<続・赤坂でパスタ・ランチ>
好き嫌いのとても激しいヤツだと、長い間わたしは思われている。これは、人間関係のことではなく、とりあえず食べ物の話と限っておきたい。
ヒトがあそこのあれが美味しいから行こうよと、しかたなくついていっても、自分の舌の最低基準にあわないものは食べたくない。しかたなく食べて、ここのよりもっと安くて美味しいとこがあるのにとも素直に言えない性格だ。
食べ物を残すのは最低とわかっているが、不味いと箸がピタリと止まってしまう。
超の字がつく高級中華の「山王飯店」でランチバイキングを食べにいってちょっとだけ残してしまい、先輩と女性同僚から声を揃えてボロクソに言われたのは忘れようにも忘れられない。残したのは・・・あれはたしか大根餅だったと記憶している。
この山王飯店事件は、わたしが他人と食べるのが臆病になった原因のひとつだ。ボロクソに罵った二人は、こんなことはたぶんもうきれいさっぱり忘れているだろうが。
そこで、一緒に昼食を食べにいくときは相手によって自分の好きなものを変える。だから、わたしのことをあるヒトはフライものが恐ろしく好きなヤツだと思っているし、ラーメンばかり飽きずに食っている野郎だと思っているヒトもいる。
とにかく面倒くさいのである。ジツは違うのだよと説明もしたくない。
だから、相当に親しくても好き嫌いが多いと思っているはずだ。
「甘いものはお食べにならないんでしたよね!」
と、連休明けに<萩の月>を配っている女性に言われて、いつも「わたしは甘いものはどうも」と丁重に断っているので、心中「とんでもない、それは好物です」ともいまさら言えずにいつも地団太を踏むのだ。

昔の赤坂TBS会館のビルは、赤坂見附で働いているころ昼食でよく使った。セキュリティどうのこうのがまだなかったころである。
何人かでいくのは地下二階にある社員食堂みたいなところで、わたしはラーメンばかり食べていた。
しかしひとりのときは、ちょっと高めの送別会などにも利用していた地下一階のイタリア料理店で食べていた。こっそり月一回の楽しみで、眼の前の鉄板で焼くステーキを食べていたのもこのころだ。
赤坂サカス手前のビルの二階に、そのイタリア料理店「グラナータ」が移転していた。

腹はすいている。
そのために懐かしい日枝神社を参詣してきたのだ。山王日枝神社は、徳川家康以来の江戸城の鎮守である。


参詣には階段と、迂回する坂道しかなかったのだが、最近、エレベータで登れるようになっていた。

ちょっとボンビーな服装が似つかわしくない店だが、場数だけは踏んでいるので堂々と入店し、窓際のテーブルに案内してもらう。


ランチメニューを無視して、アラカルトで大好きな「ペンネ・アラビアータ」を注文した。千二百円とは、店構えの割にはリーズナブルだ。禁煙なのでアルコールとかは我慢だ。
「十五分ほど、お時間がかかりますがよろしいでしょうか」
ぜんぜん構わない、待ちますと言って、喫煙スペースの場所を訊いた。地下一階にあるそうなのでそこに向かう。
ゆっくり一本吸って二階のテーブルに戻ると、ほどなく運ばれてきた。

かなり刺激的な辛さであるが、とても美味しい。ペンネの固さもベストだ。量もたっぷりあるので、パンを追加するのをやめておいた。
ニンニクが微塵切りでなく、ぶつ切り状態で入っているのは珍しい。このあと、ちょっとヒトと話すのは遠慮したほうがよさそうだ。

食事中にあまり水を飲まない主義なのだが、二杯も飲んでしまう。
ペンネとごろっとしたニンニクをすべて食べ終え、唐辛子をよけて、残った辛いソースもフォークで掬ってきれいに食べきった。うーむ辛い・・・やっぱりパンを追加すれば良かったかとチラリと後悔する。
「お食事後になにかお飲み物でも」
マニュアル通りの問いかけに、「いえ、けっこう」と立ちあがった。
旨かったが、口のなかが燃えるように辛い。一刻も早く、どこかの店の氷がたっぷり入った水割りで冷やしたいのであった。
→「赤坂で、パスタ・ランチ」の記事はこちら
→「モティのナン」の記事はこちら
好き嫌いのとても激しいヤツだと、長い間わたしは思われている。これは、人間関係のことではなく、とりあえず食べ物の話と限っておきたい。
ヒトがあそこのあれが美味しいから行こうよと、しかたなくついていっても、自分の舌の最低基準にあわないものは食べたくない。しかたなく食べて、ここのよりもっと安くて美味しいとこがあるのにとも素直に言えない性格だ。
食べ物を残すのは最低とわかっているが、不味いと箸がピタリと止まってしまう。
超の字がつく高級中華の「山王飯店」でランチバイキングを食べにいってちょっとだけ残してしまい、先輩と女性同僚から声を揃えてボロクソに言われたのは忘れようにも忘れられない。残したのは・・・あれはたしか大根餅だったと記憶している。
この山王飯店事件は、わたしが他人と食べるのが臆病になった原因のひとつだ。ボロクソに罵った二人は、こんなことはたぶんもうきれいさっぱり忘れているだろうが。
そこで、一緒に昼食を食べにいくときは相手によって自分の好きなものを変える。だから、わたしのことをあるヒトはフライものが恐ろしく好きなヤツだと思っているし、ラーメンばかり飽きずに食っている野郎だと思っているヒトもいる。
とにかく面倒くさいのである。ジツは違うのだよと説明もしたくない。
だから、相当に親しくても好き嫌いが多いと思っているはずだ。
「甘いものはお食べにならないんでしたよね!」
と、連休明けに<萩の月>を配っている女性に言われて、いつも「わたしは甘いものはどうも」と丁重に断っているので、心中「とんでもない、それは好物です」ともいまさら言えずにいつも地団太を踏むのだ。

昔の赤坂TBS会館のビルは、赤坂見附で働いているころ昼食でよく使った。セキュリティどうのこうのがまだなかったころである。
何人かでいくのは地下二階にある社員食堂みたいなところで、わたしはラーメンばかり食べていた。
しかしひとりのときは、ちょっと高めの送別会などにも利用していた地下一階のイタリア料理店で食べていた。こっそり月一回の楽しみで、眼の前の鉄板で焼くステーキを食べていたのもこのころだ。
赤坂サカス手前のビルの二階に、そのイタリア料理店「グラナータ」が移転していた。

腹はすいている。
そのために懐かしい日枝神社を参詣してきたのだ。山王日枝神社は、徳川家康以来の江戸城の鎮守である。


参詣には階段と、迂回する坂道しかなかったのだが、最近、エレベータで登れるようになっていた。

ちょっとボンビーな服装が似つかわしくない店だが、場数だけは踏んでいるので堂々と入店し、窓際のテーブルに案内してもらう。


ランチメニューを無視して、アラカルトで大好きな「ペンネ・アラビアータ」を注文した。千二百円とは、店構えの割にはリーズナブルだ。禁煙なのでアルコールとかは我慢だ。
「十五分ほど、お時間がかかりますがよろしいでしょうか」
ぜんぜん構わない、待ちますと言って、喫煙スペースの場所を訊いた。地下一階にあるそうなのでそこに向かう。
ゆっくり一本吸って二階のテーブルに戻ると、ほどなく運ばれてきた。

かなり刺激的な辛さであるが、とても美味しい。ペンネの固さもベストだ。量もたっぷりあるので、パンを追加するのをやめておいた。
ニンニクが微塵切りでなく、ぶつ切り状態で入っているのは珍しい。このあと、ちょっとヒトと話すのは遠慮したほうがよさそうだ。

食事中にあまり水を飲まない主義なのだが、二杯も飲んでしまう。
ペンネとごろっとしたニンニクをすべて食べ終え、唐辛子をよけて、残った辛いソースもフォークで掬ってきれいに食べきった。うーむ辛い・・・やっぱりパンを追加すれば良かったかとチラリと後悔する。
「お食事後になにかお飲み物でも」
マニュアル通りの問いかけに、「いえ、けっこう」と立ちあがった。
旨かったが、口のなかが燃えるように辛い。一刻も早く、どこかの店の氷がたっぷり入った水割りで冷やしたいのであった。
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→「モティのナン」の記事はこちら
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