【ソウル共同】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は18日、新型コロナウイルスワクチン接種用の特殊注射器の量産を今月始めた医療機器メーカーを視察し「米ファイザー社をはじめ、日米など世界の約20カ国から2億6千万本以上の購入要請を受けている」と明らかにした。
ファイザー製ワクチンの場合、一般の注射器は1瓶当たり5回分しか取れないが、特殊注射器は6回の接種が可能。限られたワクチンを無駄なく使えるため注目が集まっているが、世界的に品薄で日本も確保が遅れている。メーカー側は、日本から約8千万本の購入要請があるとしている。
文氏が訪問した西部、全羅北道(チョルラプクト)・群山(グンサン)の医療機器メーカーは、現在は1カ月に約1千万本の生産が可能で、3月からは最大2千万本以上を製造できる見通し。韓国の保健当局に加え、米食品医薬品局(FDA)も17日に使用を承認した。
日本では、医療機器メーカーのニプロ(大阪市)がタイにある工場の月間生産能力約50万本を数倍に増強する方針だが、増産分の供給は9月ごろになる見込み。
韓国大統領府によると、政府とサムスン電子の支援で、試作品の製作から生産までの工程を通常の1年から1カ月に短縮した。
文氏は「サムスンが特殊注射器の需要が高まることを予測してあらゆる面で協力した。政府も一つのチームだった」と成果を強調。特殊注射器の輸出を通じて「世界各国のコロナ克服に大きく貢献できる」とたたえた。
韓国では他の医療機器メーカー2社も特殊注射器を生産しており、政府は国内で使用する4千万本を確保。2社にも海外から購入要請が寄せられているという。