Mars&Jupiter

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グスタフ(グスターヴ)・ホルストの組曲「惑星」の様々な演奏者のCDを聴いて考える

2023-12-03 21:04:12 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
今回は1874年生まれのイギリスのグスタフ・ホルストの、
組曲「惑星」作品32について最近色々な演奏を比較して聴いている。
それを踏まえて最近感じていることについて述べてみる。
最初に聴いたのはロジャー・ノリントン指揮、
シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏のものである。
この演奏は2001年の録音で録音も良く、シャープな演奏である。
火星の冒頭のテンポはかなり遅く、後半の主題が再び現れるところで、
打楽器と金官楽器で強烈なリズムを刻み、そこがとても印象的である。
金星は軽快なテンポであっさりとした感じではあるが、
流れるように進み心地よく、木星も弦楽器の動きがはっきりしていい。
あっさりとした感じではあるのだが、聴いていて楽しいのである。
次に聴いたのはウィリアム・スタインバーグ指揮、ボストン交響楽団の演奏。
1971年の録音であり、火星での強烈なティンパニの音と、
軽快なテンポで一気に進んでいくところが心地よい。
全曲通してもテンポも絶妙でバランスが良い。
久しぶりに聴いてさすが名盤の一つにあげられるといえよう。

そのあと聴いたのが、ユージン・オーマンディ指揮、
フィラデルフィア管弦楽団の演奏である。
1975年の録音で、オーケストラの乱れが一部あり、
録音状態は決して良いとは言えないが、演奏は素晴らしい。
特に土星は比較する中ではベストの演奏だと思う。
オーマンディ盤は演奏表現が他になく細やかで、別格である。
最近の演奏は録音がよく、オーケストラはうまいのだが、何か物足りない。
その一例としてユロフスキ盤など聴いてみたのだが、今一つである。
ワクワク感やドキドキ感がないのだろうか。
抑制されすぎているのか、聴いた後に残るものがない。
そのあとチャールズ・マッケラス指揮、
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いた。
マッケラス盤は金管楽器が鳴り響き火星の演奏は素晴らしい。
全曲通していいことはもちろんだが、土星の演奏がいい。
このCDも名盤といってもいいほどで、比較して聴いてみると面白い。
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グスタフ(グスターヴ)・ホルストの日本組曲作品33(H126)を聴く

2018-03-30 07:23:56 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
今回からはイギリスの作曲家の作品をランダムにあげていきます。
今回取り上げるのは、1874年生まれのホルストが、
1915年に作曲した日本組曲作品33(H126)である。
花見の時期になるとこの曲を思い出すものである。
日本組曲については、このブログで2度触れたが、
今回はサー・アンドリュー・デイヴィス指揮、
BBCフィルハーモニックの演奏による盤をとりあげたい。
この間ジョアン・ファレッタ盤も発売されたので、
ボールト盤、ジョン・ヴィクトリン・ユウ盤と4種類がある。
作品の詳細については以前触れたので省略する。

第1曲「前奏曲~漁師の歌」は、ファゴットのソロで始まる。
そのいかにも日本的なメロディをファゴットが奏でるが、
そのファゴットのソロがまず素晴らしい。
旋律は弦楽器に引き継がれていくが、
それは牧歌的な音楽へと広がっていく。
第2曲「儀式的な踊り」は、「娘道成寺」という歌舞伎や
長唄に使われた旋律をもとにした作品であることは以前書いた。
ユニゾンで奏される素朴な旋律が、
金管楽器や打楽器も加わりダイナミックに発展する。
第3曲「マリオネット(操り人形)の踊り」は、
鉄琴が奏でる軽快な旋律が、色々な楽器に引き継がれる。
第4曲「間奏曲~漁師の歌」は、第1曲の旋律が、
弦楽器中心に奏される短い曲である。
第5曲「桜の木の下での踊り」は、
「江戸子守歌」の旋律をフルートが奏でて始まる。
それがファゴット、イングリッシュ・ホルンに引き継がれ、
旋律は弦楽器、フルートとイングリッシュ・ホルンが引き継がれる。
第6曲「フィナーレ~好色漢たちの踊り(狼たちの踊り)」は、
第2曲と同じ「娘道成寺」を使った作品である。
徐々に盛り上がっていくこの曲は狂乱した感じに盛り上がる。
アンドリュー・デイヴィス盤は各楽器の音がはっきり聞こえ、
ダイナミックな演奏をみせて素晴らしい。
ボールト盤もいいのだがそれ以上に勧めたい演奏である。
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グスタフ・ホルストのエグドン・ヒース作品47(H172)を聴きながら、二俣川から鶴ヶ峰まで歩く

2010-12-20 02:38:08 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
長く続けてきたグスタフ・ホルストの特集であるが、
いよいよ今回で終わりにしたいと思います。
最後にとりあげるのは、ホルストの管弦楽曲である。
エグドン・ヒース作品47(H172)、は、1927年に作曲された。
トーマス・ハーディの小説「帰郷」の中のヒース荒野の描写に
影響を受けて作曲された作品で、ニューヨークで初演された。
イギリスでの初演は1928年2月チェルトナムで行われ、
続けてロンドンのクイーンズ・ホールで行われたが、初演は不評だったようだ。
ちなみにロンドンの公演での指揮者はチェコのターリッヒだったようだ。
聴いたCDは、サー・エドリアン・ボールト指揮、
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるもの。
曲はコントラバスで弱々しく奏される旋律に始まり、
フルートやファゴットなど管楽器なども加わり、
他の弦楽器も加わっていくが、荒涼とした感じがある。
人生の苦悩を思わせるかのようでもある曲は、
やがて、徐々に明るさを加え、ホルンやトランペットも入り、
迷走するような弦楽器の動きにオーボエが絡み、
さらにトランペットが加わっていく。
弦楽器はせかすかのような速い動きを見せもするが、
やがて静まり、ホルンが堂々とした主題を奏で、
トランペットも加わっていき、低弦は歩みのようなリズムを刻む。
その上で弦楽器や木管楽器が主題を繰り返していく。
木管楽器と弦楽器による静かな音楽がしばらく続き、
弦楽器のみによる合奏が、途中何度かフルートなど木管楽器が加わり中断する。

繰り返される弦楽器の旋律は、人生の厳しさを表現しているようでもある。
コントラバスが再び主題を奏で、弦楽器中心にその旋律が奏される中、
再び、中間部で現れた堂々とした主題が金管楽器に現れ、
他の楽器にも引き継がれ、やがて孤独感を示すトランペット・ソロが入る。
そしてそれに続きクラリネット・ソロも入り、
クライマックスを迎えることなく、最後は弦楽器のみで静かに終わる。
この曲で何かを期待してはいけない、何か劇的なものがあるわけではない。
「惑星」などにみられる派手なものを求めても何もない。
この音楽は、分かってほしいと思って作曲された音楽でなく、
人々の理解を拒絶しているような、難解な曲である。
この荒涼とした音楽は、彼の精神的な世界を投影しているのだろう。
この作品はホルストが自分自身のために書いた作品のような気がする。
ここには、彼の音楽に対する厳しい姿勢を感じたりもする。
ボールト盤は渋さのある演奏で味わい深さがあるが、
一般にはヒコックス盤が聴きやすいかもしれない。

なお、今回までとりあげたホルスト編やイギリス音楽編のCD等の情報は、
以下のアドレスの各分野のところで赤字NEWで示してあります。
http://www1.ocn.ne.jp/~bocchi07/ongaku-kenkyu.html
参考にしていただければ幸いです。
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グスタフ・ホルストのカプリッチョ(H185)を聴く

2010-12-15 06:54:18 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日は歯医者に行くため、ウォーキングを休みました。
今回取り上げるのは、ホルストの管弦楽曲である。
カプリッチョ(H185)は、1932年に作曲された作品である。
1932年2度目の渡米をしたホルストは、ハーヴァード大学で教え、
この時、演奏バンドのための放送用の小品を作るよう依頼された。
この音楽は結局、放送されることもなく、忘れ去られた。
「ジャズバンド用小品」とされたこの曲にはタイトルがなかったが、
娘イモージェン・ホルストがこれを管弦楽用に1967年編曲し、
翌年クイーンズ・エリザベス・ホールで初演された。
この時、イモージェンは「カプリッチョ」というタイトルを付けた。
聴いたCDは、イモージェン・ホルスト指揮、
イギリス室内管弦楽団の演奏による。
弦楽器のソロで始まる旋律はイギリスの叙情的な民謡風である。
これにハープが入り、弦楽器全体で主題を奏し、ホルンも入る。
そのあと曲調は変わり、軽快な感じの旋律が奏でられ、
トランペットにより行進曲風の旋律が高らかに奏される。
そして最初の叙情的な民謡風の旋律が再び現れ、絡んでいく。
後半ではイングリッシュホルンも登場し、最後は軽快なトッティで終わる。
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グスタフ・ホルストの「3つの民謡(原典版)」(H106A)を聴きながら、三枚町から西谷まで歩く

2010-12-10 04:09:53 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日は三枚町から西谷駅まで歩きました。
途中聴いたのは、ホルストの吹奏楽曲である。
「3つの民謡」(H106A)は、1905年頃に作曲されたものである。
曲は3つの民謡の旋律から成っており、
それを吹奏楽用にアレンジした作品である。
聴いたCDは、レイフ・アルネ・タンゲン・ペデルセン指揮
ノルウェー王国海軍バンドの演奏によるものである。
CDの解説によると最初に出てくるのが、モリス・ダンスの中の、
「グロリーシェアーズ(Glorishears)」とよばれる旋律のようで、
「偉大な年(Glorious Years)」という意味だそうだ。
これは吹奏楽のための組曲第2番の冒頭に出てくる旋律である。
だから聴けばすぐにわかるが、若干旋律は違っている。
これに続くのが、「彼は戻る、彼女は戻る(He back,she back)」の旋律。
舞曲風の旋律が堂々とした感じで演奏される。
そして、もう一つが「レビの息子(Sons of Levi)」の旋律である。
行進曲風ではあるが、おだやかで堂々とした曲である。
そして、再び冒頭に戻り、最初の二つの旋律が奏でられ終わる。
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