温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

八幡野温泉郷(1) 静岡・伊東

2015-06-28 | 温泉エッセイ
  <伊豆で九州宿(1)>

 明け方、小鳥の囀りで眼を覚ました。
 いつものような都会の騒音で起きるのとはまるで違う、じつに爽快な朝の目覚めだ。
 小鳥たちの囀りに混じって、よく通る鴬の鳴き声も聞こえて一瞬、自分がどこにいるかわからなくなる。



「八幡野温泉郷 きらの里」という伊豆高原の宿なのだが、まるで九州の黒川温泉にいるような錯覚がある。

「いやぁ・・・この宿、ちょっと気にいってしまったなあ」
 十年くらい前から存在は知っていたが、九州の宿をよく知っているわたしはどうせ「まがいもの」の宿だろうと鼻にもかけなかったのである。

 時計をみるともうすぐ五時になる。
 タオルを持ち部屋を出て鍵を掛け、外廊下にある階段を降りようとする足がぴたりと止まる。
 リスが階段の手すりをひょこひょこと上がってくる。うぅ・・・可愛い。
 階段の手すりをあがりきり、外廊下の幅の狭い手すりの上を軽やかに無音で駆けていく。



 杜のなかに三つ点在する露天風呂はすべて空いていた。



 三番の風呂の鍵をとり、奥に歩く。一番奥にあるのだ。
 鴬の鳴き声がする。
 周りに人がいないのを確認して、得意の物真似の封印を解く。
「ケキョケキョケキョ、ホー、ホケキョー!」
 部屋の窓からしたかったのだが、両隣の客に遠慮したのだ。
「・・・・・・」
 鴬が鳴きやんで、小さな頭で考え込んでいるようだ。
「ホー、ホケキョオー!」
 だいぶ近くにきたようだ。自分の縄張りを突然荒らされて怒っているのかもしれない。ふふふ。面白い。鴬クンと「秘密の会話」を交わしてしばらく遊んであげる。



 三番の棟の鍵を開けて中に入ると、作務衣を脱ぎすて、掛け湯をして浴槽に身を沈めていく。絶妙の熱め、好みの湯温である。
 参の湯、岩に囲まれた湯船の「岩座」。



 三方の壁に欄間がしつらえてあって、ずらせば木洩れ日を取り入れられる。





 昨日、待ち時間はかかったが三つある露天風呂すべてに入った。ついでにあと二つの露天風呂も書いておこう。

 壱の湯、巨石をくり抜いた湯船の「石匠」。



 弐の湯、壁に竹をつかっている「竹仙」。



 そろそろ一度戻って冷たい水を飲んでから、昨日挽いておいた珈琲を慎重丁寧にドリップして朝のコーヒータイムと洒落こむとしよう。



 自分で豆から挽いて飲むのはラビスタ函館ベイ以来だ。


  ― 続く ―


   →「秘密の会話」の記事はこちら
   →「ラビスタ函館ベイ(1)」の記事はこちら
   →「ラビスタ函館ベイ(2)」の記事はこちら
   →「小野上温泉(1)」の記事はこちら
   →「小野上温泉(2)」の記事はこちら

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 累積アクセス、百万突破! | トップ | 読んだ本 2015年6月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

温泉エッセイ」カテゴリの最新記事