<鶴岡で、西のアカムツ>
「東のキチジ、西のアカムツ」という。
東の横綱キチジ(吉次)はキンキとかメンメとも呼ばれる。西の横綱アカムツはノドグロの名のほうが有名で、どちらもキロあたり一万円以上つくのはざらという超高級魚である。
ノドグロは新潟、富山、石川など日本海沿岸域で獲れるが、意外や北限は青森であり、山形の鶴岡でも獲れる。というわけで、今夜のミッションは鶴岡でアカムツなのだ。
思ったより遠かったが、庄内ホテルからどうやら道を間違えることなく鶴岡駅まで来た。ここからの地図は頭に入っている。あと五分あるから予約時間ぎりぎりには着ける。
鶴岡で海鮮系酒場リストのトップに君臨する、居酒屋「堂道(どうみち)」だ。
暖簾をくぐるとさすがに人気店である、一階はカウンターに数席を残して満員盛況であった。予約客だというと、二階に案内された。
階段あがってとっつきの座敷に通される。奥にもうひと部屋あるようだ。六卓ほどあって、わたしの隣の卓には女性二人の先客がいた。
メニューをさっと見ると、あらかじめ決めていたノドグロの刺身と、とりあえず喉を潤す焼酎の水割りを頼む。隣席の女性客に気を使って煙草はしばらく我慢する。
ノドグロだが、網を使うより、釣りのほうが魚体が傷つかないので刺身に向いた漁獲方法だそうだ。
洒落たお通しで焼酎を一杯飲み干すと、ノドグロを歓迎するべく地酒「大山」の熱燗を注文することにした。煙草を吸う予約客も現れて禁煙脱出に成功。
すぐ出来るつまみでも頼むかどうするか迷っているうちに、運ばれてきた。
握り寿司くらいしか食べたことないが、ノドグロは光輝くばかりでなんとも美しい刺身である。
ひと切れ摘み醤油を少量つけて口に運ぶ。口のなかに風味ある甘さと、とろけるような食感、たっぷりの上質の脂が広がっていく。
白身のトロ・・・とはなるほど良く言った。追いかけるように含んだ地酒の辛さが見事に調和してくれる。
(むっ、閃いたぞ!)
この贅沢すぎるトロのような刺身の合い間に、サザエを合わせてみるのも面白いかもしれないぞ。思いついて追加する。
コリコリした噛みごたえのサザエ、大山、ノドグロ。素晴らしい組み合わせだ。
サザエも極上大ぶりで、その貝殻にびっしり付いたフジツボも元気いっぱいに蠢いて活きている、という驚くべき新鮮さであった。
トロッ・・・ぐびり・・・コリッ・・・ぐびり・・・句読点に打たれる肝の苦み。即席だが満点無類のコンビネーションだ。
たちまち大徳利二本が空き、温かな料理一品と大徳利をもう一本追加する。
堂道を出てからどこかもう一軒寄って、ゴロで焼いたイカで酒を呑み、駅前からタクシーで帰り、部屋のベッドにバッタリ倒れこんだ記憶がうっすらあるが、はっきりと思いだせない。
まあ、いつものことだけれど。きっと思い出さないほうがいいのだ。
→「鶴岡、庄内ホテル水田テラス(2)」の記事はこちら
→「仙台、分町で吉次(1)」の記事はこちら
→「仙台、分町で吉次(2)」の記事はこちら
「東のキチジ、西のアカムツ」という。
東の横綱キチジ(吉次)はキンキとかメンメとも呼ばれる。西の横綱アカムツはノドグロの名のほうが有名で、どちらもキロあたり一万円以上つくのはざらという超高級魚である。
ノドグロは新潟、富山、石川など日本海沿岸域で獲れるが、意外や北限は青森であり、山形の鶴岡でも獲れる。というわけで、今夜のミッションは鶴岡でアカムツなのだ。
思ったより遠かったが、庄内ホテルからどうやら道を間違えることなく鶴岡駅まで来た。ここからの地図は頭に入っている。あと五分あるから予約時間ぎりぎりには着ける。
鶴岡で海鮮系酒場リストのトップに君臨する、居酒屋「堂道(どうみち)」だ。
暖簾をくぐるとさすがに人気店である、一階はカウンターに数席を残して満員盛況であった。予約客だというと、二階に案内された。
階段あがってとっつきの座敷に通される。奥にもうひと部屋あるようだ。六卓ほどあって、わたしの隣の卓には女性二人の先客がいた。
メニューをさっと見ると、あらかじめ決めていたノドグロの刺身と、とりあえず喉を潤す焼酎の水割りを頼む。隣席の女性客に気を使って煙草はしばらく我慢する。
ノドグロだが、網を使うより、釣りのほうが魚体が傷つかないので刺身に向いた漁獲方法だそうだ。
洒落たお通しで焼酎を一杯飲み干すと、ノドグロを歓迎するべく地酒「大山」の熱燗を注文することにした。煙草を吸う予約客も現れて禁煙脱出に成功。
すぐ出来るつまみでも頼むかどうするか迷っているうちに、運ばれてきた。
握り寿司くらいしか食べたことないが、ノドグロは光輝くばかりでなんとも美しい刺身である。
ひと切れ摘み醤油を少量つけて口に運ぶ。口のなかに風味ある甘さと、とろけるような食感、たっぷりの上質の脂が広がっていく。
白身のトロ・・・とはなるほど良く言った。追いかけるように含んだ地酒の辛さが見事に調和してくれる。
(むっ、閃いたぞ!)
この贅沢すぎるトロのような刺身の合い間に、サザエを合わせてみるのも面白いかもしれないぞ。思いついて追加する。
コリコリした噛みごたえのサザエ、大山、ノドグロ。素晴らしい組み合わせだ。
サザエも極上大ぶりで、その貝殻にびっしり付いたフジツボも元気いっぱいに蠢いて活きている、という驚くべき新鮮さであった。
トロッ・・・ぐびり・・・コリッ・・・ぐびり・・・句読点に打たれる肝の苦み。即席だが満点無類のコンビネーションだ。
たちまち大徳利二本が空き、温かな料理一品と大徳利をもう一本追加する。
堂道を出てからどこかもう一軒寄って、ゴロで焼いたイカで酒を呑み、駅前からタクシーで帰り、部屋のベッドにバッタリ倒れこんだ記憶がうっすらあるが、はっきりと思いだせない。
まあ、いつものことだけれど。きっと思い出さないほうがいいのだ。
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