温泉クンの旅日記

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峩々温泉(1)

2019-01-20 | 温泉エッセイ
  <峩々温泉(1)>

「あ、アッチィーッ!」
 ほかに誰もいないからだが、ふだんのいぶし銀を思い切りかなぐり捨てて温泉好きにあるまじき悲鳴をあげてしまう。
 掛け湯したときに<こりゃ入るのはホネだぞ>とたっぷり認識したのにもかかわらず、ゆるゆると身を沈めようとして、膝を曲げたところでの強制静止。スクワットの動作途中ってやつ。

 

 源泉温度は五十八度というが、こいつは四十六、七度はあるのではないか。あるいはもっと。玉子じゃあるまいしこれ以上湯に入るのはとにかくヤバすぎだ。
 すっぱり断念して浴槽から飛び出る。
 食堂と温泉がある棟の一番奥のドアを開け、仮設の足場みたいな階段をのぼると無料貸切風呂の「天空の湯」がある。

 

 見た目に湯はぜんぜん溢れていないし湯気もあがっていないが、浴槽の下部から古い湯が流れ出て常に新しい湯が満たされるようになっているのだ。

 内湯に移動して、ぬる湯の浴槽とやらに身を沈める。先ほどの洗礼があるので、熱いのだが適温にすら感じてしまう。

 

 前に「続・温海温泉(1)」の記事でこう書いた。
  『噛みつくほどの熱さではないので四十三、四度くらいだろう。よく見ると、白い細かな湯の花が
  湯の中で舞っている。ぬるい湯より熱い湯のほうがいい。ぬるい湯だと、どこで出るのかタイミングが
  ジツに取りづらい。そこへいくと、熱ければカップ麺の表示みたいに「熱湯三分」とか「熱湯四分」と
  いうふうになんとなく「けじめ」がつく。
   パンチのある、活きのいい湯である。一日の疲れがみるみるほどけていく。』

 と、そんな感じ。
 ぬる湯とは名ばかりでかなり熱いのだが、先ほどの露天風呂に比べれば、仔猫の甘咬みていどでちょうどいい。

 

 奥にある「あつ湯」には見覚えがあった。

 

 たしかそのときには、周りに置いた木枕に寝そべって腹あたりに掛けたタオルに竹筒みたいなもので浴槽の熱い湯をひっきりなしに掛けていた湯治客がいたのだった。
 湯温は最低でも四十七度ある。外気がまったく入らない内湯なので、入浴は無理筋、百杯かけ湯が本筋である。

 

 外には、露天風呂が二つある。
 階段を降り切ると、混浴の露天風呂だ。

 

 趣きはあるのだが、浅い湯船で落ち着かないのと、女性客が来るのではないかとやたら気になる。

 早々に切り上げて、また階段をのぼり、内湯を出てすぐの露天風呂に戻る。
 深さもあって丁度よく、こちらのほうが落ち着ける。

 

 よっしゃあー、峩々温泉もこの露天風呂ですべて上がりとなる。ようやく景観を楽しむ余裕をとりもどす。
 明治九年(1876年)創業で開湯百四十四年のここ峩々温泉だが、正面に見える切り立った崖がごつごつとした様子、それが峩々(がが)の由来である。

 

 峩々の湯は四万温泉とよく似た泉質で、飲めば胃腸に良く入れば肌によいと昔から言われている。


  ― 続く ―


   →「四万温泉 温泉三昧の宿(1)」の記事はこちら
   →「四万温泉 温泉三昧の宿(2)」の記事はこちら
   →「四万温泉 温泉三昧の宿(3)」の記事はこちら


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