小児科発熱外来に受診者急増 岡山県内、第6波子ども感染拡大
2022年1月31日 (月)配信山陽新聞
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が急拡大する中、岡山県内の小児科医院が設けている発熱外来の受診者が急増している。10歳未満と10代を合わせた今月のコロナ感染者数は2502人。県内でコロナ禍が始まった2020年3月から21年末までの1234人を大きく上回る。コロナだけでなく、風邪や肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症などにかかった子どもが押し寄せているといい、関係者は通常診療を制限せざるを得ない状況に陥ることへの危機感を募らせている。
「昨日から熱があるんです」「頭痛が続いている」「のどの痛みで、食べ物を飲み込むのもつらそうで」...。
27日、高杉こどもクリニック(総社市井手)の診察室。わが子を連れた母親の訴えに、高杉尚志院長が耳を傾ける。聴診器で呼吸音を確認するなどした高杉院長は解熱剤を処方。症状を電子カルテに打ち込んでいると、次の患者が入ってきた。
コロナに感染している可能性が高いと判断した場合、別棟でPCR検査をする。その合間に、コロナで自宅療養する子どものオンライン診療、PCR検査の結果を知らせる電話連絡、乳幼児の定期検診などをこなさなければならない。この日は午前中のみの診療だったが、発熱外来を含め43人が来院した。
高杉院長は「約80人が受診した日もあり、余裕は全くない。他の病気の患者さんの診療を断らざるを得ないケースも生じている」と話す。
今回の流行「第6波」では、子どもたちの間での感染拡大が目立つ。今年に入り、学校園で発生したクラスター(感染者集団)は26件で、21年末までの19件を超えた。「子どもが発熱すると、オミクロン株の感染力の強さを知る保護者が不安に感じ、医院に駆け込む構図」(県内のある医療関係者)となり、受診者数を押し上げているとみられる。
昨夏の流行「第5波」の10倍となる1日約30人が発熱外来を訪れるももたろうクリニック(岡山市南区妹尾)。症状があり、コロナに感染している可能性が高い患者の検査を優先するため、23日から無症状の人を対象にした県の無料PCR検査への協力を中止した。
森茂院長は「これ以上、感染を広げないためにも、3月から始まる見込みの5~11歳へのワクチン接種を前倒しすべきだ」とする。
小児科と内科を置く倉敷市内の医院も発熱外来の受診者が増加している。昨年末までは月に数人程度だったが、1月中旬からは毎日4、5人が来院。不登校の子どものカウンセリングなども実施していることから、ぎりぎりの状態だという。
青木内科小児科医院(岡山市南区大福)も以前の6倍に当たる1日約30人が発熱外来を受診するという。青木佳之院長は「保健所や学校園、医療機関が連携して感染情報を共有するなどして拡大を食い止めなければ、地域の小児科診療はパンクしてしまうだろう」と話している。