どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

死神と酒を飲んだ男・・タイ

2015年08月30日 | 昔話(東南アジア)

     死神と酒を飲んだ男/ものぐさ成功記 タイの民話/森 幹雄・編訳/筑摩書房/1980年初版


 40歳で死の世界に旅立った男の生前の望みは、長男の僧侶姿をこの目でながめたいということと、棺桶の中には必ず酒を入れてほしいというもの。
 生前は明けても暮れても酒、酒、酒の酒浸りだった男。

 死神は、酒というのははじめて耳にすることば。

 男が酒を飲み始めるといい酒のかおり。死神も酒をのんでみると、うまい!。一口一口と飲んでいると酒びんはからっぽに。
 男が問わず語りに、長男の僧侶姿を見れないことが心残りだと涙を流すと、死神はあと一年だけ家族のもとにかえしてくれる。

 男があの世でみたことを、家族や友人に語ってきかせると、長男は数日たって僧侶となる。
 心残りがなくなった男が一年たって、死を待ち受けるが、どうしたことか死の気配がかんじられない。
 おかしいと思っていると、1年、2年が過ぎ、20年たっても男はピンピン。

 一方、死神は40年たってから、酒飲みの男のことを思い出す。そこで、人間の名前と死ぬ年齢をかいた記録張を取り出してみると男の死ぬ年齢は41ではなく、401年。

 死神は酔っぱらって401と書き入れてしまったことを思い出す。

 
 長男が僧侶になることが望みというのは、いかにもタイの話らしい。
 死は死神と結びついて恐ろしいイメージがあるが、昔話の世界では、死神はちっとも恐ろしくなく、ユーモアがある存在。
 恐ろしい死神がこうした存在に描かれるのは、じつは裏返しのことか。

 死神というと長ーいカマをもったイメージが強いが・・・・、

 酒がでてくるので、子どもが受け入れてくれるか少し心配なところも。  


おやおや、おやさい

2015年08月29日 | 絵本(日本)
おやおや、おやさい  

   おやおや、おやさい/作:石津 ちひろ 絵:山村 浩二/福音館書店/2009年こどものとも年少版2014年

 

 きょうは いよいよ 野菜のマラソンたいかい

   きゅうりは きゅうに とまれない
   かぼちゃの ぼっちゃん かわに ぼちゃん
   まって まってと トマトの おとうと

 野菜の走るさまが、リズミカルな言葉で表現されています。

 こどもがすぐおぼえたという感想もありますが、楽しみながら野菜好きにもなりそうです。

 ナス、オクラ、玉ねぎ、じゃがいもなどなど、応援する野菜たちにも注目したい。

 だいこん、にんじん、とうもろこしも走っていて、言葉がないのですが、それは自分で工夫してみると楽しそうです。

 大型絵本でみたのですが、野菜一つ一つの表情が豊かです。     


ロボット・カミイ

2015年08月28日 | 絵本(日本)
ロボット・カミイ  

    ロボット・カミイ/作:古田 足日 絵:堀内 誠一/福音館書店/1970年初版

 

 ダンボールの箱を利用して作ったロボット。紙の箱で作ったロボットだから名前はカミイ。
 するとロボットがしゃべりだします。       

 ところがカミイは原っぱで遊んでいる小さな女の子のちびぞうを取り上げてしまいます。
 たけしとようこが、カミイにちびぞうを返すようにいいますが、カミイはいうことをききません。
 二人が何とか取り上げようとしますが、カミイはびくともしません。カミイは逃げ出しますが、その早いこと早いこと。でも紙で作ったカミイには、水にぬれると柔らかくなる弱点が。
 たけしとようこが、カミイに水をかけるとカミイは大泣き。
 カミイは小さい女の子にちびぞうを返します。

 わがままでいばりんぼのカミイは幼稚園にいくことに。
 ここでもカミイは、子どもたちとひと騒ぎ。

 でも最後には、野原に遊びにいく道で、子どもの列が、赤信号を無視して猛烈ないきおいで走ってくるダンプカーにあわやぶつかりそうになります。しかし、カミイがみんなを救おうとダンプカーをおしかえそうとします・・・・。

 最後は感動的です。

 わがままでいばりんぼのカミイですが、劇をするので、いすや机を運ぶ場面では、天井に届くほどに積み上げたいすをあっというまにホールに運んだり、庭を広げる工事をしたときに、ダンプカーが庭に落としていった石集めもあっという間にしてしまいます。

 もうひとつ、カミイをみつめる たけしとようこの やさしい気持ちがなんともいえない。

 長い話ですが、幼児にも十分に受け入れられているようで、幼稚園や保育園では続きものとして読まれるようです。

 ボランテイアグループのお話し会は、月に一回程度でしょうか。それに比較すると幼稚園や保育園では長さをきにせず、楽しみを継続させていくことができそうです。 

 そして半世紀たっても、古さを感じさせません。


とうふやのお客

2015年08月27日 | 安房直子

     ねこじゃらしの野原/安房直子コレクション3 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年


 ねこじゃらしの野原には、たくさんのとうふやさんのお客がいます。

<すずめのおくりもの>1982年初出
 休みの日の早朝にやってきたのが、すずめ。
 なんでもすずめ小学校の入学式のプレゼントにとうふをつくってほしいと、秘密の畑で作った豆を持参してきます。


<ねずみの福引き>
 冬のひぐれどき、秘密の話があるというので、とうふ一丁をもってでかけたのが、ねずみの福引会。とうふは福引会のあと、よせなべをするというのですが・・・。
 とうふやさんがあてたのが、ざんねん賞の線香花火。しかし、この線香花火は小さな花を咲かせます。


<きつね山の赤い花>1984年初出
 とうふやのゆみ子が、とうふをもってでかけたのが、菜の花が一面に咲く野原。子ぎつねたちと遊びますが、母ぎつねがしてくれたのは、赤いマニュキア。きつね山の椿でなければだめなのです。


<星のこおる夜>1984年初出
 冬の晩、とうふやにやってきたのは、枯れ木のような娘。かしわの木の精でした、こおりどうふを作るには、星がこおる夜にしかできず、今夜がその日ですと、五つのとうふを銀のなべにいれると、ゆっくりと山に帰っていきます


<ひぐれのラッパ>1980年初出
 引き売りをしていたとうふやさんに声をかけたのは、山崩れでほろびた村のこどもたち。
 どうしても金色のラッパを聞きたかったのです。とうふやさんは、このラッパを子どもたちになげると、野原のふしぎな呼び声はぴったり聞かれなくなります。


<ねこじゃらしの野原>1980年初出
 まちがい電話がしょっちゅうかかってくるようになって、ねこじゃらしの野原にでかけると、そこにはむかしとうふやさんにいた猫のタロウ。みようみまねでとうふを作るようになったのです。とうふ料理店もひらいていました。しかし、歩いて歩いて、日が暮れるころに、すすきが原の一本道にいたのですが、ねこじゃらしなんか一本もはえていませんでした。        


ぼくにきづいたひ

2015年08月26日 | 絵本(日本)
ぼくにきづいたひ  

    ぼくにきづいたひ/作:杉山 亮 絵/片山健/理論社/1995年初版

 

ぼくが、お父さんと一緒にでかけたのは お寺。
お父さんの趣味につきあわされたようだ。
お父さんと同じ趣味の人が、お坊さんの案内で、お墓を見に行きますが、ぼくは残ります。
まっていると、目の前に前に見たような木が。
木の下で休んだり、この地面をあるいた記憶がよみがえります。
そして、吹いている風の記憶も。
ぼくはどこからきたのだろうとという疑問が。

でかけるときは大人はモノクロでぼおっとしています。

記憶をたどるときは、一転してカラーに。といってもこのカラーも鮮やかというわけでもありません。

お寺からかえる大人たちの輪郭がはっきりかかれていて、最初のほうと対照的にえがかれています。

ぼくは、何を感じたのでしょう。
たしかに特別の一日だったかも。
やはり大人が読みたい本。               


しっぽがなくなる話

2015年08月25日 | 昔話(北アメリカ)

   ウサギどんがふさふさのしっぽを なくしたわけ/ウサギどん キツネどん/J.C.ハリス作 八波 直則/岩波少年文庫/1953年初版

 しっぽをなくす話も昔話には多い。

 「リーマスじいや」がでてくるこの話は、長いふさふさのしっぽをもっていたウサギが、サカナをどっさりもったキツネにだまされてしっぽをなくすことに。
 ほかのものにもみられるように、寒い寒いなかで、しっぽを水のなかにつけて、きがつくとしっぽがちぎれていたというもの。

 「じぶんの知っとることにゃまちがいがはない、というような大きな顔しとる人間は、いざというときにゃたよりにならなん人間じゃて。ここにも、そんな人間がおるとみえて、ウサギに長いふさふさのしっぽがあるちゅうことをわしに言わせん。まったくの話、このことが、もしわしが夢で見たことならば、また寝て夢をとりけしてしもうとったじゃろ」

 話の中に話をする人がでてくる二重構造になっているが、このリーマスじいや、皮肉っぽいことがさりげなくでてきて、大人が楽しめる。

 ほかのウサギもしっぽをなくしたのと聞く男の子にリーマスじいやの答え。

 「そうじゃよ。ぼっちゃん。みんなパパのまねがすきらしいて」。


「大洪水」のものがたり

2015年08月24日 | 昔話(北アメリカ)

   「大洪水」のものがたり/ウサギどん キツネどん/J.C.ハリス作 八波 直則/岩波少年文庫/1953年初版


 動物会議の席で、ゾウに踏まれたザリガニ。
 「ここにおるぞう。」というまもあらせん。
 またゾウがザリガニを踏んづけ、ドロガメも踏んづけられるところじゃったのさ。

 やがてのこと、ザリガニはドロガメ、イモリとしめしあわせて、地面に小さなあなをあけて、かくれてしもうた。

 ザリガニたちが、地面の底の泉のところまでもぐっていったので、さあたいへん。泉が高く高くふきでて、丘も山もかくれてしまうほどの大水。

 「はこぶねは、どこににあったの? リーマスじいや。」と男の子がたずねる。

 「箱舟が出たか出なんだか、じいやはそんなこと、きいたこたないのでね。箱舟が出なんだというのに、わざわざ、じいやが箱舟こさえて浮かべるわけにゃいかんでなあ。さあ、もう寝る時間じゃ、ぼっちゃん。」

 19世紀にアメリカ南部黒人方言で書かれていて、訳には相当苦労されたようだが、そのぶん、あじがあるように思う。

 世界中に知られた「リーマスじいや」が、日本ではあまり有名ではないという訳者ですが、わたしもこの名前は はじめてでした。


風のふくろ

2015年08月23日 | 創作(日本)

      風のふくろ/なしの実ころり/としばあちゃんのむかしむかし/民話らいぶらり/2010年刊/山田としこ


 風売りの男が様々な風が入っている袋を売るという話。

 和尚さんに言われて、小僧が風を買いに行くが、あまりに多くの風の袋があるため、和尚さんから言われた風を忘れてしまいます。
 小僧は、そよ風百万本をたばにした”のわき”を、和尚からいわれた”そよ風”と勘違いして買って寺に帰ります。
 和尚が風の袋をあけてしずもうとするが、風の勢いが強すぎて、遠くまで吹き飛ばされてしまいます。

 日本語表現の多彩さにひかれて覚えてみました。

 そよ風、すず風、やませ、のわき、くん風、みなみ、くろはえ、秋風、はつあらし、こがらし、きた風、もがりなどの風の名前がでてきます。

 辞書をひくと
  やませ  山の頂上から吹き降ろす風
  みなみ  南から吹いてくる風
  くろはえ 梅雨時に吹く南風
  もがり  冬風が竹垣や柵にあたって鳴る笛のような音

 とある。日本語の表現の多彩さにあらためてびっくり。大人が読んで面白いが、こどもたちにとっては難しいかも。
 試しに翻訳ソフトにかけてみたが翻訳は表示されませんでした。 
      
 つい先日、ラジオで風の表現は日本では何百もあるといっていました。(2015.8.20)
 そこで、少し煩雑になるがいくつかあげてみた。表現をみるだけで一つの話ができそうである。

  朝嵐  朝吹く強い風。
  朝風  朝吹く風。日の出後、陸から海へ、また、山から谷へ吹く風。
  仇の風  逆風、難風。
  天つ風  天を吹く風。
  色風  なまめかしい風。
  陰風  陰気、不気味な風。冬の風、北風、朔風。
  浦山風  海辺にある山に吹く風。
  荻風  荻に吹く風。
  沖つ風  沖を吹く風。また、沖から吹いてくる風。
  回風  つむじ風。[くわいふう]
  凱風  やわらかい南風。初夏のそよ風。
  花信風  春、花の開花を知らせる風。[くわしんふう]
  川風  川の上を吹き渡る風。川から吹いてくる風。[かはかぜ]
  河原風  河原の風。[かはらかぜ]
  狂風  激しく吹きまくる風。[きやうふう]
  暁風  明け方の風。[げうふう]
  黒南風(くろはえ)  梅雨入りの頃、どんよりと曇った日に吹く南風。
  薫風  初夏、若葉の香りを運ぶ風。
  恵風  万物を成長させる、めぐみの風。春風。
  恒風  つねに同じ方向に吹く風。
  業風  地獄で吹く暴風。業の風。
  黒風  砂塵を巻き上げ、空を暗くするようなつむじ風。
  砂塵嵐  砂嵐。
  小夜嵐  夜の嵐。よあらし。
  小夜風  夜風。
  地嵐  山から海へ吹き降ろす風。
  潮追風  潮の干満に合せ、同じ方向に吹く風。
  潮風  海から吹く塩けを含んだ風。塩風。
  下風  地面近くを吹く風。
  しまき(風巻)  激しく吹く風。雨・雪などを交えて激しく吹く風。
  霜風  霜の上を渡ってくる風。霜の降りそうな風。
  秋嵐  秋の山にたちこめる靄。
  松風  松に吹く風。松籟。松韻。まつかぜ。
  塵風  ちりやほこりを吹き上げる風。
  青嵐  青々とした山の気。青葉のころに吹きわたる風。あおあらし。
  晴嵐  晴れた日に山にかかるかすみ。 晴れた日に吹く山風。
  長風  非常に遠くから吹いてくる風。また、遠くまで吹いていく強い風。[ちやうふう]
  辻風  旋風。つむじかぜ。
  強東風(つよごち)  春、東から吹く強い風。
  天狗風  急に吹き降ろす旋風。
  波風  波と風。また、波を起こす風。
  野風  野原を吹く風。
  野分き  秋の暴風。台風。野分きの風。のわけ。
  葉風  草木の葉を動かす風。
  初秋風  初秋のころに吹く風。
  初嵐  秋の初めに吹く強い風。
  初瀬風  大和の初瀬の辺りを吹く風。
  花嵐  桜の花の盛りのころに吹く強風。
  花風  桜を散らすように吹く風。
  はやて(疾風)  急に吹く風。しっぷう、陣風。
  悲風  哀感をさそう風。主に秋の風。
  帆風  順風。追い風。
  松風  松を吹く風。松籟。
  みなみ  夏の季節風。南風。
  矢風  矢が巻き起こす風。
  山颪(やまおろし)  山から吹き降ろす風。
  山風  山の風。また、山からの風。
  山下風  山の麓に吹く風。山から吹き降ろす風。
  山背  山を越えてくる風。また、夏に東北の太平洋側に吹く冷たい北風。山背風。
  夕嵐  夕方に吹く強風。[ゆふあらし]
  夕下風  夕方、地面をはうようにして吹く風。[ゆふしたかぜ]
  夕山風  夕方、山から吹いてくる風。[ゆふやまかぜ]
  雪嵐  吹雪。
  雪風  雪と風。また、雪交じりの風。吹雪。
  夜嵐  夜の嵐。
  四方の嵐  あたりを吹き荒れる嵐。
  夜半の嵐  夜吹く風。一夜で桜花を散らす嵐。[よはのあらし]
  嵐気  湿りけを含んだ山の空気。山気。
  陸風  夜間に陸から海へ向って吹く風。陸軟風。
  緑風  青葉を吹く、初夏の風。薫風。
  烈風  激しい風。
  和風  穏やかな風。春の風。


ひとだまの話

2015年08月22日 | 昔話(北アメリカ)

   ひとだまの話/ウサギどん キツネどん/J.C.ハリス作 八波 直則/岩波少年文庫/1953年初版

 1953年に出版されていて大分古いが、お話としてはあまり聞いたことがありません。

 解説では、黒人の話をもとにして、アメリカの新聞にのったという。リーマスじいやが、こどもに話をする形で進行します。

 キツネを主人公にした話が継続しますが”ひとだまの話”は、やや趣が異なります。

 他の国でよくみられる話で、かじ屋と悪魔のやりとりが楽しい。

 悪魔につれさらえようとしたかじ屋が、大声で泣きわめき、一年命をながらえる。
 一年たって悪魔がやってくると、今度も何とかうまく悪魔をだまし、さらに一年の猶予をもらう。
 一年後さらに一年の猶予をもらうが、四年目には袋に入れられて地獄にいくことに。
 しかし、このかじ屋、途中なんとか他の袋と入れ替わる。

 地獄にもどった悪魔が、小悪魔に食べさせようとすると、袋からはブルドッグがでてきて、小悪魔をさんざんな目にあわせたので、悪魔はブルドックを地獄から追い出してしまいます。

 このかじ屋、死んでから天国にいくと、番人が知らないので入ることができません。そこで地獄にいくが、前に悪魔はさんざんな目にあっているので、ここにもはいることができず、かじ屋は天と地の間をウロウロ。
 暗い晩には、それが光って人だまとしてみえるという。


 おじいさんの語り口が楽しい。男性が語ったら楽しそうです。

 ところで、かじ屋は鋤や鍬、蹄鉄など農作業に欠かせないものを作ったり、修理するので、昔話にはどうしても欠かせないものだったに違いありません。


よもぎが原の風

2015年08月21日 | 安房直子

    よもぎが原の風/安房直子コレクション4 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年/1982年初出


 この間、うちの孫と近所の子、四人でよもぎが原に遊びにいって、不思議な魔法をつかううさぎにあったといっていた。

 風の歌い声にちかずいて見ると、緑のスカーフを首に巻いた二匹のうさぎに、電車ごっこにさそわれて、電車に乗っているとあっという間に、よもぎが原について、うさぎがつくったよもぎだんごを食べたり、なわとび遊びをして遊んでいたら、耳が長くなって、体も真っ白、本当にうさぎになっていたというんだ。

 でもさすがに娘だね。

 西風の吹く日によもぎが原にいった子どもは、うさぎにだまされると、ばあちゃんから聞いていたので、何とか、孫たちをもとの人間にしたんだよ。

 え! あなたもよもぎが原に いってみたいって!
 さあ、それはどうかな。
 大人にうさぎはみえるかなあ?


りんご畑の12か月

2015年08月20日 | 絵本(日本)
りんご畑の12か月  

    りんご畑の12か月/文:松本 猛 絵:中武 ひでみつ/講談社/2012年初版

 

 みずみずしくておいしそうなおおきなおおきなリンゴ。
 アルプスを背景にした安曇野の夕方の風景がどきっとするほど存在感があります。
 
 マイナス18度のまゆげもはなげもこおる冬の枝打ち。
 4月まだ霜がおりころは、暗いうちからもみがらを燃やして畑をあたためます。
 6月には、形のいい、大きな実を残して、摘みます。

 夏には草刈車での草刈。
 そして秋の収穫へ。

 手塩にかけても台風に直撃されたら、それまでの苦労が水の泡。
 自然が相手の大変な仕事であるだけに、感謝して食べたい。


てんぐのくれためんこ

2015年08月19日 | 安房直子

    てんぐのくれためんこ/安房直子コレクション3 ものいう動物たちのすみか/偕成社/2004年 1983年初出


 電車にのっていると子どもたちが夢中になっているのが、ゲームか携帯。
 めんこする子どもたちの姿はほとんどみることができないようだ。
 ベーゴマもしかり。
 
 たけしくんが、買ったばかりの十枚のめんこをみんなとられて、ひとりとぼとぼとかえるところからはじまります。
 おしいことをしたなと思っていると、人の心がちゃーんとわかるてんぐがあらわれて、風のめんこをたけしにくれます。裏も表も真っ赤なめんこ。
 こどもたちのところで、もういっぺん勝負しようとしたとき、林のおくから、めんこを打つ音が聞こえてきます。
 がやがやさわいでいるのは子ぎつねたちでした。
 子ぎつねたちと勝負して二十枚以上めんこをとることになるのですが・・・。

 このあと、親ぎつねがでてきて、子ぎつねのめんこに、ロウソクのロウをぬったり、練習させたりして、勝負はつづきます。

 てんぐのくれためんこは、最後には木の葉にかわってしまいます。こんなものではなく、自分の力で遊びなさいという思いがこめられています。

 子ぎつねのもっているめんこ。
 赤い電車が走っていく絵は、電車の音も、すすきのさやぐ音まできこえてきます。
 赤い彼岸花を頭にかざったきつねのお嫁さんが石にこしかけています。
 薬味にネギとトウガラシがついている、できたてのてんぷらうどん。

 子ぎつねのもっているめんこは、親ぎつねがてづくりしたものですが
 「あれはみんな、わたしたちがつくってやっためんこです。一枚一枚絵をかいて、一枚一枚色をぬって、切りぬいためんこです。ひとたば十円で売っている印刷のめんこなんかとは、わけがちがうんです。」というセリフは耳が痛い。

 てんぐは負け続きのたけしくんを勝たせてくれるのですが、別の場面でも子どもの応援をしてくれる存在になってほしいものです。

 偕成社から2008年に絵本も発行されています。


悪い妻のはなし・・・ロシア

2015年08月18日 | 昔話(ヨーロッパ)

       悪い妻のはなし/子どもに贈る昔ばなし8/小澤昔ばなし研究所/2008年


 お話を語る多くは女性で、男がなぜあまりいないのかいつも不思議な感じがしているが、たまに男の方の語りを聞くとほっとする。

 男女では話の選択にも微妙なちがいがありそうだ。この話は、男が語った方がよさそうな気もする。

 男の言うことをちっとも聞かずに、反対のことばっかりしている妻。
 ある日、木いちごの藪のなかに底なしの穴を見つけます。
 妻はその底なしの穴に落ちてしまいます。

 四日目に、男が穴の中に長い綱を下してみると、小鬼があがってきます。
 穴に落ちた妻が、みんなをいじめたり、かんだり、つねったりするのでとてもやりきれない。助けてくれと小鬼はいいます。助けてくれるかわりに、小鬼が町の人を病気にかからせるが、男があらわれたら家を飛び出すとその家の病気がなくなるというのです。
 小鬼は商人たちの妻や娘にとりつき、病気にかからせますが、男が家に入っていくと不思議に病気はなくなってしまいます。
 町の人は男を医者だと思ってお金をくれたり、ごちそうをしてくれます。

 やがて小鬼は王さまのむすめにとりついて病気にしてしまいます。小鬼は王さまのむすめにとりつく前に男にいいます。今度は自分の邪魔をするな、邪魔をするとお前を食べてしまうぞ。

 男は小鬼をうまくだますことに成功しますが、その方法が楽しい。

 この話では、病気になるのが女性だけ。男が病気にならないというところがみそか。


おにいちゃんのサメ

2015年08月17日 | 絵本(日本)

 福音館書店からだされている月刊予約絵本、2014年8月号。

 最近、海水浴場にサメがでて、遊泳禁止になっているところもある。

 こわいサメが、いつもお兄ちゃんの味方。
 お兄ちゃんが優しいとき、サメもやさしくなる。
 サメは一晩中おきていて、部屋の中を泳ぎまわり、お兄ちゃんのことを守っているかのよう。
 
 でも。このサメ、どうもお父さんやお母さんには見えないようです。

 恐ろしいサメも、絵本ではお兄ちゃんのいい仲間。

 大人に見えなくても、子どもには見えるものがありそうです。


まってるまってる

2015年08月15日 | 絵本(日本)
まってるまってる  

    まってるまってる/高畠 那生/絵本館/2012年初版

 

なにか奇妙な行列。
若者、クマ、野球少年、お買いもの姿の女の人、鬼、おばけ。
なんかみんなが並んでいるから、とりあえず並んでみるといった感じ。
行列の先は、巨大なタコが売っているたこやき屋です。

すこしいくとまた行列。とりあえずならんでみると、ドーナツのお店。

また行列。先にはリンゴの木。

またまた長ーーーーーーい行列。

トイレの形の建物。
そう食べすぎてあぶらあせを流している人たちが、トイレからでてくるとすっきりした顔。

食べるにしたがって、みんな太って行ったり、白いマント?をかぶったおばけがだんだん姿をあらわしたりしますが、読んだ1回目でこれらを発見できるのか楽しみです。