Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

激しい雨の日、そしてフェルナンド・ロペス=グラサのコンチェルト・ダ・カメラを聴く

2009-05-07 05:00:10 | 古典~現代音楽ポルトガル編
昨日は朝から雨が降っていたのでウォーキングはお休みしました。
昨日聴いたのは1906年生まれのグラサ(グラーサ)の作品。
彼はポルトガルのトマールに生まれ、
1924年にリスボン音楽院に入学して音楽を学んだ。
最初は、ストラヴィンスキーやバルトーク、
シェーンベルクの音楽に傾倒し、影響を受けていたようだが、
1937年パリに行き、シャルル・ケクランに作曲を師事し、
それからはポルトガルの民族音楽を取り入れ、
彼独自の音楽スタイルを確立したようである。
アカデミア・デ・アマドーリス・デ・ムジカで、
1941年からは教育活動に従事したようだ。
コンチェルト・ダ・カメラは、1965年に作曲された作品で、
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチに献呈されている。
今回聴いたCDの演奏はロストロポーヴィッチのチェロ、
コンドラシン指揮、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団による。

第一楽章アレグロ・モデラートは、
荒涼とした感じで始まるハープ、
ピアノと弦楽器に導かれ、チェロ独奏が入る。
チェロ独奏はある時は激しさも持ち、
訴えかけるような旋律を奏でていく。
音楽は緊張感を持ちながらチェロ中心に展開していく。
彼自身はポルトガルの共産党に入り、
独裁者アントニオ・サラザールの政権に反対した人物だ。
だからその政権下の時代に作曲されたのを考えると、
そこにはその時代背景が反映している感じもする。
第ニ楽章アンダンテは、チェロ独奏によって始まる。
チェロが奏でる音楽には、シリアスな雰囲気であり、
政治的重圧という現実の中で何かを語ろうとする感じに思える。
第三楽章フィナーレは、4つの音型からなる音列が示され、
それをもとにチェロ独奏と管弦楽による掛け合いが続く。
音楽は時に闘争的でもあり、攻撃的なリズムを以って、
管弦楽はチェロとの競演を展開し盛り上がっていく。
それがいったん静まると、独奏チェロ中心に音楽は展開し、
最後は何かを回顧するかのような感じの中、静かに終わる。
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ポーチュガルの序曲「フォア伯爵」を聴きながら、西谷から二俣川まで歩く

2007-10-08 06:43:58 | 古典~現代音楽ポルトガル編
昨日は、西谷から二俣川まで歩く。
途中聴いた曲はポルトガルのマルコス・ポーチュガルの曲。
1762年リスボンに生まれたポーチュガルは、
14歳の頃には最初の作品を作曲したようだ。
1792年から1800年にはイタリアで生活していたようで、
イタリアの様々な劇場のために書かれた歌劇は、
21に及ぶみたいで、1800年にポルトガルに帰国後は、
リスボンの劇場で指揮者として活躍したようだ。
カルバーリョが国内で当時よく知られた作曲家とは違い、
彼は当時国際的によく知られた作曲家だったようだ。
1811年にはブラジルに移住し、
ブラジル独立後もブラジルにとどまり、
1830年リオ・デ・ジャネイロで亡くなったようだ。

序曲「フォア伯爵」はゆったりとした序奏から始まる。
主部に入るとモーツアルトの音楽のような旋律が流れる。
ホルンの吹奏などを聴くとドイツ的な印象も受ける。
他の国でも知られた作曲家だったというのも分かる気がする。
音楽は盛り上がりを見せながら、最後ドイツ風に終わる。

ところでこの曲の説明が書かれてあったCDの解説書、
外で持ちながら時々読んだりしていたら紛失してしまった。
序曲は1805年に作曲された作品のようだが、
うーん、この序曲について書いた内容が思い出せない。
ナポリ様式であることが書いてあったような、
そしてケルビーニの影響を受けていることも書いてあったような。
記憶は定かではないが、ケルビーニの影響を受けているとしたら、
まさに、この序曲「フォア伯爵」の音楽を聴くと
きっと納得できるかもしれない。
それにしてもCD解説書、どこでなくしたんだっけ?
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カルバーリョの序曲「勤勉な愛」を聴きながら、横浜から上星川まで歩く

2007-09-27 06:52:51 | 古典~現代音楽ポルトガル編
昨日は、横浜から上星川まで歩く。
途中聴いた曲は、1745年ポルトガル生まれの
ジョアン・デ・ソウザ・カルバーリョの作品。
そこで、CDの英文で書かれた解説を読んでみる。
ポルトガルでは、カルバーリョに続きモレイラ、
ポーチュガル、ボンテンボといった作曲家が登場するが、
カルバーリョは、この三人の作曲家を教えたようだ。
この時期のポルトガルはジョアン5世(在位1706-1750)、
ジョゼ1世(在位1750-1777)の治世にあたるが、
ブラジルからもたらさせる黄金により、黄金期にあった。
この経済的な豊かさを背景に、
イタリアからは多くの音楽家や振付師を招く一方、
国内の作曲家をイタリアに派遣し、学ばせている。
当時はイタリア歌劇が人々の人気を集めた時代で、
ジョアン5世の時にはリスボンに歌劇場が開設されている。
(ただ、1755年にリズボンで地震があった。
歌劇場はどうなったのだろう。再建されたのだろうか。)

序曲「勤勉な愛」は、1769年に作曲された作品で、
当時流行していたニコロ・ヨメルリの影響を受け、
明らかにイタリア歌劇の影響が強くでているようだ。
最初のアレグロ・コン・スピリートでは、
弦楽器が軽快に旋律を奏し、ファゴットの音も心地よい。
聴いた感じモーツアルトの音楽を聴いているようでもある。
(モーツアルトもイタリア・オペラ形式の作品を
多く残しているのであたりまえだろうが)
続くアンダンティーノ・コン・モルトでは、
最初叙情的な旋律が現われ、やや悲しげである。
中間部は優しい感じの旋律が登場するが、
再び叙情的な旋律が現われ、次の部分に切れ目なく続く。
最後のアレグロ・スピリトーソは弦楽器とホルンが活躍する。
活躍するホルンの吹奏が心地よく、曲は華やかさの中で終わる。
日本の現代作曲家の作品をずっと聴いていたからか、
こんな時代の作品を久しぶりに聴くとほっとするなあ。
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横浜から西谷までボンテンポの交響曲第一番・第二番を聴きながら歩く

2007-05-06 05:53:14 | 古典~現代音楽ポルトガル編
昨日は横浜から西谷まで歩く。
聴いた曲はボンテンポの交響曲第一番・第二番である。
ボンテンポは、1771年生まれのポルトガルの作曲家である。
CDの解説文を指揮者のカッスートが書いている。
その英文の解説によると、イタリアのオーボエ奏者で
リスボンの王宮のオーケストラのメンバーだった父の息子として
生まれたボンテンポは、その父が1795年に亡くなってからは、
王宮のオーケストラの首席オーボエ奏者の地位を得た。

彼が名声を得るのは1801年のパリであり、
ピアニストおよび作曲家としてめざましい活躍した。
公演での成功もあって彼の作品は出版された。
パリで1809年に初演された交響曲第1番は、
4手のピアノ用に編曲した版として出版されるようになった。

30代にパリで名声を得たボンテンポは
1820年にリスボンに戻り1822年に音楽協会を創設し、
1833年にはリスボン音楽院つまりは音楽学校を設立し、
校長をつとめ音楽教育にも力を注いだようである。

ボンテンポは6つの交響曲を残したようだが、
交響曲第1番はハイドンやモーツアルトの影響を受け、
いわゆる古典的な交響曲のスタイルで書かれている。
第一楽章を聴けばそれはすぐに分かる。
通常第三楽章にメヌエットがくるはずの楽章の構成が、
この作品の場合、第二楽章にメヌエットがくるのが珍しいところだ。
第二楽章の中間部のフルートなど管楽器のやりとりがいい。
第三楽章は主題に基づく自由な変奏曲形式でいかにもハイドンぽい。
ここではフルートの独奏が途中で活躍する。
第四楽章のプレストもハイドン的である。

フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルンの2管編成と、
ティンパニのためにこの交響曲は書かれていているのだが、
ティンパニのパートがホルンのパートから独立していることや
ボンテンポに直接影響を及ぼした交響曲が
トランペットなしでティンパニを使用していない理由から、
指揮者のカッスートはティンパニのパートに、
2本のトランペットを加えているようだ。

交響曲第2番は第1番に比べロマン派的な部分がある。
それは第一楽章の序奏を聴いただけでもわかるが、
序奏が終わると途端に古典的なスタイルの音楽に戻ってしまう。
でも時々その古典的音楽の均衡を壊すかのようにベートーヴェンぽくなる。
宮廷的な優雅な音楽とベートーヴェンのような激しい音楽が
なぜか折衷したような感じで音楽としてはまとまりが悪い。

ここが、この時点でのボンテンポの限界だったのだろうか、
新しい音楽の潮流に敏感ではあっても、
保守的な部分としての今までの部分をすっかり捨てきれない。
当時のポルトガルの聴衆が求めるものがこのような折衷型だったのか?
作曲家はどっちに依拠するか常に選択を求められるのだろうが、
新しい音楽の潮流に乗るか、保守的な曲にこだわるか、
どっちかに突っ走ればいいのにといっても難しいだろうなあ。
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