Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステルの交響曲第4番ハ短調作品54「復活祭前夜」を聴く

2023-04-30 17:12:16 | 古典~現代音楽チェコ編
今回は1859年生まれのチェコの作曲家フェルステルが、
1905年に作曲した交響曲第4番ハ短調作品54「復活祭前夜」に触れる。
今回聴いたCDはランス・フリーデル指揮、
スロヴァキア放送交響楽団の演奏である。
第一楽章モルト・ソステヌートは、
ティンパニの音と弦楽器で重々しく始まる。
暗く思いつめたような感傷的な主題が繰り返されていく。
もう一つの主題は対照的で明るい感じである。
展開部で最初の重々しい主題が繰り返される。
ドラマティックに盛り上がるところもあり、
ティンパニの叩く音に乗り行進曲風に進むところもあり、
静かな部分と盛り上がりの部分を繰り返していく。
最後のコーダの部分は力強く旋律が繰り返され、最後静かに終わる。
第二楽章アレグロ・デシーソは、金管楽器の奏でる旋律で始まり、
スケルツォ風に流れるような旋律が奏でられていき、
スラヴ風の民族的な旋律を感じさせるところがある。
ブルックナーをやや感じさせるところもある。
中間部の明るい旋律も自然を感じさせる。
冒頭のスケルツォ風の旋律が再び現れ、最後は力強い一音で終わる。

第三楽章アンダンテ・ソステヌートは、
ヴァイオリン・ソロと2本のファゴットの音でゆったりと始まり、
フルートやホルン、オーボエの音も絡んでいく。
また、金管楽器のコラール風の旋律も現れる。
ゆったりした中でも情熱的に盛り上がる変化もあり、
最後は弦楽器に美しく甘美な旋律が現れ、
それが繰り返され、盛り上がったあと穏やかになって終わる。
第四楽章レント・ルグブレ-アレグロ・モデラートは、
冒頭は第一楽章のように重々しい感じで始まる。
そして弦楽器中心に明るい旋律が奏でられ、金管楽器も絡んでいく。
徐々に盛り上がったあと、ヴァイオリンなど弦楽器のソロが入る。
金管楽器が鳴り響いたあと、いったん静かになり、
弦楽器の旋律と金管楽器の鳴り響くところがあり、
このあたりはブルックナーやマーラーを想起させる。
そのあとは力強い主題が繰り返される中でフーガ風に進んでいき、
ヴァイオリン・ソロと金管楽器の旋律が絡み合い、
主題を繰り返しながら、盛り上がりをみせていく。
そのあとオルガンの音が鳴り響き、宗教的な雰囲気が加わり、
ゆるぎない信仰心を示すかのように、主題が力強く繰り返されていく。
最後に金管楽器とともにオルガンが鳴り響き、盛り上がって終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クレシミル・バラノヴィッチのバレエ組曲「リツィタル・サルツェ」を聴く

2023-04-23 14:18:54 | 古典~現代音楽バルカン地域編
今回は1894年生まれのクロアチアの作曲家バラノヴィッチが、
1927年に作曲したバレエ組曲「リツィタル・サルツェ」に触れる。
今回聴いたCDはクレシミル・バラノヴィッチ指揮、
ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団の演奏である。
バラノヴィッチはシベニクで生まれ、ザグレブでピアノとホルンを学び、
ウィーン国立音楽大学で1912年から1914年まで作曲を学んだ。
翌年からはザグレブ歌劇場の指揮者となり、
その後スロヴァキアでも指揮者としても活動したようだ。
そのあとはベオグラード中心に活動し、
ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者も10年以上務めた。
バレエ組曲「リツィタル・サルツェ」は6つの曲から成っている。
リツィタル・サルツェとは北クロアチアにみられる
ジンジャー・ブレッドのことで、赤いハート形などしており、
クリスマスなどの飾り物などにもする伝統菓子のようである。

第1曲「定期市にて」は、明るく弾んだ旋律で始まる。
やがて金管楽器も加わり、華やかな感じになり、
打楽器も加わり、騒々しい感じで盛り上がる。
それが終わると静まり、新たな舞踏的な旋律になり、
徐々に荒々しい舞踏へと発展し、最初の主題も現れ、
二つの主題をもとに徐々に熱狂的な高揚感をみせていく。
にぎやかな定期市の様子を描いているのだろうか。
民謡風の旋律も現れ、エネルギッシュで色彩豊かな音楽である。
終わりの方はヴァイオリンが奏でる美しい旋律の後、
再び金管楽器も加わり、リズミックな旋律が繰り返され、
次の第2曲「男女が登場する」に切れ目なく続いていく。
この曲の最初は、ゆったりとした旋律で始まる。
ロマンティックな旋律が弦楽器により奏でられ、
切れ目なく次の第3曲「リツィタルが命を得る」に移る。
これもゆったりとした旋律であり、ワルツ風である。
第4曲「2つのリツィタル・サルツェのパ・ド・ドゥ」は、
金管楽器と打楽器により荒々しく勇ましく始まる。
舞踏的な感じで盛り上がって高揚したあと、
後半は夜を思わせるようなゆったりとした旋律になる。
第5曲「教会の外側」は、トランペットの旋律で始まる。
打楽器も加わり、盛り上がりをみせていく。
ヴァイオリン中心の歌うような旋律が奏でられ、
徐々に高揚する中で終曲にそのまま続く。
第6曲「祝賀会」は、金管楽器と弦楽器による速い旋律で、
お祭り騒ぎのように盛り上がっていき、終曲らしい。
最後は盛り上がったところで力強く終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フラン・ロートカのバレエ組曲「村の悪魔」を聴く

2023-04-15 20:39:49 | 古典~現代音楽バルカン地域編
今回は1883年生まれのクロアチアの作曲家ロートカが、
1935年に作曲したバレエ組曲「村の悪魔」に触れる。
今回聴いたCDはフラン・ロートカ指揮、
ザグレブ国立歌劇場管弦楽団の演奏である。
フラン・ロートカはチェコで生まれ、
プラハ音楽院でホルンと作曲を学んだ。
この時、作曲で師事した先生にはドヴォルザークがいる。
1909年からはザグレブに移り住み、そこで音楽の仕事を得て、
クロアチアの音楽教育にも携わり、指揮者としても活動したようだ。
バレエ組曲「村の悪魔」は7つの曲から成っている。
ストーリーは分からないが、各曲のタイトルで想像はできそうだ。
第1曲「悪魔は恋人ミルコとイェラに対して企む」は、
何やら大変なことが起きるかのように、
民謡風の旋律に乗って、騒々しい音楽で始まる。
それが静まり、弦楽器とフルートがゆったりとした旋律を奏でられる。
そして抒情的な旋律が弦楽器中心に奏でられ、
管楽器も絡み、最後は静かに終わる。

第2曲「踊り」は、駆け抜けていくような軽快なテンポで、
何かが迫りくるかのような緊張感がある。
民謡風の旋律が奏でられ、高揚したところで終わる。
第3曲「地獄」は、ファゴットの音で始まり、おどけた感じである。
ハンガリーの音楽を思わせるような舞踏的音楽である。
第4曲「魔女たちのサバト」は、ワルツを思わせるような音楽で始まるが、
どこか怪しい感じで荒々しさもあり、打楽器の音が悪魔的である。
サバトは魔女たちの集会だが、それを思わせるおどろおどろしさがある。
第5曲「魔女たちのどんちゃん騒ぎ」は、ファゴットの音で始まる。
そのあと民謡風の旋律が奏でられていき、舞踏的な音楽になる。
一方感傷的な感じのゆったりとした旋律も現れ、
二つの旋律が交互に現れて、絡んで盛り上がって終わる。
第6曲「光の回復」は、オーボエの音で始まる。
そのあと弦楽器が奏でる生き生きとした旋律が繰り返される。
第7曲「ミルコの地獄からの脱出、村人の歓喜」は、
苦悩を思わせるような地獄を思わせる音楽で始まり、
これとは対照的な力強い旋律が次に現れる。
舞踏的な音楽になり、徐々に盛り上がり、
最後は明るい音楽になり、高揚したところで終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イグナツィ・フェリクス・ドブジンスキの交響曲第2番ハ短調「性格的」作品15を聴く

2023-04-08 20:06:26 | 古典~現代音楽ポーランド編
今回は1807年生まれのポーランドの作曲家ドブジンスキが、
1831年に作曲した交響曲第2番ハ短調「性格的」作品15に触れる。
今回聴いたCDはヤロスワフ・ティエル指揮、
ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏である。
ドブジンスキは当時ロシア領にあったヴォルィーニで生まれた。
幼いころからヴァイオリン奏者で作曲であった父から音楽を学び、
1826年からはワルシャワ音楽院で学んだ。
当時の音楽院にはショパンも同級生でいたようだ。
交響曲第2番で受賞し、1845年からはドイツへ行き、
ソリストとして活動し、歌劇や演奏会の指揮もしたようだ。
ポーランドに戻ってきてからは自分の楽団を創設し、
音楽教育にも力を入れ、教育機関も創設したようである。

第一楽章アンダンテ・ソステヌート-アレグロ・ヴィヴァーチェは、
ソナタ形式で書かれており重々しい序奏で始まり、
ベートーヴェン風に悲劇的な始まる。
弦楽器中心に徐々に明るくなっていくが、
主部の提示部に入ると、やはりベートーヴェン風なダイナミックな部分と、
シューベルトを思わせる軽快で流れる旋律が交互に現れる。
展開部の主題の展開のところも新鮮で、フーガ風に展開するところもあり、
シューベルトの後期交響曲のように大胆でなかなか聴き応えがある。
再現部を経て主題中心に盛り上がっていき、最後は力強く終わる。

第二楽章アンダンテ・グラツィオーソは、
のどかな感じのホルンの吹奏で始まる。
その旋律は木管楽器にも引き継がれ、
弦楽器も受け継いでいくが、明るさと影を交互にみせながら、
歌うような旋律が奏でられていき、再びホルンの吹奏が現れる。
それに弦楽器が支え、旋律は木管楽器に移る。
そして弦楽器中心に旋律を奏でていき、
それに木管楽器やホルンが絡んでいく。
美しい旋律であり、とても印象的な楽章である。

第三楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポは三部形式で、
トランペットの3音と木管楽器で始まるメヌエットである。
優雅な感じの旋律が奏でられていき、主題は繰り返される。
明るく舞踏的で民謡風の旋律は親しみやすい。
中間部はクラリネットとヴァイオリン独奏が活躍する。
そして再び冒頭のメヌエット主題が繰り返されて終わる。
最後トランペットの3音で終わるところがなかなかいい。
第四楽章ヴィヴァーチェ・アッサイは、
弦楽器とクラリネットによる生き生きとした旋律で始まる。
主題が各楽器に引き継がれていくところが素晴らしい。
流れるように音楽が進んでいき、シューベルトの風である。
シューベルトの交響曲が好きな人であれば、気に入るのではないか。
最後は金管楽器が絡んでいき、最後は盛り上がって堂々と終わる。
この作品が受賞されるぐらい評価されたのも最もだと思う。
もっと評価されてもいい交響曲の一つであると思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベラ・バルトークのルーマニア民俗舞曲Sz.68 BB76を聴く

2023-04-02 09:13:32 | 古典~現代音楽ハンガリー編
今回は1881年生まれのハンガリーの作曲家バルトークが、
1917年に作曲したルーマニア民俗舞曲Sz.68 BB76に触れる。
今回聴いたCDはアダム・フィッシャー指揮、
ハンガリー国立交響楽団の演奏である。
もともとピアノ作品として1915年に作曲されたものを、
作曲者自らが管弦楽に編曲したものである。
第1曲棒踊りは、揺れるような伴奏に合わせ、
弦楽器が奏でる旋律は少し物悲しい感じもある。
第2曲帯踊りは、木管楽器が奏でる少しおどけたような旋律がいい。
第3曲踏み踊りは、フルートの奏でる旋律が神秘的である。
第4曲角笛踊りは、ヴァイオリンの奏でる旋律が、
揺れ動く感じで、民謡の特徴を表現している。
第5曲ルーマニア風ポルカは、軽快な音楽で躍動的でいい。
第6曲速い踊りは、躍動的な旋律の2つの曲からなる。
踊りの高揚感を表すかのように盛り上がる最後がいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする