とんでもないおきゃくさま グリム童話/作:グリム 絵:バーナデット・ワッツ 訳:ささき たづこ/西村書店/2008年新装版
あひるが、わたしのクルミの丘とよぶところで、おんどりとめんどりがクルミを食べ、クルミの殻で車をつくります。
文句をいうアヒルに車を引っ張らせるおんどりとめんどり。
途中、縫い針と待ち針をのせて、向かった先は宿屋。
胡散臭そうだったので、宿の主人は満員だと泊まるのを断ります。
するとおんどりがめんどりの産んだ卵をさしだし、毎日卵を産むあひるもあげましょうというので、宿屋の主人は、泊まることを承知しますが・・・・。
ところがおんどりとめんどりは、ご馳走を食べるだけ食べ、縫い針を椅子のクッションにさし、待ち針をタオルにさして、バタバタにげていきます。
宿の主人が顔を洗ってタオルでふこうとすると、待ち針でいやというほど、顔をひっかき、椅子に腰をおろしたとたんに、縫い針にお尻をさされてしまいます。
宿の主人は「とんでもないきゃくだ」といかりかんかんですが・・・。
とんでもないお客どころか、ならずものというのがピッタリ。
鶏の夫婦が、宿の主人を翻弄するのですが、主人は特に悪さをするわけでもなく、一方的にやられっぱなしです。
ところで、宿の主人は猫です。文では猫という表現は一切ないので、ワッツさんの想像でしょう。
笑いがあるわけでなく、教訓的なこともない話です。
昔話には馬鹿息子がでてくる話もありますが、こうした話より少しはましなのかもしれません。