこる

 大切なおもちゃを かってに すてた おかあさん、ぼくは おこる

 約束を やぶった おとうさん ぼくはおこる

 ・・

 おこったあとって こころは どんより

 おこったからといって きもちが すっきりするわけじゃない。

 なるべく おこらない ひとに なりたいんだけどなあ。

 ”おこられる”のは、こうでなければということ。でもその前提が正しいのでしょうか?。

 宿題忘れておこられますが、どんな出し方をしたのか。なにか事情があったのかも。

 ”おこる”のは、自分が嫌だと思うこと。もしかすると、それも自分勝手な思い込みかも?

 靴をかくされて、おこりますが、隠したのにも理由があったのかも。

 

 ”ぼく”の日常生活のことが中心ですが、作者の思いは、人権のこと、平和のことなど、心の底から怒らなくてはならない時、許せない時があることを問いかけているかも?


かわうそモグ

2019年07月20日 | 長谷川善史

      かわうそモグ/文・小森香折 絵・長谷川善史/BL出版/2019年

 

 かわうそのモグが娘にばけて のりこんだのは、おいしそうなウナギのにおいがする「うまいウナギ屋」。

 というのも兄のアオメがとったまるまるふとったフナを食べようとすると「食べたかったら自分でとれよ。おまえにつかまるウナギは いないだろうけれどね」と馬鹿にされたこと。

 川に飛び込んでウナギをさがしますが、いくらさがしてもウナギはみつかりません。そのとき人間の声がして「いやあ、きょうの山越えはきつかったな。ウナギでも食べて せいを つけましょうか」と、話していました。

 「人間の町には、ぜったいに近ずくな」とアオメにいわれていたのですが、モグは、人間のやつがウナギをよこどりしてるんだと、娘にばけてウナギ屋にいきます。

 ところが、ウナギ屋の若旦那が、ウナギの入ったかめをひっくりかえしてしまったから、さあ大変。 

 ウナギがシュルシュルにげまわり、つかまえることができません。

 「まかしとけ」とモグは、調理場にとびこみ、はっしはっしとウナギをつかまえ、かめにほうりこみます。そしてモグの口にはたっぷりとつばがわいて、がまんできないとウナギをぼりぼり食べはじめます。

 ところが着物のすそからしっぽがぽろり。正体がばれて網でつかまえられてしまいます。

 かわうそを買っていったのは人相の悪い男。味噌鍋にされそうになりますが・・・・。

 男がにまりと笑って、鉈をふりあげるシーンは、ちょっと怖い。

 キツネがばけるのは、多々ありますが、かわうそもばけるんですね。けれど影はかわうそのまま。

 いじわるそうな兄ですが、危機のときは弟を救ってくれるやさしいお兄ちゃんです。


がまの油

2019年06月15日 | 長谷川善史


       ガマの油/齋藤 孝・文 絵:長谷川 義史・絵/ほるぷ出版/2005年


 「さあさ、お立ちあい、ご用とおいそぎのないかたは、ゆっくりと聞いておいで」「一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚・・・」と、テンポよく読めば、小さい子にも心地よい、ごぞんじ「がまの油うりの口上」。

 タラーリと油汗を流す、なんとも存在感のあるがま。口上を助ける長谷川さんのがまの絵をみているだけでも楽しい。

 バナナのたたき売りといい、物売りの口上もきけなくなりましたが、実演販売は、この流れを受け継いでいるのかも。

 ネットだと、品物を購入するドキドキや楽しみはないかなあ。

 血を見て失神し、はこばれる客、こわいものみたさの客などの絵なども楽しく、オチも納得。

 「声にだすことばえほん」ですから、やっぱり声に出さないと!

ガマの油は、大坂の陣に徳川方として従軍した筑波山・中禅寺の住職であった光誉上人の陣中薬の効果が評判になったというもののようで、のぼりにも「筑波山」と描かれています(緞帳の提供 筑波山江戸屋と細かい)。


パンやのろくちゃんシリーズ

2019年04月10日 | 長谷川善史

 いつも楽しませていただいている長谷川さんの「ぱんやのろくちゃんシリーズ」、どれも人と人とのあたたかさが感じられます。


      パンやのろくちゃん/作・絵:長谷川 義史/小学館/2006年初版


 4コマ漫画が4つと、オムニバス風の話が4つと大サービス。

 <おつかいにいくのまき>
 カレーにつかう牛肉の買い物を頼まれたパンやのろくちゃん。急いで走って、すべってこけた途端に、「なんのにくだったけ にくにくにく」といっていると、八百屋おやの大将が「にんにく ひとつ まいどありー」。ろくちゃんにんにくを買うことに。「にんにくじゃ ないとおもけど まあ しょうがない」というと、しょうがをかうはめに。にんにくでもしょうがでもないと、ろくちゃんなみだがでてきて「はっくしょん」すると、こんでは、八百屋の大将が白菜もほしいのかと、白菜も買う。残ったお金で挽肉200gを買って家に帰ります。
 でも、この買い物、大好きなぎょうざにばけます。

 <しょうてんがいでおこられるのまき>
 商店街の真ん中で、ボールをもって遊んでいると、けったボールが、魚屋の大将に、大当たりして、魚も飛び散り、大目玉。
 泣きながら歩いていると、お菓子屋のおばちゃんは、あられを一袋、肉屋ではチーズ、花屋のおねえさんはみかんを、カレー屋のおじさんはリンゴを一つ、おまけに魚屋のの大将は、自転車でろくちゃんをおくってくれます。

 <おみせばばんをするのまき>
 ろくちゃん、はじめてお店番をすることに。
 お客がこないので、パンの袋を頭にかぶり、店の前で踊り始めると、つぎつぎにお客さんが。
 パンが売れすぎて、おやつで食べようと思ったクリームパンまでなくなって、ろくちゃんは泣き出しますが・・・・

 <いぬをかいたいようのまき>
 幼稚園の友達のゆきちゃんは犬をかっています。
 ろくちゃんも犬をかいたいとお願いしますが、パン屋だから犬がお店でうんこしたりしてはいけないからいきものはかえないんだよと、おとうさん。
 この話をきいていたおばあちゃんが、ふふふふと笑い出します。・・・・・

 泣いていると心配したお店の人が、手をさしのべてくれる人情味のある商店。
 ふだん行きつけのお店だと、客の状況も知っているお店の人が、いろいろ声をかけてくれます。なくしたくない風景ですが、いつまでもつものか。

 八百屋さんには、「やさいをたべてべんぴをなおそう」という貼り紙がさりげなくあり、肉屋さんには「にくくっているか」の貼り紙。カレー屋は「インドのおっさん」という名前。4コマ漫画のおちも楽しい。


        パンやのろくちゃん うんとね/2007年初版

 ”まいごになっちゃったのまき”では、今ではみられなくなったデパートの屋上ののりものにのって、うれしくていつのまにか迷子に。
 店内放送で知ったおとうさん、おかあさんの顔を見た途端に涙もとまりますが、大変なことにきがつきます。

 ”えんそくのおべんとうのまき”では、炊飯器が故障して、遠足にもっていくお弁当は、お店のサンドイッチに。きになって動物園の楽しさも半減。でもお昼にお弁当を食べようとすると、みんなおにぎりやおかずと交換してとやってきます。

 ”ひとりでさんぱつにいくのまき”では、双子のやおやのたいしょうとさかなやのたいしょうからいわれて、、こっくりこっくり眠ってしまいます。目が覚めてきがつくと、前髪がとってもみじかくなっていて。

 ”ろくちゃんをびっくりさせるのまき”では、ある日、おじいちゃん、おとうさん、おかあさんもそっけなく、遊んでくれないなにかいつもと違っています。おばあちゃんにいわれて太巻きをつくる手助けを。
 じつは、この日はろくちゃんの誕生日。ごはんの時間にはサプライズがまっていて、ろくちゃんははずかしくって、顔がまっかか。

 お店のサンドイッチをお弁当にもっていくのが、なんかきはずかしくて、こっそりお弁当を食べようとすると、みんなは、ろくちゃんのおみせのサンドイッチは美味しいからと、おにぎりやおかずと交換してとやってくるところ、ろくちゃんの気持ちが痛いほどわかります。

 ろくちゃんのおうちは、パン屋さんなので、表紙においしそうなブドウパン、フランスパン、コッペパン、ウインナーパンなどが描かれています。


        パンやのろくちゃん でんしゃにのって/2009年
  
 パンやのろくちゃん、おじいいちゃんと、おかあさんのおばあちゃんのいなかへ、お届け物もって、電車の旅です。
 電車に のるとすぐ、おべんとう。三段重ねでおもわずよだれ。

 そこへみかんがころがってきて、おじいちゃん、まきずしのお弁当箱をもって、若いお姉さんたちの席へいったきり(若返りの秘訣かな)。

 二人だったのに一人旅になり、車掌さん「ひとりたびで ございますで ございますか。じぶんさがしの たびで ございますね」と、一人合点で感激しきり。

 「コリ アンター、どうしたんだあ」と、カレー屋のおじさんも登場です。やれやれ一安心とおもっていると、カレーやのおじさん、すぐに退場です。

 トンネルをぬけたら、のってきたのは、おやこのたぬき。つぎに「ここに すわらせていただきやしょう コン!」と、きつねのおやこずれ。くまもおさるもおやこずれ。

 おいしい弁当も「人の ものは どうぶつのもの ポン」とたべはじめますから、ろくちゃん、泣き顔。でもどうやら、ろくちゃんの夢の世界だったようですよ。

 裏表紙で、おじいちゃんといいきもちで五右衛門風呂にはいっていると、まどから のぞいていたのは?

 軽妙なやり取りが楽しめました。 


       パンやのろくちゃん だからね/2012年初版

 ”ようちえんのおとまりがっしゅくのまき”では、ろくちゃんがカレー作りのため、たまねぎをきっていると、めにしみてなみだ。

 ゆきちゃんが心配して声をかけてくれます。すいかわりで、地面をおもいきりたたいて、てがしびれ、またなみだ。ゆきちゃんが心配して声をかけてくれます。

 おやすみのとき、おかあさんがこいしくなって、ちょっぴりなみだ。ゆきちゃんがまたまた声をかけてくれます。

 あさ、おねしょで、ふとんがぬれています。するとせんせいがやってきて「あらあら ろくちゃん、昨日がんばって たまねぎ きってくれたから、こんなに なみだが でちゃったのね」と、すかさず見事なフォローです。

 ゆきちゃんのやさしさ、素敵な先生とあたたかい幼稚園です。

 えでかくしりとり遊びがでてくるのは”こどものひにしょうぶゆにはいったよのまき”。

 カレー屋のおじさん、ろくちゃんを「コリアンター」とよびます。頭にタオルをのせたすがたはシリーズ一冊目にでてくる「インドのおっさん」です。              


ひつじがいっぴき

2018年05月25日 | 長谷川善史


       ひつじがいっぴき/詩・木坂 涼 絵・長谷川 義史/フレーベル館/2007年


 おなじみの動物が31。動物をテーマにした詩集に、にんまりし、長谷川さんの絵で楽しめます。

 長谷川さんの絵は、カラーはちょっと。あとは黒。表紙の羊に癒され、裏表紙には遊び心も。

 言葉あそびあり、動物の生態をうまくあらわしたものあり、動物の先祖がでてきたり、俳句風あり、教訓風、名所案内風がありと盛りだくさん。

 少なくなったトラをさがす、ひのひかりとつきあかりにぎょっとしました。

 長いのですが、一つ一つが独立していていますから、いつでも、どこでも、時間があるときもない時も自由自在です。

 ひとつだけキリンを紹介すると

 ながーいくびにせっちされている
 ながーいしょくどうエレベーター
 くちといぶくろむすんでのびる
 さいこうきゅうのとくちゅうひん
 ひとよんで 
 はんすうじるしのエレベーター
 たべればじどうそうちがさどう
 したへまいりまーす うえへまいりまーす

 おじいちゃんも
 おばあちゃんも
 おとうさんも
 おかあさんも

 きのうのこと
 むかしのこと
 はんすうはんすうまたはんすう
 うえへまいりまーす したへまいりまーす


だじゃれ日本一周、だじゃれ世界一周

2018年02月26日 | 長谷川善史


       だじゃれ日本一周/作:長谷川 義史/理論社/2009年初版


 だじゃれでまわる日本一周です。

 最初は北海道か沖縄と思ったら、自分の住む埼玉がでてきて「きれいなはながさいたまけん」と、これはまあまあかな。
 背景はスーパーアリーナ、川越の時計台、深谷ネギとお馴染みのもの。

 各地の物産品、名所、ゆかりの人物などがでてきます。

 おまけも素敵で、添付資料には各地の特色の一覧表、表紙の見返しには、都道府県の地図といたれりつくせり。

 自分に関係のある県にはとくにひかれるかもしれません。
 生まれ故郷の秋田県は、なまはげ、竿燈がでてきて「まあこのへんで あきたけん」とちょっと想像の範囲内。
 「それならと だいぶつさんも おならけん」と大仏様が、おならするのは?

 小学低学年の時期に読むと、都道府県の位置や特色が楽しみながら勉強できそうです。



       だじゃれ世界一周/作:長谷川 義史/理論社/2017年


 「だじゃれ日本一周」からこんどは世界一周です。

 見開きごとに国名でだじゃれ。

 いつまでもあいすらんど(アイスランド)には ことばはいらん(イラン)

 おまんじゅうちょうだい(オマーン)には ゆっくりくえーと(クエート)

 だじゃれは、少し苦しいところもありますが、国ごとにおなじみのもがでてきます。

 ジャマイカはウサイン・ボルト。デンマークは人魚姫、オランダはゴッホの自画像。

 インドはゾウ、コロンビアはコーヒー豆。アメリカはマー君かな。ガーナには野口英世の銅像がさりげなく。チリはモアイ像。

 ただ日本の都道府県にくらべ、国となるといろいろなものがありすぎて、選択するのも難しそうです。

 いつもながらの長谷川さんのサービス精神は、裏表紙にも。各国のごあいさつが。

 楽しみながら発見がある地理。世界地理の最高の入門書です。


おねしょの かみさま

2015年11月02日 | 長谷川善史
おねしょの かみさま  

        おねしょの かみさま/長谷川 義史/学研/2014年初版

 

 タイトルから、おねしょのかみさまがでてきて、おねしょがなおるとっておきの方法があるかと思いきや
 最後はあららでした。

  つめたいつめたい
  つめたいなあ
  おしっこの うみって
  つめたいなあ・・・
 めがさめるとおねしょ
 おねしょをしたふとんをみていると、へんなおじさん
 おねしょのかみさまが、しばらくおどりをおどってきえてゆきます

 またおねしょをすると、おねしょのかみさまがでてきて、やっぱりおどります。
 またおねしょ
 またおねしょ

 かみさまにおねがいすると、おねしょをしないとっておきのまじないのことばをおしえてもらいます。
 まじないのことばを、わすれないように何回もくりかえしてねむるのですが・・・。

 このかみさまがなんとも面白い。
 なにしろ手が十本、足が五本。
 手にはゆうちゃんのかえのパンツ、かぎ(どこのカギでしょうか)、しびん、鉛筆などなど。

 かえのパンツをもってきてくれるとは!
 恐竜の赤ちゃんもでてきます。

 かみさま、タコににてますから、ちゃんと「たこちゃん」の本もでてきます。

 よく見てみると、相変わらず、絵のあちこちのしかけを楽しめます。


へいわってすてきだね

2015年07月10日 | 長谷川善史
へいわってすてきだね  

       へいわってすてきだね/詩:安里 有生 画:長谷川 義史/ブロンズ新社/2014年初版

 

 長谷川さんのあとがきを読むまで、小学一年生の詩だとは思いませんでした。
 シンプルですが、平和を的確にとらえていると思いました。
 そして沖縄の小学生でないと書けないのではないかという思いも。

 この絵本が長く読み続けられてほしくはないのですが、今の日本の状況では、ずっと読み続けられそうです。

 実は今、ラジオで安全保障関連法案の審議が聞こえていていますが、あいかわらず、この国の首相の言葉が空虚にひびいています。
 アメリカ議会で、この夏までに、アメリカと一緒に戦争をになう態勢を整備しますと得意げに表明した首相。いろいろ理屈をつけても憲法違反の法律を通そうとする姿勢。

 秘密保護法もあって、この国はきな臭さが充満しはじめました。

 これまで築き上げてきた平和の思いを根底から崩そうとする政治家に唖然とします。

 ”おともだちと なかよし。かぞくが、げんき。えがおで あそぶ。 
 ねこがわらう。おなかがいっぱい。やぎがのんびりあるいてる。
 けんかしても すぐなかなおり。 
 ちょうめいそうが たくさん はえ、よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
 みなとには、フェリーが とまっていて、
 うみには、かめやかじきが およいでいる”


 こうした、日常の風景が壊されようとしています。    

 へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。
 おともだちと なかよし。かぞくが、げんき。えがおで あそぶ。 
 ねこがわらう。おなかがいっぱい。やぎがのんびりあるいてる。
 けんかしても すぐなかなおり。 
 ちょうめいそうが たくさん はえ、よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
 みなとには、フェリーが とまっていて、
 うみには、かめやかじきが およいでいる
 やさしいこころが にじになる。 へいわっていいね。へいわってうれしいね。
 みんなのこころから、へいわがうまれるんだね。
 せんそうは、おそろしい。「ドドーン、ドカーン」 ばくだんがおちてくる こわいおと。
 おなかがすいて、くるしむこども。
 かぞくが しんでしまって なくひとたち。
 ああ、ぼくは、へいわなときにうまれてよかったよ。このへいわが、ずっとつづいてほしい。
みんなのえがおが、ずっとつづいてほしい。
 へいわなかぞく、へいわながっこう。
 へいわな よなぐにじま、へいわな おきなわ。
 へいわな せかい、へいわって すてきだね。
 これからも、ずっとへいわがつづくように、ぼくも、ぼくのぼくのできることから がんばるよ。


おへそのあな

2015年02月26日 | 長谷川善史
おへそのあな  

         おへそのあな/長谷川 義史/BL出版/2006年初版

 

 おなかの赤ちゃんが、「あした生まれていくからね」とあいさつする発想がなんともいえない。

 これから生まれていくお家、親子が川の字に寝ていて、お父さん、弟は掛布団からはみ出ているのが、どこかになつかしい光景です。

 お姉ちゃんは花にみずやり、弟は牛乳パックでロボットおもちゃを用意し、お父さんは赤ちゃんの歌をつくって準備万端。

 これから生まれる赤ちゃん、幸せそうです。