専門家によると、視力は3~5歳に急速に発達。発見・治療が遅れて6~8歳を迎えると、脳の視覚領域が正常に発達せず、一生、弱視となる恐れがある。
視力に関する3歳児健診の1次検査は一般的に、保護者が各家庭で専用キットを使って行うが、片目が弱視の場合などは手で目を隠しても、正常な目ですき間からのぞくことで見逃す可能性がある。
家庭で「問題がある」と判断した場合に行う2次検査でも、眼科医でない医師や保健師らがチェックする自治体が多く、見逃し例があるという。
群馬県は今年3月、県眼科医会の要請に応じて、保健師や小児科医らを加えた検討会議を発足させ、保健師らに弱視検査の注意点などを伝える講習会を開催。各家庭で行う1次検査の方法を分かりやすく解説したイラスト付きの手引(暫定版)も作成し、今夏から県内の市町村に配布した。
日本眼科医会の2012年度の全国調査では、2次検査で「要精密検査」と判断されたにもかかわらず眼科を受診していない児童が38%もおり、県は今後、保護者への啓発にも積極的に取り組む。
一方、県は弱視の早期発見に有効とされる「屈折検査」の必要性を強調。機器が高額で全国的に導入が進んでいない中、35市町村中、16市町村が今年度からの導入を決めた(4市町村が導入済み)。
◇「屈折検査」が有効
「屈折検査」は特殊な機器を使って目のピントが合う度数(屈折)を調べる検査で、静岡市が2015年に政令市で初めて導入した。
家庭での検査で「異常なし」の児童に屈折検査を行ったところ、13年に0・39%だった「要治療」児の割合が15年は2・74%に増加した。
調査したさくら眼科(静岡市)の松久充子医師は「弱視はほぼ100%見逃されていた」と指摘し、早期導入の必要性を訴える。
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■ことば
◇3歳児健診
障害の早期発見・指導を目的に、母子保健法で定められた。1997年に実施主体が、都道府県から市町村に移った。診査項目は身長・体重測定や内科診察などで、視力検査は91年に導入。家庭で保護者が視力をはかり、保健所などで実施する2次検査で保健師や看護師らがチェックする方法が多い。