全国で相次いだ広域強盗事件で、「ルフィ」などと名乗り犯行を指示した疑いがある特殊詐欺グループのリーダー格とされる渡辺優樹容疑者(38)=窃盗容疑で逮捕=が、フィリピンを拠点とする前の2017年ごろ、タイでも特殊詐欺に関わっていたとみられることが分かった。警視庁は摘発を逃れるため拠点を転々としていたとみて調べる。
9日に日本に移された渡辺容疑者。グループのリーダー格とみられる© zakzak 提供
◇
渡辺容疑者は北海道東部の別海町出身。学生時代からススキノでアルバイトをし、客引きやパブの経営などで生計を立てるようになった。
17年にはタイに滞在していたことが出入国の記録から判明。同年8~12月、日本国内の仲間と共謀して「口座から現金が不正に引き出されている」と嘘を言い、高齢者らからキャッシュカードをだまし取るなどした疑いがある。
渡辺容疑者はその後、フィリピンに拠点を移した。21年4月に首都マニラで逮捕されるまで、五つ星の高級ホテル「オカダ・マニラ」に潜伏、併設のカジノで豪遊するなど派手な生活を送っていた。国家捜査局は逮捕時、渡辺容疑者について日本、フィリピンなど数カ国で活動する大規模詐欺グループの「ビッグボス」だと説明していた。
広域強盗事件でルフィと共に指示役とされるのが「キム」と名乗る人物だ。東京都狛江市の自宅で大塩衣与(きぬよ)さん(90)が殺害された強盗殺人事件では、現場付近から逃走したレンタカー内にあったスマートフォンに、キムが通信アプリ「テレグラム」で送った「手袋や目出し帽を用意するように」とのメッセージが残っていたことが分かった。
警視庁調布署捜査本部は、車両のそばにいた重要参考人の永田陸人容疑者(21)=中野区の強盗傷害事件で逮捕=への指示の疑いがあるとみて捜査している。スマホにはキムが大塩さん宅の住所や「地下に金がある」とのメッセージもあった。捜査本部はルフィやキムの特定を進めている。