一人暮らしの婆は思う。
今日のように空青く、雲一片もない大気を見ると
肺の奥の奥まで空気を飲んで、自分も青くなりたいと思う。
きっとなれると思う。
もう、なっていると思う。
それぐらい澄み切っていて
大地まで青く感じる今日の空だ。
雲は空の大気から湧きあがり
出来るのではなくて
地上の山から湧きあがり出来る。
霧だったり、靄(もや)だったり、
地上から出来る。
はっきりそう言えるのは、飛行機の上から見る雲は
低く低く
山に、へばりついているように見えるから、
砂糖で作ったお菓子のように
富士山の半分をしっかり覆って
まるで、羊の毛のようにひっついて見えるから。
また、伯備線に乗って山を見ると
まるで煙立ち昇るかのように
白い湯気が山のふもとから頂上まで立ち昇って
グレーの雲を作っている
雨を降らせながら風に流れながら
雲をつくっていると分かったから。
また、宍道湖に霧流れるとき
空の彼方まで続いているように見えるから。
山ありて雲ありて
風ありて流れ行き
何キロも上昇する積乱雲となり
何キロも広がる剣雲となって
あの空のパノラマ
1時間の映像
900kmの移動
溜め息の出る美しい形や
左右いっぱい
横に広がる幻想的な大気の線(気平線・婆の造語)雲か霧か?氷滴か?
言葉に例え様のない色の横線
空のパノラマ
今日のように晴れ渡れば
飛行機から見る10km上空からも
車の姿が見えるかもしれない。
雲一片もない上空の大気は
遠く遠くまで
ひらすらに青い色を
放っているだろうか
太陽から貰っているいるだろうか。
10km上空の飛行機から見る空は
綿雲は下に
積乱雲の近くを横切って
時に中に入り
剣雲を上に眺めて
うつくしい地球の姿とは言ってしまいたくない婆なり
6月5日は白い半月に欠けた月
青い空に浮かんでいた。
まるで消え入るように小さく見えた。