苦い薬も抵抗少なく
2010年6月25日 提供:読売新聞
「子どもの薬の飲ませ方」
ジュースと混ぜ 菓子で練習
子どもが病気の時、薬を飲むのを嫌がり、困ることがある。
無理に口に入れると、吐き出してしまうので、苦味を和らげたり、飲む気にさせたりするなど、年齢や状況に応じた工夫が必要だ。
京都府内の母親(37)は、1歳10か月の次女が風邪などの病気になるたび、薬を飲ませるのに苦労している。小学1年生の長女(6)に比べ薬が苦手で、何かに混ぜても気づいて吐き出す。
お気に入りの野菜ジュースの紙パックに粉薬を入れて混ぜておき、そのまま分からないようにストローで飲ませる方法が一番うまくいった。「毎回、あれこれ試しています」と話す。
大阪府和泉市の府立母子保健総合医療センターでは、子どもの服薬に関する注意点などを説明したパンフレットを作成している。
1歳ぐらいまでの乳児期は、粉薬は水や湯冷ましに溶かしてスプーンやスポイトで飲ませるが、「量が多いと飲み残してしまうので、粉が溶ける程度の少量で」と同センター薬局長の室井政子さん。
飲みたがらない時は、粉薬に数滴垂らしてクリーム状にし、ほおの裏側や上あごに塗り、その後、ミルクや湯冷ましなどを与えるとよい。味覚が敏感な舌の上は避ける。哺乳(ほにゅう)瓶のふたの部分を取り外して水に溶いた粉薬などを入れ、乳首側を吸ってもらうのも飲ませやすい。
乳児の主食のミルクやおかゆに薬を入れるのは、その後口にしなくなることがあるので避けたほうがよい。
粉薬をヨーグルトやアイスクリーム、プリンなどと混ぜると飲みやすく、薬と混ぜる専用のゼリーも市販されている。冷たいと苦味を感じにくくなるので、ジュースや水で溶かした薬をシャーベット状に凍らせる方法もある。
ただ、混ぜる際には注意も必要だ。「食品と薬の組み合わせによっては、苦味が増したり、吸収力が低下したりするので、薬剤師に確認しましょう」と大阪府薬剤師会理事の山村万里子さん。
例えば、アジスロマイシンという抗生物質は、スポーツドリンクやヨーグルトと混ぜると苦味が増す。同じく抗生物質の塩酸ミノサイクリンは、牛乳や乳製品などと飲むと吸収力が落ちるという。
言葉が理解できる年齢になれば、「体の中にばい菌がいるので痛くてしんどいんだよ。薬を飲んだら楽になるよ」など、なぜ薬を飲むのか理由を納得させる声かけをし、飲めたらほめることも大切だ。ただし、きょうだいがその様子をみて、自分もほめられようと薬を勝手に飲むこともあるので、保管には注意したい。
元気な時に、砕いたラムネ菓子などを使って、親も一緒に薬を飲む「練習」をするのも抵抗感を薄めるという。
服用後は、子どもの尿や便、皮膚の状態をよく観察し、アレルギー反応があれば、医師や薬剤師に伝えることが必要だ。「地域の薬局で日ごろの子どもの状況を知ってもらい、薬のことを気軽に相談してほしい」と山村さんは話している。
子どもに薬を飲ませる際の注意点
・水薬は泡立てないように静かに振り、平らな場所に置いて正確に分量を量る
・ミルクや食事の間隔が一定しない場合、「食後」にこだわりすぎず、時間を決めて指示された回数を飲ませる
・服薬の回数や日数は、特に指示がなければ、処方に従って飲みきるようにする。症状が回復したように見えても、勝手に判断して服用をやめない
(大阪府立母子保健総合医療センターのパンフレットなどを参考に作成)