どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ピッツァぼうや

2016年04月30日 | 絵本(外国)
ピッツァぼうや  

    ピッツァぼうや/作・絵:ウィリアム・スタイグ 訳:木坂 涼/セーラー出版/2000年初版

 

 表紙も裏表紙もまったく同じ笑顔。最後はなるほどと うなずけます。

 雨で外に遊びにいけず不機嫌なピートとを何とかしたいと、パパ、ママは、ピートを、ピザに見立ててごっこ遊び。

 ピートをキッチンテーブルにのせて、こねたり、ひっぱったりとまずは生地作り。

 油を少々、小麦粉をふりかけ、トマトやチーズ、サラミをピザの具に見立てていきます。

 ピザが焼きあがる頃には雨もやんで、上機嫌になったピートは外に遊びに行きます。


 こんな遊びを発想するパパ、ママ。自分たちも楽しんでいたのかも。

 余裕をもって、子育てするパパ、ママに喝采です。


おいかけるつえ・・チュニジア

2016年04月29日 | 昔話(アフリカ)

    大人と子どものための世界のむかし話16 アラブのむかし話/池田修・康君子・編訳/偕成社/1991年初版


 貧乏暮らしの夫婦。

 きこりのアリーが森に薪を切りに行き、カシの木の下の枝を切ろうとすると、木がアリーにいいます。
 「おまちよ、アリー。どうしてわたしみたいなおいぼれた木をきるんだい?」

 アリーのこたえを聞くと、カシは根っこのまわりを右にまわると、根っこと根っこのあいだに、ちいさなひきうすがあるから、それにむかって「まわれまわれ」というと、なにもかもうまくいくだろうといいます。

 アリーが家に戻って、ひきうすに「まわれまわれ」というと、たくさんの小麦があふれでます。

 それまで食べ物にも事欠く貧乏暮らしでしたが、それからは何の心配がなくなります。

 ひきうすが古ぼけて、なんのかざりもないので、女房が金銀の飾りをつけたいといいはり、アリーは金細工師のところに、飾りをつけてくれるようにいいます。
 
 ひきうすの秘密を知った金細工師は、このうすをすり替えてしまいます。

 綺麗になったひきうすでしたが、「まわれまわれ」といっても、何も起こりません。

 アリーはまた、カシの木のところにでかけ、枝をきろうとしますが、カシは今度はお皿をだしてくれます。

 お皿は、望みの料理をだしてくれますが・・・・。

 このパターンの話は世界各国にあるというのが実感です。
 宝物がすり替えられるのは宿屋というのが多いのですが、金細工師というのは、初めてです。
 途中ですり替えられ、家に帰っても何事も起こらないというパターンが多いのですが、この話では夫婦の目の前で、食べものがでてきます。


でこちゃん

2016年04月28日 | 絵本(日本)
でこちゃん  

           でこちゃん/作・絵:つちだ のぶこ/PHP研究所/2000年初版

 

 幼稚園が休みの日、お母さんに髪を切ってもらったてこちゃん。おでこがまるだしになって「てこちゃんがでこちゃんになった!」とみんなに笑われ、すっかり元気をなくしてしまいます。

 お母さんとお買い物にいくと、お店の人から「おでこがいいねー」といわれ、外国人からは「オー キュート」「オ~ オン・ザ・マユゲ」といわれますが、どうにもきになってしまいます。

 お兄ちゃんからは、おでこにもう一つの目とまゆげをマジックでかかれ、家族はびっくり。

 「朝になってもおでこのままだったらどうしよう」と心配するてこちゃん。明日は幼稚園に行く日です。
 次の朝、だれよりも早く布団からおきて鏡を見にいったてこちゃんですが・・・。
 鏡をみても、おでこは昨日のまま。「こんなおでこじゃ幼稚園に行きたくない!」と泣きだすてこちゃんに、お姉ちゃんが「チチンプイプイの・・」とまじないをかけると・・・。

 商店街に忍者がでてきたり、江戸時代の人物がタイムスリップしています。昔の風景でありながら外国人がでてきたりと見どころ満載です。

 お姉ちゃんにもおなじことがあったので、妹の気持ちがよくわかったおまじないです。

 マイペースのおじいちゃんも見逃せません。               


においのよいおなら・・ミャンマー

2016年04月26日 | 昔話(東南アジア)

     大人と子どものための世界のむかし話11ビルマのむかし話/大野徹・編訳/偕成社/1991年初版


 4月の今、チューリップやヒヤシンスがおわり、アジサイが緑の装いをして、フジが淡く咲いています。フジは花の時期が短く、鑑賞の時期はあっという間です。
 5年前、当地にきて植えたフジ、3年前はわずかでしたが、今年は何倍にもなりました。

 焼き畑農業で畑を耕して暮らしていたアーセーが、豆畑をあらしている野ネズミを助けたことからはじまります。
 アーセーは野ネズミを何度も助けますが、5度目にはさすがにはらをたて、檻に入れます。
 野ネズミは、白いネズミを何百も殺した人間が、呪いのことばでネズミにされてしまったのでした。

 命を助けられたネズミは、豆やたねのからをかじって、お役にたちたいと、せっせとアーセーの仕事を手伝うようになります。
 ある日、アーセーがネズミが皮をむいてくれた豆を食べると、その豆がとてもおいしいので、ついついたくさん食べると、おならをしたくなります。
 プーッとおならをすると、とてもいいにおい。野ネズミは「わたしがかじって皮をむくときに、つばがつくからですよ」といいます。
 やがてアーセーの体からは、いつも香水をかけたようなあまり香りがただようようになり、このうわさをきいた王さまの宮殿にいって、おならをすると宮殿中が甘い香りにつつまれ、アーセーはたくさんの褒美をもらいます。

 これを聞いた別の男が、毎日毎日豆を食べて、アーセーよりももっと良い香りのおならがでるという噂をながし、王さまの宮殿にいきますが・・・。


 花咲爺さんは、枯れ木に花を咲かせますが、この話では、おならであまい香り。臭くないおならもありますが、おならのイメージを払拭するようなお話。
 二人の農夫がでてくると、一方が貧乏で、一方が金持ちといった対比が普通ですが、とくにそうしたことにはふれられていません。


ねこのき

2016年04月25日 | 絵本(日本)
ねこのき  

         ねこのき/作:長田 弘 絵:大橋 歩/クレヨンハウス/1996年初版

 クレヨン?でえがいた絵が、ぬくもりを感じさせてくれます。
 話もあったかい。

 おれんじいろのねこと花の好きなおばあさん。
 おばあさんは一人暮らし。花の手入れをしながらねこと話すおばあさん。

 いつも夜中に出歩くねこでしたが、ある日、出かけていったまま、帰ってきませんでした。
 次の日、小さな女の子が、しんだねこをだいていました。おれんじいろのねこは、車にはねられたのでした。

 おばあさんはねこをそっと埋めます。

 季節が過ぎて、おばあさんの庭に小さな芽が かおをだします。
 小さな芽はぐんぐん大きくなって、一本の幹になり、枝が広がり、緑の葉をつけて立派な木に育ちます。
 緑の葉の中に、おれんじいろの実がひとつ。

 おれんじいろ実が落ちて、おばあさんがひろいあげると、おれんじいろのこねこにかわります。
 
 最後のフレーズがなんともいえません。
「こころという にわにそだつ いっぽんの ゆめのき。これが おばあさんの ゆめのき です。ねこのき です。」

 おばあさんの人生に、どんなドラマがあったのか想像がふくらみます。

 オレンジではなく「おれんじ」とあります。子どもを意識したものでしょうが、ひらがなのほうが、この話にはあっているようです。          


王さまとふしぎなけらい・・フィンランド

2016年04月22日 | 昔話(北欧)

        大人と子どものための世界のむかし話12フィンランド ノルウエーのむかし話/坂井玲子・山内清子・訳/偕成社/1990年初版


 ハリーポッターシリーズにでてくる守護霊。
 ハリーは牡鹿、ウイズリーは犬のテリア、ハーマイオニーはカワウソ、そしてダンブルドアは不死鳥と、これだけでもワクワクしたことがあります。

 この守護霊がでてくるのがフィンランドの「王さまとふしぎなけらい」です。
 これまで守護霊がでてくる昔話にであっていないのが不思議なくらいです。

 王さまと若者がでてくるのですが、この若者が守護霊というのは、最後のほうであきらかになります。

 贅沢をし、遊んでばかりいた王さまが、全てをうしない、国を逃げ出しますが、道端に放り投げられていた死人を、最後の3マルクをだして、丁寧に葬ってやったところからはじまります。

 ぼろをまとった若者があらわれ、この若者に助けられ、一文無しですが、宿も食事もなんとかとることが
できます。

 どこの家でも、王さまに宿をかしてほしいと若者が頼むと、その家はこころよく泊めてくれるだけではなく、お礼まで。
 若者は、古い帽子(姿をかくしてくれます)、さびた剣、ふるいてさげ袋を手に入れます。

 後半は、野獣に求婚されている王女を救い、結婚することになります。
 さびた剣は、野獣の首を一瞬の間に打ち落とします。

 王さまとうつくしいお妃の子どもが床をはいまわるほど大きくなったとき、若者は王さまにいとまごいします。
 王さまはながいあいだつかえてくれたお礼をするために、望みのものをいうよう若者にいいます。
 すると、若者は王子の首をいただきたいと答えます。
 
 王さまは王子の首をはねるのですが、若者が姿を消すと、すぐに王子の首がもとどおりにつながります。

 おわりで王子の首をはねる場面がでてきて、びっくりです。
 説明がなく、いま一つ疑問が残ります。


ナスレディンのはなし・・トルコ

2016年04月21日 | 絵本(昔話・外国)


    ナスレディンのはなし/再話:八百板 洋子 絵:佐々木 マキ/福音館書店/2012年初版


 トルコ、ナスレディンとあったので?と思ったのですが、おなじみのホジャどんの話です。
 ナスレデイン・ホジャとあるので、この絵本では名前?をもってきたのでしょうか。

 四つの話、若いころの話というのも入っていますから、ホジャどんは年配者です。

ナスレデインと裁判官
 道のわきの溝に、ひどく酔っぱらって、半分裸で寝ていた裁判官の上着とターバンをいただいたホジャ。
 次の日裁判官の上着を着てゆうゆうと町を歩いていたホジャを、召使が裁判官のところに、ひきたてていきます。
 ホジャは裁判官をうまくまるめこんで、上着と自分のものにしてしまうのですが、その方法とは?


ナスレデインのおいのり
 遠い町の仕事をおえて、自分の村にかえるとき、疲れはててアラーの神にロバを一頭あたえてくれるようにお願いします。
 すると、ひとりの兵士がわかいロバをつれてとおりかかります。ところがこの兵士、ロバを背中にかついで歩くようにホジャをおどします。
 とんだ苦労をしたホジャのつぶやきは?


スイカとクルミ
 クルミの木の下で休んでいたホジャ。
 大きなスイカが細い茎になるのに、小さなクルミが、こんな大きな木になるなんてと独り言をいっていると、クルミの実がホジャの頭に落ちます。
 するとホジャは「おお神よ!あなたはこの世のすべてをしっておられるのですね。こんなちっぽけなクルミでもこんなにいたいのだ。もしも、大きなスイカが木になっていて、落ちてきたら、わたしの頭は、どうなったことだろう」


ロバになった男
 けちんぼの坊さんからロバを手に入れ、一儲けするホジャの話。


 女性も男性もズボンは日本でいう、もんぺ姿です。ターバン、髭というだけではなさそうです。  


しっぽのきらいなネコ

2016年04月20日 | 絵本(日本)
しっぽのきらいなネコ  

           しっぽのきらいなネコ/作:南部 和也 絵:いまきみち/福音館書店/2005年初版

 

 もし手や足が勝手に動き出したら・・・。
 前に行きたいと思っても、足が後ろにあるきだしたら・・・。

 クロネコの尻尾がある日、突然黄色くなって、勝手な行動をしはじめます。
 あいさつしようとしても、ネズミをつかまようとしても、おしっこをしようと思ってもジャマをします。

 怒ったクロネコは、仲間に黄色の尻尾をかみつきさせます。

 二人は痛くて痛くて三日三晩泣いて過ごすことに。

 いつも別々だった二人。痛みだけは共通していました。
 これをさかいに、二人?は、仲良くなるのですが・・・。

 人間関係もそうですが、お互いに自己主張するだけでは、何事もうまくいきません。譲るところは譲るのがうまい付き合い方かもしれません。

 最後のページでは、シロネコが4匹のコネコにお乳をに飲ませていますから、多分、クロネコは尻尾と仲直りしてからシロネコと結婚したのでしょう。         


ぺんぎんのたまごにいちゃん

2016年04月17日 | 絵本(日本)
ぺんぎんのたまごにいちゃん  

   ぺんぎんのたまごにいちゃん/作・絵:あきやま ただし/鈴木出版/2011年初版

 

 三人の弟たちをしりめに、たまごからかえろうとしないペンギンのお兄ちゃん。
 いつもお母さんにべったりで、離れようとしません。

 こんな甘えん坊のお兄ちゃんが、とうとうたまごの殻を破るときがきます。

 お母さんがすべってころんで、頭を打って、動かなくなって・・・。

 お母さんになにかあったときに、いつでも助けられるように、体をきたえているお兄ちゃんです。

 子どもは何かのきっかけで、大きく飛躍する時期があるのを示唆しているのかも・・・。

 甘えん坊と殻を破ったときの落差が対照的です。          


とんでもないおきゃくさま

2016年04月15日 | グリム(絵本)
とんでもないおきゃくさま    グリム童話  

     とんでもないおきゃくさま グリム童話/作:グリム 絵:バーナデット・ワッツ 訳:ささき たづこ/西村書店/2008年新装版

 

 あひるが、わたしのクルミの丘とよぶところで、おんどりとめんどりがクルミを食べ、クルミの殻で車をつくります。
 文句をいうアヒルに車を引っ張らせるおんどりとめんどり。
 途中、縫い針と待ち針をのせて、向かった先は宿屋。

 胡散臭そうだったので、宿の主人は満員だと泊まるのを断ります。
 するとおんどりがめんどりの産んだ卵をさしだし、毎日卵を産むあひるもあげましょうというので、宿屋の主人は、泊まることを承知しますが・・・・。

 ところがおんどりとめんどりは、ご馳走を食べるだけ食べ、縫い針を椅子のクッションにさし、待ち針をタオルにさして、バタバタにげていきます。
 宿の主人が顔を洗ってタオルでふこうとすると、待ち針でいやというほど、顔をひっかき、椅子に腰をおろしたとたんに、縫い針にお尻をさされてしまいます。

 宿の主人は「とんでもないきゃくだ」といかりかんかんですが・・・。

 とんでもないお客どころか、ならずものというのがピッタリ。

 鶏の夫婦が、宿の主人を翻弄するのですが、主人は特に悪さをするわけでもなく、一方的にやられっぱなしです。

 ところで、宿の主人は猫です。文では猫という表現は一切ないので、ワッツさんの想像でしょう。

 笑いがあるわけでなく、教訓的なこともない話です。

 昔話には馬鹿息子がでてくる話もありますが、こうした話より少しはましなのかもしれません。


レイチェルのバラ

2016年04月14日 | 絵本(外国)
レイチェルのバラ  

     レイチェルのバラ/作:カレン・クリステンセン 絵:バーナデット・ワッツ 訳:八木田 宜子/西村書店/2000年初版

 

 おばあちゃんからプレゼントされたピンクのバラ。
 甘い素敵なにおいがします。

 レイチェルは、毎日バラに水をやっていましたが、ある朝、頭が垂れ下がり、花も散り始めます。
 次の日、バラはごみ箱の中。ママが捨ててしまったのでした。
 「バラは まだかれていないーかれてなんかいないわ」と叫ぶレイチェル。
 泣き続けるレイチェルを見て、ママはおばあちゃんに電話します。バラの育て方を教えてもらったのです。

 ママとレイチェルは小さな苗木を育てます。
 夏のおわりから、秋、冬と世話をし続けるレイチェル。
 やがて、春が来て・・・。

 クロッカスとサクラソウ、スイセンが咲き、ツバメがもどり、ツグミたちが地面をつついて、虫をさがしている春の風景が印象的です。

 6月、バラが「こんにちわ」と顔をむけてレイチェルにごあいさつです。

 バラの育て方が丁寧に説明されているので、自分もやってみようという気持ちが生まれるかもしれません。

 花が咲くまで待ちきれない気持。ようやくバラが咲いたさまの喜びがつたわってきます。


極楽にいったばさま

2016年04月13日 | 昔話(日本)

     かもとりごんべえ/ゆかいな昔話50選/稲田和子・編/岩波少年文庫/2000年初版


 年とると先行きがきになるところ。

 貧乏なばさま、早く死んで極楽にいきたいと、毎日、お寺まいり。
 寺参りの都度、お賽銭をあげていたが、お金がなくなり、思いついて一文銭の穴に糸をとおして、お参りの都度ジャランジャランと投げて、お参りが終わると糸を手繰り寄せ、お金を持ち帰るようにした。

 和尚さんジャランジャランという音を聞いて、ほくほく顔で長いお経をあげていたが、賽銭箱をあけてみても、賽銭箱はからっぽ。

 おこった和尚さん、ばさまがきたとき、天井に上って、「ばさま、極楽にいきてえならば、寺の松の木さ登れ」と声をかける。
 ばさま阿弥陀さまの声が聞こえたと思って、木に登ると、今度は左の手はなせという声、続いて右の手をはなせという声。そのとおりにすると、ばさま木から池にどボーンと落ちるが、さっと五色に光る船があらわれ、それにのって雲の中に消えてしまう。

 それを見ていた和尚さん、あれは極楽浄土の船にちがいねえと、自分も小僧さんに手伝わせて同じことをしてみるが・・・・・。

 貧乏なばさまのとき来た五色の船が、和尚さんには来なかったという。

 昔話に出てくる和尚さん、話を盛り上げてくれる存在です。阿弥陀様は、貧乏人にやさしいですね。


雨をふらせたチャン・コン・・ベトナム

2016年04月11日 | 昔話(東南アジア)

     大人と子どものための世界のむかし話15 ベトナムのむかし話/冨田健次・編訳/偕成社/1991年初版


 終わり良ければ総て良しと、途中の展開はうろおぼえでも、おわりが印象に残る話は奇妙に記憶にのこっています。

 「雨をふらせたチャン・コン」は、あれっという感じで終わりますが、この終わりかたも印象に残ります。

 一滴の水にもことかく村の窮状をみかねたチャン・コンという年とった男が、苦労して雨の女神のところにでかけていきます。
 やっと女神のところにたどり着きますが、女神は老婆で、悪い病で一日中横になっているばかりで、雨をふらせることができません。
 女神の娘もどこかにいってしまい、チャン・コンは、女神からヒョウタンに水をつめるから、ヒョウタンと枝をもって獅子の背中にのって、水をふりまくように頼まれます。
 チャン・コンは雨をふらせなければならないところに、どんどん水をふりまき、やがて、命を救われた村にも水をふらせようとします。

 自分を救ってくれた村人に恩返しをしようと、どっと雨をふらせると、大雨で、家も人も木もなにも流されてしまい村が消え去ってしまいます。

 昔話は、ハッピーエンドで終わることが多いのですが、この話のおわりはどう受け止めたらいいでしょうか。

 年とった男チャン・コン、老婆の女神と登場人物もユニークな昔話です。

 チャン・コンが女神のところにでかけるとき、罠にかかったサルを助け、自分のいきたいところにつれていってくれる杖を手に入れるところがでてきますが、このサルもなぜか年とったサルです。  


ヤギとオオカミ・・アフガニスタン

2016年04月10日 | 昔話(中近東)

 オオカミが登場する昔話というと、グリムの「オオカミと七匹の子ヤギ」、「赤ずきん」、イソップの「うそつきの子ども」、日本でいえば「ふるやのもり」でしょうか。

・ヤギとオオカミ・・アフガニスタン (アジアの昔話6/松岡享子・訳/福音館書店/1981年初版)

 ヤギとオオカミというと「オオカミと七匹の子ヤギ」ですが、アフガニスタン版では、子ヤギ三匹を食べられてしまった母さんヤギが、オオカミと勝負します。

 ヤギはたっぷりのミルクをもって、鍛冶屋のところにいって角をするどく研いでもらいます。
 オオカミも牙を研いでもらいにいきます。食糧がたっぷり入っているというオオカミのことばでしたが、袋に入っていたのは石ころでした。怒った鍛冶屋は牙を研ぐふりをして、オオカミの牙を一本残らず抜いてしまいます。

 勝負の結果はあきらかで、ヤギがオオカミの腹を突き刺すと、三人の子ヤギが無事に飛び出してきます。

 グリムは、子ヤギが食べられるまでいろいろやりとりがありますが、アフガニスタン版では、すぐに食べられるところからはじまります。どちらも食べられたはずの子ヤギが無事だったというあたりが昔話です。
             
 オオカミは肉食で、西洋の昔話では悪者のイメージですが、日本では、畑の作物を食い荒らすシカやウサギ、タヌキを追い払ってくれる存在でした。
 狩猟民族と農耕民族の違いでしょうか。

 ところで、アフガニスタンというとタリバンを思い浮かべますが、その後について、報道がすくなくなっているのではないでしょうか。
 内戦が続き、空爆の影響もいまはどうなっているのかきになります。

 小学校就学率29%、成人識字率32%、乳児死亡率165人(千人当たり)という数字がありましたが、この数字が今のアフガニスタンの現状をしめしているのかもしれません。


つなひきライオン

2016年04月09日 | 絵本(日本)
つなひきライオン  

       つなひきライオン/作:まど・みちお 絵:北田卓史/ひさかたチャイルド/2005年初版

 

 つなひきがつよいライオン。
 ぞうもとらもくじらも負かして、自信満々。

 そこにねずみがあらわれ、綱引きをさそわれますが、てんで勝負になりません。
 そこで、ねずみは、まごと、ひまごを千匹もつれてきて、よいしょ よいしょ よっこらしょう。

 ライオンはずるずるひっぱられて・・・。

 ライオンは帽子をかぶり、素敵なベストを着ています。
 ねずみもとらもぞうもベストです。

 ライオンの泣き顔がなんともいえない表情です。