<暁の宿(1)>
寝床を出ると、半纏を着てカメラ、タオル、煙草など一式を持って一階に降り、フロント前のガラス扉を開けて外に出た。
目の前には漆黒の太平洋が広がっている。
太古より、永遠の繰り返し。夕方になれば陽は沈み、また朝がくれば陽は昇る。
「薄明(はくめい)」といって、地平線や水平線から太陽が昇る前から、大気に浮遊する塵に無数の光が散乱して明るくなりはじめる。夕方、陽が沈むときにも同じように薄明の状態が発生する。
江戸時代までは、朝の「薄明」が始まったときを「明け六つ」、夕方の「薄明」が終わったときを「暮れ六つ」として時刻の基準とした。
明け六つ時を現在の二十四時間法でいうと、だいたい午前五時から七時くらいになる。
つまり、今だ。
「暁(あかつき)」という言葉は古くは空が明るくなる前の「未明」だったが、現代では「夜明け」や「明け方」まで意味が広がった。
日の出を表す言葉には「黎明(れいめい)」、「払暁(払暁)」、「彼者誰(かわたれ)」、「明け」、「夜明け」、「暁」、「東雲(しののめ)」、「曙」などがありいかにも美しい日本語である。
朝の「彼者誰=彼は誰」とまったく同じように、夕方に「黄昏(たそがれ)=誰そ彼」があるのが面白い。
(くそっ、なんてこったい! あの細い窓からベランダに出れたのか)
撮影が一段落したので振り返ったら、どの窓もひとが鈴なりでベランダに出ている女性たちもいたのだ。さきほどから背後の頭上が騒がしく、冷やかな視線も背中一面に突き刺さっていたのである。
身体が冷え切ってしまったが、ここは一番ポーズとしてゆっくり一服してから温泉で温まるとしようか。
― 続く ―
→「いちご狩り」の記事はこちら
→「南房総の花(1)」の記事はこちら
→「南房総の花(2)」の記事はこちら
→「勝浦の朝市(1)」の記事はこちら
→「勝浦の朝市(2)」の記事はこちら
寝床を出ると、半纏を着てカメラ、タオル、煙草など一式を持って一階に降り、フロント前のガラス扉を開けて外に出た。
目の前には漆黒の太平洋が広がっている。
太古より、永遠の繰り返し。夕方になれば陽は沈み、また朝がくれば陽は昇る。
「薄明(はくめい)」といって、地平線や水平線から太陽が昇る前から、大気に浮遊する塵に無数の光が散乱して明るくなりはじめる。夕方、陽が沈むときにも同じように薄明の状態が発生する。
江戸時代までは、朝の「薄明」が始まったときを「明け六つ」、夕方の「薄明」が終わったときを「暮れ六つ」として時刻の基準とした。
明け六つ時を現在の二十四時間法でいうと、だいたい午前五時から七時くらいになる。
つまり、今だ。
「暁(あかつき)」という言葉は古くは空が明るくなる前の「未明」だったが、現代では「夜明け」や「明け方」まで意味が広がった。
日の出を表す言葉には「黎明(れいめい)」、「払暁(払暁)」、「彼者誰(かわたれ)」、「明け」、「夜明け」、「暁」、「東雲(しののめ)」、「曙」などがありいかにも美しい日本語である。
朝の「彼者誰=彼は誰」とまったく同じように、夕方に「黄昏(たそがれ)=誰そ彼」があるのが面白い。
(くそっ、なんてこったい! あの細い窓からベランダに出れたのか)
撮影が一段落したので振り返ったら、どの窓もひとが鈴なりでベランダに出ている女性たちもいたのだ。さきほどから背後の頭上が騒がしく、冷やかな視線も背中一面に突き刺さっていたのである。
身体が冷え切ってしまったが、ここは一番ポーズとしてゆっくり一服してから温泉で温まるとしようか。
― 続く ―
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お久しぶりです。そして、遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
本年も沢山の旅日記を楽しみにしています。
犬吠埼ですね・・・。私も昨年の冬、日帰りツーリングで訪れました。今度は、灯台前の白いポストから、故郷の仲間に葉書を投函してみたいと思っています。
しかし、灯台から太平洋を見ますと、東側と西側の海の模様が、なんであんなに違うのでしょうか?
東側の浜辺に打ち寄せる波は荒々しく、一方、西側の波は優しく打ち寄せて来ます。同じ海なのに不思議でした。
「地球の丸く見える丘展望館」は行かれましたか?
澄み切った空気の今の季節は、本当に地球の丸さを体感させてくれる施設でした。
今年も沢山のアップを期待しています。誠に申し訳ありませんが、私bは「ROM」となってしまう傾向にありますが、何卒、よろしくおねがいします。
こちらも遅ればせながら、年頭のご挨拶を。
あけましておめでとうございます。
展望館、記事にしてはいませんがもちろん行きました。犬吠埼と展望館はあの辺りではセットですものね。
ROM(リード・オンリー・メンバー)で結構ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
温泉クン