<呼子でイカ三昧(2)>
呼子には心残りがあった。
いや、未練といったほうがいいかもしれない。
前回に来たときにイカを食べ損ねたのである。朝食を腹一杯食べすぎたからという、自分なりの苦しい言い訳もあるにはあるが、なんとイカシュウーマイすら口にできなかったのだ。
イカ、といえば函館と呼子が有名だ。函館はイカだけが名物ではないが、呼子とイカは切っても切れない関係である。
だから「呼子のイカはどうだったの?」と訊かれたり、「はるばる呼子までいってイカ食べなかったの!」と呆れられたりして、能天気なりに秘かに傷つき、悔しい思いを味わった。
再訪したのは、自分としてはいわば雪辱戦ともいえるのである。
暖簾をくぐると、大きな水槽がずらりと並んでいる。
水槽の間のL字型通路のその先が、空調の効いた本当の店内への入口のようだ。
水槽を覗きこむと、活きたイカがすばしっこく元気いっぱいに泳いでいる。これから食事しようとする客は、いやがうえにも期待が膨らむというわけだ。
二つ目の店内入口のところに、「本日のイカはアオリイカです」との掲示があった。
国内にはイカが九十種類生息するといわれる。アオリイカがイカの王様と呼ばれているのはその大きさ、そして刺身にしたとき最も美味しいからである。
一階の広い土産物売り場の奥の席に案内された。どうやら一般客は一階で、団体客は二階のようだ。
メニューに眼を走らせ、いかの活き造り膳を注文した。二千円台とは、呼子ではかなりリーズナブルな値段の店である。
注文すると、すぐに来ることはないと踏んで、店の外にあった灰皿まで戻り一服する。
席にもどると、タイミングよく膳が届く。
(うっひょー、こいつは旨そうだ!)
今朝はほぼ朝食抜きの絶好のイカモード体調に整えてある。
よし。透明でまだピクピク動いているのを箸で摘み、口中に入れたとたん、噛んでないのに甘味を感じて驚く。
酒が欲しいところである。後ろの女子二人組がビールからワインに切りかえているのが、なんとも悔しい。
日本は世界のイカ漁獲高の半分を消費する、世界一のイカ消費国である。イカは焼く、さっと焙る、揚げる、炒める、蒸す、和える、煮付ける、乾すなど、和洋中のどんな料理でも合うが、獲れたてバリバリの新鮮ならば、これはもう生の刺身に限る。
新鮮そのものの噛みごたえ、もちもちねっとりと粘りのある柔らかな食感。そしてなんとも甘味が強く、口中に濃厚な旨みを残すのは、さすがにイカのなかでも最高峰だ。
熱々の呼子のイカシューマイである。ひところ都内の多くの居酒屋のメニューに乗ったことがあり、わたしも良く注文したものだ。
ぷりぷりしたイカの歯ごたえと甘味に玉ねぎの甘さが加わって、これはビールにも焼酎にも冷酒にも合うのだ。
残ったゲソだが、天ぷらか塩焼きにしてくれるというので、塩焼きを頼んだのだが、酒なしはなんとも旨いやらなんてツライやらであった。
いずれにしても、これにて雪辱戦は無事に果たしたのであった。
→「呼子でイカ三昧(1)」の記事はこちら
呼子には心残りがあった。
いや、未練といったほうがいいかもしれない。
前回に来たときにイカを食べ損ねたのである。朝食を腹一杯食べすぎたからという、自分なりの苦しい言い訳もあるにはあるが、なんとイカシュウーマイすら口にできなかったのだ。
イカ、といえば函館と呼子が有名だ。函館はイカだけが名物ではないが、呼子とイカは切っても切れない関係である。
だから「呼子のイカはどうだったの?」と訊かれたり、「はるばる呼子までいってイカ食べなかったの!」と呆れられたりして、能天気なりに秘かに傷つき、悔しい思いを味わった。
再訪したのは、自分としてはいわば雪辱戦ともいえるのである。
暖簾をくぐると、大きな水槽がずらりと並んでいる。
水槽の間のL字型通路のその先が、空調の効いた本当の店内への入口のようだ。
水槽を覗きこむと、活きたイカがすばしっこく元気いっぱいに泳いでいる。これから食事しようとする客は、いやがうえにも期待が膨らむというわけだ。
二つ目の店内入口のところに、「本日のイカはアオリイカです」との掲示があった。
国内にはイカが九十種類生息するといわれる。アオリイカがイカの王様と呼ばれているのはその大きさ、そして刺身にしたとき最も美味しいからである。
一階の広い土産物売り場の奥の席に案内された。どうやら一般客は一階で、団体客は二階のようだ。
メニューに眼を走らせ、いかの活き造り膳を注文した。二千円台とは、呼子ではかなりリーズナブルな値段の店である。
注文すると、すぐに来ることはないと踏んで、店の外にあった灰皿まで戻り一服する。
席にもどると、タイミングよく膳が届く。
(うっひょー、こいつは旨そうだ!)
今朝はほぼ朝食抜きの絶好のイカモード体調に整えてある。
よし。透明でまだピクピク動いているのを箸で摘み、口中に入れたとたん、噛んでないのに甘味を感じて驚く。
酒が欲しいところである。後ろの女子二人組がビールからワインに切りかえているのが、なんとも悔しい。
日本は世界のイカ漁獲高の半分を消費する、世界一のイカ消費国である。イカは焼く、さっと焙る、揚げる、炒める、蒸す、和える、煮付ける、乾すなど、和洋中のどんな料理でも合うが、獲れたてバリバリの新鮮ならば、これはもう生の刺身に限る。
新鮮そのものの噛みごたえ、もちもちねっとりと粘りのある柔らかな食感。そしてなんとも甘味が強く、口中に濃厚な旨みを残すのは、さすがにイカのなかでも最高峰だ。
熱々の呼子のイカシューマイである。ひところ都内の多くの居酒屋のメニューに乗ったことがあり、わたしも良く注文したものだ。
ぷりぷりしたイカの歯ごたえと甘味に玉ねぎの甘さが加わって、これはビールにも焼酎にも冷酒にも合うのだ。
残ったゲソだが、天ぷらか塩焼きにしてくれるというので、塩焼きを頼んだのだが、酒なしはなんとも旨いやらなんてツライやらであった。
いずれにしても、これにて雪辱戦は無事に果たしたのであった。
→「呼子でイカ三昧(1)」の記事はこちら
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