どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

みつけたぞ ぼくのにじ

2017年12月31日 | 絵本(外国)


   みつけたぞぼくのにじ/文・絵:ドン・フリーマン 訳:大岡 信/岩波のこどもの本/1977年


 ぼくが
 虹をおいかけて
 虹がついてきて
 くるりくるり うずをまき
 ぼくは
 ぴょんとこえ、
 よじのぼり、すべりおりて
 ハンモックの虹でゆらゆら
 かくれんぼも

 虹が消えて
 部屋に帰ると、
 部屋の壁には虹が踊っています

 虹と遊べたら素敵ですね。

 子どもの思いをそのまま絵本にした、ほんわかする絵本です。

 虹には希望という言葉がぴったり。もう少し希望がみえますように。

                2017年の暮れに!


びんの丘

2017年12月30日 | 昔話(ヨーロッパ)

    世界の民話館1 こびとの本/ルース・マニング=サンダーズ/西本鶏介/TBSブリタニカ/1980年

 アイルランドの再話ですが、でだしは「ジャックと豆のつる」を思わせ、後半は食べ物や金貨が出てくる昔話を思わせます。

 貧乏なミック・パーセルという男が、不作になやまされ、地主からは地代を払えとせまられ、やむなく牛を売りに市場に出かけます。

 途中あったのは、こびと。長いボタンどめのコートをきて、しなびれたキャベツのような顔にまがった鼻。

 なんども牛をうってくれといわれたミックは「びん」と牛をとりかえっこすることに。

 おかみさんから、やいのやいのといわれるあたりは、「ジャックと豆のつる」そのもの。

 しかし、この「びん」に「びんよ、お前の仕事をしろ!」とさけぶと、二人の可愛らしいこびとが出てきて、食べものをのせた金銀の皿や飲み物が入った金の盃を運んできます。
 ところが、こびとはあとかたずけはしませんでした。

 それからは「びん」のおかげで、食べものには苦労しなくなりますが、金銀の皿がたまるばかり。

 おかみさんのモリーは皿を売ることを思いつきます。

 金銀の皿を売って金持ちになった二人。

 二人がきゅうに裕福になったのを不思議に思った地主がミックから話を聞いて、「びん」を借りだします。

 ここで貸し出さなければ話はおわりですが、想像通り、「びん」は取り替えられてしまいます。

 しばらくは、それまでの貯えで散在していたのですが、とうとうそれもなくなり、ミックはもういちど、こびとにあいにいきます、

 もういちど牛ととりかえたのは、やはり「びん」。
 ところがこの「びん」に「びんよ、お前の仕事をしろ!」というと、大きな男が二人、こん棒を持って飛び出し、ミックはさんざん、なぐられてしまいます。

 ミックは「びん」をもって地主のところへいき、前の「びん」を取り戻し、何不自由のない暮らしを続けます。

 作者のサービス精神?がでているのがこのあとです。

 ミックとモリーの通夜の席で、召使が喧嘩をはじめ、びんの投げ合いになって、魔法の二つの瓶が粉々になってしまいます。

 たしかに、魔法の「びん」がいつまでもあると、不幸ももたらしそうです。


うごかしてあそぼう おりがみのほん

2017年12月29日 | 絵本(日本)


   うごかしてあそぼう おりがみのほん/織茂 恭子:絵・文 笠原 邦彦:企画・作図/福音館書店/1995年


 よくこんな小さなものがつくれるなあと感心する折り紙を目にすることが多くあります。

 暮の大掃除も早々とすませ、たのしそうな折り紙がのっていたので、さっそく自分でも折ってみましたが、これがなかなかうまくいきません。

 折って遊ぶところまでが載っていますが、うまく動かないのです。不器用なせいでしょうか。

 「コットンコン」は、ころんでも起き上がる折り紙
 「しんぶんしのかんむり」は新聞紙で作る帽子
 「ぴょんぴょんがえる」はジャンプするカエル
 「くびふりきつねさん」は、組み合わせ
 などなど。

 もっと簡単なものからやってみることにしました。

 絵は貼り絵で構成されているようです。


九月姫とウグイス

2017年12月27日 | 絵本(外国)


   九月姫とウグイス/サマセット・モーム・文 武井武雄・絵 光吉 夏弥・訳/岩波の子どもの本/1954年



 九月姫?、それでは十月姫もいるかなと思うと、九月姫を最後に、お妃さまには、お姫さまはおできになりませんでした。シャムの王さまには、九人のお姫さまとAからJの十人の王子さま。

 お姫さまもはじめは二人で「夜」と「ひる」。
 四人になると「春」「夏」」「秋」「冬」。
 七人になると「月曜」から「日曜」
 八人目になると一年の名前をつけることに。

 お姫さまはあんまり名前をかえられたので、すっかりひねくれてしまいます。しかし九月姫はとても素直な優しい性質。

 王さまはやさしいところがあって、お姫さまの誕生日に金色の籠に入った、みどりいろのオウムをおくります。
 ところが、ある日、九月姫のオウムが籠の底に横になってしんでいました。泣き悲しんでいる九月姫の部屋に一羽の小鳥が飛び込んできました。ウグイスでした。
 ウグイスの歌で元気をとりもどした九月姫は、それからウグイスとなかよくなります。

 そのうち8人のお姫さまにいわれて、ウグイスを籠に入れることにします。

 ところが、自由を奪われたウグイスはだんだんよわっていきます。

 ウグイスにいわれて、籠からだしてあげた九月姫のもとに、ウグイスが帰ってきて、美しい歌を聴かせてくれます。
 九月姫は、ウグイスがいつでも部屋に入ってこられるように、昼も夜も窓をあけはなしておきました。

 王さまは、12人も生まれたらお妃の首をちょんぎってしまわなければなるまいとなげいたり、「大臣たちは、おなじことを七とおりものいいかたでいうんでね」と皮肉っぽいところがあったりと、なかなかです。

 九月姫が、籠のウグイスに「籠のほうがネコにねらわれないので安全」「籠は国中で一番上手な職人がつくったもの」、「食事も朝から晩まで何の苦労もなしに、すきなだけうたっていればいいのよ」「じきに籠になれるから、二、三日もしたら、自由だったことなんか、わすれてしまうわよ」といっても、やはりウグイスは自由を選びます。

 にたような選択をせまられることもありそうですが、自由を放棄できるでしょうか。

 お姫さまたちが仏塔のようなものをかぶっている絵も楽しめました。

 この話は、サマセット・モームの唯一の童話といいます。

 サマセット・モーム(1874年 - 1965年)の名前だけはしっていましたが、調べてみると波乱万丈の人生です。
 作家活動をつづけながら、医師の資格ももち、諜報員というあたりが、いかにもイギリス人らしい人生です。
 父がパリのイギリス大使館勤務の顧問弁護士で、生まれはパリ。母親はパリ社交界でも花形の存在。しかしモームが8歳のとき母親が肺結核で、10歳のとき父親が亡くなります。
 1914年、第一次世界大戦が起こると、志願してベルギー戦線の赤十字野戦病院に勤務。ロシア革命にもかかわっていたといいいます。
 時代の流れもあったのでしょうが、作家という枠だけではとらえられない生き方です。

 1959年にはアジア各地を旅行訪問し、11月から約1か月間日本に滞在しているといいます。


てとゆび

2017年12月26日 | 絵本(日本)


    てとゆび/堀内 誠一:文・絵/福音館書店/1969年


 2012年に「かがくのとも特製版」としても出版されています。

 あたりまえで、あまり考えなかった手と指。

 つまんだり、しっかりにぎったりできるのは親指のおかげ。そういわれてみたら親指がなかったら、手の働きも十分ではなさそうです。

 手は遊ぶにも、食べるにも、コミュニケーシャンをとるにも、楽器を弾くのにも大活躍です。

 絵もあたたかく、やさしい感じがします。裏表紙にある手で作る影の狐、昔はよくやりました。


ゆきおんな

2017年12月25日 | 絵本(昔話・日本)


       ゆきおんな/川村 たかし・文 宇野 亜喜良・画/教育画劇/2000年


 松谷みよ子さんのがポプラ社から、中脇初枝さんのが小学館から出版されています。

 今年は雪が多いといいますが、雪が深々と降る夜に、この絵本を広げたら怖くなりそうです。

 降りしきる雪に、山小屋でとまることにした もさくとみのきちという親子の鉄砲撃ち。

 小屋のすみには、いつしか一人の娘。ぞっとするほど美しい娘は、みのきちに「おまえ、きにいったぞ」とニイと笑います。金縛りにあったみのきちは、鉄砲をとろうとしてもぴくとも動けません。

 父親のもさくは、鉄砲をかかえて、こおりついたように死んでいました。

 むすめは「いまみたことを、ちらっとでも ひとにはなすと、おまえのいのちは ないと おもえ。やくそくしたずらに」といいおわると、風にのってたちまち消え失せます。

 それから一年後、やはり大雪の日に、みのきちの家をとんとんとたたいたものが・・・。

 みのきちは、たおれそうなむすめを七日間世話をつづけ、つまりは二人は一緒になって、こどももできて幸せな日がつづいていました。

 その日も大雪の日、みのきちが山小屋のことを思い出して「おやじさまが しんだのも、やっぱり のんのん ゆきの ふる ばんでね」とはなしだすと、きいているよめの目があおくひかりだして・・・。

 雪女のイメージが絵本によって異なっているといいます。宇野さんの絵には、人間らしさを感じました。

 恋して、こどもをもうけて、正体がばれそうになって、こどもをみのきちに託するのは母親の気持でしょう。

 雪が降るさまが「のさのさ」「のんのん わっせわっせ」
 にぎりめしをたべるのが「シャリシャリボクボク」
 
 怖いだけではありません。


ジョニー王

2017年12月24日 | 昔話(ヨーロッパ)

    巨人の本 世界の民話館5/ルース・マニング=サンダーズ 西本鶏介・訳/TBSブリタニカ/1980年

 サンダーズの再話ですが、遠い昔、スラブ民族の小さい子どもにたちに語られた話といいます。

 呪文で食べ物をだすものがでてくる昔話も多いのですがで、面白いのは「皇帝の食事だ!」という呪文。

 ジョニー王というのは、三人兄弟の末っ子につけられたあだ名。

 この三人が幸運を探すにでかけます(旅に出るというのはおなじみです)。ところがジョニー王は食べ物をもっていませんでした。兄たちは食べ物をわけてくれません。それでも木いちごの実を摘んで食べ、小川の水を飲みながら、兄たちと旅するジョニー王。

 ある城につきますが、兄たちは誰かの城に違いないと敬遠したのですが、ジョニー王だけが城に入るとそこには誰もいません。金のドアがあり、大広間には床から天井まで金貨の山。
 金貨は兄にとられ、一人ぼっちになったジョニー王が城にいると、やがて二人の大男がやってきます。

 大男からつぶされそうになりますが、「人が訪ねてくるのが嫌いなら、鍵をかけておけばいいもの」というジョニー王の言い分ももっともなので、宝を守る役目をすることになったジョニー王。
 なにか食べ物があるかと聞くジョニー王に、大男は耳の中から折り畳み式のテーブルを取り出し、「はらがへったら、このテーブルを本とたたいて!皇帝の食事だ!」というように話して、また外にでていきます。
 
 大男はすぐに人を信用するだけでなく、貴重なものを人にゆだねる度量があります。

 出かけた大男がいつまでたっても帰ってこないので、さびしくなったジョニー王はテーブルをかかえて城をでていくと、一人の行者とあいます。
 食べ物をくれという行者に、テーブルから食べ物をだしてあげると、テーブルをくれるなら、コルネットをお前にやるといわれたジョニー王は、テーブルとひきかえにコルネットを手に入れます。
 コルネットをふくと、止まれというまで、武装した軍隊がでてきます。

 「王さまは自分の軍隊をもっていなくっちゃ」と、ジョニー王は考えたのですが、そのうちおなかがすいてきて、テーブルが貴重だったことを思い出します。

 ジョニー王は、あだ名だけではありませんでした。コルネットからでてきた騎士たちに、行者からテーブルを取り戻すように命令します。

 もうひとりの行者がでてきて、手を突っ込むと城が好きなだけでてくるという袋と、テーブルを取り替え、やっぱりひもじくなって、もう一度テーブルをとりかえします。

 さらに今度は王さまからテーブルをすりかえられるですが、コルネットがあるから、心配はありません。

 話はまだまだ続き、行者や大男が再度登場しますが、すべてが丸く収まる後段は安心して聞けるようです。
 食べ物が出てくるテーブルですが、類似の昔話と比較すると随分長い話です。


ハンスと角製のワイン入れと魔法の力

2017年12月24日 | 昔話(北欧)

       巨人の本 世界の民話館5/ルース・マニング=サンダーズ 西本鶏介・訳/TBSブリタニカ/1980年

 サンダーズはイギリスの小説家・詩人で各国の昔話を再話されています。

 この話はデンマークの昔話です。

 題名のなかに主要なものがでてきます。ハンスは主人公。ワインを飲んだものが重い刀を軽々と持つことができます。

 お百姓の夫婦と息子ハンスがローマに向かって巡礼の旅にでかける途中、ハンスが三人の大男をからかって、大男に捕まってしまい、大男が王さまの娘をさらう手伝いをさせられます。

 大男は城中のものをみんな眠らせることができるが、どういうわけか黒い小さい犬は眠らせることができません。犬がほえれば、みんな目を覚ますので、ハンスにその犬を撃ち殺してくれれば、命を助けるといいます。

 城のなかに入ったハンスの目の前の壁には大きな刀がかけてあり、その下には、角製のワイン入れがあって、「このワインを飲む者こそ刀の持ち主、大胆にして勇気ある者、しっかりと刀をにぎるがよい。されば、娘の愛が、ほほえまん」という言葉がかいてありました。

 夜中でみんなぐっすり眠りこけているなか、ハンスが最後の部屋で見たのは、美しい王女。ハンスは金の糸で刺繍したハンカチをふたつに引きさいて、片方をとり、金のうわばきの片方もポケットに入れます。

 大男から門をあけるようせかされたハンスは、小さい門をあけ、大男が門をくぐりぬけようとしたところを、頭を切りおとしてしまいます。

 やがて、両親と巡礼の旅をつづけたハンスたちです。

 城では、三人の大男をころした英雄をさがさせますが、行方はしれませんでした。

 王女はうわばきもハンカチも半分もっていったのは、自分を思い出すためにちがいないと、自分の見聞きしたことを王女に話すことを条件に、三日間ごちそうを食べることができるとおふれをだします。

 そこに、くたくたになったハンス一行がやってきて・・・。

 もちろん最後はハッピーエンドなのですが、ハンスと王女を結びつけたのは大男。

 この話でも大男は、王さまにひどいめにあわせられたしかえしに、王女をさらおうとしますが、ハンスにころされ、前半ではハンスにからかわれたりと道化役です。

 昔話では必ずといっていいほど、主人公を援助するおばあさんなどがでてきますが、そうでない場合は引き立て役でしょうか。


「薬のききめ」ほか

2017年12月21日 | 星 新一

       きまぐれロボット/星新一・作 和田誠・絵/理論社/1999年


薬のききめ
 忘れてしまったことを思い出す画期的な薬を発明した男。資金援助をアール氏に申し込みます。

 一錠飲めば昨日のこと、二錠飲めば二日前、三錠飲めば三日前のことを思い出します。

 害はないか、果たして効果があるのかとアール氏は、10歳ころの記憶を呼び戻しますが、資金援助はことわります。
 というのは、アール氏は子どもの頃いじめられた経験があり、薬を発明した男が、いじめっ子だったのを思い出したのでした。

 ちょとした前の記憶がでてこなく、人の名前もすぐにでてこない状態なので、こんな薬があったら便利ですが、具合の悪いこともおおありです。

スピード時代
 成長を早める粉を作り出した男。アール氏のところにやってきて、スイカ、イチゴ、トマトの種を植えると、すぐに芽を出し、3時間もしないうちに、花が咲き実がなりはじめます。

 アール氏は、その製法をつくった書類を買い取り、一儲けをもくろみますが、さっきあれほど食べたのに、すぐにおなかがすいてきます。

 成長が早いぶん、お腹に入ってからも、スピードはおとろえなかったのです。

 今の世は、ものすごいスピードで変化していますが、行きつく先はどうでしょうか。悪い結果にならないことを祈るだけです。


龍とむかで・・沖縄

2017年12月20日 | 昔話(九州・沖縄)

             沖縄昔ばなしの世界/石川きよ子・編/沖縄文化社/1991年


 天からおりてきた龍が昼寝をしていると、一匹のむかでが、すずしそうな穴があるぞと龍の耳に入っていきます。
 目をさました龍が、「おんやあ、なんじゃ・・・」と頭をゆすったり、耳をばんばんたたいたりはじめます。
 驚いたのがむかで。龍の耳で暴れはじめると、今度は龍がもがきはじめます。

 龍は人に化けて名高い医者のところへ、駆け込むと、耳のあたりを調べていた医者は、相手が人でないことにきづき、本当の姿になるようさとします。

 龍は本当の姿になって医者にみてもらいます。

 医者は龍の耳にむかでをみつけ・・・・。

 このお医者、なかなか名医です。なんとにわとりを抱えてきて、耳のなかににわとりをはなします。にわとりはむかでをひょいとくわえてきて、あっという間に飲み込んでしまいます。

 大変喜んだ龍は、金色に輝く龍糞を医者におくります。この龍糞は、この世にまたとない薬で、どんな病にもきく薬。医者はますます名医になります。

 医者は原因をつきとめ、有効な治療をほどこしますが、治療にもいろいろあります。

 昔話にあまりみられないようなタイプです。


ゆきがうまれる

2017年12月19日 | 絵本(自然)


   ゆきがうまれる/月刊たくさんのふしぎ/前野紀一・文 斉藤俊行/福音館書店/2017


 今年の冬は、ラニーニャの影響で雪が多そうです。たまたま雪のことが理解できるかなと思って借りてきましたが、正直文章が多くて難しいというのが本音。 

 雪の結晶のはじまりは、六角柱のたて上下二つの方向、六角柱の側面の六つの方向、あわせて八つの方向におおきくなるというのはわかりますが・・・・。

 雪の一つ目の材料は水蒸気。そして雪ができるのは雲の中。

 雪の二つ目の材料は特別なちり。
 このちり、雲一リットルにつき、一個見つかるかどうかという少なさ。火山灰にふくまれるこまかい鉱物、砂漠の砂、海のしぶきに含まれる鉱物、植物の葉につくバクテリアの死骸、さらに宇宙からやってくる隕石の破片など。

 雪の芯になるちり一個が雪のあかちゃんをひとつつくりだせば、それが次の新しい雪の赤ちゃんをうみ、つぎつぎと氷の破片がつくりだされ雪の芯となるというのです。

 火山灰や隕石の破片というのはわかりますが、海のしぶきに含まれる鉱物や植物の葉につくバクテリアがどうして空中にあるのでしょうか。

 もっとも興味をひかれたのが火星でも水の雪と二酸化炭素の雪があるということ。ただ地球のように、その結晶のかたちが目ではっきり見えるような大きさにならないようです。

 この雑誌に、ふしぎ新聞という付録がのっていますが、雪に取り組んできた学者の歴史もありました。

 ところで、気象庁では、首都圏の降雪現象の実態解明を目的に、関東甲信地方に住んでいる方から降雪時の雪結晶画像を募集し,関東甲信地方における降雪粒子の時空間変動・降雪雲の物理特性を明らかにする研究を進めているようです。

 興味のある方は気象庁の関東雪結晶プロジェクトをのぞいてみてください。


むかしむかしとらとねこは・・中国のむかし話より

2017年12月17日 | 絵本(昔話・外国)


     むかしむかしとらとねこは… 中国のむかし話より/大島 英太郎:文・絵/福音館書店/2009年

 むかしむかし、とらはいまと違って、とてものろまで、狩りをするのが下手で、他の動物からからかわれていました。
 ところが同じ山のなかで暮らしていたネコは、トラよりずっと体が小さいのに、毎日、たくさんの獲物を捕ってきます。

 そんなネコの姿をみて、しぶるネコに何とか頼み込んで、狩りの方法をおそわることに。

 はじめは”おとを たてずに えものに ちかづくほうほう”
 つぎは”はやく はしる ほうほう”
 三つ目は”たかいところから とびおりるほうほう”

 さんざんダメ出しをされながら、必死に練習するとら。

 三つの技を習得したとらが、にやりとわらってネコにいったのは?

 どうもこのままおわるわけがないとおもっていると、ラストは期待を裏切りません。

 なんととらはネコを食べようとします・・・。

 狩りの方法を教わっても免許皆伝というわけにはいかなかったようで。

 まあ、とらにおわれたら、木の上に逃げるのが賢明のようです。

 ところで、とらとネコは服をきて人間のようでもあります。人間も時々豹変しますから、要注意です。


熱はつたわる

2017年12月16日 | 絵本(日本)


    たくさんのふしぎ 1998年11月号/都築卓司・文 勝俣進・絵/福音館書店

 2017年にたくさんのふしぎ傑作集として発行されています。

 温度計からはじまって、伝導、対流、放射の熱の移動のしかた、蒸気機関、さらにエネルギーのことまで幅広くふれられています。

 学校の勉強というと、どこかかまえてしまいますが、楽しく見ながら、しぜんに科学の世界にはいっていけるのは、絵本の良さでしょう。

 出版社のキャッチコピーは、”寒い冬が来る前に「熱い旅」をどうぞ。”というのですが、おなじみの三蔵法師と熱の旅にでかけられます。

 地球上の最低気温は?

 冷たさの終点はどこ?

 超新星の温度は数十億度といわれていますが、それ以上温度があがると、どうなるの?

 石焼き芋を電子レンジで焼くのと石焼き芋にするのは、どちらがおいしい?

 サンマをガスで焼くのと、炭火で焼くのでは、どちらがおいしい?

 子どもの疑問に納得のいくように答えられたら、あなたも見直されるかも。

 ガリレオが1600年ごろ、気体温度計をつくっていますが、歴史をさかのぼってみると、どんなように温度をとらえていたのでしょうか。 


ゴビのうた

2017年12月15日 | 絵本(外国)


      ゴビのうた/こどものとも734号/イチンノロブ・ガンバートル・文 バーサスレン・ボロルマー・絵 津田紀子・訳/福音館書店/2017年


 福音館書店の月間予約絵本ですが、734号(2017年5月号)というと、一年12冊としても60年間以上発行され続けているということでしょうか。これも息の長い月刊絵本です。

 モンゴルのゴビ砂漠で、らくだを飼って暮らしているボヤンの家族。

 らくだの放牧をしていると、群れから離れたちいさなしろいらくだをみつけます。

 ほおっておくと死んでしまうかもしれないと、連れて帰りますが、ミルクをやっても哺乳瓶をくわえようとしません。

 おとうさんが「このまえ こどもをうんだばかりの めすらくだがいる。そのらくだの 乳をすわせてみよう」というので、ボヤン少年が、めすらくだのところにつれていきますが、めすらくだはいやがります。

 ところが、おかあさんが、優しい声で歌を歌い始めると、ボヤン少年もおとうとも、らくだたちもみんなじっと聞いています。

 するとめすらくだの目から、なみだがこぼれ落ち、ゆっくりとあかちゃんらくだをちかずけると、あかちゃんらくだは、おっぱいをすいはじめます。

 おかあさんの歌声が草原中に響きわたったとあります。

 らくだの乳をしぼるときも、お母さんは歌いながらしぼります。歌には不思議な力があるようです。

 やっぱり母親は偉大ですね。


きんいろのしか・・バングラデシュ

2017年12月14日 | 絵本(昔話・外国)


    きんいろのしか/ジャラール・アーメイド・案 石井 桃子・再話 秋野 不矩・画/福音館書店/1968年

 南の国の王さまは金が大好き。玉座はもちろん、机や寝台まで金でできていました。そして他のものにはひとかけらの金も使ってはならないというおふれまでだしていました。

 そんな王さまが狩りに出かけたときみたのが、金色に輝く鹿。鹿が踊ると、その足あとは、金の砂に変わって、あたりに飛び散ります。
 王さまが鹿を生け捕りにするように命令すると、鹿は森の奥に消えます。

 鹿は、ホセンという男の子が牛をつれている前をとおりかかります。

 王さまの家来がホセンに金色の鹿がどちらにいったかたずねると、ホセンは鹿の行方を話さないと約束していたので、「あまりまぶしくて どっちにいったか わかりません」と答えます。

 脅してもダメなら今度は懐柔策です。

 家来は王さまのところにいこうとホセンにいいます。ところが王さまのところにいくと、三日のうちに鹿をつかまえてこないと、命がないとさけびます。

 ホセンは鹿を探す旅にでます。

 子どものトラをすくい、ゾウの鼻の矢をぬいてあげ、やっと鹿を見つけますが・・・・。

 王さまのところにいった鹿がひづめから金の砂をどんどん出し、王さままで金の砂のなかに埋もれてしまいます。


 ホセンを助ける動物との交流も、この話に深みを感じさせてくれます。

 金はむかしから欲望の象徴でしょうか。

 バングラデッシュの昔話ですが、バングラデシュは1971年パキスタンから独立。意外と最近です。
 都市国家を除くと世界で最も人口密度が高い国で、人口数は世界第7位といいます。