新型がんワクチンが効果 臨床試験で北大グループ
2010年8月18日 提供:共同通信社
がんワクチンによる免疫療法の研究を進めている北海道大遺伝子病制御研究所のグループは17日、新型のワクチンを使った臨床試験で一定の効果が得られたと発表した。
がんのワクチン療法は、がん細胞表面の小さな突起(ペプチド)を目印に、免疫細胞ががん細胞を攻撃するのに着目。人工的に作ったペプチドを注射することで、体内に免疫細胞が大量にでき、がん細胞を攻撃する。
これまでのワクチンはがん細胞を直接攻撃する「キラーT細胞」を増殖させる効果があったが、研究グループは免疫調節の司令塔役を果たす「ヘルパーT細胞」も同時に活性化するペプチドを人工的に合成。ワクチンとして活用した。
昨年から北大病院などで始めた臨床試験で、6例のうち4例でがんに対する免疫力が向上。抗がん剤や放射線による治療が効かない進行乳がんに投与した近畿大病院(大阪府)の例では、CTスキャン上でがんの転移した部分が完全に消えたことが確認された。
研究グループの西村孝司(にしむら・たかし)教授(免疫学)は「まだ安全性試験の段階だが、良好な結果が得られた。製薬会社との連携などでさらに開発を進めたい」としている。