ワクチン第1便、日本着 ファイザー製、40万回分 厚労省、承認へ午後審議 新型コロナ
新型コロナウイルス感染症ワクチンの第1便を載せた航空機が12日、ベルギーのブリュッセルから成田空港に到着した。米製薬大手ファイザー製で、厚生労働省は同日午後の専門部会で特例承認するかどうかを審議。田村憲久厚労相は同日午前、専門部会で特例承認が差し支えないとの結論が出れば「即座に承認し、その上ですぐに接種を始めていく」と述べ、迅速に対応する考えを強調した。正式承認を急ぐ。
ワクチンを載せた全日空機は午前10時20分ごろ、成田に着陸した。政府関係者によると、ワクチンは約40万回分に上る。第1便は当初、14日に届く予定だった。
審査業務を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)が既に、提出されたデータの分析などから、特例承認して差し支えないとの審査報告書をまとめている。専門部会は、報告書の妥当性などを中心に審議する。
承認されれば、同意を得た医師らへの先行接種を17日に始める方向で政府は調整している。
ワクチンは、ファイザーがドイツ企業「ビオンテック」と共同開発したRNAワクチン。第2便以降の到着見通しは立っていない。欧州連合(EU)がワクチンの輸出管理を強化しているためで、接種スケジュールに影響する可能性がある。
ファイザーはこれまでに海外で約4万3千人を対象に臨床試験(治験)を実施。ワクチンを接種した人と偽薬を接種した人のグループを比較した結果、ワクチンが発症率を95%抑えたと報告している。日本国内でも160人を対象に治験を実施した。
※ファイザー社の新型コロナウイルス感染症ワクチン
遺伝子を人工的に合成して投与する技術を活用した「RNAワクチン」と呼ばれる新しいタイプ。有効性を保つため冷凍状態を維持しなければならない。日本では、倉庫から零下75度前後で接種の拠点となる施設へ送り、超低温冷凍庫などで保管、管理する。接種を行う医療機関などには使いやすいよう小分けし、原則3時間以内で運ぶ。