近頃は塩分の取り過ぎが問題視され、「減塩梅干し」が主流になっているようだが、私が若かりし頃にそのようなものはありません。
ちなみに、「梅干し」というと「しょっぱい」というイメージが先行して、「梅干し」と聞いただけで唾が出る人も多いと思うが、昔は「しょっぱくない梅干し」もあったのです。
が、塩は普通に使うので、塩分濃度は20%を超えます。
それでも何故かしょっぱくはない。
しょっぱいは「塩酸っぱい」という意味だが、それはできてからまだ年数が経っていない若い梅干しであって、年数を経るにつれてしょっぱくなくなるのです。
で、我が家は酒屋だったので、紀州から4キロくらいの樽に入った梅干しを仕入れ、それを小分けして売っていました。
ちなみに、その小分けを私はよくやらされたのだが、小分けに飽きることも多く、そんなときにはしばしば大粒の梅干を口にしていたが、一回の小分けをしている間に3粒か4粒は食べていました。
今の梅干ではしょっぱ過ぎてとてもそのようなことはできないが、昔はそれが出来たのです。
そして、小分けが終わると樽の底には蜂蜜そっくりの液体が残り、それがまた美味しいのです。
蜂蜜にそっくりではあるが、蜂蜜ではないので、甘くはありません。
それを指に付けてなめていたが、塩辛さはあまり感じないし、酸っぱさもあまり感じない。
だからかなりなめられたのだが。
多分大さじで2杯か3杯分はなめたかも。
今考えれば「塩分の摂り過ぎ」になるのだろうが、そのころはまだ塩分の摂り過ぎなど問題にもならなかった時代だが。
そして、それで喉が渇いた記憶もないのです。
それでは何故しょっぱくなかったのか。
それは・・・・。
今ではとても考えられないだろうが、その梅干し。
製造元で出来上がった梅干しを樽に詰め、それを2年か3年(それ以上かも)倉庫で熟成させ、それから出荷していたのです。
そんな事情もあったので、私などと同世代以上の人には、毎年自分で梅干を作って保存をし、「5年物」「10年物」にしてから食べる人もいるのです。
別なもので例えるなら、「ボージョレヌーボー」と「年代物の高級ワイン」といったところか。
正直、私らの時代は物のない貧しい時代と思われているが、意外にも、今なら「超高級品」と言えるようなものをけっこう食べていたのかも。
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