グリム童話 ブレーメンのおんがくたい/ハンス・フィシャー・絵 せたていじ・訳/福音館書店/1964年初版
数多くの絵本がありますが、「ブレーメンの音楽隊」といえば、やはりこの絵本。二世代、三世代、そしてこれからも読み続けられていきそうです。
余白をうまく生かした動物の絵もかわいいし、月明かりの夜、泥棒の家の外の四匹、家に居座る動物の幸せな感じ、泥棒の家に につかわしくないドアのハートマークも子ども心をつかみます。
フィシャーが長女のクリスマスプレゼントとして作ったというこの本、動物はいずれもわかわかしくて、おもわず苦笑いしました。
役にたたなくなったろば、いぬ、ねこ、おんどりがでてくるのは、自分に重ね合わせると、ぎょっとさせられるところ。
ブレーメンのおんがくたい/ゲルダ・ミューラー・作 ふしみみさを・訳/BL出版/2015年
ミューラーはオランダのかたですが、農村?、山や森の風景が豊かに描かれ、背景がほとんどないフィッシャーのものとは、だいぶ印象がちがいます。フィッシャーの描くロバ、イヌ、ネコ、オンドリは楽器をせおっていますが、ミューラーのものには楽器がありません。泥棒もしっかり描かれ、小屋も藁ぶきで質素です。
あらためてフィッシャーがえがく小屋をみると、ガス台?があったりと、今風なのにきがつきました。
ブレーメンの音楽隊/絵・リスベート・ツヴェルガー 訳・池田香代子/BL出版/2007年
すぐに泥棒の家になだれ込むのではなく、みんなが歌いはじめてから 窓から なだれ込みます。楽器はもっていませんから現地調達する予定だったのかも。
ちっともらしくない泥棒。犬、猫、おんどりが出てくる場面では、ページの上に、その境遇がえがかれ、ブレーメンへ向かう途中、ロバの背には、仲間がのっているあたりが、ほかの絵本との違いです。
・ブレーメンの音楽隊(英語と日本語で語るフランと浩子のおはなしの本/フラン・ストーリングス・編著 藤田浩子と「かたれやまんばの会」訳/1999年)
聞き手の参加をえながら進めていくのが、フランさんのもの。
ろば組、犬組、猫組、雄鶏組の役の人が、語り手の合図で、それぞれの声でなき、合図をしたら なくのをやめます。
歌いながら歩いていくのも楽しく、泥棒の家にすみながら合唱するので、音楽隊のイメージがぴったり。そして音楽隊にはいるのではなく、自分たちで一旗揚げようというのも前向きです。