国内病院に治療断られる 国の認証装う、移植法違反
ベラルーシでの臓器移植を無許可であっせんしたとして臓器移植法違反の疑いでNPO法人「難病患者支援の会」(東京)の理事菊池仁達(きくち・ひろみち)容疑者(62)が逮捕された事件で、同法人が、海外での移植後の継続治療や経過観察のため国内の病院を手配するとしていながら、病院側に断られるケースが複数あったことが10日、捜査関係者への取材で分かった。
病院側が患者の受け入れを断ったのは、海外での移植の経緯が不透明だったことが理由とみられる。患者らへの説明に比べ、ずさんな態勢だった疑いもあり、警視庁生活環境課は同法人の活動実態を調べている。
内閣府認証のNPO法人とうたって患者を募集していたことも判明。実際の認証主体は東京都で、国の官庁の名前を使って患者や家族の信用を得ようとした可能性がある。同課は関係先から患者のものとみられる約150人分の名簿を押収しており、勧誘した際の状況を確認している。
同法人の資料やホームページには「しっかりとした帰国後のバックアップ」などと態勢が整っていることを強調する記載があり、患者らに同様の説明をしたとみられる。
また特定非営利活動促進法(NPO法)改正で、2012年から認証主体が内閣府から東京都に変わったのに、近年もホームページなどで内閣府認証とうたっていた。
菊池容疑者は無許可で都内の40代男性の親族に移植を勧め、渡航・移植費用名目で現金3300万円を支払わせ、ベラルーシの国立病院で22年2月、男性に肝臓移植を受けさせた疑いがある。
加藤勝信厚生労働相は10日の記者会見で「同様の事案の有無を含め情報収集し、必要な対応を検討する」と述べた。