ワクチン特例承認 副反応不安、病院内の圧力...現場懸念
■兵庫県「最終的には個人の判断」
一般に先行して行われる医療従事者向けのワクチン接種に、医療現場からは副反応などへの不安や、院内で圧力が生じることへの懸念の声が上がっている。
コロナ患者に対応する阪神地域の病院に勤める女性看護師は「院内では『全員接種』の通達があった。上司に『怖くて打ちたくないのは理由にならない』と圧をかけられた」と明かす。
接種を希望せず、退職を検討する職員もいるという。近い将来妊娠も視野に入れる女性は「自分の意見も言えず、接種を受けない人が悪者扱いされるのはおかしい。人権が無視されている」と涙ながらに訴えた。
兵庫県保険医協会の西山裕康理事長は「接種は自分のためであり他人のためでもあるが、打たない自由はある。医療機関内で同調圧力が生まれ、差別の温床になる恐れがある」と危惧する。
ファイザー製ワクチンの効用について、神戸市立医療センター西市民病院(神戸市長田区)の小西弘起副院長は「臨床試験で発症を95%抑えたとされるが、感染させない効果は分からない」とする。「接種は受けてくれた方が良いが、病院として接種の有無を区別する理由はない」と述べた。
県ワクチン対策課の担当者は「接種が望まれる」としながら「最終的には個人の判断。接種の有無で業務の担当などに影響してはならない」としている。