<新富良野プリンスの、てるてる>
新しくなった富良野駅前に立ち、いろいろなことを思いだしてしまう。
わたしの最初の長旅が富良野への旅であった。
費用を少しでも安くあげるために、宿代をけちって車中泊、フェリーで仮眠、車中泊で富良野に到着したのだった。
車のなかでは猫背状態で寝るものだから、さすがに背中が痛い。
いいかげん、今夜は背中を伸ばして寝たい。よし、多少贅沢な宿にしよう。
「本日なのですが、一室部屋は空いてますでしょうか」
駅前の公衆電話から富良野プリンスに電話した。まだ新富良野プリンスではなかったと思う。
「何名さまでございましょうか」
「わたしひとりなのですが・・・」
「あいにく、ご一名さまではちょっと・・・」
まだ、ひとり旅が珍しいころだったのである。特に当日の飛び込みのひとり客はどこも厭がられたものだ。
「多少高い部屋でも構わないのですが、なんとかなりませんか」
「申し訳ございませんが・・・」
丁重に断られて、ジツニ悔しい思いをしたものだった。
今回はそれに懲りて事前にしっかり予約をしたのだ。新富良野プリンスには温泉施設もあるようで、泉質は期待できないとしてもまあ楽しみである。
部屋はツインのシングルユースだ。
シーズン前で部屋が空いていたためグレードアップしたのだろう。こういうサービス、最近はあちこちで受けるが嬉しいものだ。
広いし、使わないベッドで荷物を広げられて便利である。
早朝に目覚めると、森のなかを散歩した。
森のなかの路は、木材の薄い小さなチップが敷きつめられていてとても歩きやすい。間伐材だろう。
一番遠いバー「Soh’s Bar」まで行ってから、ゆっくりと引き返し喫茶店「森の時計」、ニングルテラスとめぐる。
森の冷気とフィトンチッドを存分に味わう。
朝食をしっかりとると、楽しみにしていた「風のガーデン」を散策して、部屋に戻る。
部屋の中をざっと片付けて、さて出発だ。
「忘れ物は・・・」
ベッドの上、テーブルの上などあちこちを指差して確認する。「なし!」
バスルーム、クローゼットも開けて確認。よし。
荷物を持って部屋を出て、三歩いったところで踵を返し部屋に引き返す。
「いけねぇ。あれを連れていかないと!」
テーブルの上に置いてある、てるてる坊主を大事にポケットにしまう。
きっとホテルの部屋係りのひとがつくったのであろうが、布製なのだが折り方に秘密があるのかきっちりとテーブルの上に立って、小首を傾げて空を見上げているてるてる坊主なのだ。
とても可愛い。芸術品的な見事な出来栄えである。
誘拐(?)してひとり旅の連れにしてしまおう。見た瞬間にそう思ったのだった。(プリンスで作ってくれたかた、絶対に大事にしますのでお許しあれ)
横浜まで連れて帰る途中で、車を止めるたびに、通りかかった家族連れが立ちどまりわたしの車を指差すことがあったが、このてるてる坊主を子どもが目ざとく見つけたからだろう。
富良野からはるばると長旅させてしまった「てるてる」だが、これからしばらく一緒に旅の相棒にしたい。
新しくなった富良野駅前に立ち、いろいろなことを思いだしてしまう。
わたしの最初の長旅が富良野への旅であった。
費用を少しでも安くあげるために、宿代をけちって車中泊、フェリーで仮眠、車中泊で富良野に到着したのだった。
車のなかでは猫背状態で寝るものだから、さすがに背中が痛い。
いいかげん、今夜は背中を伸ばして寝たい。よし、多少贅沢な宿にしよう。
「本日なのですが、一室部屋は空いてますでしょうか」
駅前の公衆電話から富良野プリンスに電話した。まだ新富良野プリンスではなかったと思う。
「何名さまでございましょうか」
「わたしひとりなのですが・・・」
「あいにく、ご一名さまではちょっと・・・」
まだ、ひとり旅が珍しいころだったのである。特に当日の飛び込みのひとり客はどこも厭がられたものだ。
「多少高い部屋でも構わないのですが、なんとかなりませんか」
「申し訳ございませんが・・・」
丁重に断られて、ジツニ悔しい思いをしたものだった。
今回はそれに懲りて事前にしっかり予約をしたのだ。新富良野プリンスには温泉施設もあるようで、泉質は期待できないとしてもまあ楽しみである。
部屋はツインのシングルユースだ。
シーズン前で部屋が空いていたためグレードアップしたのだろう。こういうサービス、最近はあちこちで受けるが嬉しいものだ。
広いし、使わないベッドで荷物を広げられて便利である。
早朝に目覚めると、森のなかを散歩した。
森のなかの路は、木材の薄い小さなチップが敷きつめられていてとても歩きやすい。間伐材だろう。
一番遠いバー「Soh’s Bar」まで行ってから、ゆっくりと引き返し喫茶店「森の時計」、ニングルテラスとめぐる。
森の冷気とフィトンチッドを存分に味わう。
朝食をしっかりとると、楽しみにしていた「風のガーデン」を散策して、部屋に戻る。
部屋の中をざっと片付けて、さて出発だ。
「忘れ物は・・・」
ベッドの上、テーブルの上などあちこちを指差して確認する。「なし!」
バスルーム、クローゼットも開けて確認。よし。
荷物を持って部屋を出て、三歩いったところで踵を返し部屋に引き返す。
「いけねぇ。あれを連れていかないと!」
テーブルの上に置いてある、てるてる坊主を大事にポケットにしまう。
きっとホテルの部屋係りのひとがつくったのであろうが、布製なのだが折り方に秘密があるのかきっちりとテーブルの上に立って、小首を傾げて空を見上げているてるてる坊主なのだ。
とても可愛い。芸術品的な見事な出来栄えである。
誘拐(?)してひとり旅の連れにしてしまおう。見た瞬間にそう思ったのだった。(プリンスで作ってくれたかた、絶対に大事にしますのでお許しあれ)
横浜まで連れて帰る途中で、車を止めるたびに、通りかかった家族連れが立ちどまりわたしの車を指差すことがあったが、このてるてる坊主を子どもが目ざとく見つけたからだろう。
富良野からはるばると長旅させてしまった「てるてる」だが、これからしばらく一緒に旅の相棒にしたい。
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