高齢者住宅の報酬下げ拡大 訪問介護、厚労省方針
高知の介護支え、存在感 “縁の下の力持ち”家政婦さんを見た
■立ち上がった!
夕食の準備が整った。この日のメニューはカツオのたたきにサラダ、コロッケだ。「聡介さんが食材の準備をしてくれるので、私は簡単に作るだけ」と小松谷さん。食事を始めた修さんは「これはうまい」と満足な様子だ。小松谷さんが目を細めている。
小松谷さんが竹内家で仕事を始めたのは今年4月。以前は病院の看護助手をしていたが、家族の介護をしたことがきっかけでこの道に進み、今年で14年。現在はこの家を含めて4軒ほどの家庭に仕事に行く。
「小松谷さんがいいんじゃ。おやじに優しい、気がつかんような細かいところまで掃除してくれる」と聡介さん。
夕食を終えた修さん。満足そうにほほ笑む。上機嫌で、「筋トレが重要なんじゃ」と健康のこつを話す。「うんうん」と聞く小松谷さん。ほどなく、車いすから立ち上がった。
玄関に置いてあったゴルフクラブを手に取り、私たちに修さんが大好きなゴルフの練習を見せてくれる。「転んでけがをするんじゃないか」と慌てたのは小松谷さん。さっと支えに動いた。修さんは控えめにクラブを振ったあと、再び車いすに戻る。小松谷さんは緊張の糸が緩み、ほっとしたようだ。立ったときなどに見守る人がいると家族も心強いだろう。
■寝ずのお世話
就寝は午後9~10時ごろ。小松谷さんは台所のソファで寝る。
午後10時半、寝室から「おーい」と声がする。小松谷さんが駆け寄ると、修さんのパジャマが濡れている。小松谷さんは「せーの」と修さんの体を抱えてすぐに新しいパジャマに。声がかかってから5分ほどで作業が終了。小松谷さんも寝ぼけ眼だったが、すぐに後始末を終え、修さんに布団を掛けてあげた。
パジャマは聡介さんが家の外の洗濯機に入れた。「すぐに洗わんとね」と言いながら洗剤を入れる。「大変で。でもこれが老々介護だと思うし、これが日常と思ったら、なんとかなるわ」と聡介さんはつぶやいた。
この日は午前0時半、3時、5時にそれぞれトイレへ。寝室で修さんがゴソゴソ物音を立てると、小松谷さんはすぐに起きて駆け寄った。「横になったらすぐ眠るし、小さな音でもすぐに起きるの」と話す。
■専門家が見た
県内には三つの家政婦紹介所があり、小松谷さんは高知市愛宕町1丁目の「満和(みつわ)介護家事紹介所」の所属。代表の小原明子さん(58)によると、現在30~80代の約90人が登録。調理師免許、ヘルパー2級を持つ人など、さまざまな特技を持つ人が在籍する。
同市長浜の居宅介護支援事業所でケアマネジャーをする松沢佐和さん(54)は「ヘルパーさんは夜間巡回でお宅に行くことはあるけど、夜勤となると難しい」と話す。夜間も見守ってくれる家政婦さんは、現代の在宅介護の隙間を埋める“縁の下の力持ち”なのだ。
家事労働者問題に詳しい高知県立大の根岸忠准教授によると、家政婦は法律上、家事使用人に該当する。女中さんに始まる歴史が元で、労働者ではありながら、労働基準法(労基法)の適用除外のまま現在に至る。各家庭で事故が起こった場合に保護する法整備は追いついておらず、家政婦さんは個別に保険を掛けている。
「今でも家政婦さんは金持ちの家が雇っていると思われがち。でも今は介護の隙間を埋める存在となり、性質が変わっている。女中とは違いますから、家政婦さんを巡る法的環境などを、そろそろ見直してもいいと思います」と話す。
■再び竹内家
修さんは知る人ぞ知る、高知市内の学習塾の創業者。聡介さんは2代目に当たり、今は3代目のお孫さんに任せている。
修さんが老人ホームから帰ってきた日は、“父と息子”の時間。聡介さんは修さんの好物を作ったり、話しかけたりする。
そんな2人が有意義に過ごせるよう、ほどよい距離でサポートするのが小松谷さんの仕事。時に2人の話し相手もしながら、手助けをしている。
小松谷さんは、家政婦の仕事をする上で大切なことは、「自分は家族の一員であるような気持ちで勤めること」という。修さんの世話をしている時は「まるで自分の父を見ているようだ」と感じるそうだ。
竹内家に1泊した小松谷さんは朝7時ごろ起床。台所に立ち、パンとみそ汁、サラダを作った。修さんが食べるのを見ながら、これから老人ホームに帰る修さんの持ち物などを整えた。
「お父さん、薬を忘れずに飲んでくださいね」
仕事は9時すぎに終了。「なかなか決まった時間には終わらないですね」と小松谷さん。小松谷さんに車いすを押されて外に出た修さんは、聡介さんの車に乗り込んだ。
家の外にはコスモスの花がなびいている。朝風が爽快だ。秋空の下、車の助手席に乗った修さんをのぞき込む。「じゃ、また来週」。“スーパー家政婦”はごくさりげない感じで、あいさつを交わした。
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ウォームビズ始動 衣食住の工夫で快適に
環境省国民生活対策室ではこの日、職員がセーターやベストなどを身に着けて勤務。竹田智宏(たけだ・ともひろ)室長補佐は「適正に暖房を使用すれば省エネ効果があり、電気代も節約できる。多くの人にウォームビズを実践してほしい」と話した。
ウォームビズは環境省が2005年に提唱。保温効果の高い下着やセーターなどの着用や膝掛けの利用などが有効としており、窓から熱を逃がさないよう厚手のカーテンの使用も推奨している。
家族や友人で暖房の効いた部屋に集まって過ごしたり、公共施設や商業施設に滞在したりしてエネルギー消費を減らす「ウォームシェア」の実施も呼び掛けている。
民進新代表は日銀出身の政策通 大塚氏、趣味はバレー
前原誠司代表の辞任了承を受け、30日夜に本格化した後任選び。岡田克也・元民進代表は参院主体の政党になったことなどを踏まえ、立候補を固辞。参院議員からの選出論が広がるなか、水面下では、立憲民主党と希望の党とに3分裂した民進の現状を映すような動きが繰り広げられた。
名前が挙がったのは、立憲寄りとされる小川敏夫・参院議員会長と希望寄りの議員が推す大塚氏だ。これに蓮舫元代表を推す勢力が参戦した。3氏の周辺は、立候補の届け出が締め切られる31日午後1時まで動き、最終的に「党が割れかねない」(参院幹部)として大塚氏への一本化でまとまった。