コロナワクチン国内初承認 米ファイザー製、特例で 首相「17日に接種開始」
2021年2月15日 (月)配信共同通信社
厚生労働省は14日、米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルス感染症ワクチンを国内で初めて正式に承認した。海外で承認されていることなどから日本での審査を簡略化する特例承認の制度を適用した。菅義偉首相は15日の衆院予算委で、ファイザー製ワクチンについて「17日には医療関係者への接種を開始したい」と述べた。国内でいよいよワクチンが利用可能になり、流行収束への切り札として期待がかかる。
ワクチンの販売名は「コミナティ筋注」。添付文書によると、対象は16歳以上で、3週間空けて2回接種する。妊婦は利益が上回ると判断された場合に接種し、高齢者には十分に健康状態を観察するよう求めた。一方で、明らかな発熱がある人や、ワクチン成分に重い過敏症がある人などは接種できないとした。
日本政府は今年中に約1億4400万回分の供給を受けることで同社と契約している。
政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂(おみ・しげる)会長は14日のNHK番組で、医療従事者の接種が本格的に始まることで「日本における副反応のレベルが、外国と同じか低いかが分かってくる」と説明。「正確、迅速に市民に広報していくことが求められる」と述べた。
厚労省は新型コロナワクチンを、まん延を防ぐため緊急に行う「臨時接種」に位置付けて国民に無料で接種する方針。15日にも、接種の「努力義務」が課せられる対象を明確にするほか、どのような副反応が出た場合に国に報告を求めるのかなどについて、専門家の意見を聞く会合を開く。
日本には12日に同社の主力工場があるベルギーから成田空港に約40万回分の第1便が到着、零下75度の超低温で保管されている。13日深夜に宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震があったが、加藤勝信官房長官は14日の記者会見で「同社に確認したところ、地震による停電の影響は受けていない。必要な温度で管理されている」と語った。
新型コロナのワクチンはほかに英アストラゼネカが厚労省に承認申請をしているほか、欧米などで製品が実用化されている米モデルナとも日本政府が供給契約を交わしている。
※ワクチンの優先接種対象
新型コロナウイルス感染症ワクチンは、まず安全性調査のため、同意を得た医療従事者約2万人に接種する。3月中旬からは、新型コロナウイルス患者や感染の可能性のある患者と接する機会の多い医師や看護師、薬剤師ら約370万人が対象となる。4月以降は約3600万人いる65歳以上の高齢者に接種。次に65歳未満で呼吸器疾患や心臓病など持病がある人や肥満の人、高齢者施設の職員へ接種し、その後にワクチン供給量や地域の状況に応じてこれら以外の人に接種する見通し。