くものなまえ/荒木健太郎/金の星社/2024年
雲の写真絵本です。
それほど多種類が出てくるわけではありませんが、十種雲形といわれる十種類。巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、乱層雲など。
同じように見えても、まったく同じ雲はないというのは実感。
昔の人は、雲の形をみて、その日の農作業に 生かしていたでしょうから、年配の方の知恵が生きる場面。
積乱雲はともかく、その他の名前は、はじめて聞くものがおおい。
くものなまえ/荒木健太郎/金の星社/2024年
雲の写真絵本です。
それほど多種類が出てくるわけではありませんが、十種雲形といわれる十種類。巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、乱層雲など。
同じように見えても、まったく同じ雲はないというのは実感。
昔の人は、雲の形をみて、その日の農作業に 生かしていたでしょうから、年配の方の知恵が生きる場面。
積乱雲はともかく、その他の名前は、はじめて聞くものがおおい。
森のカプセル探検帳-ドングリいっぱい大発見/構成・文 飯田 猛 写真・宮園晋一/技術評論社/2024年
ドングリは、日本では22種類。
家のコナラは、ドングリから育てて十数年。成長が早く、どこまでも伸びる感じで、三年おきに剪定していても、すぐに緑がいっぱい。落ちたドングリがすぐに芽を出し、成長をはじめます。
写真で構成され新しい発見も。クリもブナ科の木になるので、ドングリの仲間。
ドングリの帽子の部分は殻斗、実は堅果、殻は果皮という名前。
19種類のドングリがずらりと並んでいて、いろいろな形があるのがわかりますが、どれがどれかを判断するのは大変そうです。
あまり見たことがありませんが、ハイイロチョッキリという虫は、ドングリの実に卵を産み、幼虫になったら殻に穴をあけて、外へ出るというから、穴の開いたドングリをみつけたら、虫がいたということ。
ほかに、ドングリの育て方、ドングリクッキング、ドングリニュースと盛りだくさん。
クマが街へ出没してニュースになっていますが、大事な食べ物のドングリが少なくなっている証拠ですから、森が今どうなっているのも心配です。
たんぽぽのたね とんだ/すずきゆりいか・文 ごんもりなつこ・絵/福音館書店/2024年(初出1993年)
たんぽぽの種の旅です。風に吹かれ、チューリップをこえて、石の上に落ち、またたかくのぼって、地面に落ちて・・・。
野草と、チョウ、テントウ虫と春を満喫できる絵本です。葉っぱの一つひとつ、花が丁寧に描かれ、写真とは一味違った感じです。地面に近い目線で 見た目以上の奥行です。
散歩しながら、道端にみられるたんぽぽで 命のつながりについて 会話が はずむかもしれません。
春と言えばフジの花が見ごろ。ブルーベリーも花いっぱい。
みてみて! クオッカ/写真・福田豊文 文・なかのひろみ 監修・埼玉県こども動物自然公園/ほるぷ出版/2021年
埼玉県こども動物自然公園にしかいないというクオッカのことを、はじめてしりました。
オオカンガルー、コアラ、コモンウォンバットとおなじ有袋類。
オーストラリアにしかすんでいないクオッカが、日本だけにいるのは、こども動物自然公園のこれまでの努力が認められたもの。
おかあさんのポケットから顔を出している様子、食べたり。走ったり、遊んだりしているようすにほっこり。
クオッカが、<世界いち しあわせな どうぶつ>とよばれるのは、きゅっとあがった 口もとが、にっこり笑っているように見えるから といいます。
写真集ですが、巻末には クオッカの豆知識が いっぱい。
ただ、ご多分に漏れず、数が減り、絶滅が心配されています。
スズメのくらし/平野伸明:文・写真/福音館書店/2019年(初出2013年)
以前に比べて見ることが少なくなったスズメ。庭に来るヒヨドリやムクドリ、セキレイなどと比べても少ないようです。環境の変化が、こうした事態を引き起こしているのは間違いありません。
警戒深いスズメの生態を写真で構成しています。
このスズメについてどれだけ知っているのか、改めて反省しました。
食べ物は?
どんな巣をつくる?
子育ては年四回。一回の卵の数は4~六個。
興味深かったのは、同じ巣を繰り返し利用すること。ほかの鳥の巣は、子育て中にヒナのフンなどで汚れ、ダニも大発生するので二度と使うことがないのに、スズメは、水遊びや砂遊びで体を清潔にしているので繰り返し利用が可能といいます。
また、スズメのヒナがひとり立ちするのが一週間から十日と、だいぶ早い。
親鳥は、ヒナが巣立つまで、合計2200回ほど食べ物を運ぶといいますが、親鳥の苦労は、人と同じかも。
ぎざぎざ くるくる 葉っぱの カタチ/監修・上原巌 絵・佐藤直樹 構成・栗山淳/農山漁村文化協会/2023年
植物というと花や実に目がいきますが、ふだんあまり気にしない葉っぱを百科全書風にとりあげています。葉はカタチはもちろん、大きさもさまざま。
木には常緑と落葉。
葉っぱの柄は葉柄、真ん中の太いすじは主脈、縁は葉縁といいキザキザは鋸歯、葉っぱのからだは葉身。葉っぱのならびは葉序といい、互生、対生、輪生の三つ。
葉っぱは、ほとんどが左右対称になっていますが、なかにはちがう葉も(ボダイジュ、ニレ、ヤマグワ、ハルニエなど)あり、子どもの木とおとなの木でカタチがちがうものも。
上にのびた葉では、上の葉と下の葉がかさないように回転しているものも。こうした葉っぱのつきかたや、広がり方を決めているのは太陽の光。
こんなにもさまざまな葉のカタチをみると、見方がかわります。
ごんごろ じゃがいも/いわさ ゆうこ/童心社/2014年
料理に活用が広いじゃがいも。
種芋をうえ、花が咲き、収穫まで。土の中の ねっこのようすまで、ていねいにイラストで 描かれています。
だんしゃくやメーククイン、きたあかりのほか、ちょっと目にしない いもの種類も紹介されています。
そして、さといも、さつまいもも。
”ごろごろ”という表現がぴったりの じゃがいもです。
土に親しむことも少なく、じゃがいもの花を見たこともない子どもと一緒に目をとおしてから、スーパーにいって じゃがいもを購入すると、話がはずみそうです。
「食べ物は土から生まれるという実感をあたえてくれたのは、じゃがいもでした」という作者の言葉に共感です。
くさる/なかの ひろたか/福音館書店/1981年初出(2016年特製版)
表紙においしそうなスイカ、でもよくみるとハエが。
嫌なにおいがする生ごみを、土の中にいれると
みみずや、やすで、だんごむしなどの虫が、ごみを こまかくきざんだり、たべて、うんこにしたりして、くさったごみを もっともっと くさりやすくする。
土にまざり、それを草や木が根っこからすいあげて、栄養にする。そして 春になると あたらい芽をだし、夏に葉を茂らせ、実をならせ・・・。
いろいろな いきものが うまれて、しんで、くさり、土にとける。自然は なんどもなんども これを 繰り返して、続いてきた。
お母さんが子どもとの会話の中で、食物連鎖を説明しています。
遠目にも見やすい絵です。
土に生ごみをうめると、それがやがて土にとけると、やや単純化されていたのが。気になりました。
サクラ はる なつ あき ふゆ/おくやまひさし/ほるぷ出版/2022年
当地では桜が散って、いまは緑がいっぱい。
手で描かれたという満開の桜、枝、葉、根のひとつひとつが桜の魅力を伝えてくれます。
ともすれば花の咲く時期だけが注目されますが、一年を通じると、別の顔をもっています。
11月の後半から枝には冬芽が 花の準備。この時期の小さな虫たち。
枝には長枝、短枝という区別があること、葉を食べる幼虫、根から汁をすって育つセミについてなど。
キノコは幹の中へ菌糸をのばして、やがて木をくさらせること、そしてコケも木全体をつつむと、木を枯らしてしまうというので、散歩の途中のヨメイヨシノを見てみました。何十年かたっていそうですが、コケが生えていました。
花が散ってから、サクランボのような実がつくというので、陽光桜をみたら、たしかに実がなっていました。残念ながら、近くのヨメイヨシノの実は確認できませんでした。
陽光桜の実
おちばのほん/いわさ ゆうこ/文一総合出版/2021年
絵本仕立てで、図鑑より親しみやすいでしょうか。
よく集めたと思うほどで落ち葉の数120種以上。それも全部手書きですから大変なご苦労です。
紹介の仕方もユニーク。(太字は木)
・ぽとり くちなし ほるとのき あつい なつまで がんばった もういいかいと かくれみの
・おてらの ふじだな まっきいろ かがやく いちょう まっきっき
・ぶどう かき くり みの なる き はたけの べにいろ ブルーベリー あんずの おちば きれいな ピンク おちばの ようふく つくりたいな
種類が多すぎて、落ち葉をひろってきても木を特定するのはむずかしそうです。木の名前から利用したほうがわかりやすいでしょうか。
なぜ木から葉は落ちるのか? どうして赤や黄色に紅葉・黄葉するのか?という疑問にこたえることから、葉の特徴、名前の由来まで、さらに落ち葉を使ったアート作品、遊び方まで満載です。
葉のつき方に互生、対生、三輪生があるなど、いわれてみればなるほどとうなずけるのですが、見ていると思っていても、実は見えていないものが多いのにきづかされました。
りんごのえほん/ヨレル・K・ネースルンド・作 クリスティーナ・ディーグマン・絵 たけいのりこ・訳/偕成社/2008年
スウェーデンの庭には、必ずと言っていいほど、りんごの木が植えてあり、りんごはスーパーで買うものというより、庭にになっているものをもいで、食べるものというイメージの方が強く残っていると紹介されていました。
気象条件があるので、どこでもというわけにはいきませんが、日本では庭に植えるものといういうイメージがわきません。都会でも、木を植えることは可能ですがそのスペースがありません。
形がさまざまで、商品として流通していなくても、ジャムやジュースにすれば、おなじりんご。
身近なところにあれば、木によってくる鳥や花粉を運ぶミツバチも観察でき、自然の営みを感じることができます。
りんごのたねでつくったネックレスや、絵具をぬってスタンプ、そしてお菓子のレシピまで。
りんごの精が、りんごの木の冬から春、秋の一年を紹介しています。
自宅のりんごの木は、春に咲く白い花が毎年楽しませてくれています。残念ながら手入れが行き届かないので、実の方はほとんど期待できません。
どんぐり/エドワード・ギブス・作 谷川俊太郎・訳/光村教育図書/2014年
ちっちゃなきいろいどんぐりがひとつ、地面に落ちてころがると
しろねずみ、おれんじりす、あおどり、はいいろうさぎ、いのしし、あかしかから、食べられそうになりますが、「おねがい いまは たべないで」「いまに もっとおいしく なるから」と、地面に根を張り、おおきく、おおきく おおきくなって りっぱな かしの木に。
やがて どんぐりが いっぱみのって・・・。
おおきくなった かしの木の 仕掛けもたのしい。
繰り返しが続き、読み聞かせでは合唱が聞こえてきそう。秋にぴったりの絵本でしょうか。
昆虫たちの擬態/海野和男/誠文堂新光社/2008年
いつのまにかセミのなきごえがきこえなくなり、夜には虫の鳴き声がきこえるようになりました。セミはともかく、夜の虫の生態は知らないことばかり。
昆虫の擬態についてもよほど注意しないと素人にはわかりません。その点、写真家の視点にはいつもおどろかされます。よくよくみないと擬態かどうかはわからないのですが、よくもまあ、こんな写真がとれたものと感心させられるばかり。
カテゴリをみるだけで、内容が伝わってきます。そえられたコメントも楽しい。
・威嚇(せっぱつまったらやるしかない)
・目玉模様(大きな目玉で睨みつける)
・糞にそっくり(糞になればたべられない)
・死んだふり(究極の技)
・ヘビに似る ハチに似る アリに似る
・幹にとけ込む
・苔に紛れる 苔を装う
・石にとけ込む
・葉に似る 枯葉に似る 枝に似る
日本ばかりでなく、世界各地の昆虫も。眼玉模様を見るだけで楽しい。
ただ、昆虫が擬態でピンチを切り抜けようとおもっても、最大の脅威は、自然を破壊する人間です。
ほら あめだ!/フランクリンM・ブランリー・作 ジェ-ムズ・グラハム・ヘイル・絵 やすなりてっぺい・訳/福音館書店/2009年
このところ毎日のように雨。線状降水帯ができたり、土砂降りがあたりまえのようになってきました。
朝ドラで気象予報士をめざす主人公が、絵本を参考にするようアドバイスされる場面がありました。どんな絵本をみていたのでしょうか。
水が水蒸気にかわり、その水蒸気が空に運ばれて冷やされると、雲粒にかわり、雲粒が集まって雲をつくり、雲粒は集まって水のしずくになる。このあたりまではまあまあ。
でも、この水は、海や川、植物の葉っぱや湿った地面、うしやうま、ねこ、いぬ、人間からも蒸発するといわれると、ここまで考えたことはなかった気がします。
この絵本にはありませんが、雨粒の形は大福型というのも面白い。
外国の絵本ですが、1917年に埼玉県で4.4㎏ぐらいのカボチャぐらいのヒョウが降ったという新聞記事も描かれています。調べてみるとこれまで世界最大のヒョウのようで、直径29.5cm、重さが3.4㎏あったようです。
朝ドラの主人公だけでなく、絵本から教えられることが多々あります。